皮フ科かわさきかおりクリニック 院長
川﨑 加織先生
2004年に兵庫医科大学医学部を卒業後、同大学にて臨床研修医、皮膚科レジデントとして研鑽を積む。2015年に市内皮膚科クリニック院長に就任後、2018年には兵庫県西宮市に「皮フ科かわさきかおりクリニック」を開院。医学博士であり皮膚科専門医として、保険診療、美容皮膚科、小児皮膚科まで幅広い分野で患者さまの肌の悩みに向き合っている。保険診療・美容医療・栄養療法を組み合わせ、体の内外からアプローチすることで、健やかさと美しさを引き出す治療を提供している。
私たちの体は、「食べたもの」でできています。健康・美容にはバランスの取れた食事が欠かせません。しかし、毎日常に整った栄養を意識して食事を調理し続けることはなかなか大変。たまには手を抜きたい日もあることでしょう。
そこで今回は、きれいを目指せる手軽なメニューに注目!ブーストアップホリスティックケア®*を実践する「皮フ科かわさきかおりクリニック」の川﨑加織院長へお話を伺い、朝昼晩のおすすめごはんラインナップや、先生が実際に取り入れている食事例を教えていただきました。
*ブーストアップホリスティックケア®……食事、環境、生活習慣といった根本から原因を探り、より総合的なアプローチから健康状態の向上を目指す治療方法。
「分子栄養学」とは?細胞レベルでの美容を考える
健康や美しい肌作りに欠かせない日々の食事は、美容の分野では分子栄養学をベースに考えることが主流となりつつあります。
■分子栄養学と栄養療法
「分子栄養学」とは、個々の体の中で食品や栄養素がどう作用するか分子レベルで評価する学問です。栄養素が細胞や組織にどのような影響を与えるか、代謝経路や遺伝子発現といった生化学的メカニズムがどうなっているかを理解するためにあります。
この分子栄養学の考え方をベースに分子レベルで個人の栄養状態を評価し、コンディションの向上を目指す手法が「栄養療法」です。
血液検査、遺伝子情報、生活習慣などをもとに細胞の状態をチェックし、栄養素の質と働きに着目して、不調の原因にアプローチします。
例えば「鉄分は1日10.5gの摂取が推奨されています」と伝えるのが一般の栄養相談。対して、「あなたの体に不足している栄養素は鉄分で、1日○gの摂取が望まれます」と伝えるのが栄養療法。一人ひとりに特化した具体的なアドバイスを受けられるのが特徴です。
栄養療法にはさまざまな手法があり、食事やサプリメントで分子バランスを最適化させて不調の改善・予防を図る「オーソモレキュラー栄養療法」もその1つ。また、総合的なアプローチから健康状態の向上を目指す「ブーストアップホリスティックケア®」でも栄養療法が取り入れられています。
■美容医療との関わり
分子栄養学および栄養療法は、慢性疾患や精神的な不調、疲労などの改善を期待して活用されるほか、美容医療の現場でも“細胞から美しくなるアプローチ方法”として注目されています。
美を追求するには、外見にこだわるだけでなく体の内側から健康の土台を整えることも大切。
必要な栄養素をきちんと摂取して体の内側からケアすることは、肌や髪質のコンディションアップやホルモンバランス、腸内環境を整えることにつながります。若々しい印象をキープしたい人にも重要です。
美容ドクターに聞く!朝昼晩おすすめ食材ラインナップと簡単メニュー

私たちの体は食べたものでできています。つまり、日々の食事で何を選ぶかが美しさのカギ。
今回は、「栄養が大切なことは百も承知!その中でも何を摂ったらいいか知りたい!」「忙しくて手が込んだ料理ができない日にピッタリな栄養バランスが良いメニューや食材はないの?」といった方へ、朝・昼・夜それぞれのシーンに合わせたおすすめメニュー例や食材をご提案します。
★お話を伺った先生★川﨑 加織(かわさきかおり) 先生 一般的な皮膚治療に加え、ブーストアップホリスティックケア®を取り入れた治療で、単に症状を抑えるだけでなく生活習慣や食事、環境といった根本にアプローチし、健康と美をトータルでサポート。 皮膚は健康状態を映す「鏡」のような存在と語り、栄養療法をはじめとしたオーダーメイド治療で健康状態や生活の質の底上げを目指しています。 |
■美容に欠かせない栄養素とおすすめ食材
美容に注力するなら美しい肌や髪のベースとなるタンパク質は欠かせない栄養素。さらに鉄、亜鉛、ビタミンA・B群・D、n-3系・n-6系脂肪酸などを意識して摂取することも大切です。
鉄分は女性にとって不足しやすい栄養素と言われ、足りない状態が続くと貧血だけでなく肌荒れや大人ニキビ、シミやシワ、たるみ、疲労感などの原因にもなります。
また、抗酸化ビタミンのビタミンCも美しい肌の維持に必要です。できるだけ多くの食材を組み合わせてメニューを考えてみましょう。
| 意識して摂りたい栄養素 | 多く含む食材 |
| タンパク質 | かつお、しらす、鶏ささみ、卵、納豆、ブロッコリー |
| 鉄 | レバー、赤身肉、カツオ、マグロ、アサイー |
| 亜鉛 | 牡蠣、カボチャの種 |
| ビタミンA | 鶏レバー、豚レバー、ニンジン、ブロッコリー |
| ビタミンB群 | 豚肉、カツオ、マグロ、玄米、納豆、枝豆 |
| ビタミンC | 赤ピーマン、ブロッコリー、キウイ |
| ビタミンD | きのこ類、鮭、サバ |
■忙しい日にも取り入れやすい朝・昼・晩メニューならコレ!
毎日完璧な食事は難しいですが、できることから始めてみましょう。取り入れやすいメニュー例を紹介します。
【朝ごはん】
玄米ごはん、納豆、ヨーグルト、キウイやオレンジなどのフルーツ

納豆はタンパク質豊富で、腸内環境を整えてくれるほか、エネルギー代謝もサポートします。
フルーツはキウイがおすすめ。ビタミンCやカリウム、食物繊維、ポリフェノール、など美容にうれしい栄養素が詰まっています!
パン派の方は、全粒粉パンや玄米パンなどを選びましょう。
【昼ごはん】
玄米または雑穀入りごはん、グリルチキン、野菜サラダ、味噌汁

海藻入りの味噌汁をプラスするとミネラルが摂れてバランスアップします。
【夜ごはん】
玄米ごはん(少なめ)、焼魚、野菜の煮物、豆腐の味噌汁

焼魚を選ぶと、肌の修復や保湿に寄与するとされるオメガ3脂肪酸を摂取できます。
【おやつ】
アサイーボウル

忙しくてもできる!美容ドクターも実践『美容を意識した食事の選び方』
ここからは、「皮フ科かわさきかおりクリニック」の川﨑加織院長に、忙しくても簡単に美容に必要な栄養素を摂取できる食事の選び方を教えていただきました!気になる美容ドクターの食事とは?!
理想的な食生活を毎日完璧に…なんて、正直とても難しいことです。私も診療や子育てに追われる中で、お惣菜や外食に頼ることもよくあります。それでも、毎日の食事の“選び方”はとても大事。
私の場合、朝はMSSのソイプロテインと、自分に必要なサプリメントでスタートします。サプリメントは定期的な採血で栄養状態を確認し、ヘム鉄・ビタミンB群・ナイアシン・ビタミンA・D・DHAなどを選んでいますよ。
昼食は、クリニックの近くの百貨店でそろえるサラダとグリルチキンが定番です。炭水化物は控えめにして血糖値の安定を意識しています。
夕食は家族とおかず中心の食事を。赤身肉や魚、野菜、発酵食品を取り入れ、お腹が空いていれば最後に少量のごはんを加えるスタイルです。
私は外食の機会も多くあり、友人やスタッフとの食事ではなるべく「肉料理」を選ぶようにしています。糖質よりもタンパク質や鉄を意識して食べることで、体調や肌の調子がじわじわ整ってくるのを感じますね。
血糖コントロールが乱れると、肌荒れや疲れにつながりやすいため、パンやジュースをはじめとした精製糖質はできるだけ控えるようにしています。
無理なく続けられる範囲で、“ちょっとした選択”を積み重ねること。これが食事を選ぶうえで大切なことです。体にも肌にもきちんと返ってきますので、ぜひ意識してみてください。
まとめ
私たちの体は食べたものでできています。分子栄養学に基づいた美容を意識した食事は体の内側からコンディションを整えるため、今回ご紹介した栄養素や食材、メニューを参考に、できる範囲でバランスが良い食事作りにトライしてみましょう。
忙しい日々を送るなかで食事の準備は大変ですし、外食や付き合いで思い通りの食事を摂れない日があるのは当然のこと。決して完璧を求める必要はありません。日々の小さな選択の積み重ねが、美しさと健康につながります。
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