傷跡もアートメイクで修正できる?医療アートメイクでできることとは?

傷跡もアートメイクで修正できる?医療アートメイクでできることとは?

ストレッチマークにケガや手術の傷跡、リストカットの跡など、体にできた傷跡を「目立たなくできたらいいのに……」と悩む方もいるでしょう。実は、これらの傷跡の修正には「アートメイク」が役立ちます。アートメイクと聞くと、眉やリップを理想の形・色に整える美容を目的とした技術を思い浮かべるかもしれません。そこで本記事では、アートメイクによる傷跡修正について解説。どのような傷跡に効果が期待できるのか、また注意点についてもお伝えします。長年、体にできた傷跡に悩んでいる方にとって、新たな施術の選択肢となるはずです。

1.医療アートメイクとは?

出典:photoAC

医療アートメイクとは、皮膚の浅い部分の表皮にあたる0.02mm程度の箇所に、専用の針や機器を使用して色素を注入する施術です。アートメイクと似た施術にタトゥーや刺青をイメージする方も少なくないでしょう。アートメイクとタトゥーとは、手彫りと機械彫りがある点は共通していますが、色素を入れる範囲が異なる点です。タトゥーは、皮膚の深い部分1~2mmの箇所にある真皮層まで色素を注入します。
また、表皮はターンオーバーが行われる箇所のため、アートメイクを施した箇所は2年ほどで退色します。一方タトゥーは肌の真皮に着色を施すため、半永久的に色が抜けません。個人差はありますが、施術時に感じる痛みも両者では異なり、アートメイクのほうが痛みは少ないといわれています。

■アートメイクは医療行為

アートメイクは医療行為にあたり、医療機関でのみ施術が認められています。医師または医師の指示のもと看護師や准看護師が施術を行わなければなりません。
以前は個人サロンなどでも施術が行われていましたが、2001年11月8日より、資格を有しない人が施術を行った場合、医師法17条に違反するとされています。しかし、価格の安さにつられて違法サロンに行ってしまう方がいることも現状です。正しい知識や設備のない違法サロンで受ける施術にはリスクが伴うため、注意しましょう。

2.医療アートメイクは傷跡修正もできる!

アートメイクと聞くと、眉をきれいに整える・唇の色付けをして魅力的なリップにするなど、美容目的で行うイメージを抱く方も多いですが、アートメイクの技術を活用して傷跡修正をすることもできるのです。
医療アートメイクでの傷跡修正は、傷の箇所を周囲の肌色となじませ、傷跡を分かりにくくする技術です。以下では、医療アートメイクでは、どのような傷跡を修正できるのかについて解説していきます。

3.医療アートメイクで傷跡修正できるケース

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医療アートメイクで、傷跡を目立たなくする「傷跡修正」が可能なケースを紹介していきましょう。

■ストレッチマーク

肉割れや妊娠線とも呼ばれる、ひび割れ状の筋です。ストレッチマークは、正式には「線状皮膚萎縮症」といいます。妊娠や成長期をはじめとする急激な体重増加や、体型の変化に皮膚の成長が追いつけず、皮膚が無理に伸びてしまうことで現れる症状です。
ストレッチマークは赤みを帯びた状態であれば、レーザー治療も有効です。しかし、時間の経過とともに白っぽくなってしまった場合には、アートメイクによる肉割れや妊娠線の修正が向いています。

■白斑

白斑は「白抜け」とも呼ばれ、正式名称は「尋常性白斑」といいます。皮膚にあるメラノサイトが減少してしまうことで、皮膚の一部が白く抜けてしまったように見える後天性の病気です。医療アートメイクでは、白斑の部分に色素を注入して白い部分を目立たなくしていきますが、高い技術力を要するため、実績が豊富な施術者に依頼すると良いでしょう。

■リストカット跡

リストカットとは、カミソリやカッターなどで自らを切りつける自傷行為です。手首の内側にあり人目につきやすいリストカットも、医療アートメイクを施せば肌色に近くなり、傷跡が目立たなくなります。

■乳頭切除跡

主に乳がんなどが原因で、乳頭や乳輪を切除した方に向けたものです。アートメイクで色素を入れることで、失われた乳頭や乳輪があるように見えます。

■ケガ・やけど・手術跡

ケガややけど、手術などの傷跡もアートメイクによって見えにくくなります。ただし、施術を受けられるのは、すでに炎症がおさまった傷です。アートメイクが可能となる傷跡は、傷を負ってから6ヶ月以上を経過していなければなりません。また、ケロイド状の傷跡の場合は施術を受けられないため注意しましょう。

■黒ずみ

メラニン色素の沈着によって起こる肌の黒ずみにも、アートメイクは有効です。黒ずみの箇所に肌色の色素を注入し、周囲の肌色となじませて目立たなくする方法で行われます。

4.傷跡修正のためのアートメイクを受ける際の注意点

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アートメイクは、肉割れやリストカット跡など、さまざまな傷跡の修正に効果が期待できます。施術は短時間で済み、痛みが少ないのもメリットです。しかし、アートメイクにもデメリットや注意点があります。以下で具体的に挙げていきましょう。

■ダウンタイムや副作用が想定されている

個人差がありますが、数日~1週間ほどにわたり、腫れ・内出血・赤みなどのダウンタイムが想定されています。また、あざ・色素沈着、針や色素からのアレルギー反応などの副作用にも注意が必要です。

■一度の施術では定着しにくい

アートメイクで注入する色を定着させるには、一度の施術では難しいのが現状です。傷跡を周囲の肌色となじませ、目立たなくするには2~3回の施術を受けるのが望ましいでしょう。複数にわたり施術を受ける場合、1回目の施術から2回目までは3週間以上空けるのが一般的です。

■効果が永久に持続しない

アートメイクは表皮に施すため、肌のターンオーバーに左右されます。月日が経つと色が薄くなるため、1~1年半の間隔で色のリタッチをする必要があります。

■アートメイクを受けられない症状や疾患がある

アートメイクは、以下のような体の状態によっては施術を受けられないケースがあります。

  • 妊娠中や妊娠の可能性がある方
  • 血液疾患や免疫疾患がある方
  • 重度の糖尿病および合併症がある方
  • 重度のアトピー性皮膚炎の方
  • 重度の金属アレルギーの方
  • ケロイド体質の方

以上のような状態や疾患のある方は、施術が難しいとするクリニックが多い傾向です。このほかにも、自身の体について不安のある方は医師に相談すると良いでしょう。

■術後に避けるべき行動がある

アートメイクを受けたあとは、注入した色素が抜けてしまうのを避けるため、以下は避けるのが望ましいとされています。

  • 飲酒
  • サウナ
  • 温泉
  • 激しい運動

また、手術当日はシャワー浴のみで済ませます。顔に施術した場合は、2週間はメイクを控えることが望ましいでしょう。

5.傷跡修正アートメイク・スカーレスとは?

現在、傷跡修正の医療アートメイクとして着目される技術が、韓国を発祥とするスカーレスです。その中で、「Skin52」という施術方法および機器が、多くのクリニックで導入されています。Skin52は、傷跡の部分に肌色の色素を注入して、傷跡を目立たなくするものです。傷跡を完治させる目的ではなく、傷跡周辺の肌色となじませて自然な見た目に近づけることを目的としています。

■Skin52の特徴

Skin52の施術内容は、AI技術を持つアプリ「Skin52 STP」を使い、肌色に合わせた色をオーダーメイドで調合するものです。測定器を肌にかざし、肌カラーを判別。判別結果をスマートフォンのアプリに入力すると、候補となるカラートーンが示されます。カラートーンは95%以上のマッチングが可能で、63色のカラー(2024年4月現在)から、肌に適した色が選ばれる仕組みです。

Skin52は痛みが少なく、基本的には麻酔も不要。施術箇所により異なりますが、施術時間は15~30分程度と、短時間で済むのが特徴です。
医療アートメイク「Skin52」が対応可能な部位は、肉割れや妊娠線などの出やすい、お腹・太もも・お尻・ふくらはぎ・二の腕・腰回り・バストなどです。傷跡については、フェイスリフトや切開、脂肪吸引などを行った顔や、リストカットややけどなどを負った腕などが挙げられます。

■Skin52を希望するならクリニックへ相談を

医療アートメイクのSkin52で、自分に合った肌色を選び、傷跡を目立たなくしたいという方は、講習を受講した技術者による施術を受けられるクリニックを選ぶのが望ましいでしょう。
アートメイクは、人体に色素を注入する繊細な施術です。体にトラブルが起こるのを防ぐためにも、カウンセリングを念入りに行い、施術から術後のケアまでトータルで診てもらえるクリニック選びが重要です。

■まとめ

医療アートメイクは、ストレッチマークやリストカット、手術痕などの傷跡修正の方法としても注目されています。アートメイクは、肌にできた跡の悩みや、病気や手術が原因でできた傷跡により精神的なショックを受けている方の心の支えになる技術です。韓国が発祥の「Skin52」では、AIを駆使してカラートーンのマッチングができ、より肌になじむ色を注入できます。肌の傷跡に悩む方は、適切な講習を受けた施術者が在籍するクリニックを選ぶようにしましょう。

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