咲江レディスクリニック 院長 丹羽 咲江先生へインタビュー!女性と若者の豊かなセックスライフや快適な生き方をサポート

咲江レディスクリニック 院長 丹羽 咲江先生へインタビュー!女性と若者の豊かなセックスライフや快適な生き方をサポート

咲江レディスクリニック 院長 丹羽 咲江先生にインタビュー。丹羽先生は性交痛の治療を得意とする産婦人科医で、自身の体験から女性が自分らしく幸せに生きるためのサポートを行っています。また、若者の性をサポートするため、学校や少年院、施設での性教育、街角での相談活動なども実施。今回は、産婦人科医になった背景や「咲江レディスクリニック」開業に至る経緯、現代の若者や医療業界の課題などを伺いました。

ドクターズプロフィール

咲江レディスクリニック 院長 丹羽 咲江(にわ さきえ)先生

咲江レディスクリニック 院長
丹羽 咲江(にわ さきえ)先生

やさしく丁寧であることをモットーに、痛くない診療にこだわる産婦人科医。「じっくりと話を聞きながら患者様の悩みを解消していきたい」という想いで2002年に「咲江レディスクリニック」を開院。一人ひとり違う女性の体や心に寄り添うため、患者様の声に耳を傾けながら適切な治療法を一緒に考えて決めることを重視している。

また、日本性科学会のセックス・セラピストの資格を持ち、性交痛の治療やパートナーとのコミュニケーション方法のアドバイスなども行う。2010年3月からはクリニックに思春期外来を開設し、思春期保健相談士とともに思春期ならではの問題に取り組んでいる。毎日の診療に加えて中学校・高校・大学などでの性教育や、一般女性を対象にした『女性の健康』に関する講演活動も数多く行う。

(経歴)
1991年 名古屋市立大学医学部 卒業
国立名古屋病院(現 独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)入職
1996年 名古屋市立城北病院(現 名古屋市立大学医学部附属西部医療センター)入職
2002年 咲江レディスクリニック 開院
(資格)
愛知県産婦人科医会経営委員
特定非営利活動法人PROUD LIFE監事
愛知・思春期研究会(あいしけん)共同代表
日本性科学会認定セックス・セラピスト
日本専門医機構認定産婦人科専門医
(所属学会)
日本産婦人科学会
日本思春期学会
日本性感染症学会

▷咲江レディスクリニック公式HPはこちら
▷丹羽 咲江先生公式インスタグラム(@sakieladiesclinic)はこちら

医師としての背景 ~不遇な扱いで苦しむ女性の駆け込み寺になるべく産婦人科医へ~

―――先生が産婦人科医を志した背景を教えてください。

父親が産婦人科の開業医で、自宅に隣接する病院は幼い頃から私の居場所の1つでした。そのため、自然と産婦人科医師を志すようになり医学部へ進学。しかし、私が大学に入学した当時、いわゆる高学歴女子は不遇の時代だったんです。診療科によっては、女性医師が「私は結婚や出産をしません」と宣言しなければ入局が認められませんでした。また、キャリアが途切れない男性医師には手厚いのに、女性医師は結婚までの腰掛けだと思われて平等に指導してもらえないこともありました。

有能な女性が性別を理由に才能の芽を摘まれ、生き方を諦めざるを得ない状況に追い込まれることに強い嫌悪感を抱きました。そのような体験から「ジェンダーギャップで苦しむ女性の駆け込み寺になりたい」という想いも相まって産婦人科医になったのです。

―――産婦人科の勤務医時代に強く印象に残っていることは何ですか?

私が勤務医だった25年ほど前までは、例えば重い生理痛を訴える患者様に低用量ピルを提案すると「夫や母に聞いてみます」という方がとても多くて。生理痛でつらいのはほかでもない目の前の患者様ご自身なのに、なぜパートナーや母親の許可がいるのだろうかと残念さや矛盾を感じました。その頃から、「患者様の体は自分自身で責任を持って守ってほしい。体の快適さに関する意思決定は患者様自身の権利だ」という産婦人科医としての想いは強かったですね。

日本ではAV(アダルトビデオ)の概念があまりにも広まっていて、セックスでは男性側の快感が重視されがちです。しかし、セックスはコミュニケーションの1つで会話と同じ。セックスをしている最中も終わった後も、お互いに安心できて心地良さや幸せを感じられることが望ましいんです。だからこそ、患者様には「どちらか一方だけが気持ち良く、もう一方が苦痛を感じる」のではなく、『あなたもセックスで満たされる権利がある』ことをお伝えしています。

丹羽先生の強み ~性交痛の治療を通じて患者様主体のより良い人生をサポート~

咲江レディスクリニック 院長 丹羽 咲江(にわ さきえ)先生

―――「咲江レディスクリニック」を開業した経緯と得意な治療を教えてください。

「咲江レディスクリニック」を開業した理由は、「じっくりと話を聞きながら患者様の悩みを解消していきたい」という産婦人科医としての想いから。そして、勤務医時代に結婚と出産を経験したのですが、当時は家族からのサポートを得られにくいワンオペ育児で夜間の当直勤務が難しくなったことも理由の1つです。

得意とするのは、性交痛の治療です。現在は性交痛に悩む患者様が全国から来院されています。性交痛の原因はさまざまで、心の問題から来る心因性のケースがあります。例えば、「セックスをしてはいけない」と親から抑圧的に育てられた若い女性や、学校の性教育で「セックスは怖いもの」というマイナスイメージを抱いてしまった方、性暴力の被害に遭いセックスがトラウマになってしまった方などです。

さらに、性交痛が機能面に起因するケースもあります。こちらは、生まれつき処女膜が厚いため膣の入口が狭くて伸びにくい処女膜強靭症の方や、体の冷えや血流の悪さから膣粘膜が荒れている方、女性ホルモンの不足や膣・外陰部の萎縮が起きやすい中高年の方などです。

―――先生が性交痛の治療に特化するようになったきっかけは何ですか?

私自身の経験からです。離婚の影響で若年性更年期障害になり、その後本当の更年期に入ったときにパートナーとのセックスで痛みを感じ始めたんです。それまでは性交痛にはホルモン補充療法が良いと思っていましたが、知人の産婦人科医に施術してもらった炭酸ガスレーザー治療で性器の若返りをすごく実感しました。

そこで当院でも炭酸ガスレーザー治療を導入したところ、次々と患者様がいらっしゃいました。私と同じように女手1つで子育てをした50代前後の患者様が、「子育てが落ち着いてやっと好きな人ができたのに、痛くてセックスができない」と訴えるんですね。同じ困りごとで悩む女性を救いたいと考え、性交痛の治療に特化していきました。

性交痛の治療では、患者様に性交時の挿入角度・体位・使用する潤滑剤の種類や使い方などを細かくアドバイスしています。また、膣のゆるみや尿漏れを訴える患者様も増え始めて、いろいろな需要に応えるために膣ハイフ*をはじめ、さまざまなデバイスをテンポ良く導入してきました。

*膣ハイフ…膣内に挿入したハンドピースから超音波を膣粘膜に当て、熱ダメージを与えてコラーゲンの生成を促す治療法。膣の緩み・尿漏れ・お湯漏れなどの改善が期待できる。

―――性交痛の治療を通して先生が目指す世界観を教えてください。

昔から“セックスは女性の夜の務め”という暗黙の了解があり、そのせいで「セックスは痛くても我慢するしかない」と考える女性も多いのでしょう。患者様の中には「痛いときはセックスを諦める」という方もいて、他の産婦人科医から「痛みがあるなら控えたら良いですよ」とアドバイスされた方もいらっしゃいます。

しかし最近は、「セックスができないと結婚・妊娠・出産が難しいかもしれない」という焦りから前向きに治療する若い方や、「新しいパートナーと豊かなセックスライフを楽しみたい」と願う中高年の方も増えてきました。私自身もただ性交痛を治療するのではなく、治療をきっかけに患者様が自分自身の性を見つめ直し、主体的でより良い人生を目指すお手伝いがしたいと考えています。

現在の若者へ向けた性教育 ~コロナ禍で薄れた人と触れ合う幸せを伝え続けたい~

咲江レディスクリニック 院長 丹羽 咲江(にわ さきえ)先生

―――先生が診療だけでなく性教育にも力を入れ始めたきっかけはありますか?

「咲江レディスクリニック」の開業当時、中絶手術を受ける患者様が多く、1ヶ月に30件以上もの中絶手術を行う日々が続きました。手術後にベッドで涙するたくさんの患者様を見て、望まない妊娠を未然に防ぐ教育が非常に大切だと痛感しました。それが、私が性教育を始めたきっかけです。コロナ禍以降ペースは減少しましたが、高校を中心に少年院や大学などで現在も年間50件ほど性教育を行っています。

―――性教育の際、先生が現代の若者に特徴的だと感じることは何ですか?

性教育を受ける若者の反応は以前と変わってきたと感じます。以前は、性教育に対して「恥ずかしい、いやらしい」という反応がありました。しかし、最近の若者、いわゆるZ世代は「人に触れるのって何か気持ち悪い」「セックスするより韓流アイドルみたいになりたい」という人が多い傾向です。

恋人をつくって2人で楽しく過ごすよりも自分自身が細くきれいになりたい、つまり内向的な若者が増えてきている印象です。コロナ禍も影響していると思いますが、コミュニケーションのオンライン化がますます進み、人の体温で心地良さを得るという感覚が若者の間で薄れているのではないでしょうか。

―――最近は性教育で伝える内容も少し変わってきたということでしょうか?

そうですね。望まない妊娠や性病を防ぐための知識だけでなく、日々さまざまな困難に直面する中でも人と触れ合うことの幸せや、感謝の気持ちと心の余裕を持つことの大切さもしっかりと伝えるようになりましたね。その理由は、若者の他者に対する興味関心がこのまま減り続けると、日本の存続が危ぶまれるのではないかと危機感を抱いているから。実際、昔にくらべてセックス経験のない人が確実に増えています。

性教育でペアになってお互いの脈拍を測り合ってもらう際、生身の体に触れることを嫌がる人や、測定後に気分が悪いと訴える人も増えました。そのような感覚のままでは、セックスの最中に相手の体温や反応に対して生理的な嫌悪感を抱いてしまうかもしれません。日本の未来のためにも、セックスは幸せを感じられるコミュニケーションの1つだと性教育で説き続けたいと考えています。

「街角保健室」の取り組みに注力 ~悩める女性たちが気軽に立ち寄れる場所を提供~

―――先生が「街角保健室☆ケアリングカフェ」に参加した経緯を教えてください。

私立学校の保健体育科教諭で、現在「街角保健室☆ケアリングカフェ(以下、街角保健室)」の代表を務める中谷豊実さんとの出会いがきっかけです。街角保健室は主に10~20代の女の子のための無料スペースで、飲食物・コスメ・衛生用品などを無料で提供し、医師・養護教諭・助産師・ソーシャルワーカーなどの専門家が女性の相談に乗っています。

コロナ禍で衛生用品が買えない「生理の貧困」が問題となり、私たちも学校や施設へ出向いて性教育が行えなくなった代わりに、困っている女性に物品の支援や健康相談をしようと思ったんです。最初は名古屋市の街中で日中に行っていましたがあまり需要がなく、ある公園管理者の方から許可されて繁華街にある公園で夜にテントを張るようになりました。

―――場所を移動して、街角相談室のテントに立ち寄る女性は増えましたか?

はい。街角保健室のテントを張る公園の近くにはホストクラブがたくさんあり、ホストクラブに行くまでの時間を待つ女性がテントで休憩するようになりました。夏は飲み物、冬は温かいラーメンなどを提供して、生理の話を聞きながら妊娠や性病などの医療相談につなげたりしています。性病・妊娠・中絶などの話題が彼女たちの口から出ても、雑談を交えながらお説教っぽくならないように心がけてきました。

彼女たちのような性教育を本当に聞いてほしい対象者は学校や大学を休みがちなので、アウトリーチ型の街角保健室という取り組みは非常に重要です。雑談の中にうまく大切なメッセージを入れ込みながら、何かあったら「街角保健室の先生があんなこと言ってたな」、「病院に行ったほうが良いのかも」と思い出してもらえるところから始めようという想いで取り組んでいます。

―――街角保健室がこれから目指すものは何ですか?

街角保健室は適度にゆるい雰囲気の集団であることも大切にしています。目的を掲げてあまりにも大規模になると、本当に困っている女性が近寄りにくくなってしまいますから。それよりも細く長く活動を続けて、以前も利用した女性が「また来たよ」と気軽にテントへ立ち寄ってもらえる関係性を築けたら良いですね。

街角保健室や児童相談所から当院につながった女の子を診療すると、体が未熟なうちに無理なセックスを重ねた結果、低年齢にも関わらずすでに膣が緩くなってしまっているというケースもあります。どれだけ時間がかかっても、セックスの真の喜びを彼女たちに伝えたいと願っています。

読者へのメッセージ ~より良い性や生き方を実現するためには努力と挑戦が大切~

咲江レディスクリニック 院長 丹羽 咲江(にわ さきえ)先生

―――まずは、一般の方へのアドバイスやメッセージをお願いします。

いろいろな感覚があると思いますが、人との触れ合いはやはり大切にしてほしいですね。1人では難しいことも2人ならば叶えられる、2人なら到達できるということはたくさんあり、人生の楽しみや幸せが何倍にも広がるでしょう。人と触れ合う方法の1つがセックスで、女性が主体的により良いものへと改善したり満足度を上げたりできれば「生きていて良かった!」と強く実感できると思っています。

セックスの困りごとは我慢したり諦めたりせずに改善できることを知っておいてください。より良いセックスを求めて前向きに努力する女性のために、私たち専門家がともに寄り添います。

―――丹羽先生に続く、次世代を担う若手医師へのメッセージもお願いします。

女性はキャリアを築いて行く途中で思いがけず女性特有の病気になったり、妊娠・出産というイベントがあったりと、自分自身の生き方を考え直すタイミングが何度もあります。そのときに自分が本当にしたいことを考え抜くことも大事で、さらに同じ視点で考えてくれるパートナーを選ぶことも重要です。パートナーは医師同士でなくても、とにかく一緒にあれこれ考えてくれる素敵な人を選んでください。

選んだパートナーが自分と合わないと思ったら、自分の生き方を我慢したりねじ曲げたりせずにパートナー変更も視野に入れてみて。人生は失敗しても何度でもやり直しがきくので、日々の生活に感謝しながら前向きなチャレンジ精神も忘れないでほしいと思います。

【治療の内容】
膣壁や外陰部への炭酸ガス(CO2)レーザー照射
【治療期間および回数の目安】
1〜2ヶ月に1回を2〜3クール、その後は1年に1回メインテナンスを推奨
※治療期間や回数等は個人差があります
【費用】
1回33,000円(税込)
【リスク・副作用等】
軽微な下腹部痛、微量の出血、ひりひり感、熱感など
【注意事項】
・施術後数時間は、日焼け後のようなひりひり感や熱感を感じますが、数時間ほどで落ち着きます。不快感が続く時は、保冷剤で冷やすと楽になります。
・初回の排尿時に、しみるような痛みを感じることがありますが、徐々に軽快します。2~3日間はウォシュレットの使用はお控えください。
・施術当日は入浴を避け、シャワーのみとしてください。石鹸はつけても構いません。
・施術後3日間は、性交渉や公衆浴場などでの入浴は避けてください。
・施術後3日間は、過度な運動・飲酒など、体が温まるような行為は控えてください。
【未承認医療機器を用いた治療について】
・本治療には、薬事承認を取得した使用目的とは異なる治療が含まれています。
・治療に用いる医薬品および医療機器は、クリニック医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・2014年12月にFDA(米国食品医薬品局)により医療機器として承認されています。
・国内で薬事承認されている治療以外は、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品はありません。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

【治療の内容】
膣への医療用HIFU(高密度焦点式超音波)
【治療期間および回数の目安】
・1回の施術で効果が期待できますが、症状が気になる方は治療後3ヶ月~6ヶ月以降から再照射可能 ※個人差があります
【費用相場】
1回 66,000円(税込)
【リスク・副作用等】
一時的な違和感、しびれ、ヒリヒリ感、感覚の変化、少量の分泌物の増加、軽度な粘膜の発赤・腫脹・軽度の腹部不快感など
【注意事項】
・当日はシャワー浴のみとし、翌日から自宅での入浴可能です。
・当日は、多量の飲酒やハードなスポーツは避けてください。
・1 週間は大衆浴場やサウナ、プール、性交やタンポンの使用を避けてください。
・治療箇所が施術後数時間ヒリヒリする事や違和感を伴う事があります。
※詳細については医師にお尋ねください。
【未承認医療機器を用いた治療について】
・膣ハイフの治療には、国内未承認医薬品または医療機器を用いた施術が含まれます。
・治療に用いる医薬品および医療機器は、クリニック医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・国内承認を取得している機器以外は、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品はありません。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

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