マンジャロダイエットってキケン?サクセンダとの違い・実際の体重変化をレポ

マンジャロダイエットってキケン?サクセンダとの違い・実際の体重変化をレポ

今、世界中でブームとなっている医療薬ダイエット。2023年には新薬のマンジャロが登場し、今年は日本でおよそ30年ぶりに保険適応となる肥満治療薬が発売されるなど次々に新しい動きを見せています。これだけブームになっているなら、ぜひ試してみたい……!という方も多いはず。しかし医療ダイエット薬が身近な存在となった現在に至るまでに、数え切れないほどの薬が開発され、進化を遂げてきたことをご存知でしょうか。そこで今回は、医療ダイエット薬の歴史や特徴を解説。また、話題のマンジャロを筆者が体験してみた結果をレポートします。

※なお、目的外治療・投薬を安易におすすめしている記事ではありません。実際に痩せることができたものの、注意点もあるお薬だと思うので、医師の診察を受けずに内服することなどがないように、注意喚起も含め執筆をしておりますこと、ご理解ください。

医療ダイエット薬の歴史とブーム

医療ダイエット薬とは、医師の指導のもと処方される減量治療のための内服薬・注射のこと。薬の力を借りて食欲を抑えたり、脂肪・糖の吸収をコントロールしたりして、食事制限がツライ、運動がキツイという方でも痩せられるようにサポートするものです。もともとは高度肥満や糖尿病の治療に使われる薬のため、日本では病気がない方がダイエット目的で導入する際は自由診療となります。医療ダイエット薬は、大きく分けて4つのタイプに分類されます。

国内における医療ダイエット薬の歴史は、アメリカで開発された食欲抑制剤サレノックスが1992年に初めて抗肥満薬として承認されたことから始まります。同時期には脂肪吸収抑制剤のゼニカル(成分:オルリスタット)も登場し、肥満治療に用いられてきました。
2010年には国内初のGLP-1受容体作動薬ビクトーザ・サクセンダ(成分:リラグルチド)が2型糖尿病治療薬として登場。また2010年代は糖を吸収抑制するSGLT2阻害薬の発展も著しく、2014年~2020年にかけてルセフィ・スーグラ・フォシーガなど数種類の薬が承認されています。

そして医療ダイエット薬がブームとなった2020年代、ビクトーザ・サクセンダの成分違いかつ進化版となるオゼンピック(成分:セマグルチド)が発売。翌年にはこれまでなかった経口投与タイプのGLP-1薬リベルサスが登場し、これらと併用することでより効果が高まるとSGLT2阻害薬にも注目が集まります。この辺りからSNSを中心に、医療ダイエットが多くの人の目に触れるようになりました。

さらに決定的なできごとが、2021年に米食品医薬品局(FDA)によって、セマグルチドを糖尿病のない肥満患者へ投薬しても良いと初めて認められたことです。これを皮切りに世界各国でブームが巻き起こり、2023年には世界初のGIP/GLP-1受容体作動薬マンジャロ(成分:チルゼパチド)が発売。アメリカで爆発的に人気となり、一時期日本では出荷制限がかけられるなど入手しにくい状況が続きました(2024年6月出荷制限解除)。そして現在、アメリカやヨーロッパ、韓国などではGLP-1受容体作動薬は肥満治療薬として承認され、医療ダイエット薬として普及しています。

一方、日本はこれまでGLP-1薬を肥満治療薬としての承認はせず、副作用や倫理的な観点から自由診療の医療ダイエットには推奨していませんでした。しかし2024年3月に、セマグルチドを主成分としたGLP-1薬ウゴービが肥満治療薬として承認されたのです。国内で保険適応の対象となる肥満治療薬は、1992年に発売されたサノレックス以来。つまり、持病がない人の医療薬ダイエットは推奨していないものの、わが国でもGLP-1薬が減量治療薬として有効であると認められたということです。

このように医療ダイエット薬をめぐる開発と承認が繰り返されたことで、現在は副作用が少ないもの、より手軽に投薬できるものなど、多くの選択肢から自分の体質や生活に合ったものを選べるようになりました。ただし市販のサプリメントとは違い、服用には十分な注意が必要です。ブームになったことでオンラインで購入できるサイトもでてきましたが、個人輸入された薬には危険も伴います。それぞれの薬のメリットデメリットを理解し、用量・用法を厳守、経過の管理もきちんと行ってくれる信頼できるクリニックから処方してもらいましょう。

そもそもGLP-1受容体作動薬とは?

2019年ごろに市場に現れたGLP-1薬。もともとは糖尿病2型用の治療薬として開発されました。なぜGLP-1は痩せるのか?そのメカニズムや、マンジャロとマンジャロ以外のGLP-1薬の違いを見ていきましょう。

GLP-1で痩せるメカニズム

GLP-1(グルカゴン様ペプチド−1)は私たちの体内に存在するホルモンの一種で、普段、食事を摂った際に小腸から分泌されています。分泌されたGLP-1は腸内だけでなく、膵臓、脳、胃、肝臓、心臓、脂肪など体じゅうに分布するため、幅広い効果を得られるのが特徴です。GLP-1の主な作用は以下の3つ。

<GLP-1の効果>
1.インスリンの分泌を促し、血糖値を下げる
2.胃の動きを抑制し、満腹感を持続させる

まず、太る原因の1つに血糖値の急上昇があります。膵臓から分泌されるインスリンは糖の吸収をサポートし、筋肉などのエネルギー源に変換することで血糖値を下げます。その際、インスリンが処理しきれなかった余分な糖はすべて脂肪として蓄積。これが炭水化物やスイーツの食べ過ぎで太るとされる原因です。

GLP-1はインスリンの分泌を促すことで血糖値を下げ、さらに血糖値を上げるホルモン「グルカゴン」の分泌も抑制。余分な糖ができるのを防ぎ脂肪を溜め込ませず、太りにくい体へと導きます。
そしてGLP-1が優れているのは、胃腸のぜん動運を遅らせることでも血糖値の上昇を防ぐという点。これにより空腹を感じにくく、少ない食事量でも満足できるようになります。また、食欲などをつかさどる中枢神経にも作用し、食欲そのものを抑える効果も期待できます。

このようにダイエットにうれしい効果がたくさんあるGLP-1ですが、実は体内で自然に分泌するGLP-1は3分ほどで分解されてしまうのが弱点でした。GLP-1の分泌量は個人差もあり、分泌が少ない人ほど太りやすい傾向にあります。
そこで、GLP-1の作用が持続するように分解酵素を阻害させ、アミノ酸配列の構造を変化させたのがGLP-1受容体作動薬。一般的に、薬の効果は使い始めてから2~3ヶ月ほどで実感できると言われており、美容医療では無理な減量は目的とせず、健康的で少ない食事で満足できる習慣を身につけることを目標に治療を行っていきます。

従来、インスリンそのものを補う薬もありましたが、その特性から低血糖や体重増加のリスクもありました。その点、GLP-1は食事したときだけ発生するため低血糖のリスクも少なく、つらい食事制限をしなくても良いため無理なく続けることができます。
血糖値をコントロールするダイエットは、食事や運動に気をつけることでも実現は可能です。しかし、自制のみで管理するのは難しく、だからこそダイエットに苦労する人が多い。GLP-1受容体作動薬は、食べるのが好き、やめられない、食事制限が続かないという人には夢のような薬と言えます。

マンジャロとその他GLP-1薬の違い

2023年に世界で初めてつくられたGIP/GLP-1受容体作動薬のマンジャロ。GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)もGLP-1と同様に小腸から分泌されるホルモンです。GIPはこれまで脂肪合成を助けたり、グルカゴンを促進させて血糖値を上げたりと、GLP-1とは反対の作用があることから今まで注目されていませんでした。

しかし研究が進めれた結果、GIPの濃度を最大限まで上げると食欲抑制・満腹感の持続・脂肪分解などの効果が得られると判明。GIP/GLP-1受容体作動薬のマンジャロは、GIPとGLP-1の両方に作用することから、従来のすべてのGLP-1薬を上回るHbA1c(糖化ヘモグロビンの濃度)の低下、体重減少効果を期待できます。

なお、同じ注射タイプのGLP-1薬ビクトーザ・サクセンダ・オゼンピックにおいては、投与量によっても差はありますが、ビクトーザ・サクセンダよりも、オゼンピックのほうが効果が強いことも分かっています。

GLP-1受容体作動薬の投与方法

GLP-1受容体作動薬には、注射タイプ服用タイプがあります。薬の種類によって特徴が異なり、ライフスタイルに合わせて選べるのが特徴です。また、いずれの種類も最初は副作用が出ることもありますが、一時的なもので徐々におさまります。もし長く続く場合は、必ず医師に相談しましょう。

注射タイプ

注射タイプはいつでも好きなタイミングで投与できるのがメリットです。ただし、毎日打つタイプはなるべく決まった時間に投与しましょう。投与後、数時間で満腹感が感じられるため、朝や午前中のうちに打つと夕食の食事量を抑えられます
脂肪が多い腹部、太もも、上腕に注射し、針を刺したら6秒以上押し当てたままにして注入完了。投与量は最小量からスタートし、医師と相談しながら間隔をあけて徐々に増やしていくのが一般的です。

種類 回数 注射タイプ 容量 増量の間隔
ビクトーザ 1日1回 ダイヤル式 0.3~1.8mg 1週間ごと0.3mgずつ
サクセンダ 1日1回 ダイヤル式 0.6~3.0mg 1週間ごと0.6mgずつ
オゼンピック 週1回 ダイヤル式 0.25~1.0mg 4週間ごと0.25mgずつ
マンジャロ 週1回 1回使い切り 2.5~15mg 4週間ごと2.5mgずつ

服用タイプ

2024年7月現在、服用できるGLP-1薬はリベルサスのみ。リベルサスは注射が苦手な方や痛みを避けたい方には適していますが、服用に制限が多いため、忙しく時間が取りにくい方は注意が必要です。また、食べ過ぎた日にだけ使うというやり方は効果を実感しにくいため、継続して服用することも大切です。

種類 リベルサス
回数 1日1回1錠
制限 ・起床時など飲食する前に服用すること
・120ml以下の水で飲むこと
・服用後30分は飲食不可
容量 3・7・14mg
増量の間隔 4週間ごと

NERO編集者も体験!「マンジャロダイエット」の成果レポ

30代女性であるライターはBMI22~25を行ったり来たりする万年ダイエッターで、体重管理に悩まされてきました。
医療ダイエット薬に出会ったのは5年前。まずはサレノックスを試したのですが、食欲は抑えられたものの副作用の頭痛や吐き気がつらくて続けられませんでした。ゼニカルは仕事の形態上、副作用に怯えながら生活するのがイヤで手を出せず。GLP-1薬が登場したときはサクセンダを試してみて、効果を感じたものの若干の副作用があり、これも続けられなかったんです。
そんな中、マンジャロの発売を知ってすぐにかかりつけのクリニックに駆け込みました。まず週1回の注射でいいので管理がラク。副作用も感じず、続けてみることにしたんです。期待通り、徐々に食欲も減り、少ない量で満足できるように。その後とくに問題もなく3ヶ月ほど続けたところ、気づけば5キロ痩せていました! ほとんど運動も意識してなかったので、この結果にはびっくり。
ただ、このタイミングで胃腸風邪を引いてしまい、診察を受けた際に「胃腸の動きが弱くなっていますね」とのことで、一旦マンジャロは休薬することにしました。
「たしかに、食べる量が極端に減ったことで、もしかすると胃腸の動きは悪くなったかもなあ」「脂っこいものなどを食べると、オエっとなるもんなあ」と、自覚症状もあったので、長期的にずっと続けるものではないかもしれないなと思ったのも事実。
しかし一旦ドカンと減量できたことと、食事制限が習慣になっていたことで、大きなリバウンドもなく過ごせたのは良かったポイントです。

試して分かった「マンジャロダイエット」の注意点

実は私の場合、両親がどちらも糖尿病になってしまっていて。将来の予防も含め、今からきちんと体重管理をしたいと思ってダイエットを始めたのがきっかけでした。マンジャロやサクセンダなど、医療ダイエットの薬は本来糖尿病患者に向けて処方されるものです。薬の中には国内未承認のものもありますし、今はオンライン診療も主流。しかし自己判断や間違った投薬で痩せすぎや拒食になる可能性もあると考えると、やはり医師の診断と、経過を診てもらえる環境はあった方が良いと思います。

まとめ

目まぐるしく発展した医療ダイエット薬の歴史。リスクを認識しつつも、新薬で成果を出せたことには驚かされる結果になりました。とくに将来の病気リスクに備えたい私には、ダイエットの終わりが見えてぴったりの内容でした。
しかし、日本では肥満治療薬としての実績はまだ発展途上です。本来の目的でない薬を使うことの責任は患者が持ちつつ、とはいえ自己判断で使わないよう、医師に相談の上でスタートしましょう。また、体調が悪いときは中断する勇気を持ち、効果が感じられなくても勝手に増量しないなど、用法・容量はしっかり守ってくださいね。

・当サイトは、美容医療の一般的な知識をできるだけ中立的な立場から掲載しています。自己判断を促す情報ではないことを、あらかじめご了承ください。また、治療に関する詳細は必ずクリニック公式ホームページを確認し、各医療機関にご相談ください。
・本記事は、執筆・掲載日時点の情報を参考にしています。最新の情報は、公式ホームページよりご確認ください。
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