腸内環境は肌に表れる?良い状態・悪い状態はどうやって判断できるの?

腸内環境は肌に表れる?良い状態・悪い状態はどうやって判断できるの?

SNSやメディアなどで「腸活」が注目されている今、腸内環境が健康や美肌に大きく影響するということも広く知られるようになりました。みなさんの中に「最近、急にニキビが増えてきた」「肌の調子がなかなか良くならない」と悩んでいる方はいませんか?もしかしたら、それは腸内環境の悪化が原因かもしれません。本記事では、腸内環境のセルフチェック方法や改善方法について、分かりやすくまとめました。腸内環境から健康や美肌を目指したい方はぜひ参考にしてみてください。

1.腸内環境のしくみ

出典:photoAC

腸の役割といえば、食べ物の消化・吸収を思い浮かべる方も多いでしょう。まずは、私たちの腸内でどのようなことが起きているのか、そのしくみについて解説します。

■腸内環境とは

腸内環境とは、腸内にいる無数の細菌によって決まる腸の内部環境のこと。人間の腸内には、体内に生息する細菌の約9割にも及ぶ、およそ1000種類、約100兆個の細菌が棲んでいるといわれています。

腸内細菌は、種類ごとに小さな集合体を作ることが特徴です。この集合体がいくつも集まった状態のことを、正式名称で「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」と呼びます。また、その様子が“花畑(Flora)”に見えることから「腸内フローラ」という別称もあります。

■腸内環境を決める3つの菌

腸内細菌には、大きく分けて以下の3種類があります。

  • 善玉菌:悪玉菌の増殖を抑え、腸のぜん動運動を促す
  • 悪玉菌:有害物質を作り、腸のぜん動運動を鈍らせる
  • 日和見菌:腸内で優勢な勢力の作用を強める

これら3つの細菌の数は、善玉菌2割・悪玉菌1割・日和見菌7割の割合が理想です。健康な腸内では善玉菌が優勢のままバランスを保っているため、悪玉菌はそれほど問題になりません。しかし、加齢や生活習慣の乱れなどによって悪玉菌が増えてしまうと、さまざまな健康トラブルを引き起こすようになります。

■腸内環境が悪化したときの症状

腸内環境が悪化すると、次のような症状が見られるようになります。

  • 便秘
  • 下痢
  • 免疫力の低下

腸内の悪玉菌が増えると、まず影響を受けるのが排便。これは、増え過ぎた悪玉菌が作り出す有害物質によって、腸内のぜん動運動が正常に働かなくなるためです。
また、腸内で悪玉菌が優勢になると、小腸内にある免疫細胞が集まる器官の動きが弱まり、免疫力が下がってしまいます。

2.腸内環境は肌状態にも影響する

出典:photoAC

腸内環境は、肌のコンディションにも大きく影響します。美肌のために腸活が注目されているのも、これが理由です。ここからは、腸内環境と肌の関係について見ていきましょう。

■腸内環境と肌の関係

腸内環境のバランスが乱れると、さまざまな肌トラブルが現れるようになります。原因となるのは、優勢となった悪玉菌によって腸内で増殖した有害物質です。それらの一部は便や尿となって排せつされますが、多くは腸で吸収されて血液とともに体内を巡ります。そして、体外へ排出しようとする体の機能によって、肌へとたどり着くのです。

肌は有害物質を体の外へ排出しようとしますが、同時に大きな負担をもたらします。結果、肌のターンオーバーが乱れ、さまざまな肌トラブルを引き起こします。

■腸内環境の悪化による肌トラブル

腸内環境の悪化による肌トラブルには、次のようなものがあります。

  • ニキビ
  • 乾燥
  • かゆみ
  • くすみ
  • ざらつき

これらを見ても、腸内環境があらゆる肌トラブルの引き金になっていることが分かるでしょう。また、有害物質による負担増によって肌のターンオーバーが乱れてしまうと、老化を加速させる原因にもなります。腸内環境が原因で、シミやたるみが増えてしまう場合もあります。

3.腸内環境の状態を判断する方法

腸内環境の状態を自己診断してみたい方は、次の方法を試してみましょう。

■排便の状態から判断する

腸内環境の良し悪しを判断するためにまずすべきなのは、便の状態のチェックです。

まず、便の色は黄色または黄褐色で、やわらかいバナナ型が理想的です。善玉菌が優勢であれば、それほどニオイもきつくありません。逆に、便が硬くて黒っぽく、ニオイがきつい場合は腸内環境が乱れている可能性があります。

なお、排便回数はそれほど気にする必要はありません。排便回数には個人差があり、2~3日に1回の頻度であってもスムーズに便が出て、残便感がなければ問題はないでしょう。むしろ、毎日排便があったとしても、排便時の痛みや残便感、お腹の膨満感があるのは腸が汚い人の特徴です。

■生活習慣から判断する

腸内環境の良し悪しに影響するのは、食事だけではありません。次のような生活習慣をしていないかどうかも、ぜひチェックしてみてください。

□お肉や甘いものをよく食べる
□インスタント食品やレトルト食品をよく食べる
□野菜やきのこ類、海藻類はあまり食べない
□満腹になるまでつい食べ過ぎてしまう
□睡眠時間が足りていない
□運動をほとんどしない

上に挙げたような不規則・不摂生な生活習慣も、腸内環境の悪化に直結します。多く当てはまる方は、腸内環境が乱れている可能性が高いでしょう。

4.腸内環境の改善が見込める5つの「腸活」

出典:photoAC

腸内環境を改善するには、食事や睡眠など、生活習慣の見直しをはかることが大切です。ここからは、腸内環境を整えるための5つの「腸活」を紹介します。

■善玉菌を増やす食生活を意識する

腸内環境を整えるためには、バランスの良い食事が必要不可欠です。食事で意識したいのは「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」の2つを含む食品。最近では、これらを活用した肌荒れに効くサプリメントもあるのだとか。それぞれどのような食べ物があるのか、見ていきましょう。

善玉菌を直接とる

プロバイオティクスとは、ビフィズス菌や乳酸菌といった善玉菌そのもののこと。これらを食事によって直接体内に取り込むことで、腸内環境を整えます。

<プロバイオティクスを含む食品>

  • ヨーグルト
  • 納豆
  • 味噌
  • 漬物
  • チーズ など

プロバイオティクスが多く含まれているのは、発酵食品です。発酵食品はニキビに効く食べ物としても知られています。

善玉菌のエサとなる食べ物をとる

一方、プレバイオティクスは、腸内にもともと存在する善玉菌を増やし、活性化させる成分のこと。自らを“エサ”として善玉菌を育てることで、腸内細菌のバランスを整えます。

<プレバイオティクスを含む食品>

  • 海藻類
  • フルーツ
  • アスパラ
  • バナナ
  • はちみつ など

プレバイオティクスの代表例は、オリゴ糖や食物繊維です。なお、プレバイオティクスとプロバイオティクスと組み合わせる方法を「シンバイオティクス」と呼びます。例えば、バナナとヨーグルトを和えたり、お味噌汁にわかめなどの海藻類を入れたりするのがおすすめ。この2つをかけ合わせることで、より高い効果を得ることができるでしょう。

プロバイオティクスやプレバイオティクスは、摂取しても腸内に長くとどまることができない性質があるため、毎日継続的に摂取することが大切です。

■良質な睡眠をとる

腸のぜん動運動は副交感神経が優位になると活発化します。そして、副交感神経を優位にするためには、質の良い睡眠をとることが大切です。就寝前のスマホやパソコンはできるだけ控える・毎朝同じ時間に起床する・ぬるめのお風呂にしっかり浸かるといった習慣を身につけるようにしましょう。

■定期的に運動する

運動不足は、腸のぜん動運動を鈍らせ、便秘を引き起こす原因の1つです。そのため、適度な運動を継続して行い、腸を刺激するようにしましょう。
ただし、ハードな運動はストレスが過度にかかってしまい、副交感神経が抑えられてしまうためNGです。ストレス発散にもなる軽めのウォーキングやストレッチ、マッサージなどがおすすめです。

■水分をこまめにとる

体内の水分量が少なくなると、便が硬くなり便秘になりやすくなります。そのため、排便回数が少ないと感じたときは、水分をしっかりととるようにしましょう。ただし、お茶やコーヒーは利尿作用を持つため、飲み過ぎるとかえって水分不足を引き起こすことも。飲み物から効率良く水分をとるなら、水か白湯がおすすめです。

■ストレスをためずリラックスする

過度なストレスも交感神経を優位にし、腸の動きを抑制してしまいます。そのため、リラックスできる環境を整え、副交感神経が優位に働くようにしましょう。心身ともに疲れているときは、ゆっくりとお風呂に入ったり、温かい飲み物を飲んだりなど、気持ちを休めるように心がけてみてください。

まとめ

腸内環境が悪化すれば、さまざまな肌トラブルを引き起こすことになります。急にニキビが増えたり、肌荒れが目立ったりするときは、排便状態や生活習慣から自身の腸内環境を判断してみるといいかも。また、日頃から善玉菌を摂取できる食事をとることや良質な睡眠などの対策を心がけ、健康的な腸内環境を目指していきましょう。

・当サイトは、美容医療の一般的な知識をできるだけ中立的な立場から掲載しています。自己判断を促す情報ではないことを、あらかじめご了承ください。また、治療に関する詳細は必ずクリニック公式ホームページを確認し、各医療機関にご相談ください。
・本記事は、執筆・掲載日時点の情報を参考にしています。最新の情報は、公式ホームページよりご確認ください。
・化粧品やマッサージなどが記載されている場合、医師監修範囲には含まれません。