シミをはじめとする肌悩みに対処できる美容治療を選択する際、美容外科と美容皮膚科との違いが分からず、困惑するというケースがあります。本記事では、一見似ていて区別しにくい美容外科と美容皮膚科との違いや特徴を解説。また、シミへアプローチできる治療法も挙げ、それぞれのメリットとデメリットもお伝えします。シミをはじめ肌の悩みを解決したいけれど、どの診療科で治療を受けたら良いのかが分からないという方にとって役立つ内容です。
INDEX
1.美容外科と美容皮膚科の違いとは?
美容外科と美容皮膚科の違いが分かりにくいと感じる方は多いのではないでしょうか。両者が同じクリニック内に設けられているケースもあるため、なおさら混同しがちです。
しかし、美容外科と美容皮膚科は専門分野が違い、目標とする治療も異なります。以下で美容外科と美容皮膚科の違いについて詳しく解説していきましょう。
■美容外科とは?
美容外科は形成外科の分野から派生した診療科で、主にメスを用いた美容整形の手術を行うのが特徴です。病気の治療が目的ではなく、美容を目的とする治療であることが多く、自由診療で行われるケースがほとんどです。
美容外科の施術内容と対応できる悩み
美容外科の分野で対応できる体の悩みや、代表的な手術は以下のとおりです。
- 二重まぶたにする(二重術)
- 鼻を高くする(隆鼻術)
- フェイスラインを整える(フェイスリフト、フェザーリフト)
- バストアップする(豊胸術)
- 体のラインを整える(脂肪吸引)
これらの手術のほか「プチ整形」と呼ばれるメスを使わない施術も含まれます。ヒアルロン酸注入やボツリヌス・トキシン注入などが代表的です。
■美容皮膚科とは?
美容皮膚科は、もともと皮膚科の分野に属します。メスを使わずに皮膚の見た目の美しさを追求する治療を行うのが特徴です。治療内容としては、レーザーや光照射などを用いたマシンによる施術や、サプリメントの処方といったものがあります。
美容皮膚科も美容外科と同様に自由診療となることが多いですが、先天性の皮膚疾患や事故による傷などの治療は、保険適用となる場合もあるでしょう。
美容皮膚科の施術内容と対応できる悩み
美容皮膚科は皮膚症状の回復だけではなく、美容の観点から美しい肌を手に入れることも視野に入れて治療を進めます。そのため、幅広い肌悩みを相談できるのがメリットです。
クリニックによって異なりますが美容皮膚科で行われる施術内容には、ピコレーザーやポテンツァ、CO2(炭酸ガス)レーザーなどが挙げられます。対応できる悩みは以下のとおりです。
- シミ
- 肝斑
- そばかす
- ニキビ
- ニキビ跡
- シワ
- ほうれい線
- 赤ら顔
単に症状に対処するだけではなく、肌悩みを根本から改善することを目指す診療科といえるでしょう。
2.美容皮膚科と皮膚科との違い
美容皮膚科と皮膚科についても、診療の目的が異なるという点が大きな違いです。皮膚科は保険診療内で皮膚疾患を治療することを目的としています。対応できる主な皮膚疾患は、以下のとおりです。
- 湿疹
- じんましん
- アトピー性皮膚炎
- かぶれ
- 帯状疱疹
- 水虫
- やけど
以上のような皮膚疾患を薬などで改善を目指します。
ニキビ治療を行う場合、皮膚科では「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」として保険適用となるケースが多いです。しかし、保険適用内で行う皮膚科の治療は、今できているニキビを治すまでにとどまります。
ニキビ跡やニキビによる色素沈着の改善を目指すなら、美容皮膚科で対応してもらうケースが多いです。美容皮膚科と皮膚科が併設されているクリニックもあるため、目的に応じて相談してみると良いでしょう。
3.美容外科と美容皮膚科の治療を比較
従来は、レーザー治療やコラーゲン注入などは美容外科(形成外科)の分野が専門とし、肌の疾患への対処や塗り薬の処方などは皮膚科の分野が専門としていました。しかし、昨今ではより幅広い診療を提供するため、美容外科と美容皮膚科が互いの分野の治療方法を取り入れている傾向が見られます。したがって、以前よりも両者の違いは曖昧になってきているでしょう。
■美容皮膚科で可能なたるみ治療
美容外科と美容皮膚科との違いが曖昧である例として、たるみ治療が挙げられます。従来、たるみ治療といえば、美容外科で切開手術をするものだと認識されていました。しかし、最近では美容皮膚科で可能な、切開を伴わない治療もあるのです。
美容皮膚科で可能なたるみ治療には、レーザー治療や高周波治療、溶ける糸を皮下に入れて引き上げるフェイスリフト、ヒアルロン酸注入などがあります。いずれも切開手術を伴うことなく、リフトアップを目指せるのです。
4.シミ治療は美容外科と美容皮膚科のどっちを選ぶべき?
美容皮膚科でも美容外科の分野で行われていた治療ができるようになっていることを受け「結局、美容外科と美容皮膚科のどっちを受診したら良いの?」と悩む方もいるでしょう。ここでは、シミ取りを例に挙げ、美容外科と美容皮膚科のそれぞれで行われている治療法を紹介します。
■美容皮膚科と美容外科に共通する治療
美容皮膚科と美容外科の両方でシミにアプローチするために行われている主な治療は、以下のとおりです。
- レーザー
- 光治療
- ピーリング
- 内服薬
- 外用薬
以上のような治療法を用いて、シミへ対処していきます。
レーザー治療の種類とメリットとデメリット
レーザー治療は、シミの原因となる黒色や茶色のメラニン色素に反応し、発生した熱でメラニン色素を破壊。シミの色味を目立たなくする目的で行います。レーザーにはいくつかの種類があり、シミの種類によって適した機器を使い分けるのが一般的です。
また、レーザー治療には以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット | 短期間かつ少ない施術回数で済む
1回の施術時間が短い シミ以外の肌悩みにも対応できる可能性がある |
デメリット | ダウンタイムと呼ばれる副作用が出現する場合もある
一度では治療が完結しない |
レーザー治療では、シミのほかにもニキビ跡や毛穴、くすみにもアプローチが可能です。デメリットとされる副作用は、肌の赤みや腫れ、発疹やニキビの発生などが挙げられますが、じきに落ち着くと考えられています。施術後に正しい肌ケアを行い、最小限に抑えることも重要です。
光治療のメリットとデメリット
光治療では、シミのタイプに合わせて光の波長を調整し、広範囲に光照射を行う治療です。光治療のメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット | ダウンタイムが少ない
シミ以外の肌悩みにも対応できる可能性がある 広範囲に照射できる |
デメリット | 肌の深い部分で発生しているシミには対処しにくい
レーザー治療よりも効果を実感するまでに時間がかかる レーザー治療よりも施術期間と回数が多い |
光治療はダウンタイムが少ないのはメリットですが、肌の奥深くにあるシミなどは効果を実感しにくいケースもあります。
ピーリング治療のメリットとデメリット
ピーリング治療は、肌の表面に溜まった古い角質をはがし、ターンオーバーを促進することでシミが目立たなくなるように導きます。主にケミカルピーリングについて、メリットとデメリットをお伝えします。
メリット | 施術時間が短く体への負担が少ない
他の治療との併用がしやすい ダウンタイムが起こりにくい |
デメリット | 効果を実感するまでに時間を要する
頻度は少ないが肌のかゆみや赤みが生じることがある |
ピーリング治療は、ダウンタイムが起こりにくいのはメリットですが、レーザー治療と比べると効果を実感するまでに時間がかかる点はデメリットといえるでしょう。
内服薬・外用薬のメリットとデメリット
シミは内服薬や外用薬を用いてもアプローチが可能です。ただし、上記の治療と比較すると効果を実感するまでには時間を要するでしょう。上記の治療と平行して内服薬や外用薬を使用すると、より効果が期待できるとされているため、レーザー治療や光治療と併用して処方されることがあります。
5.美容外科でのシミ治療のポイント
シミ治療を美容外科で受ける場合、美容整形も視野に入れている方には大きなメリットとなります。同じクリニックでシミ治療と美容整形を行えるため、医師に相談しやすく治療計画も立てやすいでしょう。
ただし本来、シミは皮膚科医の専門分野であるため「シミだと診断されたが実は別の皮膚疾患だった」という可能性もゼロではありません。美容外科であっても、皮膚に関する知識や診察の経験が豊富な医療機関を選ぶようにしましょう。
6.美容皮膚科でのシミ治療のポイント
美容皮膚科では、皮膚を専門とし、皮膚に関する知識に長けた医師に診てもらえるのがメリットです。シミに似た別の皮膚疾患を見分け、適切な対応をしてもらえる点も安心できます。
また、一般の皮膚科では網羅できない「老人性色素斑」や「肝斑」などの保険適用外のシミにも、幅広く対応しているため、シミの悩みを相談しやすいでしょう。
まとめ
美容外科と美容皮膚科の大きな違いは、もとの専門分野が異なる点です。美容外科は形成外科の分野の医療技術があり、主にメスを使用して顔の造成を整えて美を追求することができます。一方の美容皮膚科は、皮膚を専門とする医師が治療にあたるため、肌の状態を総合的に診て皮膚疾患を判断できるのが特徴です。双方の特徴をふまえ、自分はどちらでの治療が合っているのかを見極めて、美容外科か美容皮膚科のどちらかを選択していくと良いでしょう。
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