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スカルプトラが「顔」から「体」へ──EU承認・4部位拡大が示す再生美容の最前線

スカルプトラが「顔」から「体」へ──EU承認・4部位拡大が示す再生美容の最前線

🔥 最新トレンド
IMCAS 2026 World Congress・2026年1月29〜31日・パリ

美容注射といえば「顔」のものだった。
ほうれい線を埋める、ボリュームを補う、シワを伸ばす──
そのイメージが、2026年を境に大きく変わりはじめている。

2026年1月、美容医療分野の主要国際学会IMCAS 2026 World Congress(パリ)で、
Galdermaが大きな発表を行った。
スカルプトラ(Sculptra®・PLLA-SCA)がEU MDR(医療機器規制)認証を取得し、
これまで主に顔に使われてきたこのバイオスティミュレーターが、
臀部(gluteal area)・大腿後面(posterior thighs)・デコルテ(décolletage)・上腕(upper arms)の4部位へのclinical use拡張が打ち出されたのだ。

「体の再生美容」という領域が、
マーケティングの言葉ではなく、
国際専門家のコンセンサスとMDR certificationという具体的な動きを伴いはじめた。
これが何を意味するかを整理する。

📋 この記事でわかること
  • スカルプトラのEU MDR認証取得と4部位body indication拡大の内容
  • 13名の国際専門家が示した「どの部位にどう使うか」のコンセンサス
  • 「セルライト・ハリ・たるみ」への再生美容アプローチが変わる理由
  • 日本での現状と、受診前に知っておくべきこと

IMCAS 2026で発表された内容──
何が、なぜ承認されたのか

📖 スカルプトラ(Sculptra®)とは
Galderma社が製造するポリ乳酸(PLLA-SCA)製剤。
皮膚に注入することで「制御された炎症反応→コラーゲン産生→真皮リモデリング」
という連鎖反応を引き起こすバイオスティミュレーター(生体刺激材)だ。
注入直後の変化は一時的で、主たる効果は数週間〜数か月かけて現れる遅発性の反応だ。
日本でも顔(ほうれい線・頬のたるみ等)に使用されているが、
今回のbody indicationは日本では未承認の適応だ。

IMCAS 2026でGaldermaが発表した内容は3つだ。

発表① EU MDR認証取得・4部位への適応拡大
スカルプトラがEU MDR(欧州連合の医療機器規制)認証を取得。
顔に加えて以下4部位への使用が正式承認された。
臀部(グルーテアルエリア)──セルライト外観の改善・リフト・ハリ
大腿後面(ハムストリングス側)──皮膚のハリ・審美的外観の改善
デコルテ──シワ・皮膚の質感改善(RestylaneスキンブースターとのCombo推奨)
上腕──皮膚のたるみ・ハリ改善

出典:Galderma Press Release・Galderma.com 2026年1月22日

発表② 13名の国際専門家によるコンセンサスガイダンス
13名の国際専門家チームが、4部位の適応ごとに
「推奨注入量・注入部位・組み合わせ治療」のコンセンサスをまとめた。
特にデコルテではRestylane Skinboosters との組み合わせが推奨されており、
「バイオスティミュレーター+スキンブースターの複合プロトコル」という
2026年の再生美容のトレンドを象徴する内容だ。
出典:Haddad A, et al. International consensus poster. IMCAS 2026.
発表③ IMCAS 2026でのスカルプトラ関連演題
IMCAS 2026では、Fabi SG、et al.によるスカルプトラ関連の演題が発表された。
PLLA-SCAの再生機序については既存の総説で、線維芽細胞の活性化→
コラーゲン・エラスチン・ECM産生という連鎖が整理されている。
アディポジェネシス(健康な脂肪細胞の形成)への関与も総説上では言及があるが、
今回のIMCASポスターの詳細データまでは本記事では直接確認できていない。
出典(機序):MDPI Cosmetics. 2026;13(3):103(PLLA-SCA総説)
Galderma IMCAS 2026 Scientific Presentations一覧(演題実在確認)

「セルライト・ハリ・たるみ」への
再生美容アプローチが変わる理由

なぜ今、「体の再生美容」なのか。
背景には3つの変化がある。

「体への再生美容」が加速する3つの背景
背景①
体重変化後・加齢による「体全体の組織変化」への注目
急激な体重変化・加齢による体の皮膚のたるみ・ハリ低下は、
顔とは異なる解決策が必要な問題だ。
外科手術(リフト・吸引)以外の選択肢としての注入治療の需要が高まっている。
背景②
「顔と体のハーモニー」という審美観の変化
顔が若返っても体が老けていると「違和感」が生まれる。
患者が「顔だけでなく体全体のコンディション」を求めるようになったことで、
美容医療の訴求領域が広がっている。
背景③
従来の「セルライト対策」の限界
セルライトはマッサージ・外用薬・吸引などで対処されてきたが、
長期的な効果は限定的とされてきた。
バイオスティミュレーターによる「皮膚組織そのものの再生」という
アプローチは、従来の手法と本質的に異なる。

4部位
EU MDR認証で追加された
スカルプトラのbody適応
(臀部・大腿後面・デコルテ・上腕)
13名
コンセンサスガイダンスを策定した
国際専門家の人数
(IMCAS 2026・2026年1月)

バイオスティミュレーターは
フィラーとどう違うのか──本質を整理する

「スカルプトラ」と聞いて「フィラーの一種でしょ?」と思っている方は多い。
しかし根本的に違う。

バイオスティミュレーター vs HAフィラー:根本的な違い
比較項目
スカルプトラ(PLLA)
HAフィラー
作用の仕組み
自分のコラーゲン産生を「誘導」
素材を「補充・注入」してボリュームを作る
効果が出るまで
数週間〜数か月(主効果は遅発性・注入直後の変化は一時的)
注入直後から変化
効果の持続
最長2年以上の報告あり
製品により6〜18ヶ月程度
体への展開
EU MDR承認で4部位に拡大(2026年)
従来から体(手・デコルテ等)への使用例あり

IAPAMの2026年実務アップデートでは、こう紹介されている。
「バイオスティミュレーターはシーケンス(施術の順序設計)の前半に置くべきだ。
コラーゲン応答が出てから、必要に応じてHAフィラーで補完する」

つまり「スカルプトラを先、HAフィラーを後」というシーケンス設計が
2026年の推奨アプローチだ。

日本の現状と、受診前に知っておくべきこと

⚠️ 日本での適応状況について
今回のEU MDR承認による4部位のbody indicationは、日本では未承認の適応だ。
日本でスカルプトラは顔(ほうれい線・頬のたるみ等)に用いられるケースがあるが、
体への適応は2026年8月時点で薬機法上の承認を得ていない。
提供しているクリニックがある場合、それは「適応外使用(off-label use)」にあたる。
受診前に担当医師に確認することを推奨する。
📌 カウンセリングで確認すべき3点
「この適応は日本で承認されているか・適応外使用か」を明示してもらう
「何回・どの間隔で・どう効果を確認するか」のシーケンスを事前に設計してもらう
(即時効果がないため、経過観察の計画が重要だ)
「HAフィラーとの組み合わせが必要か・どのタイミングで追加するか」を設計してもらう

NERO編集長 安達健一
NERO編集長 安達健一

「顔と体のハーモニー」という発想は、美容医療として理にかなっていると思う。
「顔だけ若返っても、体が追いつかない」という問いが、
いま美容医療の現場で実際に増えている。

スカルプトラのbody indication拡大は、
その問いに対する規制当局ベースの回答の一つだ。


ただし「EU承認」と「日本承認」は別の話だ。
EUのMDR認証が取れたからといって、
日本で薬機法の承認が得られているわけではない。

「最新のトレンドだから」という理由で受けるのではなく、
「どんな根拠で、どんな適応で提供されているか」を
確認してから判断してほしい。

NERO編集長 安達健一
NERO編集長 安達健一

まとめ

  • スカルプトラ(PLLA-SCA)がEU MDR認証を取得し、臀部・大腿後面・デコルテ・上腕の4部位への適応が正式承認。IMCAS 2026(2026年1月・パリ)で13名の国際専門家コンセンサスが発表された。
  • 訴求点は「セルライト外観の改善・ハリ・リフト・長期的な組織リモデリング」。即時効果のあるHAフィラーとは根本的に異なり、1〜3ヶ月かけてコラーゲンが産生される設計だ。
  • 背景にはGLP-1による急速な体重減少後の体の変化・「顔と体のハーモニー」という審美観の変化がある。「体の再生美容」が規制当局の承認に裏付けられた段階に入った。
  • 日本では体へのbody indicationは未承認。受診前に「承認状況・シーケンス設計・HAとの組み合わせ計画」を確認してから判断することが重要だ。
📌 次のカウンセリングで使える一言
「この施術は日本で承認された適応ですか?
それとも適応外使用になりますか?」

EU承認と日本承認は別物だ。この質問で、クリニックの透明性がわかる。

よくある質問(FAQ)

Q
スカルプトラは痛いか?ダウンタイムはどのくらいか?
施術時の痛みは注入部位・担当医師の手技・麻酔の使用によって大きく異なる。顔への注入では通常は局所麻酔クリームを使用し、注入後の腫れ・内出血・硬結(しこり感)が1〜2週間程度続くことがある。体への注入(body indication)では注入量が多くなる傾向があり、腫れや内出血のダウンタイムが顔より長くなる可能性がある。施術前に担当医師から詳細な説明を受けることが前提だ。
Q
スカルプトラとレディエッセはどちらがよいか?
どちらもバイオスティミュレーターだが作用が異なる。スカルプトラ(PLLA)は即時効果なしで2〜3ヶ月かけてコラーゲン産生を誘導する。レディエッセ(CaHA)は即時のボリューム補充効果とコラーゲン誘導の両方を持つ。「体のハリ・セルライト改善」という目的ではスカルプトラのbody indicationが今回EUで承認されたが、レディエッセも体への使用例がある。どちらが適切かは部位・目的・肌の状態によって異なるため、担当医師に個別に評価してもらうことが前提だ。
Q
「セルライト」はなぜ注射で改善できるのか?
セルライトは皮膚の真皮・皮下組織の構造変化(線維中隔の収縮・脂肪小葉の突出・微小循環の悪化)によって生じる。バイオスティミュレーター(PLLA・CaHA)は、この「真皮・皮下組織の組織リモデリング」に働きかけることで、皮膚のハリ・均一性を改善しセルライト外観を軽減するとされている。ただし「セルライトを完全に消す」という効果は現実的ではなく、「外観の改善」という表現が適切だ。個人差も大きいため、事前に期待値の調整を担当医師と行うことが重要だ。

出典・参考文献

  1. Galderma. "IMCAS 2026: Galderma showcases the latest scientific advances behind the industry's broadest injectable aesthetics portfolio." Press Release. January 22, 2026. galderma.com
  2. Haddad A, et al. International consensus: Sculptra®/Restylane® Skinboosters™ for non-facial rejuvenation. Poster presented at IMCAS 2026; January 29-31, 2026; Paris, France.
  3. Fabi SG, et al. Regenerative aesthetic effects of poly L-lactic acid treatment. Poster presented at IMCAS 2026; January 29-31, 2026; Paris, France.
  4. Sculptra®. EU Instructions for Use. 2025(EU MDR認証・body indication詳細)
  5. IAPAM. "June 2026 Aesthetic Medicine Update: Better Treatment Sequencing." June 2026.(実務家向け教育コンテンツ・学会ガイドラインではない)
    iapam.com

安達健一

安達 健一

NERO DOCTOR/BEAUTY 編集長

日本・米国看護師(BSN)・MBA保有。
世界の一次医療データをもとに監修。
広告主からの影響を受けない独立した編集方針を貫いています。