美容医療を受ける際に重要となるのが、施術を担当する医師のスキルです。しかし、美容クリニックや携わる医師の数も増え、どのように選べば良いか悩む方も多いでしょう。
SNSなどの投稿で判断する方もいるかもしれませんが、リアルな声が確認できる反面信憑性に欠ける側面もあるため、口コミだけでは十分な判断材料とはなりません。そこで今回は、信頼できる医師を選ぶための具体的なステップと注意点を解説します。
医師の実績をチェック!本当に腕のあるドクターの見極め方
美容医療は施術の技術や美的感覚が求められる、専門的な医療分野です。最近はSNSなどで発信する医師も多く、実力が伴わなくても集客できるという実情もあります。まずは、本当に腕がある医師かどうか見極めるためのポイントを押さえていきましょう。
■医師のプロフィールをチェック
医師のプロフィールは必ず確認しておきたい項目です。見るべきポイントは、以下の3点。
- 経歴…経験の長い診療科
- 資格…専門医や認定医の記載の有無
- 所属学会…医師が属している学会
保険診療の経験についてわかりやすいチェック項目は、専門医の肩書の有無です。専門医とは、特定の診療科や分野において技術や経験を認められた医師のこと。専門医を名乗るためには、5年以上の専門研修や試験を突破する必要があり、1つの診療科で一定以上の技術や知識を習得した証拠となります。
医師の資格や所属している学会は、得意分野や実績を把握する指標となります。学会の一例は以下の通りです。
| 美容外科に関する学会 | 日本美容外科学会(JSAPS) 日本美容外科学会(JSAS ) 日本形成外科学会 |
| 美容皮膚科に関する学会 | 日本美容皮膚科学会 |
| 美容内科・エイジングケアに関する学会 | 日本美容内科学会 日本抗加齢医学会 日本再生医療学会 日本アンチエイジング外科学会 |
| レーザー・光治療に関する学会 | 日本レーザー医学会 日本光医学・光生物学会 |
このほか、医療機器や製剤メーカーの認定資格を保有していたり、トレーニング講師として活躍していたりする医師もいます。
また、資格や所属学会に加えて、経歴で確認しておきたいのは、美容医療経験の長さ。ベテラン医師であっても、美容医療医師としてはまだ経験が浅いケースもあるでしょう。
■施術件数や症例写真をチェック
施術件数や症例写真も、チェックしておきたい項目です。
SNSやクリニックのホームページなどでは、医師が過去に対応した症例数が示されていることも少なくありません。医師の技術は、症例数をこなすにつれ上達していくのが基本。施術件数が多ければ多いほど美容医療の経験も長く、腕の立つ医師である可能性が高いといえます。
同じ施術でも仕上がりは医師により異なるため、症例写真のチェックも欠かせません。文章だけではイメージしにくい施術による効果や変化を可視化するのが、症例写真の役割。症例写真を見ることで、施術による効果や医師の技術力や美的感覚をイメージしやすくなります。
<症例写真でチェックしておきたい項目>
- 撮影時期の明記があるか(施術直後、施術1週間後など)
- 施術前後が同じ条件で撮影されているか(撮影場所やカメラの角度、明るさなど)
- 施術の内容が詳しく記載されているか
- 自分の年代や悩みに即しているか
画像よりも動画の方が修正しづらいという側面があるため、動画で全角度のビフォーアフターを掲載しているとより参考にしやすいでしょう。
また、必須ではありませんが、1ヶ月後、3ヶ月後、半年と複数の症例写真が掲載されていると、治療の経過が分かりやすくなります。持続期間やダウンタイムの目安を把握するのに役立つでしょう。
■得意施術をチェックする
医師やクリニックにより得意施術があります。医師が得意とする施術もチェックして、自分の悩みに応じて選ぶことも大切です。たとえば、医師のプロフィールを元にしたおすすめの医師は以下のようになります。
| 希望する治療 | 得意とする医師 |
| 肌荒れやシミ、くすみなど、肌表面のトラブルを改善に導く治療 | 皮膚科医、皮膚科専門医 |
| 機器を使用したたるみ治療、注入治療、糸リフトなど顔の形にアプローチする治療 | 美容外科医、形成外科医、各マシンや注入認定医 |
| メスを用いた外科治療 | 美容外科専門医、形成外科専門医 |
医療機器や注入治療の場合、機器や製剤の知識を保有している認定医資格を保有している医師と選ぶのもひとつの方法です。メスを用いた外科治療の場合、ケガや先天的欠陥部位の再建などを専門とする形成外科の経験がある医師を選ぶと安心でしょう。
■口コミやレビューをチェック
実際に治療を受けた方の口コミやレビューも、チェックしておきたい項目の1つです。クリニックの雰囲気や医師、看護師の対応などを知ることができます。口コミやレビューの評価が良い医師は、そうでない医師と比べて満足できる可能性が高い傾向にあるでしょう。
ただし、インターネット上の情報は必ずしも正しいことばかりとは限りません。口コミやレビューはあくまでも参考程度にとどめ、うのみにしないことも大切です。口コミ情報はGoogleやHOT PEPPER Beauty、TRIBEAUなどの信憑性の高い媒体から得る、一部の口コミだけを見るのではなく全体の傾向を見るなど、上手く活用ことをおすすめします。
▽口コミの読み方は以下の記事も参考になります。
カウンセリング時に見抜く!信頼できる医師の特徴
信頼できそうな医師を決めたら、次はカウンセリングです。美容医療は医療行為のため、医師によるカウンセリングは重要なプロセス。カウンセリング時の対応は、信頼できる医師かどうか見極める重要なポイントになります。カウンセリング時のチェック項目を確認していきましょう。
■医師によるカウンセリングが行われるか
美容医療は医療行為に該当し、判断を間違えると人体に危害を及ぼす恐れもあります。そのため、美容医療を受ける前には、医師による診断や治療の提案などが行われるのが基本です。しかし、カウンセリングを医師ではなく看護師やカウンセラーなどが担当するクリニックもあります。
医師がカウンセリングをしなければならないわけではありませんが、医師と顔を合わせないまま治療に進むような場合には注意が必要です。リスクを回避するためにも、医師の診断や治療の提案がないクリニックは大問題です。
また、カウンセリングと施術を担当する医師が同じかどうかも重要なポイント。カウンセリングと施術日が異なる場合、カウンセリングしてくれた医師が担当してくれるのかも確認しておくと良いでしょう。
■リスクやデメリットをしっかり説明するか
美容医療にはどの施術にも多かれ少なかれリスクがあります。医療行為を行う際は、治療に対するリスクや副作用について説明する義務が生じます。
施術による効果など良い面だけを説明するのではなく、ネガティブな面も説明してくれるかどうかも重要なチェックポイントです。耳あたりの良い言葉ばかりの説明をする医師には注意が必要かもしれません。
施術の際の痛みやダウンタイム中の過ごし方などを事前に理解できれば、安心して施術を受けることができるでしょう。まれに起こる合併症などについても把握しておくことで、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。
どのようなリスクがある治療なのか、リスクが生じたときにどのように対応するのかをきちんと説明してくれる医師であれば、誠実といえるのではないでしょうか。
■質問に対して明確な回答があるか
自分が受ける治療についてきちんと理解しておくことが大切です。カウンセリングの段階でしっかりと質問をして、疑問や不安をきちんと解消してから治療に臨む必要があります。質問に対して明確な回答があり、その回答に納得できるかが重要になります。
疑問や不安に真摯に対応してくれるかどうかは、医師の人柄が現れる部分です。質問の回答が曖昧だった、ぎこちなかった、話しにくかったといった場合には、他の医師を検討しても良いかもしれません。
■施術のゴール設定が具体的か
美容医療は病気を治すのではなく、理想の姿を目指すための治療です。そのため、施術のゴール設定が重要になります。
美容施術のあとどのような仕上がりになるかは、なかなかイメージしづらい部分です。症例写真は参考にはなりますが、肌の状態や体型などにより、全く同じ仕上がりになるとは限りません。
施術のあとにどのような仕上がりになると思われるか具体的に説明できる医師は、ある程度経験が豊富であると考えられます。施術のゴール設定を具体的に説明してくれるかどうかという点もしっかりとチェックしておきましょう。
■検討する猶予を与えてくれるか
カウンセリングで納得を得られたら、治療を即決するケースもあるでしょう。もちろん即決しても構いませんが、美容医療はメリットもあればリスクもあります。高額な費用がかかるからこそ、しっかりと検討し納得して治療に進むことも大切です。
ここで確認しておきたいのは、検討する選択肢を与えてくれるかどうかという点。「今日契約すると値引きがある」などと即決を迫るような提案をされた場合は、避けておいた方が賢明です。
自分の体のことなので、焦らずよく考えて治療するかどうか判断しましょう。
最新の情報を活用!賢い医師選びのためのリサーチ術
上記のチェック項目に加えて、医師選びのためのリサーチ方法をご紹介します。
■SNSやYouTubeでの情報発信をチェック
最近はInstagramやX(旧Twitter)、YouTubeなどで情報発信しているクリニックや医師も多くいます。医師個人の考え方や重視していることを発信している医師であれば、好印象を持てるか、感覚が合いそうかをチェックしてみると良いでしょう。
自ら情報発信している医師は、知識のアップデートが早いということ。美容医療に前向きに取り組む姿勢が見受けられます。
また、エビデンスを重視しているかどうかも、重要なポイントになります。エビデンスとは、裏付けとなるデータのこと。 情報に対する客観性は、エビデンスにより表されます。独自の考えではなくエビデンスをもとにした情報を発信している医師は、信頼性も高いでしょう。
■学会などで論文を出しているかチェック
論文を出していたり、学会発表を行っていたりする医師かどうかもチェックしておくと良いかもしれません。
医師が論文執筆をしたり学会発表をしたりするのは、新しい知見を広めたりエビデンスを蓄積したりといった意義があり、美容医療の発展に欠かせません。医師の専門性の証明という側面もあり、医師を選ぶうえでの判断基準の1つにもなるでしょう。
ただし、美容医療に携わるすべての医師が論文を書いたり学会で発表したりするわけではありません。積極的に論文執筆や学会発表を行う医師は意欲が高く、技術力も高い傾向にあるでしょう。
■複数のクリニックでカウンセリングを受けて比較する
ひとつのクリニックでカウンセリングを受けても、比較対象がないと良しあしを判断しにくいでしょう。施術を依頼する医師やクリニックを選ぶ際は、複数のクリニックでカウンセリングを受けて比較することをおすすめします。
一度治療をして終わりではなく、長く付き合っていけそうな信頼できる医師を見つけるのが理想的です。他の医師と比較することで、自分に合っている医師かどうか判断しやすくなるでしょう。
まとめ
今回は、美容医療において医師を選ぶポイントを解説しました。納得のできる美容医療を受けるためには、クリニック選びが重要なポイントとなります。
インターネットやSNSにはたくさんの情報があふれていますが、すべて正しいとも限りません。また、口コミやレビューだけでは、医師のスキルを可視化には不十分です。今回紹介した見極めポイントを押さえて、信頼できる医師を見つけてください。
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