目立たないようで意外と目につきやすいのが、首元のシワ。日頃からエイジングケアを実践していても「首元は盲点だった」「顔しかケアできていない」という方は多いのではないでしょうか。
首元のシワは40代を過ぎると増える傾向にあるといわれていますが、顔のようにメイクで隠すことが難しく、年齢を感じやすい部分でもあります。顔のエイジングケアを徹底していてもなぜか老けた印象になってしまう方は、首元のシワが影響しているのかも。本記事では、首元のシワの種類や治療法について分かりやすくお伝えしていきます。
1.首のシワの種類と原因
首のシワは、以下の3種類があります。それぞれの特徴や原因を見ていきましょう。
縦ジワ
顎から鎖骨にかけて発生する縦ジワは、細かい帯状であることが特徴です。
<首元の縦ジワが発生する原因>
・加齢
・ダイエットなどによる急激な体重減少
・広頚筋(こうけいきん)の緊張
加齢や急激な体重減少によって皮膚にたるみが生じると、縦ジワが発生しやすくなります。さらに年齢を重ねるにつれて皮膚のハリや弾力が失われると、余計にシワが目立ちやすくなるでしょう。
また、顎下から首全体へつながる「広頚筋(こうけいきん)」という筋肉が緊張状態になると、年齢に関係なく縦ジワが発生することも。とくに痩せ型の方が目立ちやすいようです。
横ジワ
“ネックレスライン”と呼ばれることもある横ジワは、首に横一直線に発生します。
<首元の横ジワが発生する原因>
・顔がうつむきがちになる生活習慣
・肌の乾燥や紫外線ダメージ
横ジワは縦ジワとは違って、年齢問わず生じやすいシワです。生活習慣が原因となる場合がほとんどで、スマホやパソコンを長時間見続けたり、枕が高すぎたりする方は注意が必要。顔がうつむく姿勢が長時間続くことで首元にシワが刻まれやすくなります。
また、肌の乾燥や紫外線ダメージによって皮膚内のコラーゲンやエラスチンが減少すると、横ジワが目立ちやすくなることも。さらに、加齢とともにハリや弾力が低下すると、より横ジワが生じやすくなります。
ちりめんジワ
首元に小さなシワがいくつも発生した状態が、ちりめんジワです。
<首元のちりめんジワが発生する原因>
・肌の乾燥
首の皮膚は身体の中でもとくに皮脂腺が少なく、乾燥しやすい部位です。そのため日焼けや気温・湿度低下の影響を受けやすく、しっかりと紫外線対策や保湿をしておかないとすぐに潤いが保たれなくなってしまいます。その結果、首元にちりめんジワが一気に増えてしまう、ということも少なくありません。また、加齢による肌の保水力やハリ、弾力の低下も、ちりめんジワの発生に影響するといわれています。
2.首元のシワに効く美容治療6選
首元のシワはタイプに合わせたケアをすることが大切です。日頃から心掛けたいセルフケアとしては、保湿や日焼け対策などが有効。しかし、これらはシワの予防策や悪化対策としては効き目があるものの、深く刻まれてしまったシワを改善することは難しいでしょう。
「短期間で確実に効果を出したい」という方には、美容医療によるシワ治療がおすすめ。ここからは、首元のシワのタイプに合わせた治療法を6つご紹介しましょう。
首のシワとたるみ改善には【ボトックスリフト】
首元のシワとフェイスラインのたるみが気になる方には、ボトックスリフトがおすすめです。首のシワの原因とされる広頚筋の動きを抑制することで、縦ジワやフェイスラインのたるみを改善する効果があります。
顔のボトックス注射と首元のボトックスリフトの違いは?
顔のシワ改善のために行うボトックス注射は、表情筋へボトックス製剤を注入します。一方、ボトックスリフトは筋肉よりも上層にあたる皮膚の浅い部分へ製剤を注入する方法。顔のボトックス注射のように深いシワではなく、浅いシワやフェイスラインの引き締めに効果を発揮する施術です。 |
<施術の内容>
ボツリヌス菌の作り出す「ボツリヌストキシン」を無毒化した製剤を、首やフェイスラインの皮内へ注射します。製剤を注入している間の違和感は少しありますが、痛みは針を刺すときにやや感じる程度。ダウンタイムはほぼなく、施術直後のメイクも可能です。なお、効果をキープするためには、3~6ヶ月の頻度での施術が必要となります。
首元の横ジワには【ヒアルロン酸】
主に横ジワの改善効果が期待できるのが、ヒアルロン酸注入。ヒアルロン酸はもともと体内にあり、コラーゲン組織を保つ働きを持つ物質です。首元のシワが気になる箇所に注入することで、肌のハリや弾力を高め、ナチュラルにシワを目立たなくできます。
<施術の内容>
ヒアルロン酸注入の施術時間は、5~15分程度。施術では主に透明なジェル状の製剤が使用されます。ここ数年で首元のシワに特化した製剤が登場したことで、ヒアルロン酸注射によるアプローチも主流となってきました。製剤によって硬さや成分の種類に違いがあり、注入部位や深さによって調整されます。個人差はありますが、施術後1年半で効果は薄れてくるため、効果を持続させるには継続的な施術が必要です。
首元の横ジワには【ベビーコラーゲン】
ベビーコラーゲンとは、Ⅰ型とⅢ型が50:50の割合で配合されている、ヒトの胎盤由来のコラーゲン製剤です。
Ⅲ型コラーゲンとは、赤ちゃんの肌に多く生成されるたんぱく質の一種。産まれたての赤ちゃんは誰もが、Ⅰ型とⅢ型の割合が50:50です。しかし、成長とともに失われ、大人になるころには95:5にまで減少。そして、従来のコラーゲン注入剤でのⅢ型コラーゲン配合率も、これと同程度でした。
そこに登場し、注目を集めているのがベビーコラーゲン。赤ちゃんの肌と同じ割合でⅢ型コラーゲンを配合し、皮膚生成を促す効果があります。この働きによって、首の横ジワだけでなく顔のほうれい線やシワなどさまざまなエイジングサインを改善し、赤ちゃんのようなボリューム感とみずみずしさを持つ肌へと近づけます。
<施術の内容>
ベビーコラーゲンは「カニューレ針」と呼ばれる、先端のとがっていない極細針を使って注入します。そのため、注射の痛みが少なく、短時間で施術が完了します。施術後には一時的に腫れや内出血などの症状が出ることもありますが、ほとんどの場合、1~2週間程度で目立たなくなるでしょう。効果を持続するためには、6ヶ月~1年ごとの施術が必要です。
首元のちりめんジワには【プロファイロ】
プロファイロとは、「NAHYCO™」という特殊技術によって高分子・低分子の2種のヒアルロン酸を配合した製剤のこと。イタリア・IBSA社が国際特許を取得し、次世代のヒアルロン酸技術として注目されています。
プロファイロ製剤には肌の土台となるコラーゲンやエラスチンを補い、肌再生を促す効果があります。また、アレルギー症状が出にくいことでも知られています。注入すれば肌のハリやボリューム感がアップし、首元のちりめんジワ改善が期待できるでしょう。
従来のヒアルロン酸との違いは?
従来のヒアルロン酸製剤は、そのまま注入すれば、シワやたるみの改善効果が得られないうちに体内へ吸収されてしまう性質があります。そのため、添加剤によって体内への吸収・分解を遅らせる「架橋」という処理が行われています。 |
<施術の内容>
製剤を注入する際には、鎖骨から顎下へかけて放射状に10ヶ所程度、注射します。施術直後には腫れることもありますが、1~2時間程度で次第に治まるでしょう。最初の施術からは1ヶ月間隔をあけて2回程度、その後は半年に1回を目安に通うとより効果を実感しやすくなります。
首元のちりめんジワには【マッサージピール】
手軽にちりめんジワをケアしたい方には、マッサージピールがおすすめ。マッサージピールとは、浸透性ケミカルピーリング剤を塗り込むことで、皮膚の真皮層まで深く働きかけ、コラーゲン増生を促す方法です。肌のハリや弾力を引き出すことで、細かいシワを改善します。
<施術の内容>
浸透性ケミカルピーリング剤を、肌へマッサージしながら皮膚の強い部分から弱い部分へ塗布します。
施術の間隔は、1~2週間を空けて5回程度が目安です。ただし、初回で強く赤みが出た場合には無理のないように様子を見ましょう。
首元のハリ感アップとシワ改善なら【スネコス注射】
スネコス(SUNEKOS)とは、6種のアミノ酸・非架橋ヒアルロン酸を特殊な比率で配合した製剤です。首周りに注入することでコラーゲンやエラスチンが補われ、肌再生を促します。ハリ感がアップし、シワを自然に改善し若々しい弾力を取り戻します。
<施術の内容>
シワの気になる部位に、10日~2週間の間隔で4回程度、スネコス製剤を注射します。シワの浅い方や自然な仕上がりにしたい方は、2週間~1ヶ月と間隔を空けてもいいでしょう。施術後、数日間は腫れやむくみ、内出血、赤みなどが出ますが、注射のみの施術のためすぐに症状は治まる場合がほとんどです。
まとめ
首元のシワは深く刻まれる前にしっかりとケアすることが大切です。シワが深くなってしまってからでは、セルフケアでの改善は見込めず、治療も難しくなります。
また、エイジングケアに熱心な方であっても首元までは意識が向かない方も多くいます。そのような方は顔のお手入れの効果が出れば出るほど、首元との差が顕著になってしまうでしょう。シワのない首元は、想像以上に全体の印象に大きく影響するもの。若々しい印象になりたいという方は、顔と同じように首元のケアもぜひ意識してみてくださいね。
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