千里中央りょうこスキンクリニック 院長 西林 涼子先生へインタビュー。大阪府豊中市にある「千里中央りょうこスキンクリニック」は、皮膚や形成、美容に関するお悩みに保険診療・自由診療の両方で幅広く応えてくれるクリニックです。今回は、形成外科医の精鋭がそろうこのクリニックで院長を務める西林先生にお話を伺いました。患者様のみならず、医師からも「一緒に働きたい!」と絶大な信頼を得ている西林先生は、一体どのような想いで日々の診療にあたられているのでしょうか。
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ドクタープロフィール
千里中央りょうこスキンクリニック 院長
西林 涼子(にしばやし りょうこ)先生
関西医科大学卒業後、初期研修医として勤めた「市立豊中病院」で最優秀研修医賞を受賞。その後、総合病院の形成外科で勤務しながら、複数の皮膚科クリニックで非常勤医師として従事し、保険診療・自由診療ともに深い知識と技術を習得。2020年に事業継承という形で「千里中央りょうこスキンクリニック」を開院。
(経歴) 2009年 関西医科大学 卒業、市立豊中病院 初期研修医 最優秀研修医賞受賞 2011年 大阪大学 形成外科学教室入局、大阪船員保険病院(現:大阪みなと中央病院)形成外科 2012年 田附興風会 医学研究所北野病院 形成外科 2013年 大阪けいさつ病院 形成再建外科・美容外科 2017年 美容皮膚科・美容外科クリニック 院長 (資格) 日本形成外科学会認定 形成外科専門医 日本美容外科学会 美容外科専門医 日本抗加齢医学会認定 抗加齢医学会専門医 日本レーザー医学会 レーザー専門医 日本形成外科学会 レーザー分野指導医 下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施医 (所属学会) 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 日本美容外科学会 日本創傷外科学会 日本血管腫血管奇形学会 日本美容皮膚科学会 |
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医師としての背景 ~自分も患者様も幸せになれる医療を模索~
―――西林先生が医師を志したきっかけを教えてください。
私の父が整形外科医だったので、自然と医師を志すようになりました。それと、学生の頃から友人に悩みを相談されることが多かったことも関係しています。一緒に悩みを解決することで、本来の明るさを取り戻していく友人の姿を見て喜びを感じていました。そんな自身の性格を生かし、医師になって多くの人の悩みを解決したいと思ったのです。
その後、運良く医師になり、最初は消化器外科に行きたいと思っていました。ところが現場で月に何十回と当直に入られる先輩医師を見て、尊敬の念を抱く反面、将来のことを思うと自分にはこの働き方はできそうにない…とも感じて。体力面では男性医師にどうしても勝てませんし、自分が健康でないと患者様にも幸せを与えられないと思いました。
そこで、自分も楽しめて患者様にも幸せを提供できる道を模索し、形成外科を選択。手先の器用さという男女差の関係ない点で勝負できるのは、形成外科ならではの良さです。しかし今度は、形成外科は見た目の美しさにこだわる治療のはずなのに、「保険の関係でこれ以上治療できない」という保険診療の限界にぶつかりました。
美容の知識や技術があれば、患者様にも治療を選ぶ自由がある。そして、美容治療を選んでもらえたら、その先の健康的な美しさを提供できる可能性もある。このことに気づき、保険診療もおろそかにせず、美容医療もしっかり学ぶことを決意。形成外科で働きながら、非常勤医師として美容医療を学び始めました。
―――「千里中央りょうこスキンクリニック」は、新規開業ではなく事業継承という形でスタートされました。どのようにご自身の目指すクリニックにシフトされたのでしょうか。
事業継承するにあたり自分色をどう出すべきか、ジレンマはありました。しかし、千里中央はママ友や知り合いも多い慣れ親しんだ場所だったので、この地で事業継承の話をいただけたのは本当に幸せだったと思っています。それをバネに、既存のクリニックを自分の色に変えることに力を注ぎました。当時はまだ我が子も幼かったので、あの時期に継承の話がなかったら私はまだ開業していなかったかもしれません。
ただ、将来開業するために研修医時代から逆算して動いてはいました。医師3~4年目の時期から総合病院で通常勤務と並行して、皮膚科クリニックで非常勤医師として勤務。開業医さんからの非常勤勤務のリクエストはとにかく断らず、さまざまな現場を経験したことで皮膚科の開業医として必要な知識や患者様への接遇、スタッフとの関係作りや教育などを学べたことは良かったと振り返ります。
―――総合病院の勤務医とクリニックの非常勤医師を兼務されていた大変な時期、何が西林先生のモチベーションとなったのでしょうか。
開業したいという強い想いがあったからですね。どんな体験も絶対に役立つと思い、さまざまな現場で学ばせてもらいました。また、当時は若手の立場を生かして、開業医の先生方にたくさん質問したり、資料をもらったり。そのときにしかできないことを全力でやっていました。
美容医療への情熱 ~患者様の心に寄り添う診療を~
―――西林先生が、患者様と向き合う上で最も工夫していることは何ですか?
傾聴ですね。患者様はみな少なからず緊張しているので、患者様の話を丁寧に聞くことはすごく大事!2、3回と診察を重ねていくうちに患者様の緊張が徐々にほぐれて話をしてくれるようなると、すごくうれしいんです。患者様が言いたいことを言えて、何かしら知識のお土産を持って帰れたと思っていただけるよう診療にあたっていますね。
そうして築いた信頼関係が、治療の結果につながると思っています。例えば、オペが伴う美容医療の相談に来られた方の中には、オペを受けるつもりで相談に来られる方もいれば、もともと保険診療で通院していてオペは考えていない方もいます。ところが、初診でオペ相談に来られた方の約9割がその場でご成約いただけます。「西林先生だったらオペを任せたい」というお言葉をいただけるのは、やはり診察の中で信頼関係を築けているからこそだとありがたく思いますね。
―――西林先生の美容に対する向き合い方、モットーや哲学をお聞かせいただけますか?
『心療外科』という日本語はないけれど、美容医療には心療内科と形成外科を足した『心療外科』の側面もあると思っています。例えば、ニキビが一つできただけでも「外に出たくなくなった」「メイクするのがいや」といった経験は私にもありますし、外見と心は深くつながっていますよね。美容外科医は、患者様の見た目を良くも悪くも変えられる。だからこそ、“美容医療には心療外科の側面もある”と肝に銘じながらメス握らなければならないと常々思っています。
また、患者様が美容治療の世界に一歩踏み出すのに勇気を振り絞ったうえで来てくださっていることも忘れてはいけません。診療予約が取りづらい状況でもわざわざ都合を調整し、診察の日を長い間楽しみに待ってくださっているんです。だからこそ診察室では、患者様の貴重な時間を共有していることを忘れず、誠実に話を聞き患者様の想いに応えないと失礼になると胸に刻んでいます。
―――「千里中央りょうこスキンクリニック」には、どんな患者様に来てほしいですか?
美容医療に一歩踏み出せずにいる方々にお越しいただきたいですね。例えば、高い化粧品でスキンケアするだけでは不十分だと気づき始めた方や、自分のケアになかなか時間を取れない産後のママさん、育児が落ち着き時間に余裕はあるものの美容医療に足を踏み入れるのは怖い、といった方など。当院がある千里中央はファミリーの多いエリアで、まだ美容医療を経験したことがないママさんも多いと思うので。そういった方々と当院がマッチできれば良いと願っています。
あとは、怪我をした子どもさんですね。私にも小さい子どもがいますし、傷を残したくないという気持ちはよく理解できます。子どもの怪我はファーストタッチがすごく大事なので、傷痕を残さないよう私が最初に縫ってあげたいと思っています。アザの治療は保険診療ですが、見た目に関わるので美容にも通じていると考えます。アザが原因で心ない言葉をかけられたり、外見コンプレックスになったりしますからね。
美容医療に一歩踏み出せずにいる方々はもちろん、子どもたちのニーズにも応えたいという思いでやっています。
西林先生の強み ~精鋭医師を引き寄せる先生の人柄~
―――「千里中央りょうこスキンクリニック」では、多数の医師が在籍され、肌治療から比較的大きな手術まで幅広く治療をされています。優秀な人材をどのように集められたのでしょうか?
当院の顧問医師である高田章好先生とは不思議なご縁で、医局が一緒というだけで実は一緒に勤務したことはありませんでした。同じく医師である夫が高田先生と一緒に働いていて、プライベートなお付き合いの中で顧問医師になってくださるという流れになりました。美容医療業界は、次々に新しい施術が出てくる世界。しかし、開業医は孤独になりがちで、勉強や技術の研鑽がしにくくなることも経験上知っていました。そこで、いくつものクリニックに勤務経験のある高田先生が外から新しい情報を入れてくだされば、自分の成長につながると思ってお願いしました。
他の先生に関しては、私がお声かけしたわけではなく、当院での勤務を希望された先生方なんです。募集をしているわけではないのですが、クリニックの見学に来られる先生方も多く、今では受け入れる枠がなくお断りしているほど。たくさんの先生方に何か学べるクリニックだと思ってもらえているようなので、すごくありがたいですね。
形成外科の専門医が5~6名いるクリニックは本当に珍しいと思います。形成外科の医師自体少ないのに、さらにその中で日本形成外科学会認定 形成外科専門医はとても少なくて。これほどの先生がそろっていることは、当院の強みだと思っています。
―――勤務されている先生方は西林先生のビジョンやコンセプトに魅力を感じられたのだと思いますが、どのようなブランディングをされたのでしょうか?
お恥ずかしながらビジョンに合わせて行動してきたわけではないんです。大手クリニックのようにマーケティングをしっかりやっているわけではなく、クレドやビジョンといった言葉も経営塾に行って初めて知ったほどでした。今思えば、ビジョンをしっかり掲げていた方が一緒に働く仲間もついて来やすかったなと思うことはあります。でも実際は、走りながら試行錯誤していく中で、一緒にやりたいと言ってくれる方を受け入れながらどんどん大きくなってきたという感じです。
その中でも、傾聴やなるべく患者様の要望を断らないことなど、私の理想とする医療については日ごろから話していました。大きなビジョンがなくても、“患者様を絶対に笑顔にして帰ってもらう”ことを繰り返しているうちに、先生方が集まってくれたのは本当にありがたいことです。当院に来てくれた先生には、自分のやりたいことをさらに見つけてほしいですね。
美容医療業界の今後の動向と期待 ~人生に伴走できる主治医を目指して~
―――西林先生が美容の世界に入られた時代と今とでは、業界も大きく変化したと思います。先生が課題に感じられていることはありますか?
やはりSNSの登場は良くも悪くも影響が大きかったと思います。SNSの活用でブランディングのしやすさは格段に上がりましたが、本当に技術のある先生でもブランディングが上手くなければ埋もれてしまうし、逆に技術力に関わらずブランディングが上手ければ集客できてしまう…。これは情報を発信する側と受け取る側両方の課題で、正しい発信が正しくマッチしてほしいなと願います。
私自身も情報発信は苦手な方ですし、広報チームも少人数なので当院にとっても発信は課題です。私たちの発信を見て来てくださる患者様も多いので、SNSと上手く付き合っていきたいです。
―――医師の技術の研鑽についてお聞きします。西林先生は、クリニックの見学はいつでも受け入れるというスタンスでいらっしゃいますが、どういったお考えがあるのでしょうか?
私はいつでも見学OKというスタンスですが、昔の先生は見学NGな方も多かったですね。私が見学ウェルカムな理由の1つは、私の技術は見ただけで100%盗めるようなものではないと思っているから。もう1つは、見学でヒントを得たことを基に自分色にアレンジすることこそ技術向上だと思っているからです。
見学に来てくれた先生たちが、その先生独自のアレンジを加えて技術を向上させてくれれば、私1人で治すよりももっと多くの患者様を治せますよね。喜ぶ患者様も増えるし、私1人ではなし得ないことがどんどん増えていく。これは基礎研究や薬の開発に似ていて、目の前の1人の患者様を救うことも大事ですが、その後ろにいる大勢の患者様を救うためにできることをしているまでです。
当院は医師の数も多いので、3~4ヶ月に1度はそれぞれの得意分野を持ち寄って院内勉強会をしたり、メーカーさん協力のもと実技練習をさせてもらったりしています。最近では若くても腕のある後輩医師が多いので、変なプライドは捨てて技術を教えてもらうことも。その代わり「いつでもうちに見学に来てね」と、お互いがwin-winになるように努めています。技術を研鑽する上では、ギブアンドテイクが大事です。
患者様に対してだけでなく、同業者の医師に対しても誠実であることは大切。技術の研鑽を積むにしても、自分が知識を得るばかりではなく、与えることも意識しなければなりません。自分のやったことは巡り巡って自分に返ってきます。そういう意味で、すべては自己責任ですね。
―――西林先生ご自身の今後のビジョンと、美容医療業界の今後についてのビジョンをお聞かせください。
私自身の今後のビジョンは、一生その患者様に寄り添える主治医でいたいということですね。患者様にトータルで寄り添って、一緒に年を重ねていける駆け込み寺のような存在になりたいと思っています。どこか特定の分野だけを診るのではなく、外見から内面まで深く広く理解したい。そのための勉強は範囲も広くてとても大変ですが、それが患者様をトータルで救うことになるのであれば全く苦ではありません。
美容医療業界の今後については、もっと交流があれば良いなと思っています。先述のとおりSNSのマーケティングも大事ですが、美容医療業界の医師みながある程度のクオリティーを保てるよう勉強会や意見交換ができるのが理想。不幸せになる患者様がいなくなるような取り組みができればと常々思っています。
読者や患者様へ向けて伝えたいメッセージ ~自分自身の輝きを見つけるお手伝いを~
―――最後に、患者様へのメッセージをお願いします。
SNSで流れている美しさに、どうかとらわれないでほしいと伝えたいです。ご自身のコンプレックスが実は武器になるかもしれないし、あなたにはあなたなりの輝きがある。私はそこを活かしながら、原石を輝かせる美容医療をしたいと思っています。生き方が美しさとして表れるので、SNS上の美の基準にとらわれず、自分の輝きを見つけてほしいです。そのために私たちが寄り添えることがあるなら、いくらでも手伝わせてほしいと思います。
―――これから美容の世界を目指す医師や若手医師にもメッセージをお願いします。
美容の世界はキラキラしているように見えますが、すごく泥臭い部分もあります。とくに競争が激化している世界なので、来るなら覚悟を持って来てくださいと伝えたいです。
美容医療はマイナスの状態をゼロ=健康な状態に戻すという保険診療のベースの上に、プラスで重ねることなので、やはり保険診療はある程度できた方が強い。マイナスからゼロまで持っていく過程を知らずして、上に積み上げることはできませんよね。なので、美容医療でプラスにすることばかりにとらわれていると、大事なことを見落としてしまうことは少なくありません。
保険診療を十年やれとは言いませんが、ある程度の知識を持った上で美容医療の世界に入る方が、できることの幅が広がります。ぜひ、真面目に誠実に取り組んでほしいと思います。