「最近疲れやすい」「太りやすくなった」「肌にうるおいがなくなってきた」などでお悩みの方はいませんか?実はその悩み「成長ホルモン」の分泌量が低下しているからかもしれません。そこで、この記事では、成長ホルモンが大人になっても大事な理由や、分泌量が低下すると現れる症状、セルフケアや美容医療で成長ホルモン分泌を促す方法などをご紹介します。記事の内容を参考にして、悩みを少しでも解消しましょう。
1.そもそも、成長ホルモンとは?
成長ホルモンとは、頭蓋骨底部にある下垂体でつくられ、血液中に分泌されるホルモンです。成長という名前がついているため、子どもだけに必要なホルモンだと思われがちですが、成長ホルモンは大人になっても重要なホルモンです。
小児期には、骨や筋肉、各器官の成長や発達を促し、思春期には、性ホルモンとともに生殖器の成熟を促します。成人期以降も成長ホルモンは、代謝の調節に関与し、免疫機能や認知機能などにも作用します。また、脂肪組織に対しては、脂肪分解作用があり体脂肪を減少させる働きもあるのです。
このように成長ホルモンは、一生にわたって分泌され、身体機能を正常に維持するほか、心理的な健康を保つ働きもしています。しかし、成長ホルモンの分泌量は、加齢とともに減少していきます。40歳代には、思春期の半分程度に、60歳代には20%くらいまで減少。筋肉量が減少し、体脂肪が増え、肌のうるおいがなくなる人も多くなるでしょう。
2.成長ホルモンが出なくなると現れる症状
年齢を重ねると分泌量が減っていく成長ホルモン。ここでは、成長ホルモンが出なくなると現れる症状について解説します。
■疲れやすくなる
成長ホルモンの分泌量が低下すると、筋肉量も減少し運動能力が低下。筋力低下により心臓の機能も弱まるため、疲れやすくなります。さらに、体力がなくなると気力も減退。気分が落ち込み精神的に不安定になることも増えます。
■骨が弱くなる
成長ホルモンは、幼児期・学童期に身長を伸ばす作用以外にも大人になってから骨の健康維持に役立っています。成長ホルモンの分泌が減ると骨が弱くなり、骨粗鬆症になったり、骨折しやすくなったりするでしょう。
■肌がカサカサした状態になる
成長ホルモンの分泌が減少すると、肌が乾燥しやすくなります。成長ホルモンが、汗腺までたどり着かず発汗量が減少し、肌にうるおいがなくなるからです。肌にうるおいがなくなると、肌のざらつきやひび割れ、キメの乱れなどが現れます。肌のバリア機能が低下することで、肌荒れも起きやすくなるでしょう。肌の乾燥が進むと、たるみやシワにもつながります。
■内臓脂肪が増えて肥満になる
成長ホルモンには脂肪を分解したり、肝臓で産生されたコレステロールを取り込みやすくしたりする働きがあります。そのため、成長ホルモンの分泌量が低下すると、内臓脂肪が増え肥満になりやすくなります。内臓脂肪とは、内臓のまわりにつく脂肪です。内臓脂肪の増加に伴い、悪玉コレステロールが増え、動脈硬化や血栓のリスクも高くなります。
3.【セルフケア】成長ホルモンの分泌を促す方法
症状の発現を防ぐためにも、成長ホルモンを増加させることはできないのでしょうか。ここでは、自宅でできる成長ホルモンの分泌を促す方法をご紹介します。
■十分な睡眠
成長ホルモンの分泌量が増える時間は睡眠中です。眠りに就き30分ほどして、ノンレム睡眠に入ると成長ホルモンの排出はピークを迎えると言われています。そのため、成長ホルモンの分泌を促すためには、十分に寝ることが大切。就寝前にスマートフォンを長時間操作しないなど、熟睡できる環境を整えましょう。
■食事は就寝2時間前までに摂る
成長ホルモンは、食事をしたあと分泌量が減少します。睡眠時の成長ホルモンの分泌を阻害しないためにも、夜寝る前の食事は避けましょう。食事は、眠りに就く2時間前までに済ませること。しかし、空腹すぎても睡眠の質が下がるので、入眠できないほど空腹なときは、牛乳や豆乳をゆっくり飲むようにしましょう。トリプトファンという成分を多く含むため、空腹をやわらげ、快眠を支援してくれます。
■偏りのない食事
成長ホルモンの分泌は、偏りのない食事も大切です。好きなメニューだけ食べていると、一部の栄養しか取りこめません。 とくに、栄養素ではアミノ酸を摂取することで成長ホルモンの分泌が促されます。食事では、アミノ酸が集まってできているたんぱく質をしっかり摂りましょう。たんぱく質には、肉や魚などの動物性、大豆製品などの植物性がありますが、さまざまな食材から複数の種類のたんぱく質をバランス良く摂取することが健康維持のために大切です。
■適度な筋トレ
成長ホルモンの分泌を促すためには適度な運動を行いましょう。筋トレ(無酸素運動)は、脳に刺激を与え成長ホルモンの排出を促すのでおすすめです。低重量にもかかわらずしっかり負荷のかかる、腕立て伏せや腹筋、スクワットなどをゆっくり実施しましょう。ストレッチやヨガなどを、一定の時間に適度に行うのも良い考えです。
4.【美容医療】成長ホルモンの分泌を促す方法
成長ホルモンが低下すると、前述したように心身にさまざまな諸症状が現れます。セルフケアを行っても症状が改善されない場合は、加齢に伴う成長ホルモンの分泌低下が起こっている可能性が高いでしょう。
ここでは、美容医療で成長ホルモンの分泌を促す方法をご紹介します。「若返りホルモン」とも言われる成長ホルモンは、エイジングケア効果も期待できるので注目です。
■ホルモン補充療法
成長ホルモン補充療法では、加齢に伴い分泌量が減少した成長ホルモンを自己注射で直接体内に取り込みます。成長ホルモンが補充されることにより、たんぱく質の合成や糖代謝・脂質代謝などがスムーズになるでしょう。筋肉量や骨量の改善のみならず、各器官の機能も向上。基礎代謝アップによる体脂肪の減少や、肌の弾力やキメ、ハリの改善にもおすすめです。
■ペプチド療法
ペプチド療法は、加齢によって発生する病気やエイジングケアに対し、ホルモン補充療法と同程度の効果が期待できます。ペプチド療法には、皮下注射や内服薬などを使用。成長ホルモンの産生を促し、脂肪の減少や筋肉の増強、認知機能の強化などが期待できるでしょう。また、元々ペプチドは体内に存在する成分のため、個人差がありますが、治療後の副作用がほとんどありません。
■まとめ
成長ホルモンが大人になっても大事な理由や、分泌量が低下すると現れる症状、セルフケアや美容医療で分泌を促す方法などをご紹介しました。成長ホルモンは一生にわたり、身体機能を正常に維持するほか、心理的な健康を保つために大切なホルモンです。成長ホルモンが分泌されなくなると、肌荒れを起こしたり、太りやすくなったり、疲れやすくなったりと、健康に悪影響をもたらします。セルフケアでも症状が改善されない場合は、美容医療に頼るのも一つの手。ホルモン補充療法やペプチド療法で効果的にエイジングケアしましょう。
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