
出産はかけがえのない経験である一方、女性の体と心に大きな変化をもたらします。
とくに、デリケートゾーンのゆるみや乾燥、感度の低下、性欲の減退といった悩みはなかなか人に相談しづらいもの。
1人で抱え込んでしまう方もいるかもしれませんが、これらの変化は少なからず自己肯定感や夫婦関係にも影響を及ぼします。
この記事では、産後ママたちのリアルな悩みに寄り添いながら、美容婦人科でケアする方法をご紹介。
子育てが一段落したら考えたい“性”と“自信”を取り戻す選択肢をお届けします。
INDEX
産後に現れやすい性の変化とは?
一般的に産後の性行為は、1ヶ月健診で医師が問題ないと判断すれば再開できます。
しかし実際には、出産を機にセックスレスになってしまう夫婦が少なくありません。
その理由は、産前と産後で体や心にさまざまな変化が現れるから。
産後は、ホルモンバランスの変動に加えて慣れない育児や睡眠不足、身体的な疲労など、さまざまな要因が重なることで“性”に対する考え方が変わりやすい時期とされています。
では、産後に現れやすい性の変化には、どのようなものがあるのでしょうか?
■膣のゆるみ
膣のゆるみは、産後のママが感じやすい変化の1つ。
産後に膣がゆるむのは、妊娠・出産による骨盤底筋への負担が大きく関係しています。
骨盤底筋とは、膀胱や直腸、子宮などの臓器を下から支えているハンモック状の筋肉です。
骨盤底筋は通常、これらの臓器を正しい位置に保ったり排尿や排便をコントロールしたりする役割を担っています。
しかし、妊娠や出産などで長期間にわたりダメージが加わると、骨盤底筋を構成している粘膜や筋肉、靭帯が傷付くことで膣がゆるみやすい状態に。
また、赤ちゃんが産道を通る際にも、膣壁は大きく引き伸ばされます。
時間の経過とともに膣のサイズは戻るとされていますが、実際には100%元の状態に戻るわけではありません。
個人差はあるものの、産後は多くの方が膣のゆるみを自覚するそうです。
膣のゆるみは、性交時の感度低下にもつながります。
産後“気持ち良いと思えなくなった”方は、膣のゆるみが関係しているのかもしれません。
■性交痛
産後、性交痛で悩むママも少なくありません。
産後に性交痛が起こるのは、ホルモンバランスの変化や育児のストレスなどによって濡れにくくなるためです。
とくに授乳中は、その傾向が顕著に。
授乳をしていると、膣内のうるおいを保つ女性ホルモン・エストロゲンの分泌が抑制されるため、男性器の挿入が難しく、痛みが出現しやすいのです。
月経が再開する頃にはエストロゲンの影響も落ち着くとされていますが、出産時の痛みが恐怖体験として記憶され、性行為の際に無意識に体がこわばってしまうこともあります。
膣はデリケートな臓器であり、心因的な影響も受けやすい部位です。
不安や緊張がストレスになれば、うるおいが不足して挿入時の痛みにつながることがあります。
■パートナーとの距離感の変化
出産をきっかけに、パートナーとの関係が変化することもよくある現象です。
いわゆる“産後クライシス”と呼ばれる状態で、女性ホルモンの急激な変化に伴う情緒不安定や睡眠不足、育児のストレスなどが原因となり、夫婦間のコミュニケーションにズレが生じていきます。
“育児への理解が足りない”“子どもとの関わり方に温度差を感じる”“家事育児の分担が不平等”こうした不満が積み重なれば、心の距離はますます広がってしまうでしょう。
一方で、出産はパパの心にも変化を与えます。
子どもが生まれたことで“パートナーが性の対象ではなく家族として大切な存在になった”“疲れてイライラしている妻にどう接して良いか分からない”“子どもがいる中でセックスしづらい”など、産後に戸惑いを覚えるパパは少なくありません。
お互いにパートナーとの心の距離を一度認識してしまうと、なんとなく“そういうこと”をする気分にはなれないもの。
結果として、性生活にも変化が生じます。
膣・会陰・尿漏れ……産後ママを悩ませるトラブル
出産による体の変化は、そのほかにもさまざまなトラブルを引き起こします。
■会陰切開や会陰裂傷による傷痕
会陰切開とは、分娩の際に会陰(腟と肛門の間の皮膚)を医師が切開する処置のこと。
会陰の伸びが悪く分娩がなかなか進まないときや、皮膚の裂傷を避けるために切り口を入れておくのです。
一方会陰裂傷とは、赤ちゃんが産道を通る際に、膣から会陰部の粘膜や筋層、皮膚などが裂けてしまうこと。
損傷の程度によっては、肛門や直腸の機能にも影響を及ぼします。
通常、会陰切開や軽度の会陰裂傷は自然治癒が可能です。
出産後に縫合され、一般的には1ヶ月ほどで傷痕が目立たなくなるとされています。
しかし、中には切開部分や裂傷した部分が余分なヒダのような状態で治ることも。
皮膚が不自然に余ったり瘢痕として残ったりするため、コンプレックスに感じてしまう方もいます。
■尿漏れ
産後の尿漏れもよくあるトラブルの1つ。
尿漏れの経験がある女性は、30~40%にものぼります。
産後の尿漏れは、分娩の際に骨盤底筋に負担がかかることが主な要因です。
膀胱や子宮などの臓器を支えている骨盤底筋がゆるむことで、尿道の締まりが悪くなり、排泄をコントロールしにくくなってしまうのです。
尿漏れは骨盤底筋が回復すれば治まる症状ですが、個人差があり、中には1年以上続くケースもあるそう。
不快症状に悩まされるだけでなく、恥ずかしさから外出できなくなってしまったりデリケートゾーンのニオイの原因になったりして、生活の質を低下させる恐れがあります。
■萎縮性膣炎
萎縮性膣炎は閉経前後の女性に起こりやすい症状ですが、女性ホルモンが急激に変動する産後にも見られることがあります。
萎縮性膣炎とは、膣粘膜に生じる萎縮性の変化。
エストロゲンの低下により膣や外陰部が乾燥し、炎症を起こしている状態です。
萎縮性膣炎になると、デリケートゾーンに乾燥感やかゆみ、ヒリヒリ感などの不快な症状を引き起こします。
また、膣粘膜のうるおいや弾力性が失われることで、おりものの状態が変化したり性交痛の原因になったりすることも。
デリケートゾーンに違和感があるからと性生活を避けていれば、パートナーとの関係にも影響を及ぼす可能性があります。
デリケートゾーンのトラブルや性の変化が起きやすい産後ママに寄り添う美容婦人科
産後の性の変化やデリケートゾーンのトラブルは、たしかに“よくある”こと。
ですが、決して我慢すべきことではありません。
昨今は、これらの問題に対して美容婦人科でのアプローチが注目を集めています。
■ヒアルロン酸注入
デリケートゾーンへのヒアルロン酸注入は、膣のゆるみや尿漏れなどの改善に役立つ施術です。
手軽に即効性が期待できる点が魅力で、施術後からすぐに膣内のうるおいや弾力、ハリが回復します。
また、Gスポットや大陰唇などに注入すれば、感度を高めたりふっくらとしたボリュームを持たせたりすることも可能。
見た目の改善だけでなく、心理的な自信回復にもつながります。
施術は30分前後と短時間で終了し、ダウンタイムもほとんどありません。
ヒアルロン酸の種類や注入量によっても異なりますが、1回あたり10~20万円程度 で受けられます。
【クリニック選びのポイント】
- 医師が婦人科領域の専門的な知識を持っているか
- 厚生労働省に承認されているヒアルロン酸の取り扱いがあるか
- 女医が在籍しているなど、相談しやすい環境が整っているか
■インティマレーザー
インティマレーザーは、膣内にレーザーを照射してコラーゲン生成を促進し、粘膜の弾力やうるおいを回復する施術です。
とくに、膣のゆるみや性交痛、尿漏れ、外陰部の黒ずみなどに効果が期待されます。
従来のCO2レーザーとは異なり、粘膜表面を傷付けずに熱刺激を加えることが可能で、痛みもダウンタイムも少ないのが特徴です。
また、1回の治療で変化を実感しやすく、効果が持続しやすいのも魅力。
施術は20~30分 ほどで終了するため、忙しい産後ママも受けやすい治療です。
ただし、治療費用は高額です。
【クリニック選びのポイント】
- 医師が婦人科領域の専門的な知識を持っているか
- 女医が在籍しているなど、相談しやすい環境が整っているか
- 症状に合わせた治療内容を提案してくれるか
- 米国FDAや欧州MedicalCEで認可されている機器が導入されているか
■膣ハイフ
膣ハイフとは、専用のハンドピースを膣内に挿入し、高密度焦点式超音波を当てて内部組織のタイトニングを図る治療法です。
粘膜下から筋層へ60~70度の熱を加えることで、コラーゲンの産生を促します。
膣ハイフを受けると膣に弾力が生まれ、ふっくらとハリのある状態へ。
膣のゆるみや尿漏れ、性交痛を和らげる効果が期待できます。
施術は30分程度で終了。
痛みはほとんどなく、施術直後から日常生活に戻れます。
費用の相場は、初回が5万円前後、2回目以降が10万円以上 というふうに設定されていることが多いようです。
膣ハイフは1回目から変化を実感できることもありますが、効果を持続するには1年ごとのメンテナンスが推奨されています。
【クリニック選びのポイント】
- 医師が婦人科領域の専門的な知識を持っているか
- クリニックが導入している機器が、自分の症状に適しているか
- アクセスの良さや予約の取りやすさなど、継続して通院しやすいか
- 女医が在籍しているなど、相談しやすい環境が整っているか
ママである前に、1人の女性として“性の自信”を回復するということ
出産を経て、女性は“母親”というかけがえのない役割を手に入れます。
しかし、その経験はときとして、これまで意識しなかった自己の喪失感やジェンダー意識、パートナーとの関係性に変化をもたらすことも。
出産してから“男性そのものが怖くなった”という声もありますが、このような変化は、産後のホルモンバランスやストレスによるごく自然な反応です。
そんな中、注目されているのがフェムテックの新しい潮流。
フェムテックとは、“Female(女性)”と“Technology(技術)”を組み合わせた造語で、ライフステージによって変化する女性特有の健康問題をサポートする商品やサービスを指します。
美容婦人科の分野でもインティマレーザーや超音波を使った膣ハイフなどのさまざまな機器が登場していますが、これらは思春期、性成熟期、更年期、老年期と女性のあらゆるライフステージにおける悩みを解決するための選択肢の1つです。
単なる“美しさ”の追求ではなく、女性としての自信を取り戻す美容医療として、多くの臨床現場で取り入れられています。
“いつまでも女性でありたい”“パートナーとの関係をより良いものにしたい”という願いは、決してわがままではありません。
体や心のケアを通じて自己肯定感を高めることは、夫婦関係の改善だけでなく、人生の幸福度を高めることにもつながります。
性の変化を受け入れ、それに寄り添うことは自分を大切にする前向きな一歩です。
母親だからと女性としての喜びを諦めるのではなく、自分らしい幸せな人生を歩んで行きましょう。
まとめ
妊娠や出産は、女性の体と心に大きな変化をもたらします。
しかし、これらの変化は決して特別なことではなく、諦めるしかない悩みでもありません。
美容婦人科におけるフェムテックの進化は、自分らしい生き方を取り戻すための選択肢の1つ。
育児が落ち着いたら、ぜひ自分の体と心の声に耳を傾け、積極的にケアを取り入れてみてください。
パートナーとの関係がより豊かになり、自信に満ちた自分らしい輝きを取り戻せるはずです。
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