ホルモン補充療法ができない人といわれたら?知っておきたい代替療法の選択肢

ホルモン補充療法ができない人といわれたら?知っておきたい代替療法の選択肢

更年期を迎えた女性の多くが、身体的・精神的に何かしらの不調を感じています。更年期症状を緩和する治療法の1つとしてホルモン補充療法が確立されていますが、中には治療が受けられない人もいることをご存知でしょうか?こちらの記事では、ホルモン補充療法ができない人の特徴やホルモン補充療法以外の選択肢について詳しく説明します。現在更年期症状でつらい思いをしている人や更年期を意識する年齢に差し掛かっている人は、ぜひ一度目を通してみてください。

1.ホルモン補充療法は更年期障害に有用な治療の1つ

出典:photoAC

ホルモン補充療法は、更年期に伴うつらい症状を和らげる治療です。ここではまず、更年期やホルモン補充療法の基本的な知識から確認しておきましょう。

■そもそも更年期とは?

個人差はあるものの、多くの女性は50歳前後で閉経を迎えます。この閉経期を挟む前後10年(45~55歳)が更年期です。更年期は、女性の体が閉経に向けて準備するための期間であり、ホルモンバランスが大きく変化する時期とされています。代表的な更年期の症状は、ホットフラッシュや動悸、異常発汗、めまいなどですが、症状の現れ方や程度は個人差が大きいのが特徴。中でも日常生活に支障をきたすほどの症状を、更年期障害と呼んでいます。
更年期障害は、卵巣機能の低下により女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少・ゆらぐことで引き起こされる病気です。このような欠乏状態にある女性ホルモンを薬で補うのがホルモン補充療法(HRT)であり、更年期障害の代表的な治療の1つとして広く用いられています。

■ホルモン補充療法を始めるには

ホルモン補充療法は、基本的に産婦人科や更年期外来の医師のもとで始める治療です。女性ホルモンを補う薬には経口剤・貼付剤・塗布剤の3種類があり、更年期障害と診断されれば、いずれも健康保険が適用されます。

ホルモン補充を始めるときは、問診と血液検査で症状や卵巣機能の低下を確認したり、他の病気が隠れていないかを調べたりする必要があります。なお、ホルモン補充療法で用いる薬の特徴は下表のとおりです。

薬のタイプ 特徴
経口剤 胃腸から吸収され、肝臓を経由して血液中に入り作用する。投与が簡単で利便性も高いが、胃腸や肝臓に負担がかかることがある。
貼付剤 成分が皮膚から直接血液中に吸収されるため、胃腸や肝臓への負担が少ない。2日に1回張り替えるタイプと1週間に2回貼り替えるタイプがある。
塗布剤 貼付剤と同様に、成分が皮膚から直接血液中に吸収されるため、胃腸や肝臓への負担が少ない。毎日塗る必要がある。

■ホルモン補充療法で改善する症状・期待できる効果

ホルモン補充療法は、のぼせやほてり、発汗をはじめとした更年期特有の症状を和らげます。中には髪の毛が増えることもあるなど、幅広い症状に改善効果が期待できることも。また、その他にも次のような作用が認められています。

  • 動脈硬化や骨粗しょう症の予防
  • 悪玉コレステロールを減らす
  • 認知症リスクの低下
  • 胃がん、大腸がん、食道がん、肺がんのリスク軽減
  • コラーゲンを増やし、肌や粘膜のうるおいを保つ
  • イライラや気分の落ち込みを和らげる
  • 集中力の向上
  • 血圧や血糖値の変動を防ぐ

2.ホルモン補充療法には副作用がある?治療できない人の特徴とは

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更年期特有のさまざまな症状に効果を発揮するホルモン補充療法ですが、副作用が起きる可能性もあります。ここでは、ホルモン補充療法の副作用や注意点、治療を受けられない人の特徴について説明しましょう。

■ホルモン補充療法の副作用・注意点

個人差はありますが、ホルモン補充療法を始めると不正性器出血や乳房の張り・痛み、胃のむかつき・吐き気、頭痛といった副作用が現れることがあります。これらの副作用はほとんどが治療開始1~3ヶ月程度で治まりますが、改善しない場合は投与量を減らしたり治療を中断したりといった対処を行うことも。また、まれではありますが60歳を超えて初めて治療を受ける場合は、静脈血栓塞栓症や脳卒中を引き起こすリスクが報告されています。

その他「ホルモン補充療法で太った」と感じる人もいるようですが、一般的にホルモン補充療法が原因で太ることはありません。仮に太ったとすれば、体調が改善された証拠ともいえます。とはいえ、肥満は多くの病気を招く要因の1つ。適度な体重を維持するためには、食事や運動などの生活習慣を見直すことが大切です。

■ホルモン補充療法ができない人の特徴

すでに冒頭でお伝えしていますが、以下のようにホルモン補充療法ができない人も中にはいます。

<絶対禁忌>
絶対禁忌とは、患者さんの命が脅かされる・不可逆的な障害を招く医療行為のこと。ホルモン補充療法の絶対禁忌には、以下のような人が報告されています。

  • 現在乳がん、子宮体がんの人
  • 血栓症の既往がある人
  • 重症の肝機能障害と診断されている人
  • 心筋梗塞や脳卒中、狭心症を患ったことがある人
  • 未治療の子宮内膜増殖症や異常性器出血がある人
  • ポルフィリン症
  • 妊娠中、授乳中の人

<相対禁忌>
相対禁忌とは、それほど危険性はなくても、通常は行うべきでない医療行為を指します。ホルモン補充療法における相対禁忌は、以下のような人です。

  • 乳がん、子宮体がん、卵巣がんの手術を受けたことがある人
  • コントロール不良の糖尿病、高血圧がある人
  • 喫煙者
  • てんかん

<注意が必要な人>
注意が必要な人は、慎重に投薬を検討しなければならない人のことです。

  • 子宮筋腫や子宮内膜症、乳腺症の既往がある人
  • 胆石症、肝機能障害を患っている人
  • 高血圧、糖尿病、肥満が認められる人
  • 60歳以上で初めてホルモン補充療法を受ける人
  • 偏頭痛持ちの人

■ホルモン補充療法をやめたらどうなる?やめるべきタイミングは?

ホルモン補充療法には「治療開始何年までしか投与できない」「更年期障害が改善するまでしか治療を継続できない」という期間の制限がありません。ホルモン補充療法によるメリットが副作用や注意点といったデメリットを上回っていて、本人がリスクを理解したうえで治療を希望するのであれば、何歳まででも継続可能です。ただし、副作用を避けるには、定期的に子宮がん検診や乳房検診、血液検査、血圧測定といった各種検査を受けることが推奨されています。いずれにしても治療のやめどきは、体調を見ながら主治医と相談して決めることが大切です。

3.ホルモン補充療法ができない人への代替案

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ホルモン補充療法の絶対禁忌・相対禁忌に該当する人は、どのように更年期障害に対処したら良いのでしょうか?ここでは、ホルモン補充療法の代替案について説明します。

■サプリメント(エクオール含有食品)の摂取

エクオールは、女性ホルモンが欠乏しているときにはエストロゲンのような作用を示し、女性ホルモンが過剰なときにはエストロゲン作用を弱めるという独特の働き方をする物質です。摂取しても副作用が起きる可能性は少なく、ホルモン補充療法が禁忌の場合でも問題なく取り入れることができます。エクオールは大豆に多く含まれていますが、効率良く摂取するのならサプリメントがおすすめ。効果の判定には数ヶ月程度かかりますが、エクオールには多くの更年期症状を和らげる作用が期待できます。

■漢方薬の内服

更年期障害の治療には、漢方薬もよく使用されます。漢方薬は、自然由来の生薬を複数組み合わせて作る薬のこと。症状や体質に合ったものを選べば、更年期障害の改善に効果を発揮します。一般的に更年期障害に適した漢方は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や加味逍遙散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)など。当帰芍薬散は冷え性や貧血、疲れやすいといった症状を、加味逍遙散はのぼせや肩こり、不安、イライラなどを、桂枝茯苓丸は頭痛やめまい、のぼせ、足の冷えを改善する効果が期待できます。穏やかな効き目でホルモン補充療法が禁忌の場合でも服用できるため、気になる人は専門医に相談してみてください。

■ペプチド療法を取り入れる

ペプチド療法とは、主に海外でエイジングケアを行うクリニックが導入している治療法。更年期障害のように加齢が原因の病気に効果を発揮することが報告されています。ペプチドはもともと体内で作られている物質で、副作用のリスクが少ないことが大きなメリットです。ペプチド療法により期待できる具体的な作用は、血圧を下げる・筋肉量を増加させる・ホルモン分泌を促す・疲労回復・集中力や記憶力の改善など。症状に合わせて点鼻や内服といった方法で投与します。まだ日本では耳にする機会の少ない治療法ですが、効果の高さと副作用の少なさから近年急速に進歩している医療分野です。興味がある場合は、ペプチド療法を取り入れている美容クリニックで治療を受けましょう。。

まとめ

更年期に伴う症状には個人差が大きく、何も感じない人もいれば日常生活に支障をきたす人までそれぞれです。ホットフラッシュや動悸、めまいといった症状が現れれば不快に思うかもしれませんが、更年期障害の治療は確立しています。仮に「ホルモン補充ができない人」と医師からいわれても、サプリメントや漢方薬、ペプチド療法を取れ入れることで改善効果が期待できるでしょう。更年期障害でお悩みの場合は、医師に相談したうえで自分に合った治療法を見つけてみてください。

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