ASPS・ASAPS共同声明 / 2026年9月9日 / ASAPS公式全文直接確認
📖 ASPS(Australian Society of Plastic Surgeons)とは:オーストラリア形成外科学会。
📖 ASAPS(Australasian Society of Aesthetic Plastic Surgeons)とは:オーストラリア・ニュージーランドを対象とする審美形成外科学会。
📖 AHPRA(Australian Health Practitioner Regulation Agency)とは:オーストラリアの医療従事者規制機関。美容外科を含む医療行為のガイドラインを定める。2023年に美容外科分野の規制改革を進め、新たな広告規制などを発効させた。
「肋骨を削ってウエストを細くする」
rib contouringへの社会的関心が高まる中、オーストラリアの形成外科学会が共同声明を公表した。
2026年9月9日、オーストラリアの2つの形成外科学会──
ASPS(Australian Society of Plastic Surgeons)とASAPS(Australasian Society of Aesthetic Plastic Surgeons)が、
肋骨形成術(rib contouring)に関する共同声明を発表した
(ASAPS公式サイト全文直接確認)。
声明の内容は「禁止」ではなく「基準の明示」だ。
AHPRA(医療従事者規制機関)ガイドラインへの準拠、術前の心理スクリーニング、
そして海外渡航手術への警告──3点を整理する。
- ✦2026年9月9日、ASPS・ASAPSが肋骨形成術(rib contouring)に関する共同声明を発表。「オーストラリアでは比較的新しい処置」だが、専門形成外科訓練は中核スキルと合併症管理を含むと説明(ASAPS公式全文直接確認)。
- ✦ASPS・ASAPSのメンバーは肋骨形成術においてAHPRAガイドラインに準拠する。具体的には:術前相談、治療外科医による詳細な個別評価、身体醜形障害(BDD)の心理スクリーニング、手術予約前のクーリングオフ期間(mandatory cooling-off period)が含まれる。
- ✦「オーストラリアの適切な資格を持つ専門形成外科医への相談」と「セカンドオピニオンの取得」を強く推奨。肋骨形成術を含むあらゆる美容外科について、安全基準や適切なフォローアップが担保されない可能性があるとして、海外渡航手術に注意を促している。
- ✦この声明は「rib contouring禁止」ではなく、「どの基準で誰が行うべきか」の明示だ。SNSで広まった手術に対して学会が安全基準を公式に示したことの意味は大きい。周辺情報として、合併症率・頻度の数値は今回の声明には含まれていない。
- ✦日本では肋骨形成術の学会的な議論はまだ緒についたばかりだ。オーストラリアの事例は、SNSで広まった手術が「学会が安全基準を明示することで社会的な議論を引き受ける」という動きの参照点になりうる(NERO編集部の読み解き)。
共同声明の内容──
何が「基準」として示されたのか
ASAPS公式サイトに掲載された声明の全文から、確認できる内容を整理する。
声明はrib contouringについて以下のように整理している:
オーストラリアでは「比較的新しい処置」だが、専門的な形成外科訓練はこの処置に必要な中核的外科スキルと合併症管理を含んでいる。
・術前相談(preoperative consultations)
・治療外科医による詳細な個別評価(thorough individual assessment)
・身体醜形障害(BDD)の心理スクリーニング(psychological screening for body dysmorphic disorder)
・手術予約前のクーリングオフ期間(mandatory cooling-off period before surgery is booked)
・オーストラリア国内の適切な資格を持つ専門形成外科医への相談
・処置・リスク・想定されるアウトカム・代替手段の十分な理解
・セカンドオピニオンの取得
肋骨形成術を含むあらゆる美容外科において、海外渡航手術は安全基準や適切なフォローアップケアがオーストラリアの要件と異なる可能性があるとして、注意を促している。
「SNSで広まった手術」に学会が応答する意味──
なぜ今この声明なのか
共同声明では、rib contouringについての「emerging public interest(社会的関心の高まり)」に言及している。その背景としてSNSでの拡散が指摘されることもあるが、声明原文には記載がなく、NERO編集部の読み解きとして位置づける。
この声明が「禁止」ではなく「基準の提示」であることは重要だ。
ASPS・ASAPSは肋骨形成術そのものを否定せず、「適切な専門医が、適切な評価を行い、適切な基準で実施するなら行える」と言っている。
これは「認めていい」という意味ではなく、「認めるにはこれだけのプロセスが必要」という医療界からの明示だ。
SNSで「誰でもできる手術」のように見えることへの、学術的な歯止めとして機能する(NERO編集部の読み解き)。
特に注目すべきはBDD(身体醜形障害)のスクリーニング要件だ。体型を極端に変えたいという動機の背景にBDDが存在する場合があり、外科的介入だけでは問題が解決しないどころか悪化しうることを、学会が公式に認識・明示している。
海外渡航手術への警告──
「タイで安く受ける」リスクの学会的評価
声明が「海外渡航手術に注意を促した」という点は、タイ・韓国などを美容外科の目的地とする「メディカルツーリズム」との関係で特に重要だ。
声明は具体的な合併症率や頻度を数値では示していない。
「学会が安全性懸念を公式表明した」こと自体が今回の声明のニュース価値だ(NERO編集部の読み解き)。
NERO編集部の見解として:日本においても肋骨形成術は一部で話題になっているが、日本の関連学会による公式声明・ガイドラインについては別途確認が必要だ。
オーストラリアの2学会が「比較的新しい処置に対して学会が先手を打って基準を示した」この事例は、日本の美容外科界にとっても参照点になりうる。「SNSで広まった手術に対して、学術組織がどう応答するか」という問いは、日本でも遠くない将来に問われる可能性がある(NERO編集部の読み解き)。
まとめ
- ✦2026年9月9日、ASPS・ASAPSが肋骨形成術(rib contouring)の共同声明を発表。「比較的新しい処置」であり、術前相談・個別評価・BDDスクリーニング・クーリングオフを含むAHPRA準拠を明示した(ASAPS公式全文直接確認)。
- ✦共同声明はrib contouringを一律に禁じる内容ではなく、AHPRAの美容外科関連ガイドラインに沿った患者評価・心理スクリーニング・クーリングオフ期間と海外手術への注意を明示している。
- ✦合併症率・頻度などの数値は今回の声明には含まれていない。「学会が患者評価・実施基準・海外手術への注意を公式に示した」こと自体がこの声明のニュース価値だ。
- ✦「SNSで広まった手術に学会が応答する」という動きは、日本の美容外科界にとっても他人事ではない。日本での学会的な議論が始まっていない段階での参照点として、この事例を位置づけられる(NERO編集部の読み解き)。
出典・参考情報
- ASAPS(Australasian Society of Aesthetic Plastic Surgeons). "ASAPS Joint Statement re 'Rib Contouring'." 2026年9月9日. aestheticplasticsurgeons.org.au(声明全文を直接確認)

