「どうやってクリニックを選びましたか?」
この問いへの答えが、3年で少しずつ変わっている。
各年の回答傾向を並べると、
上位項目の顔ぶれが3年で少しずつ変わっている。
矢野経済研究所が2026年7月29日に発表した「美容医療に関する消費者アンケート調査(2026年)」は、
20〜50代の女性400名(美容医療経験者200名・興味層200名)を対象にした調査だ。
同社は2024年・2025年・2026年と毎年同様の調査を実施しており、
3年分を並べると、美容医療の「選ばれ方」の変化がはっきり見えてくる。
この記事では、その変化を読み解く。
「何が変わらなかったか」と「何が変わったか」、その両方を整理する。
- ✦3年連続で1位だった「価格が明瞭」が示すこと──少なくともこの調査では、価格の見えやすさが最優先されている
- ✦3位が「技術→紹介→価格の安さ」へ変わった3年間の意味
- ✦XがついにTop3情報源に──「SNSで気になり、比較サイトで見比べ、HPで確認する」という導線
- ✦顔の悩み3位が「歯」から「ニキビ痕」へ──美容皮膚科への視線が戻ってきた
調査期間:2026年5月〜7月/調査方法:インターネット消費者調査
対象:20〜50代の女性400名(美容医療経験者200名・興味層200名)
※インターネット調査のため、美容医療関心層に偏る可能性がある。
※この調査は矢野経済研究所による市場調査であり、学術論文とは性質が異なる。「日本女性の傾向を示す調査」として参照されたい。
出典:矢野経済研究所プレスリリース No.4162(2026年7月29日)
INDEX
3年変わらなかったこと──
「美容医療は比較できることが前提」になった
まず、変わらなかった部分から見ていく。
ここが一番重要だ。
「価格が明瞭」が3年連続で1位、「場所がよかった」が3年連続で2位。
この2点の不動さが示しているのは、
少なくともこの調査では、
ブランド感より「価格の見えやすさ・通いやすさ」が強く意識されていることが示されている。
「追加費用が出てこない」「何にいくらかかるかが事前にわかる」という
比較可能性・予測可能性への需要だ。
自由診療という仕組み上、料金がクリニックによって大きく違う美容医療において、
「価格が読める」ことが最大の安心材料になっている。
3位が動いた3年間──
「技術→紹介→価格の安さ」の意味
1位・2位が不変なのに対し、3位は毎年変わっている。
この変化が興味深い。
技術・症例数への意識の高まりが強調されていた。
「映える症例写真」「実績の多さ」を見て選ぼうとしている段階。
「誰かが実際に行って良かったと言っている」という一次情報への回帰とも読める。
「比較サイト」が情報源2位に入ってきた流れと一致する。
比較できるようになったことで、「安さ」も判断基準になった。
NEROとしてはこう読む。
これは単純な「価格競争化」ではない。
比較サイト文化の浸透・SNS経由の情報流通の拡大が、
「複数クリニックを横並びで比べることができる環境」を作り出した。
比較できるようになって初めて、「安さ」が判断基準として機能するようになった。
「ネット記事」から「X」へ──
意思決定インフラとしてのSNS化
施設を選ぶ際に参考にした情報源も、2025年から2026年で変化した。
1位・2位は変わらない。
公式サイトと比較サイトが最終決定には強いという事実は揺るがない。
しかし3位が「ネットの記事」から「X」に変わった。
これは大きな変化だ。
Xは、アカウントによっては体験談・生の声・リアルタイムの反応が流れてくる場所だ。
「この施術、実際どうだった?」という温度感の確認に使われていると読める。
体験談・話題の施術名を目にする
※Instagramは今回の調査では直接確認されていない
複数クリニックの価格・口コミ・症例数を横並びで確認する
料金体系・施術の詳細・医師のプロフィールで最終判断
この導線が見えると、「SNSでバズれば勝ち」でも「公式HP重視」でもなく、
全ての接触点でリテラシーが問われるということがわかる。
Xで誤った情報を信じる前に立ち止まる視点、
比較サイトの「安さ」だけに引っ張られない視点、
公式HPの「価格が明瞭かどうか」を確認する視点。
NEROが届けたいのは、その判断材料だ。
「歯」から「ニキビ痕」へ──
顔の悩み3位の変化が示すもの
2024年・2025年は、顔の悩み3位に「歯」が入っていた。
2026年は「にきび・にきび痕」に変わっている。
これは地味に見えて、読み方によっては面白い変化だ。
「歯」が2年連続で3位に入っていた2024〜2025年は、
2026年にそれが「にきび・にきび痕」に戻ったのは、
より日常的・即時的な見た目の悩みへ視線が戻ってきたとも読める。
身体の悩みは、1位「体毛」が3年連続不動。
2位「脚」・3位「ウエスト」は2025年に入れ替わり、2026年もその順番が維持されている。
脱毛・ボディラインへの関心は変わらず高く、
引き続き関心の高い領域であることが示されている。
受ける理由は直近2年変わらない──
「コンプレックス解消・老化予防・自己肯定感」
美容医療をやってみた理由・やってみたい理由については、
2025年・2026年ともに上位3つが共通している。
※2024年版リリースでは同項目の比較情報を確認できないため除く
この3つが直近2年で変わらないということは、
美容医療に向かう動機の根本は変わっていないということだ。
「もっと若く見せたい」「変身したい」という欲求より前に、
「気になっていたところを解消したい」「自分に自信を持ちたい」という、
日常の延長線上にある心理が動機になっている。
これは、美容医療が特別な出来事ではなく、
セルフケアや健康管理の文脈に入ってきていることの表れだ。
「選ぶ前」に止まっている人がいる──
未経験者の参入障壁とは
ここまで経験者の「選び方の変化」を見てきたが、
もう一つ重要な視点がある。
美容医療に興味はあるが、まだ踏み出せていない200名の話だ。
矢野経済研究所の2024年版調査(同様の設計)では、
未経験者が美容医療を利用しない理由の上位は以下だった。
自由診療という仕組み上、「いくらかかるかわからない」という不安が大きい
副作用・リスク・施術の質への懸念
痛み・ダウンタイム・「失敗したら取り返せない」という感覚
興味深いのは、未経験者がもし利用すると仮定した場合のクリニック選択基準の上位が、
「価格が明瞭」「技術が高そう・症例数が多い」「カウンセリングが親切」だったことだ。
つまり未経験者は、費用と安全性への不安を越えるための
「わかりやすさ・実績の証拠・相談しやすさ」を求めている。
未経験者は「そもそも受けて大丈夫なのか」という手前で止まっている。
この二層構造が見えると、「価格が明瞭」という回答の意味が深まる。
経験者にとっては「比較・選択の軸」だが、
未経験者にとっては「踏み出すための条件」でもある。
つまり「価格が明瞭」は、美容医療の参入障壁を下げる最重要ファクターだということだ。
まとめ
- ✦矢野経済研究所の2026年調査(20〜50代女性400名・2026年5〜7月)で、施設選択理由は「価格が明瞭」「場所がよかった」「価格が安い」が上位3位。「価格が明瞭」は3年連続1位で、美容医療が比較可能な自由診療として位置づけられていることを示す。
- ✦施設選択理由の3位は「技術・症例数(2024)→友人知人の推薦(2025)→価格が安い(2026)」と変化。比較サイト文化の浸透が「安さ」を判断基準として機能させるようになった流れと読める。
- ✦施設選びの情報源3位が「ネットの記事(2025)→X(2026)」に変化。「SNSで気になり、比較サイトで見比べ、公式HPで確認する」という意思決定導線が見えてくる。最終判断は公式HPが最も強い。
- ✦顔の悩み3位が「歯(2024・2025)→にきび・にきび痕(2026)」に変化。より日常的な皮膚科的悩みへ視線が戻ってきた可能性がある。受ける理由の上位(コンプレックス解消・老化予防・自己肯定感の向上)は2年変わらず。
よくある質問(FAQ)
出典・参考
- 矢野経済研究所.「美容医療に関する消費者アンケート調査を実施(2026年)」プレスリリース No.4162. 2026年7月29日. yano.co.jp
- 矢野経済研究所.「美容医療に関する消費者アンケート調査を実施(2025年)」プレスリリース. yano.co.jp
- 矢野経済研究所.「美容医療に関する消費者アンケート調査を実施(2024年)」プレスリリース No.3560. yano.co.jp


