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ジュビダーム24%減収とalloClae(アロークレ)の登場—— 「ヒアルロン酸一強時代」から「選ぶ時代」へ、美容注射の転換点

ジュビダーム24%減収とalloClae(アロークレ)の登場—— 「ヒアルロン酸一強時代」から「選ぶ時代」へ、美容注射の転換点

世界最大のヒアルロン酸(HA)フィラーブランド「ジュビダーム」を擁するAbbVieが、2025年Q2に前年同期比24%の売上減を計上した(AbbVie SEC開示・2025年7月)。
この数字が示すのは「ヒアルロン酸ブームの終焉」ではなく、美容注射市場の構造的な多様化だ。
同時期、欧州形成外科学会誌(2026年5月)に掲載された査読論文は、この変化の背景にある「地域ごとの意識の温度差」と、次世代フィラーへの移行を多角的に分析している。

📌 この記事をざっくりまとめると……

  • ジュビダームの売上が2025年Q2に前年比24%減を記録した(AbbVie SEC開示)。
    しかしガルデルマ+12.2%・ユーゲル(韓国)+17.7%と競合は成長しており、
    「ヒアルロン酸市場全体の終焉」ではなくブランド・地域の二極化が起きていることが判明した
  • 欧州形成外科学会誌の2026年5月査読論文が2.3百万件のSNS投稿を分析。
    北米ではフィラーへの感情がネガティブ(-32pt)なのに対し、アジアでは強くポジティブ(+38pt)という
    真逆の分断が確認された
  • 「脱ヒアルロン酸」の受け皿として台頭しているのが3つのカテゴリーだ。
    ①自分のコラーゲンを増やす「バイオスティミュレーター(スカルプトラ等)」
    ②自分の血液から作る「EZgel(イージーゲル)」
    ③世界初のドナー由来脂肪フィラー「alloClae(アロークレ)」
  • alloClae(アロークレ)は2025年に米国で登場。
    ドナーの脂肪組織を特殊精製・滅菌してそのまま注射できる世界初の製品で、
    自己脂肪吸引手術が不要なのが最大の特徴だ
  • 日本ではalloClae(アロークレ)は2026年6月現在未承認だが、
    スカルプトラ・PDRN・EZgelの普及という形で「HA一強からの多様化」はすでに始まっている

ヒアルロン酸の王様「ジュビダーム」に何が起きたのか

世界で最も有名なヒアルロン酸フィラーといえば「ジュビダーム(Juvederm)」だ。
製造・販売するのはアメリカの製薬大手AbbVie(アッヴィ)。
その売上が2025年Q2に前年同期比24%も落ちたとなれば、
「ヒアルロン酸ブームはもう終わったの?」と思うのは自然な反応だ。

しかしデータを詳しく見ると、真相は違う。

📊 ヒアルロン酸フィラー主要ブランドの売上動向(2025年・一次情報源ベース)

-24%AbbVie「ジュビダーム」Q2 2025 前年同期比(AbbVie SEC開示)
+12.2%ガルデルマ(レスチレン等)——成長継続
+17.7%ユーゲル(韓国)——成長継続
+50%メルツ韓国部門——急成長
※主にバイオスティミュレーター・ボツリヌストキシン領域
+4.03%HA市場全体のCAGR予測(2024〜2031年・Verified Market Research)

ガルデルマもユーゲルも韓国メーカーも伸びている。
つまり「ヒアルロン酸が嫌われた」のではなく、
「ジュビダームから他のブランドに乗り換える人が増えた」というのが実際のところだ。

💡 なぜ欧米とアジアでこんなに温度差があるのか
欧州形成外科学会誌(2026年5月)に掲載された査読論文が
2.3百万件のSNS投稿を分析した結果、地域による感情の違いが明確になった。

欧米(特に北米):
2010年代に流行した「アヒル口」「パンパンに膨らんだ顔」への反発が根強い。
セレブリティがヒアルロン酸を溶かしたと公言するケースが相次ぎ、
「フィラー=不自然・やりすぎ」というイメージが固定しつつある(感情スコア:北米-32pt)。

アジア(日本・韓国など):
「バレないように自然に仕上げる」繊細な注入技術が発達している。
「ガラスの肌」「自然なボリュームアップ」として今も大人気だ(感情スコア:アジア+38pt)。

同じ「ヒアルロン酸フィラー」でも、北米とアジアでは全く異なる文化的文脈で消費されている。

「脱ヒアルロン酸」を支える3つの次世代フィラー

「体内に合成物質をずっと残したくない」
「もっと自然に仕上げたい」
「ヒアルロン酸は打ったけど、次は何が選択肢になるの?」

そういった声の受け皿として、3つのカテゴリーが台頭している。

① バイオスティミュレーター(スカルプトラ・RADIESSE等)——日本でもすでに普及中

「何かを詰め込む」のではなく、注射によって「自分の肌のコラーゲンを増やさせる」治療だ。
ヒアルロン酸フィラーより効果が長持ちし(スカルプトラは最長2年)、
自然な仕上がりになりやすいと支持されている。
GLP-1薬(マンジャロ等)による体重減少後の顔面ボリューム回復としても注目されている。

② EZgel(イージーゲル)——「自分の血液から作る究極の自然派」

自分の血液から血小板豊富フィブリン(PRF:Platelet Rich Fibrin)を抽出し、
75℃に加熱してジェル状にしたものを注射する。
添加物ゼロ・アレルギーのリスクがほぼゼロという「究極の自然派フィラー」として欧米で急拡大中だ。
日本への本格普及はこれからという段階にある。

③ alloClae(アロークレ)——世界初の「ドナー由来脂肪フィラー」★この記事の注目ポイント

ドナー(他者)の脂肪組織を特殊な技術で精製・滅菌し、
そのまま注射できるようにした世界初の構造的脂肪フィラーだ。
2025年にアメリカのTiger Aesthetics Medical(タイガー・エステティクス)が展開を開始した。

alloClae(アロークレ)とは何か——「脂肪移植の手術なし」が何を変えるか

これまでの脂肪を使ったボリュームアップ(自己脂肪移植)は、
「自分の太ももやお腹から脂肪を吸引して顔や体に移植する」という手術が必要だった。
ダウンタイムが長く、採取部位にも傷が残る——ハードルが高い治療だった。

alloClae(アロークレ)はそのハードルを根本から変える。
最初からパッケージに入っているドナー由来の脂肪を、手術なしで注射できるのが最大の特徴だ。

🔬 alloClae(アロークレ)の仕組み——5段階の独自精製プロセス

脂肪細胞の3Dハニカム構造を保持——注射後すぐにボリュームを提供できる

細胞外マトリックス(ECM)・天然コラーゲン・成長因子を維持——長期的な組織再生を促す

SAL 10⁻⁶の滅菌レベルで終末滅菌——感染リスクを極小化

遊離油分を2%未満に抑制——油嚢胞(注射後にできる可能性のある袋状の腫れ)のリスクを最小化

DNA含有量を最小化——免疫反応リスクを低減

✅ alloClaeのメリット

・自分から脂肪を吸い出す手術が不要
・12.5〜25ccという大容量が可能
主な適応はボディ施術(胸・ヒップ・ヒップディップ・体のくぼみ補正等)——
公式サイトでは「脂肪が自然に存在するボディの局所的な部位」への皮下投与と定義されている
・ドナー由来だがアレルギー・免疫反応リスクを最小化する精製を実施済み
・脂肪細胞の足場(ECM)が組み込まれ、コラーゲン産生を促進する再生効果も期待される

⚠️ 知っておくべき注意点

・「他者の組織」を体内に入れるため、HAフィラーとはリスクプロファイルが異なる。
重度のアレルギー体質・アナフィラキシーの既往がある場合は禁忌だ
・2025年登場で歴史が浅く、長期的なデータはまだ限定的だ
・日本では2026年6月現在未承認のため、国内での処方は行われていない

NERO編集長
NERO編集長

ジュビダームの売上が落ちたニュースを「ヒアルロン酸が終わった」と読むのは早計だ。
データが示しているのは「均質なHA市場からの多様化」であり、
アジアではHA市場は今も元気に成長している。

NEROが伝えたいのはこういうことだ——
「ヒアルロン酸を打っておけばOK」という時代から、
「何を・なぜ・どのくらい選ぶか」を理解した上で選ぶ時代へ。

その選択の質を上げることが、NEROの役割だ。


「何を入れるか」より
「なぜその選択をするか」が、
これからの美容医療の分かれ道だ。
NERO編集長
NERO編集長

まとめ

  • ジュビダームは2025年Q2に前年比24%減収を記録したが、
    ガルデルマ+12.2%・ユーゲル+17.7%と競合は成長。
    「HA市場の終焉」ではなく「ブランド・地域の二極化」が実態だ
  • 北米では「フィラー疲れ」で感情スコア-32pt
    アジアでは繊細な技術で今も大人気・感情スコア+38ptと真逆の分断が確認された
    (欧州形成外科学会誌2026年5月・査読論文)
  • 「脱HA」の受け皿は3カテゴリー。
    ①コラーゲンを増やすバイオスティミュレーター
    ②自分の血から作るEZgel
    ③ドナー脂肪フィラーalloClae(アロークレ)
    ——それぞれ仕組みもリスクも異なる
  • alloClaeは2025年米国登場・日本未承認(2026年6月現在)だが、
    スカルプトラ・PDRN・EZgelの普及という形で「多様化の波」はすでに日本にも来ている

よくある質問

Q. ヒアルロン酸フィラーはもうやめた方がいいですか?
A. やめる必要はない。アジア市場では今も成長中(ガルデルマ+12.2%・韓国ブランド+17〜50%)であり、正しい医師のもとで適切に使えば今も有効な選択肢だ。重要なのは「なぜそれを選ぶか」の根拠を担当医と確認することだ。

Q. alloClaeは日本でいつ受けられますか?
A. 2026年6月現在、日本未承認のため国内での処方は行われていない。同種移植組織(アログラフト)の承認は薬機法上の手続きが複雑であり、承認時期は現時点では未定だ。米国での長期データの蓄積と日本での動向を継続的に確認してほしい。

Q. EZgelとalloClaeはどちらが自分に合いますか?
A. 目的と部位によって全く異なる。EZgelは自己血由来でアレルギーリスクがほぼゼロ・主に顔に使用。alloClaeはドナー由来で大容量(12.5〜25cc)が可能・体のボリューム補充に適する。「どちらが優れているか」ではなく「何をしたいか」で選ぶ問いだ。担当医師との対話で判断してほしい。

安達 健一 NERO DOCTOR/BEAUTY 編集長

この記事は、米国看護師(RN)・MBA保有のNERO編集長・安達健一が、
世界の一次医療・企業財務データをもとに監修しています。
「感情ではなく理解で選べる美容医療」を届けるため、
広告主からの影響を受けない独立した編集方針を貫いています。


出典
AbbVie Inc.「Form 8-K Q2 2025 — Global Juvederm Net Revenues Decreased 24.0%」U.S. Securities and Exchange Commission、2025年7月 /
Philipp-Dormston WG et al.「"Filler fatigue": media narratives, industry rhetoric, and the emergence of filler consciousness in aesthetic medicine」European Journal of Plastic Surgery、2026年5月11日オンライン公開(DOI: 10.1007/s00238-026-02440-8)/
Fanniel V et al.「AlloClae, A Novel Ready to Use Human Adipose Allograft: Characteristics and Biocompatibility」Bioengineering (Basel) 2025;12(6):612 /
Tiger Aesthetics Medical「alloClae Structural Adipose Filler」製品情報・プレスリリース、2025年 /
Verified Market Research「Global Hyaluronic Acid Based Dermal Fillers Market 2024〜2031」2025年11月 /
WWD「Inside Aesthetic Trends Set to Take Hold in 2026」2026年1月6日 /
Business of Fashion「Inside the Playbook to Revive Filler Sales」2025年12月4日

NERO 安達健一