NEROでは、美容医療に関連するニュースやトピックを5秒でわかる内容にしてお届けします。今回のNews Topicsでは、医療脱毛大手アリシアクリニックが約124億円の負債を抱え破産手続きを開始した件を取り上げる。この事例を通じて、美容医療業界における「自転車操業」の仕組みや、前払い金を伴う契約のリスク、業界全体への波及効果について詳しく解説する。また、消費者が知っておくべきポイントや企業が抱える構造的な課題についても考察する。
医療脱毛大手アリシアクリニックが2024年12月10日、東京地裁で破産手続き開始決定を受けた。負債総額は124億円を超え、債権者は9万人以上に上る。同社はかつて業界トップクラスの売上を誇ったが、コロナ禍や競争激化の中で2023年度に最終赤字へと転落し、過剰な店舗展開や広告費の負担が資金繰りを圧迫した結果、経営破綻に至った。
この事例を通じて、美容医療業界、とりわけ脱毛チェーンクリニックにおける「自転車操業」の構造や、前払い金を伴う契約のリスク、さらに業界全体への波及効果が明らかになった。特に、自由診療特有の前払い金システムに依存した経営構造がリスク要因となり、多くの契約者が施術未消化分の返金や対応に困難を抱えている。クレジットカードを利用した契約者は支払い停止や返金を求める「チャージバック」の申請が重要だが、これはカード発行会社の「権利」であり「義務」ではないため、返金が保証されるわけではない。契約書や施術記録といった書類の保管が対応の成否を左右する点にも注意が必要だ。
本件は、消費者保護と企業経営の透明性の欠如を改めて浮き彫りにし、消費者には信頼性の高いクリニックを選びリスクを軽減する手段を理解することが求められる。一方、企業はキャッシュフローの適切な管理や長期的視点での持続可能な経営モデルを構築する必要がある。また、美容医療業界全体としては、規制強化やガイドライン整備による健全な市場環境の確立が急務だ。今回の事例は、消費者が知っておくべき重要なポイントと、企業が抱える構造的課題を考察する上での一助となるだろう。
消費者が美容医療を選ぶ際のポイント
- 前払い金のリスク確認
返金保証や前払い金保全制度があるかを契約前に確認する。
- クリニックの財務状況をチェック
経営実績や運営の透明性を調べ、信頼できるクリニックを選ぶ。
- 契約内容の透明性を確認
不明点や不利な条件がないかを事前に確認する。
- トラブル時の対応策を把握
万が一の際にどう対応すべきか、相談窓口や返金プロセスを確認しておく。
- 信頼できる情報源を活用
口コミや第三者機関の評価を参考にする。
- 慎重な判断で安心を確保
安易な決定を避け、慎重に情報を集めたうえで契約を決断する。