NEROでは、美容医療に関連するニュースやトピックを5秒でわかる内容にしてお届けします。今回のNews Topicsでは、前回の記事で取り上げたアリシアクリニック倒産の社会的影響や消費者保護の課題に続き、Xやスレッズで寄せられた医師たちのコメントを通じて、経営モデルの危険性や業界全体への波及効果をさらに深掘りします。また、倒産後に展開されている救済措置や支援活動にも焦点を当て、業界として抱える課題と未来に向けた改善策を考察します。
医療脱毛業界の大手「アリシアクリニック」の倒産は、業界全体に大きな衝撃をもたらした。その背後には、前受金モデルに依存したビジネス構造の脆弱性と、急成長を目指す拡大戦略が「自転車操業」のように機能していた現状がある。多くの医師や関係者のコメントを通じ、業界の課題が浮き彫りになっている。
清和会理事長の白川裕二医師は「医療で最後に責任を取ってくれるのは医師を見て決めるのが根底にあるべきだ」と強調。
ビアンカクリニック理事長の堀田医師は「脱毛チェーンクリニックは経営戦略が通常の美容クリニックと異なり、バイアウトを前提とした自転車操業モデルに課題がある」と意見した。
また、大阪La Vie clinicの平松恵梨医師は「格安クリニックでは、人件費や諸経費を削減し、予約を詰め込みすぎることで治療の質を犠牲にしている」と警鐘を鳴らしている。
一方、倒産後の「救済措置」が広がっている点も注目される。HAABクリニック、Xクリニックなどでは脱毛難民への特別プラン提供し、他クリニックでも相次いで解雇されたスタッフ向けの雇用支援を行っている。
こうした支援の背後には、クリニック同士の競争が垣間見えるが、東京美容外科 統括院長 麻生泰医師は「救済措置を名目にビジネスチャンスとする姿勢は、倫理的な課題を孕む」として難色を示している。
さらに、業界全体の経営戦略やビジネスモデルに対する厳しい指摘も寄せられている。美容外科医の安本匠医師は「前受金に依存する経営では、契約者が増えるほど負債が膨らみ、最終的にはバイアウトか倒産しか道がない」と指摘。
また、SBCの相川代表は「無借金経営と透明性が安心をもたらす鍵である」と述べ、持続可能な経営モデルへのシフトの重要性を訴えた。
今回の倒産事例は、業界全体における「ビジネスモデルの限界」と「消費者保護の必要性」を再確認させるものとなった。持続可能で透明性のある経営体制の構築が急務であり、患者とクリニック双方が信頼できる環境を整えることが求められている。