「ニキビ痕がクレーター状になってしまった……」「肌のへこみが気になる……」などのお悩みを抱えている方はいませんか?ニキビ痕のクレーターは、セルフケアで治すのは難しく、とくに、自身で行うTCAクロスは要注意です。この記事では、ニキビ痕のクレーターの種類やクレーター治療に効果的な美容医療などをご紹介します。TCAクロス治療以外にも自分に合う施術がないか知りたい方は最後まで一読ください。
1.クレーターのニキビ痕の種類
クレーターは、炎症を起こしたり重症化したりしたニキビが原因となって発生します。まずは、ニキビ痕のクレーターの種類と違いについて見ていきましょう。
■アイスピック型
「アイスピック型」は、アイスピックで小さな穴を開けたようなニキビ痕。真皮層の深い部分までダメージが及んでおり、クレーターの中で最も治りにくいと言われています。傷跡を除去して、組織を再構築する治療が必要です。
■ローリング型
「ローリング型」は、直径が4~5mm以上でなめらかにくぼんでいるのが特徴のクレーターです。ニキビの炎症によって、線維化した組織が真皮層から皮膚を引き下げ、くぼみをつくっています。皮膚に突っ張り感があるようにも見えます。
■ボックス型
「ボックス型」は、辺縁がはっきりとした、ほぼ垂直に凹んだ状態のニキビ痕です。傷跡が硬く、クレーターの底面が平らになるほど皮膚をくぼませています。ボックス型のニキビ痕には、さまざまなサイズがあり、よく見られるクレーターのタイプです。
■脂肪萎縮型
「脂肪萎縮型」は、皮下脂肪組織にまで炎症が及ぶことでできるニキビ痕です。皮膚や脂肪が硬くなり、大きく陥没した状態になります。アイスピック型・ローリング型・ボックス型が複合していることが多く、美容医療でアプローチする場合は、治療法を併用して改善していく必要があるのです。
2.TCAクロスとは?失敗しやすいって本当?
ここでは、ニキビ痕の治療に向いているTCAクロスの特徴やどんなニキビ痕に適しているか、施術のリスクも含めてご説明します。
■TCAクロスの特徴
「TCAクロス(Trichloroacetic Acid Chemical Reconstruction Of Skin Scars)」とは、高濃度のトリクロロ酢酸を肌の凹みやニキビ痕のクレーターにピンポイントに塗ることで、傷痕部分の皮膚の再構築を促すこと。皮膚組織を一度破壊することで、コラーゲンの生成を活性化し、ニキビ痕や凹みの改善を目指す治療法です。TCAクロスと似た施術に、「TCAピーリング」がありますが、その違いは、使用するトリクロロ酢酸の濃度にあります。TCAクロスは、TCAピーリングより濃度の高いトリクロロ酢酸を、ニキビ痕に塗布していくため、効果が高い反面リスクも伴うのです。
■どんなニキビ痕に向いている?
高濃度のトリクロロ酢酸を使用するTCAクロスは、真皮層まで薬剤が届きやすいのが特徴です。そのため、アイスピック型・ボックス型のニキビ痕に向いています。ただし体質によってはTCAクロスを行うと、凹みが広がる可能性があるため、適切な治療効果を得る際には正しいアプローチが必要です。
■TCAクロスのダウンタイムと施術後の経過
TCAクロスのダウンタイムは、7日程度です。TCAクロスを塗布したクレーター部分に、化学反応が生じるため数時間ほど白い状態(白斑)になりますが、しばらくするとかさぶたができます。かさぶた下の皮膚に産生されたコラーゲンが、肌の凹みを埋めて、ニキビ痕を浅くするというメカニズムです。個人差がありますが、施術による痛みは少ないとされています。
■TCAクロスの副作用・失敗例
前述のとおり、TCAクロス後の経過では、施術部分にかさぶたが発生。そのかさぶたが、もとのニキビ痕よりも大きくなることが多いため、ニキビ痕が広がったように感じる人もいるでしょう。このような施術後の経過によって「これってTCAクロス治療、失敗?」と不安視する人もいるようです。焦る気持ちもわかりますが、施術後は無理にかさぶたを剥がさず自然に剥がれ落ちるのを待ちましょう。無理に剥がしてしまうと傷痕が残ってしまうかもしれないので、注意が必要です。
また、TCAクロスは、高濃度のトリクロロ酢酸を塗るため、肌がヒリヒリする状態が続くことがあります。肌が弱いと皮膚に炎症が起こり、長期間赤みが残ることも。とくに、肌が白いと赤みが目立ちやすくなるでしょう。炎症が起こってしまうと赤みに加えて、メラニン色素の産生が促されることで色素沈着が起こる可能性もあります。
■失敗しやすい?TCAクロスを受ける際の注意点
クレーターは、皮膚のダメージが真皮層にまで及んだ状態のため、自然治癒やセルフケアでの改善が難しいとされているのが一般的です。
セルフで行うTCAクロスは、リスクが高いため行わないようにしましょう。セルフで行うと、副作用が強く出る可能性が高まるだけでなく、アフターケアも十分にできないため、肌トラブルを起こしやすくなります。つまり「TCAクロス=失敗?」につながりやすいのです。
経験のある医師による適切な治療なら、肌の凹みやニキビ痕にしっかり対処することができます。TCAクロス治療で失敗したくないなら、美容クリニックなどの医療機関を受診し、医師の指示を仰ぐようにするとよいでしょう。
3.ニキビ痕には他にどんな治療法がある?
最後に、TCAクロス以外のニキビ痕の治療についてご紹介します。いろいろな治療法を知りたい方は、参考にしてみてください。
■ダーマペン
「ダーマペン」は、皮膚に超極細針で微細な穴を開けて、肌の自然治癒力を利用し、コラーゲン産生を促す治療です。ニキビ痕の治療はもちろん、肌のハリや弾力のアップ、毛穴の開きや小ジワの改善に効果があります。
■ポテンツァ
「ポテンツァ」は、マイクロニードルの先端から高周波を当てながら、肌の表面に極めて小さな穴をあける治療です。熱損傷を起こさずに真皮層まで直接熱エネルギーを届けることで、コラーゲンが生成されます。ニキビ痕のほか、赤ら顔やシワ、毛穴の開きなど多様な肌トラブルに対応しているのが特徴です。
■フラクショナルレーザー(炭酸ガスレーザー)
「フラクショナルレーザー(炭酸ガスレーザー)」では、マイクロレーザーを照射し、とても小さな点状の穴を皮膚表面に開けます。その穴から幹細胞培養上清液を浸透させ皮膚のターンオーバーなどを促す治療です。ニキビ痕の凹み改善をはじめ、肌のタイトニング、肌質改善などの効果が期待できます。
■サブシジョン
「サブシジョン」は、針でクレーター下の引っ張っている皮膚(繊維)を切り、凹みを持ち上げ浅くする手法です。皮膚表面が大きく凹んだローリング型のニキビ痕に向いているアプローチで、併せてヒアルロン酸の注入を行うことでより効果を高められます。
■ヒアルロン酸注射
「ヒアルロン酸注射」では、クレーターにヒアルロン酸を注入して凹みを盛り上げます。そのため、クレーターでできた段差を軽減し、ニキビ痕の凹凸を目立ちにくくすることが期待できるでしょう。元々ヒアルロン酸は体内にある物質なのでアレルギー反応が出にくいのが特徴。浅めかつ大きめなクレーターに治療効果を発揮します。
■まとめ
ニキビ痕のクレーターの種類や効果的な治療法などをご紹介しました。とくにアイスピック型のニキビ痕や凹みが深いニキビ痕は、真皮層の深い部分までダメージが及んでいるため、セルフでのケアが難しくなります。経験のある医師によるTCAクロスなら、肌の凹みを底上げし、なかなか治らなかったクレーターを改善に導くでしょう。ニキビ痕のクレーターは、種類によって治療法も異なります。セルフケアで失敗したくないなら、医療機関を受診するとよいでしょう。
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