年齢を重ねるごとに気になるコレステロール値。体内に存在するコレステロールには、善玉と悪玉があります。それぞれのコレステロール値を適切な基準内に保つことは、健康維持に直接関わること。そこで今回は、善玉コレステロールと悪玉コレステロールの理想的な比率について解説します。また、コレステロールの比率をバランス良く整えるためのコツもまとめました。
INDEX
1.悪玉は悪者?まずはコレステロールの基本を確認
コレステロールとは、血液の中に流れている脂質の一種です。炭水化物やタンパク質と並ぶ、人の体に欠かせない栄養素の1つで、神経や細胞膜、臓器などを構成しています。他にも、肌や髪に潤いを与えたり、体を動かしたりする際のエネルギーとなる重要な栄養素です。
そんなコレステロールには、HDLコレステロール(善玉)とLDLコレステロール(悪玉)の2種類が存在します。それぞれ、どのような働きがあるのか、詳しくご紹介しましょう。
■HDLコレステロールとは
HDLコレステロールとは、動脈硬化を防ぐ働きがあることから、善玉コレステロールとも呼ばれています。善玉コレステロールは、体の中で増えすぎてしまったコレステロールを回収するとともに、血管壁にたまっているコレステロールを取り除き、肝臓へと戻す働きを担っている成分です。ただし、コレステロールは油であるため、そのままでは血液と一緒に流れることができません。そのため、リポタンパク質と呼ばれる粒子になって血液中を流れ、体のさまざまな場所に運ばれます。
■LDLコレステロールとは
LDLコレステロールは、悪玉コレステロールのことを指します。肝臓で作ったコレステロールを、血液を通じて全身に運ぶ働きをもつ成分です。体の隅々まで運ばれていったLDLコレステロールは、細胞や組織に吸収されますが、吸収しきれなかった余分なものは、血液中を循環し続ける状態になります。すると、血管にコブ(プラーク)ができてしまい、動脈硬化を引き起こすのです。LDLコレステロールの量が正常値の範囲内であれば問題ありませんが、増えすぎると健康を害してしまう可能があります。このことから「悪玉」という名前で呼ばれていますが、体中にコレステロールを運搬する役割りがあるため、なくてはならない存在です。
2.善玉コレステロールと悪玉コレステロールの理想的な比率は?
善玉コレステロールと悪玉コレステロールが基準値内に収まることも大事ですが、2つの比率も健康維持や美容にとって重要なポイントです。ここでは、理想的な比率について解説しましょう。
■善玉コレステロールと悪玉コレステロールの比率はLH比で分かる!
LH比とは、善玉コレステロールと悪玉コレステロールの比率を調べる際に用いられる指標です。血管内にどのくらいのコレステロールが蓄積・付着しているのかを予想することができます。
具体的な計算式は「悪玉(LDL)コレステロール値÷善玉(HDL)コレステロール値」です。自身のコレステロール値がわかれば、すぐに計算することが可能。手軽に自身のコレステロールバランスを調べることができます。
LH比が1.5未満の場合、血管内は健康な状態と予想され、1.5以上の場合はコレステロールが血管などに付着し始めている可能性も考えられます。LH比が2.0以上の場合は、血管壁にコレステロールがこびりついて危険な状態になっていることも。血液がドロドロして流れにくい、血管径が縮小するといったリスクがあるため、注意が必要です。ときには、血管が老化し、硬くなってしまう動脈硬化を引き起こす場合もあります。
■各コレステロールの基準値
コレステロールの比率と合わせて、それぞれ基準内に収まっているかどうかもチェックしておきたいポイント。以下の数値がそれぞれのコレステロールの基準値です。
- HDL(善玉)コレステロール……男性38~90、女性48~103
- LDL(悪玉)コレステロール……男女ともに65~163
上記の基準を参考に、自信のコレステロール値と照らし合わせてみてください。
■善玉コレステロールと悪玉コレステロールのバランスも大切
善玉コレステロールと悪玉コレステロール、それぞれが正常値内で収まっていれば問題ないと思ってしまいがちです。しかし、LH比に当てはめてそのバランスを計算した場合、LH比が2.0以上になることもあるため、注意が必要です。つまり、それぞれのコレステロール数値と一緒に、LH比もチェックしバランスも見なければなりません。
3.LH比の比率が崩れるとどうなる?
LH比が崩れると、どのようなことが起こるのでしょうか。ここでは、そのリスクについてご紹介します。いつまでも健康でいたい、きれいでいたい女性は必見です。
■病気を発症するリスクがある
コレステロールが体内で増えすぎると、血管にコブ(プラーク)ができる、血管が狭くなるといったトラブルが発生し、動脈硬化のリスクもアップします。動脈硬化を引き起こすと、心筋梗塞や脳梗塞といった病気を発症する恐れもあるため注意が必要です。
■太りやすくなる
脂質の一種であるコレステロールが増えすぎてLH比のバランスが崩れると、コレステロールが体内に蓄積され太りやすくなることもあります。ただし、エネルギーとして使用されなかったコレステロールは、内臓の周りに中性脂肪となってつくケースが多い傾向。この場合には、一見太って見えないこともあります。見た目だけではわからないため、血液検査でコレステロール値を調べ、LH比を算出して体内の健康状態をチェックしまょう。
一方で、コレステロールが少なすぎると、肌や髪などがパサパサしていると感じることもあります。動脈硬化などの健康リスクだけでなく、美容に関するトラブルにもコレステロールは関係しているのです。
4.コレステロールの比率をバランス良く整えるには?
日々の習慣がコレステロールのバランスを整え、健康と美しさの維持に役立ちます。そこでここでは、コレステロールの比率を整えるために、普段の生活に取り入れたい習慣をご紹介しましょう。善玉コレステロールを増やしつつ、悪玉コレステロールを減らして健康的で美しい体を手に入れたい女性は必見です。
■食生活の改善
コレステロールの比率を整えるには、食事に気をつけましょう。例えば、満腹感がアップするようよく噛んで食べる、アルコールを控えるといったことも、コレステロールのバランスを整える際に押さえておきたいポイント。
また、摂取する食べ物にも注意が必要です。LDLコレステロールとHDLコレステロールのトータル的なバランスを整えるには、コレステロールを多く含む食品を控えるだけでは不十分です。豆腐などの大豆製品や、きのこや海藻に含まれている水溶性食物繊維を積極的に摂取してみてください。これらの食品には、悪玉コレステロールを吸着して減らす働きが期待できます。
■適度な運動
日々の生活に適度な運動を取り入れることもコレステロールの比率をバランス良く保つために取り入れたい習慣です。運動をすることで、コレステロールがエネルギーとして使われるため、体内に蓄積されづらくなります。また、内臓周辺についた中性脂肪を燃焼させる効果も期待できるでしょう。
習慣的に続けることが重要であるため、ウォーキングやジョギングといった、続けやすい運動から始めてみてください。毎日30分以上の有酸素運動を取り入れるのが理想的です。まずは、週末だけ運動する、その後徐々に運動の頻度を増やすなどして、毎日続けられる工夫をこらしてみてください。
■薬物療法の活用
コレステロールが異常値である場合には、運動や食事を徹底するとともに、薬物療法によって整えることもあります。
LDLコレステロールが肝臓で作られることを防ぐ働きがある「HMG-CoA還元酵素阻害薬」や「フィブラート系薬」、小腸でのコレステロール吸収を抑制する「エゼチミブ」などが代表的な薬です。コレステロール値が高い、バンランスが悪いといった場合には、医療機関を受診し、薬を処方してもらうのも手でしょう。
まとめ
コレステロールは、体にとって必要不可欠な存在ですが、LDLコレステロールが増えすぎる、LDLコレステロールとHDLコレステロールのバランスが崩れるといった状態になると、肥満になったり動脈硬化を引き起こしたりすることがあります。いつまでも健康的で美しくいるためには、それぞれのバランスに注意しましょう。栄養バランスが整った食事や適度な運動などを日常的に取り入れることが大切です。セルフケアで改善しない場合は、医師に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。
・当サイトは、美容医療の一般的な知識をできるだけ中立的な立場から掲載しています。自己判断を促す情報ではないことを、あらかじめご了承ください。また、治療に関する詳細は必ずクリニック公式ホームページを確認し、各医療機関にご相談ください。
・本記事は、執筆・掲載日時点の情報を参考にしています。最新の情報は、公式ホームページよりご確認ください。
・化粧品やマッサージなどが記載されている場合、医師監修範囲には含まれません。