多くの女性が悩まされる憎きシワ。30歳を過ぎた頃から、「ふと鏡を見ると、シワを発見…」「最近、シワが目立ってきた気がする!?」といった声が増え始めます。シワを伸ばそうとセルフケアに手を尽くしたり、美容皮膚科への受診を考えたりする方もいるのではないでしょうか。そもそも「シワ」といっても、できる原因やシワの深さで、種類が違うことはご存知ですか?そこで今回は、シワのすべてを解説するとともに、対策や治療方法をお伝えします。
シワの種類は3種類!それぞれのシワができやすい部位はどこ?
シワの種類とできやすい部位 | |
乾燥ジワ | 目尻や目のまわり、肌の表面 |
表情ジワ | おでこ、眉間、目尻、あご |
たるみジワ | ほうれい線、ゴルゴライン、マリオネットライン |
加齢とともに気になるシワは、主に「乾燥ジワ・表情ジワ・たるみジワ」の3種類とされており、それぞれできやすい部位があります。まずはシワの種類や位置をチェックしてみましょう。
・乾燥ジワ
乾燥によって肌の表面に現れる「乾燥ジワ」は、もっとも軽微なシワです。小さな浅いシワが集まった状態がちりめん生地に見えることから「ちりめんジワ」とも呼ばれています。もともと皮膚が薄く、水分量を保ちにくい目のまわりや目尻周辺によく見られるシワです。
・表情ジワ
怒ったり笑ったり、顔の筋肉を動かすことで徐々に定着していくシワのこと。おでこや眉間、あごなどの筋肉がこわばりやすい部位や、笑った際の目尻などによく見られます。本来なら表情をゆるめることでもとに戻るのですが、加齢とともに定着していくのが表情ジワの特徴です。
・たるみジワ
一気に老けた印象になることから、気になる方が多いたるみジワ。実はシワといっても、肌がたるむことでシワのように見える溝。口もとのほうれい線やあごに伸びるマリオネットライン、目の下のゴルゴラインが代表的と言えるでしょう。
シワができる原因は?加齢によって肌はどう変化している?
わたしたちの皮膚は、5つの層で成り立っています。
肌の表面から順に、表皮、真皮、皮下脂肪、筋肉、骨。シワは皮膚の上層にある表皮や真皮に刻まれるものですが、シワが引き起こされる原因は肌の外側・内側の両方にあります。それぞれ解説していきましょう。
乾燥や紫外線はシワのはじまり!外側からの刺激でできるシワ
表皮の表面は、肌を刺激から守る角質層によって覆われています。乾燥した環境下では、この角質層が剥がれ落ちてうるおいが不足。肌のキメが乱れ、細かい筋に見えるようになります。これが「乾燥ジワ」の正体です。シワの初期段階でもある乾燥ジワを放置すると、深いシワへと移行していき、もとに戻すのが困難になります。
また、紫外線と乾燥の関係も密接しています。紫外線のダメージは肌の生まれ変わり(ターンオーバー)を乱し、角質層のバリア機能が低下。その結果、肌はうるおいを保ちにくくなり、より乾燥した肌状態になります。乾燥ジワの対策には、こまめな保湿やUVケアを行うことがもっとも重要です。
加齢とともに皮膚の構造が変わる?内側からできるシワ
加齢とともに肌がたるむのは、皮膚の構造の変化に理由があります。皮膚の真皮層には、ハリや弾力を生み出すコラーゲン・エスラチン・ヒアルロン酸が含まれており、これらの生成を促しているのが女性ホルモンのエストロゲンです。エストロゲンは20~30代ごろから徐々に減少していき、50代になると急激に減少します。つまり、年齢とともに女性ホルモンが減るにつれ、皮膚はゆるみ、伸びやすく、たるみ・シワへとつながっていくのです。また、紫外線も真皮層にダメージを与え、上記と同様のシワができやすい状態を引き起こします。
そして、皮膚の土台は皮下脂肪・筋肉・骨です。しかし、加齢とともに皮下脂肪はもともと位置していたところから下垂し、骨は骨密度が下がり縮小。真皮・表皮を支える「土台」が崩れてしまうと、皮膚は重力に逆らうことができません。
顔の中で脂肪が多い部位は、頬、目のまわり、こめかみ、おでこなど。骨が変化してやせこけて見える部位は、目や口のまわりです。これが合わさると、ほうれい線やゴルゴラインのもとになる「たるみジワ」に。そこへ、眉間にシワを寄せるなど日常的な表情のクセが加わることで、「表情ジワ」が刻まれてしまうのです。
シワ対策はどうするべき?3種類のシワに効果的な治療方法
「シワが目立ってきた?」と思ったとき、まずはシワの種類を見極めることが大切です。乾燥ジワのような小さなシワであれば、セルフケアで保湿をがんばることで改善が見られるかもしれません。しかし、セルフケアで消すのが難しいシワの場合、美容皮膚科などへの受診も考えたいところです。そこで、治療を受ける際の具体的なメニューを、シワの種類別にまとめました。
「乾燥ジワ」の治療方法
乾燥ジワの治療は、トレチノインやピーリング、レーザー、ダーマペン、スキンブースターなど選択肢が豊富です。これらの治療方法は、表皮の下の真皮に刺激を与え、皮膚細胞の再生を促進したり、コラーゲンやエスラチンの生成を促すことで肌の弾力やうるおいを向上させたりします。それぞれの治療方法の特徴は、以下のとおりです。
治療方法 | 概要 |
トレチノイン | ・トレチノイン配合の外用薬(塗り薬)が処方される。
・ビタミンA誘導体の一種で、肌に塗布してターンオーバーやコラーゲンの増生を促す。 ・刺激は強めで、治療期間中は皮剥けや皮膚炎が起こりやすい。 |
ピーリング | <ケミカルピーリング>
・皮膚に酸性の薬剤を塗布し、角質を剥離させる治療。 ・使用する酸の種類や強さによって薬剤が届く深さが変わる。 ・施術後に赤みが出ることはあるが、ダウンタイムがほぼないのが特徴。 <マシンピーリング> ・圧が強い水流を利用し、美容液で角質を徐狂する治療。「ハイドラフェイシャル」が代表的。 ・保湿を行いながらピーリングするため、ケミカルピーリングに比べて乾燥しにくい。 <浸透型ピーリング> ・肌に塗布してターンオーバーやコラーゲンの増生を促す治療。ほかのピーリングと違う点は、皮膚剥離をさせずに真皮層に作用すること。 ・代表的な薬剤は、マッサージピール(コラーゲンピール)・ミラノリピール・リバースピールなど。 |
レーザー | ・レーザー治療には強力な光を照射するレーザーフェイシャルと、マイルドな光を照射するフォトフェイシャルがある。
・光を照射することで肌の細胞を活性化させ、コラーゲンの増生を促す。 ・ピーリングと組み合わせることで、より効果を発揮する。 |
ダーマペン | ・髪の毛よりも細い針で、肌の表面に一時的に穴をあけ、肌の自然治癒力を高める。
・ペン型の機械で、目元などの細かい部分もケアできる。 ・コラーゲンピールなどと組み合わせ、美容成分をより効果的に浸透させる。 |
スキンブースター(水光注射) | ・皮膚に必要な栄養や成分を直接与えて、肌の健康状態を整える。
・薬剤は次世代の再生医療と呼ばれるエクソソームや、美白に特化したホワイトパール、ヒアルロン酸をベースにしたものなどさまざま。 ・医師による手打ちや、ダーマペンなどの機械を使った方法がある。 |
「表情ジワ」の治療方法
表情ジワは、シワが刻まれる前の予防がもっとも重要。しかし、表情のクセを意識して直すのは難しいものです。美容皮膚科でできる対策としては、ボツリヌス注射があります。ボトックスと呼ぶと聞きなじみがあるかもしれませんね。ボツリヌス注射は、ボツリヌス菌由来の成分「ボツリヌストキシン」の作用により、表情筋をゆるませ、根本からシワができにくい状態へと導きます。ボツリヌストキシンはたんぱく質の一種で、有害性はありません。
治療方法 | 概要 |
ボツリヌス注射 | ・ボトックスが代表的ですが、ボトックスはアメリカの製薬メーカーアラガン社の製品名のこと。ボツリヌストキシンが含まれる製剤はさまざまなメーカーから出ており、どれを使用するかはクリニックによって異なる。
・施術後、数日で効果が現れ、数ヶ月持続する。継続することでより持続期間が長くなる。 |
「たるみジワ」の治療方法
皮膚の構造が崩れることで起こるたるみジワ。表情筋を鍛えたり、ターンオーバーを促すスキンケアで多少の改善は見られるものの、自力でもとに戻すのは非常に困難です。美容皮膚科では、糸リフト(スレッドリフト)やHIFU(ハイフ)による物理的な皮膚の引き上げや、ヒアルロン酸注射による内側からのボリュームアップでシワの改善を目指します。
治療方法 | 概要 |
糸リフト(スレッドリフト) | ・やわらかい特殊な糸を皮膚の下に入れ、皮膚を切ることなくリフトアップできる治療。
・糸は体内に吸収されるタイプが用いられる場合が多く、効果は糸の種類によって約6ヶ月~2年持続する。 ・ダウンタイムが1週間前後と短く、針穴も小さいため周囲にバレにくい。 |
HIFU(ハイフ) | ・超音波で真皮層の奥にある皮下組織や筋膜まで熱をあて、皮膚にメスを入れることなくリフトアップができる。
・コラーゲンを活性化させ、肌のハリや弾力を向上させる。 ・施術時間が40分前後と短く、効果が3~6ヶ月続く。 |
高周波治療(サーマジェン) | ・ハイフと似ているが、ハイフは超音波なのに対し、サーマジェンはRF(ラジオ波)の熱を利用する。
・筋膜まで作用するハイフに対し、皮下組織までしか作用しない。その分熱を広範囲に、集中して届けられる。 ・ハイフに比べ、痛みや熱さを抑えてリフトアップができるのが特徴。ただし、筋膜から引き上げる必要がある場合はハイフが適している。 |
ヒアルロン酸注射 | ・真皮の内側にヒアルロン酸を注入し、皮膚の内側からシワの溝やくぼみを埋める。
・ヒアルロン酸はもともと体内に自然に存在する物質で、水分を保つ役割がある。 ・持続期間は約6ヶ月~1年。注射回数や種類によって異なる。 ・ダウンタイムがほぼなく、すぐに効果を実感できるため比較的手軽にできる治療。 |
まとめ
シワの種類を見極めて、最適な治療で対策しましょう!
シワの種類は「乾燥ジワ・表情ジワ・たるみジワ」にわけられます。そして、それぞれのシワには原因があり、改善するためには適切なアプローチを行うことが大切です。日ごろのケアも大切ですが、「たるみジワだと思っていたら表情ジワだった」というケースもあるように、自己判断が難しい場合もあります。皮膚の状態や、シワの深さを正確に見極めるためにも、ぜひ美容皮膚科への受診も検討してみてくださいね。
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