BIANCA CLINIC
宮本 亜希子 先生
2006年兵庫医科大学医学部医学科卒業後、同大学病院を始めとしたさまざまな病院で産婦人科医として研鑽を積み、2024年「BIANCA CLINIC(ビアンカクリニック)」へ入職。周産期や婦人科美容、エイジングケアなど、女性の健康や美しさに関わるさまざまな分野に専門知識を持つ日本専門医機構認定 産婦人科専門医。性教育やHPVワクチンの普及、女性の生活の質向上にも力を注ぐ。

避妊インプラントは、近年注目を集める女性が主体の避妊法。
海外では低用量ピルや避妊リングなどに次いでポピュラーな避妊法ですが、国内ではまだあまり認知されていません。
そこで今回は、避妊インプラントについて深掘り!
避妊インプラントの基礎知識やメリット・デメリット、実際に挿入した人の体験談まで詳しくお伝えします。
さっそくチェックしましょう。
INDEX
出血量が減る?生理自体がなくなる人もいる【避妊インプラント(皮下インプラント)】とは?基本の「き」
まずは、避妊インプラントの基礎知識について解説します。
■そもそも避妊インプラントって何?

避妊インプラント(皮下インプラント)とは、二の腕の内側に埋め込む避妊具。
長さ4cm×直径2mm程度のやわらかいプラスチック製の小さな棒で、専用のアプリケーター(挿入器具)を用いて表皮と真皮の下にある皮下組織に挿入します。
1度挿入すると、およそ3年間にわたり99%もの高い避妊効果に加え、過多月経や月経困難症の緩和も期待できます。
避妊インプラントを抜去したあとは妊娠可能です。
※肥満症(体重80kg以上またはBMI25以上)の女性は、避妊インプラントの持続期間が短くなる場合があります。詳細は診察時に医師へお尋ねください。
■避妊インプラントと他の避妊法(ピル・リング・IUSなど)の違い
避妊インプラントと他の避妊法を比較してみましょう。

これまでは手軽で安価なコンドームによる避妊法がメインでした。
しかし最近は、メリットやデメリットを考慮したうえで、女性主体で避妊でき、さらに月経トラブルの緩和にもつながる方法を賢く選択する女性が増えています。
■どうやって避妊効果があるの?ホルモンの仕組みを図解

避妊インプラントの挿入後は、インプラントに含まれているプロゲスチン(黄体ホルモン)が徐々に体内へ放出されて以下の3つのことが起こります。
①排卵の抑制
排卵の抑制により、精子が子宮内に到達しても卵子と融合できなくなります。つまり、受精卵ができないため妊娠は不可能となります。
②子宮頚部粘液の濃度上昇
子宮頚部の粘液が濃くなると、精子が体内へ進入できにくくなり妊娠を防ぎます。
③子宮内膜の薄化
仮に受精しても受精卵のベッドである子宮内膜が薄くなるため、着床率が大幅に下がり妊娠につながりにくくなります。
デメリットがデメリットじゃないけど大丈夫そ?【避妊インプラント(皮下インプラント)のメリット・デメリット徹底比較】

次に、避妊インプラントのメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
■ここがすごい!避妊インプラントの6つのメリット
避妊インプラントのメリットを6つ紹介します。
①高い避妊率
避妊インプラントの避妊率は99%ともいわれ、ほかの避妊法にくらべて避妊率が高いことが特徴です。
②低維持コスト
IUSや低用量ピルなどと比較して避妊インプラントは診察間隔が長い傾向にあり、トラブルがなければ有効期限内に抜去する必要がないため維持コストが抑えられます。
ただし、最低でも年に1回は診察を受け、挿入後も不正出血や不規則な生理が続くようであれば早めに受診しましょう。
③長期間(約3年)
避妊インプラントは正しい位置に挿入されている限り、3年間と長期にわたり避妊効果が維持されるといわれています。
④服用忘れがない
避妊インプラントは一度挿入すれば、低用量ピルのように毎日服用する必要がありません。そのため、忙しい方や低用量ピルの服用を忘れがちな方などにも適した避妊法といえます。
⑤産後もOK
授乳中の場合は、産後4週間以上経っていれば避妊インプラントを挿入できるとされています。インプラント挿入中の授乳が乳幼児に影響を及ぼすことは確認されていません(※2025年6月時点)。
⑥副作用の心配が少ない
避妊インプラントには、女性ホルモンの1種であるエストロゲン(卵胞ホルモン)は含まれていません。そのため、低用量ピルよりも血栓症のリスクが上がらないと考えられています。
■気をつけたいデメリットと副作用
メリットとあわせて、避妊インプラントの注意点も押さえておきましょう。
①無月経・月経不順・不正出血
避妊インプラントの挿入により、無月経や月経不順、不正出血が起こる場合があります。とくに、初期は不正出血が続きやすい傾向です。
②体質変化
避妊インプラントに含まれるプロゲスチン(黄体ホルモン)の影響で、体重増加・肌荒れ・ニキビの悪化・頭痛・乳房の張り・メンタルの不調などが起こる場合があります。これらは一時的な場合が多く、体がホルモンバランスの変化に慣れてくると落ち着くでしょう。
③抜去の手間
避妊インプラントを抜去する際は皮膚切開が必要となり、包帯で24時間圧迫止血し、その後数日間は傷を保護するためのテープを貼り続けます。抜去のタイミングで新しい避妊インプラントを挿入することも可能です。
実際どう?避妊インプラント体験者の声やリアルな口コミと疑問

最後に、実際に避妊インプラントを挿入した人の体験談をご紹介します。
■体験した人に聞いた「良かったこと・困ったこと」
今回、NERO編集部が避妊インプラントを体験した人に話を聞きました。
取材により分かった、良かったことと困ったことをご紹介します。
※あくまで個人の感想です。
<良かったこと>
- 重い月経痛や月経中の体のだるさが軽減されたと感じた
- 月経自体が軽くなり、生理用品のコストが減った
- 麻酔が効いてから挿入するため、痛みはそこまで感じなかった
<困ったこと>
- 体が慣れるまでは不正出血があった
■よくある疑問・質問
避妊インプラントのよくある質問をビアンカクリニックの宮本先生に聞いてみました。
①妊娠関連:「将来妊娠に影響ある?抜去後すぐ妊娠できる?」
②性感染症予防:「避妊インプラントを挿入すればコンドームは使用しなくてもOK?」
③副作用:「月経が止まったけど大丈夫?」
④安全性:「MRIや空港の検査で引っかかる?」
⑤保険・価格:「費用は?保険適用されるの?どこで受けられる?」
避妊インプラントで避妊+月経トラブルにアプローチ!
避妊インプラントは高い避妊率に加えて、月経トラブルにもアプローチできる新しい避妊法です。
さまざまな避妊法を検討している場合は、それぞれのメリットやデメリット、実際に挿入した人の体験談も参考にしてくださいね。
避妊インプラントを取り扱っているクリニックも増えつつあります。
避妊インプラントをはじめとする避妊法の相談や施術は、今回お話を伺ったビアンカクリニックの宮本亜希子先生のように産婦人科経験の豊富なドクターが◎。
しっかりと話を聞いたうえで、快適な毎日が手に入れられると良いですね。
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