世界規模で美容医療の市場拡大が進む中、その成長スピードの速さで【東南アジア】が注目されています。
先進的な医療技術とリーズナブルな価格設定、観光との親和性の高さから、東南アジアは医療ツーリズムの拠点として急速に発展してきました。
本記事では、東南アジア各国の美容医療事情をまとめ、世界から注目を集める理由を考察。
さらに、日本の美容医療が今後どのようにグローバル市場で存在感を発揮していけるのか、その展望についても解説します。
なぜ今、東南アジアで美容医療が熱いのか?

美容医療が盛んな国として、世界最大の市場規模を誇るアメリカや、整形施術件数が世界トップクラスの韓国を思い浮かべる方は多いでしょう。
しかし、ここ数年で東南アジア諸国における美容医療のニーズが急激に高まっており、今や“成長市場”として世界から注目を集めています。
グローバルな市場調査企業であるData Bridge Market Researchが公開したデータによると、東南アジアの美容サービス市場は、2024年の約30憶米ドルから、2032年には約66憶米ドルにまで倍増すると予測されています。
この成長ペースは年平均成長率が世界平均を上回るほどであり、市場が急速に拡大していることを示しています。
こうした市場の急成長は、技術力の向上はもちろん、多言語サポートの充実や各国政府による観光施策としての“美容医療ツーリズム”の推進なども追い風となっています。
まず、東南アジアで美容医療のニーズが高まっている理由について詳しく見ていきましょう。
高い医療技術×低価格によるコスパの良さ
まず、挙げられるのは他の美容先進国に対する価格的な優位性です。
日本や欧米で美容医療を受ける場合、人件費や各国が定める高い医療基準によって治療費は高くなる傾向にあります。
一方、タイやベトナムなどの東南アジア諸国では、物価が比較的安いため、高い技術力や医師の質を維持しながらも施術価格を抑えることが可能です。
中でもベトナムは、国際基準を満たした医療器具や技術をより低価格で提供できる環境が整っており、美容医療の新興国として注目されています。
こうした“コスパの良さ”が、世界各国から患者を惹きつける大きな理由となっているのでしょう。
また、ASEAN(東南アジア諸国連合)は世界でも有数の経済成長エリア。
国民の所得増加に伴い、美容医療を“贅沢品”ではなく“日常的な美容”と捉える意識が強まってきています。
こうした国民意識の変化も、美容医療のさらなる発展と普及を後押ししている要因といえるかもしれません。
地理的な近さ・多言語対応によるアジア近隣国からの通いやすさ
東南アジア近隣には、韓国や中国、そして日本など美容医療が盛んな国々が多くあります。
これらの国々から行き来しやすく、短期滞在でも治療を受けやすい利便性の良さも魅力の1つでしょう。
また、タイやマレーシアなどのクリニックでは多言語対応が進んでおり、英語や日本語、中国語の話せるスタッフが常駐しているところもあります。
海外で医療サービスを受ける際、症状や悩みを正確に伝える難しさに直面することは少なくありません。
その点、言葉が通じる環境は患者にとって大きな安心感につながります。
政府による“美容医療ツーリズム”の整備
政府による“医療ツーリズム(メディカルツーリズム)”の支援も、市場拡大を後押しする要因となっています。
医療ツーリズムとは、美容医療を含む医療的な処置を目的として海外に渡航すること。
例えば、タイ政府は「Medical Hub of Asia(アジアの医療拠点)」を国家戦略として掲げ、外国人のビザ発行手続きを24時間オンライン化するなど、さまざまな施策を行っています。
また、メディカルツーリズムの渡航先として人気を集めるマレーシアでは、観光庁と医療団体が連携し、観光と美容医療を組み合わせたパッケージツアーを展開。
“治療のついでにリゾートも楽しめる”という付加価値が、インバウンド市場の拡大につながっています。
タイ・シンガポール・ベトナム|東南アジアの美容医療トレンドは?
東南アジアではどのような施術が人気を集めているのでしょうか。
各国の美容医療の実態について詳しく見ていきましょう。
【タイ】美容医療ツーリズムの先駆け
美容大国として知られるタイは、観光×医療の連携による医療ツーリズムの仕組みをいち早く確立した実績があり、主要な渡航先の1つとして世界的な人気を得ている国。
アジアの近隣諸国だけでなく、中東やヨーロッパ、北米など世界各国から毎年数百万人規模の外国人患者が来訪しています。
タイで人気の高い美容医療は……
- ボトックスやフィラーの注入治療
- レーザー治療(毛穴ケアやトーンアップなど)
- 美容外科手術(豊胸・フェイスリフト・鼻や目の外科手術など)
- 審美歯科施術
●美容ツーリズムのパイオニア!安くて質の良い医療
タイの中でもとくに主要都市(バンコク・プーケット・チェンマイなど)には、美容形成手術において国際的な研修を受け、欧米の専門資格を有する医師が多く在籍。
外国人患者を受け入れる病院も国際的な医療水準を満たしたところが多いため、安全性に配慮した質の高い医療を受けることができます。
そのうえ、欧米と比べて治療費が大幅に抑えられるところも大きな魅力。
医療ツーリズムのパッケージには、入院費・治療費・宿泊費などが含まれていることも多くあります。
●海外から高く評価される優れたホスピタリティ文化
タイの医療ツーリズムが高い評価を受けているのは、その卓越したホスピタリティも理由の1つ。
例えば、タイ有数のリゾート地には医療スタッフが常駐しており、ゲストが回復と休暇を両立できるようサポートしています。
多くの医療施設で多言語対応が進んでいるため、海外からの患者も利用しやすいでしょう。
【シンガポール】世界的に認められた先進美容医療
シンガポールは、ハイレベルな医療インフラの整備と厳格な法規制によって、東南アジアにおける美容医療の中心地として急成長しています。
その衛生的で高品質な医療はアジア圏だけでなく欧米からも多くの患者を集め、“先進医療ツーリズム”の行き先として世界的に高い評価を得ています。
シンガポールで人気の美容医療は……
- ボトックスやフィラーの注入治療
- レーザー治療
- ピーリング
●都市生活にマッチする先進的な美容医療
急速な発展を遂げる都市国家・シンガポールは、今や世界的な経済先進国の1つ。
ボトックスやフィラー注射などの非侵襲的施術が人気を集めているのも、そのダウンタイムの少なさ・即効性が多忙な都市生活者のライフスタイルにマッチしているから。
これらの施術は短時間で済むことからも“ランチタイム美容”と呼ばれ、トレンドになっています。
●国際基準を満たすアジアトップクラスの医療の質・安全性
シンガポールは医療の質や治療後のケア、安全面での配慮が世界的に高く評価されており、国際医療連携機構(JCI)などの国際認定を受けるクリニック数がアジア諸国の中でもトップレベルです。
また、広告ガイドラインは毎年改訂され、症例写真や体験談等の引用基準まで細かく規制されています。
こうした取り組みもシンガポールの医療に対する信頼度を高めています。
【ベトナム】急成長する美容医療の新市場
ベトナムは、美容医療ツーリズムの目的地としてアジア圏内で近年注目を集めつつある新興国。
数千種にもなるハーブを用いた自然療法、長い歴史を持つ伝統医学による独自の美容文化が根付いていますが、最近では美容医療の分野においても急速に市場が拡大しています。
ベトナムで人気の美容医療は……
- 美容外科手術(豊胸・フェイスリフト・鼻や目の外科手術など)
- 脂肪吸引
- レーザー治療
●アジア諸国の中でも圧倒的な低価格
人件費などクリニックの運営コストが安いベトナムでは、アジア諸外国に比べて施術費用が大幅に抑えられます。
以前は、無資格で美容医療を行うクリニックが多く、健康被害や事故が大きな問題となっていましたが、近年ではかなり厳格な規制が行われるように。
以前と比べて、医療現場の安全性が高まっています。
日本の美容医療との違いは?今後の課題と展望
価格競争力や“医療ツーリズム”支援などによって海外から多くの患者を呼び込んでいる東南アジア諸国に対し、日本の美容医療も世界でトップクラスの高評価を得ています。
具体的には……
- ハイレベルな技術力
- 丁寧なカウンセリングとアフターケア
- 徹底した衛生管理
- 自然で美しい仕上がり
といった点が日本の美容医療の特長。
日本人ならではの“きめ細かなサービス”が支持されており、とくに中国からのニーズが高いようです。
しかしながら東南アジア諸国と比べると、多言語対応の遅れや価格の高さなどの課題も。
今後、海外からの患者をさらに受け入れるためには、これらの受け入れ態勢を整える必要があります。
近年では、「BIANCA CLINIC(ビアンカクリニック)」が訪日外国人向けサービスを開始したり、「湘南美容クリニック」が美容医療に特化した翻訳アプリをリリースしたりと、インバウンド対応に力を入れる美容クリニックも増えてきました。
これからは大手クリニックを中心に、海外向けのサービスの拡充がますます進みそうな兆しです。
まとめ
経済発展や美意識の高まりも後押しとなり、“美容医療ツーリズム”の目的地として人気が高まる東南アジア。
アジア近隣国や欧米から観光を兼ねて施術を受けに行く人が増えており、美容医療におけるトレンドスポットとなっています。
日本からも東南アジアのクリニックを訪れる人は増えており、今後は日本でもインバウンド対応に注力するクリニックが増えていくことでしょう。
しかし、技術力やきめ細かな対応力、自然美を実現するセンスは、日本が世界から高く評価される“ならでは”の魅力。
東南アジアの勢いから良い影響を受けつつ、日本の美容医療市場がどう発展していくのか、今後の注目ポイントとなりそうです。
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