医療法人敬愛会 ザナチュラルビューティクリニックグループ理事長 吉田由佳先生へインタビュー。吉田由佳先生は、糸リフトの第一人者として国内外で活躍されている医師。現在は、「ザナチュラルビューティクリニック」をはじめとする美容クリニックを銀座や恵比須、麻布十番などで5院展開する医療法人敬愛会の理事長を務められています。今回は、吉田先生が糸リフトを極めるまでの経緯や、分院展開の成功の秘訣、美容医療業界に対する課題などについてお話をうかがいました。
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ドクタープロフィール
医療法人敬愛会 ザナチュラルビューティクリニックグループ理事長
吉田 由佳(よしだ ゆか)先生
関西医科大学卒業後、「京都大学医学部附属病院」や「大阪赤十字病院」の形成外科で研鑽を積み、2004年に「はもり皮フ科」を奈良に開業。現在は、「はもり皮フ科」のほか、大阪・恵比寿・麻布十番の「ザナチュラルビューティクリニック」、銀座の「ビューティークリニックザギンザ」の3ブランド、5院を展開。糸リフトの第一人者として国内外で数々のセミナー講師を務め、医師への糸リフト教育にも尽力している。
(経歴) 関西医科大学卒業 京都大学大学院医学研究科形成外科学教室 入局 京都大学医学部附属病院 大阪赤十字病院 大阪府済生会中津病院 長浜赤十字病院 医療法人敬愛会 理事長 (所属学会) 日本形成外科学会 日本美容外科学会 |
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医師としての背景 ~形成外科、皮膚科を経て美容医療へ~
―――吉田先生がクリニックを開業されるまでの経緯を教えてください。
医学部卒業後に形成外科に入局して、5年間は一般の病院を転々と回らせてもらいながら学んでいました。ところが5年目の頃、出産を機に退職しました。今ではちょっと考えられませんが、妊娠出産と同時に退職するのが当たり前だった時代だったんです。
出産後に知人の不動産会社からクリニックの居抜き物件を紹介されたことを機に、2004年に奈良に「はもり皮フ科」を開業しました。その地域に皮膚科が全くなかったこともあり、初日から100名近くの患者さまが来院され苦労なく大盛況で始まった開業でした。
まったく苦労なく患者さまにも恵まれ日々充実して過ごしていたのにも関わらず、当の本人は皮膚科の診療のほとんどがステロイドと保湿剤の調整であることと、特にアトピー性皮膚炎のお子さんに処方したステロイドを使わない親御さんがあまりにも多いことに無力感を感じてしまう日々。
私は形成外科出身のため、見た目や皮膚をもっときれいにするにはどうしたらいいのだろう?という観点から診療をする傾向がありました。「ステロイドは怖いから外用したくないという人にも安心して使用できる処方はないか?」といろいろ試行錯誤し、当時は市販では手に入りにくかったセラミドやビタミンC誘導体を私なりに研究して院内で調合し肌の弱い方用のローションやクリームとしてお渡しすることにしたのです。あっという間に地域で評判となり遠方からも多くの方が診療所に押し寄せました。治療の外用薬ではなく毎日使える肌にいいものを皆さんが求めているという現実を目の当たりにしたことが今の私の第一歩だった気がいたします。
―――皮膚科を開業された後、美容医療の道を選ばれるターニングポイントとなったのは?
当時診療所を手伝ってくださっていたY先生から東京で行われる美容のセミナーに誘われたのがきっかけでした。形成外科と美容医療は似た分野ではあるものの、美容医療教育の体制はまだまだ整っていない時代、奈良から東京に出向かないと勉強できないことも多く田舎者の私にとって美容医療は驚きの連続でした。
毎月のように美容セミナーに行くようになり、その中で美容外科学会の会頭を務められた田中亜希子先生や2024年に若くしてお亡くなりになった居原田麗先生と仲良く過ごせた時間は私にとって一生の思い出となっています。この美容セミナーで美容医療を実践されている先生方との交流は今の私の土台となりました。形成外科医の私にとって顔面に対する美容医療は水を得た魚のごとくだったことも大きく後押しし開業して10年目、クリニックの拡大移転に伴い、午後だけ美容の診療時間にしてみることにしたのです。
―――吉田先生は現在、銀座、麻布十番、恵比寿、大阪、奈良でクリニックを展開されています。吉田先生のクリニックの強みは何だと思われますか?
最新の美容医療をいち早く取り入れている点がまずの強みだと思います。またスレッドリフト(糸リフト)を得意としている吉田由佳という技術者が法人のトップなのでその技術を学びたいということで入職してくださる先生方が多いことも強みの1つかもしれません。私たちも含め美容医療全体的にドクターの教育体制がまだまだ整っていないことはとても残念なことですが、時間をかけて先生方と切磋琢磨しながらスキルを上げていく瞬間は指導医としての生きがいとなっていて、在籍されている約15名のドクターと日々奮闘しております。
現在、私の原点である奈良の「はもり皮フ科」、大阪・恵比寿・麻布十番の「ザナチュラルビューティクリニック」、銀座の「ビューティークリニックザギンザ」の3ブランド、5院を展開する医療法人となりました。しかし、分院展開するたびに、全然患者様が来ない…どうしようと、通帳とにらめっこする日々が何度もありました。私は経営面でも当たり前ですがトップとしての仕事をしなくてはなりません。経営者としては本当にポンコツなので、今もなおトライアンドエラーを繰り返しております。
経営の失敗の経験の数なら人には負けない自信があるわたくしがなぜ5院も分院展開できているのか不思議なのですが、本質的なコアな部分は奈良の小さな診療所時代から変わっていない自負がございます。それは“ドクターとして最善をつくしたい”という強い思いです。法人をなんとか育てて頂けているのも、私の強い思いに皆様が賛同してくださっているからだとすると関わってくださっているすべての方に感謝の気持ちで心がいっぱいになります。
糸リフトとの出会い ~奈良から東京、世界で活躍するまでの軌跡~
―――吉田先生は糸リフトのプロフェッショナルでいらっしゃいますが、どのような経緯で糸リフトを極められたのでしょうか。
さまざまな技術を学ぶ中で、約15年前から私の糸リフトの歴史は始まります。当時は溶けない糸が主流でした。大きな転機となったのは、私にとって糸リフトの師匠となるイムジョンハク先生と出会い韓国の学会に参加させていただいたこと、さらに学会で最新の美容医療を知ったことでした。韓国は一般の方にも広く美容医療が浸透している美容先進国で日本の美容医療との差があまりにも大きく衝撃の連続でしたね。
当時の日本には、先端が尖ったタイプの針を用いた糸しかありませんでした。操作性が悪く、痛みや腫れが出たり、顔の目立つ部位にえくぼのようなくぼみができたり。また別の糸は側頭部に穴を開けて縫い付ける必要があるなど、“外科手術”でした。ところが韓国の学会で知ったN-FINDERSという会社のN-COG(エヌコグ)という糸は、カニューレと呼ばれる糸を挿入する細長いストローのようなパーツを使って小さな穴から簡単に処置できるもので腫れや皮下出血のリスクを抑えることができる革新的な糸だったのです。ダウンタイムを最小限に抑えられるだけでなく直後から満足のいく結果を得られ、フィラー(ヒアルロン酸施術)のような感覚で糸リフトができるようになる可能性を感じました。
その当時、日本でN-COGを知っているのは韓国の学会に参加した私を含む数名しかいないという状況でしたが、“これこそ求めていたスレッド(糸)だ!”と私には素敵な未来が見えた瞬間でした。
非手術でありながら満足度が高いリフト施術ができるスレッド(糸)に巡り合えたこと、N-FINDERSという会社と繋がれたことは、今考えても私にとって大きな出来事でした。韓国のドクターに教えてもらった手技に日本的なアレンジとデザインを加えてより満足度の高い施術を行うようになると「まずはドクター吉田の手技を見て勉強したほうがいい」と私を推して下さる国内外のドクターが増え、ここ数年はアジア各国でKOL*として情報を発信していく役目をいただくようになりました。
*KOL…Key Opinion Leaderの略。多方面に影響力を持つ医師のこと。
―――吉田先生が国内外でご活躍される中で、日本の美容医療に対する考えに変化はありましたか?
私が医師になった当時は、美容医療がネガティブに捉えられている時期でした。美容医療でのトラブル症例を大学病院で引き受けることもありましたし、先輩医師からは“美容医療には行ってはいけない”と研修医のときに口酸っぱくいわれたのを覚えています。
私が開業医になってしばらくは一般診療で忙しかったこともあり、美容のセミナーに出る余裕はありませんでした。でも時を経て、美容のセミナーで美容医療の先生方にお会いしてみると、長年すり込まれてきた“美容医療=悪いこと”が偏見であると気づいていったのです。美容医療に携わる先生方は、患者さまの“きれいになりたい”という想いを達成するために、すごく努力をされていると実感しました。
病気の人を健康な状態にする保険診療の患者さまは、“patient”(ペイシェント:患者・我慢という意味もある)であり、例えば治療に痛みや腫れが伴っても文字通り我慢してくださることが多いんです。でも、美容医療の患者さまは“customer”(カスタマー:顧客)であって、痛みや腫れなどは極力抑えて満足いただける仕上がりにしないとクレームにもなる。同じ医療であっても、保険診療と自由診療の美容医療はまったく別の分野であると感じています。
また、欧米やアジアの学会にも参加するようになってから、日本の美容医療に対する捉え方が大きく変化しました。日本の美容医療に携わる医師は、出血や腫れをできるだけ抑えつつ、施術直後から効果が感じられるようどの先生も努力されています。でもこれは、海外では当たり前ではありません。医師が患者さまにこんなにも愛情や思いやりを持って接しているのは日本の特徴ですし、海外からは驚かれる点です。
さらに、糸リフトの患者さまはほとんどが女性であるにもかかわらず、海外には糸リフトを扱っている女性医師はほとんどいません。患者さまが望む“自然な仕上がり”と医師が求める“手技による変化”のギャップが、お互いの性別の違いで広がる場合も多い。私は海外では数少ない糸リフトを扱う女性医師として、患者さまが治療結果に満足できるようこの点についても啓蒙していかなければならないと感じています。
日本人の感覚はとても繊細で、手先も器用です。それだけでなく日本人が無意識に持っている人を思いやる心は、医療に限らずさまざまな分野で“MADE IN JAPAN”を価値あるブランドにしてきたのだと思います。加えて、私は女性医師ということも相まって、海外の学会からよくお声がかかります。症例を見せても「吉田先生の症例はきれいだ」といっていただくことも多く、日本人女性医師である私という存在が良い教材になっているのだと思います。
美容医療業界の今後の動向と期待 ~高い倫理観が保たれる環境を~
―――吉田先生が感じられる美容医療業界の課題は?
ビジネスと医療のバランスはとても難しい課題です。美容医療に限らず、ベッドの稼働率や手術や検査の件数は、病院を運営していく上で重要な要素です。でも、医療の原点は“誰かの病気を治したい”という純粋な志だったはず。どんな医師でも、その志を忘れてはなりません。費用が高額になりがちな美容医療では、とくに患者さまに費用を払っていただくことに対する倫理観を持ちすぎるぐらい持ったほうがいいと思っています。
最近よく話題になる直美(ちょくび)*にも、直美を選ぶ背景があると思います。保険診療はどんどん保険点数を下げられており、薬も医師に処方してもらわなくてもドラッグストアで手軽に入手できる。とくに私の専門である皮膚科や形成外科の領域は、次第に淘汰されていくだろうと感じた瞬間もあります。
保険診療自体がこれからも成り立つのか不安な状態で、自分が目指した医療ができるのか疑問に思う医師も少なくないでしょう。海外のように医師の報酬がすごくいいわけではありませんし、過酷な労働に対する報酬が少なすぎると感じる医師もいるかもしれません。だからこそ、一般診療で医師がしっかり生活していける環境を整えるべきだと思います。
*直美(ちょくび)…保険診療の経験なしに自由診療である美容医療に進む医師を指す言葉。「直接美容医療」の略称。
―――今後の美容医療の発展について、吉田先生はどのような期待をされていますか?
美容医療が、希望する人なら誰でも受けられる身近なものになってほしいと思っています。20年前私が経験したのは、美容医療に対する偏見に満ちた時代でした。今はSNSで美容医療の手術報告やダウンタイム中の姿を投稿する若い方を見かけるので、だいぶ時代が変わってきたと実感します。ただ、まだ美容医療を体験したことがない方もいると思うので、「悩みを解決するのにこんな治療があるよ」ということを広めたいですね。
患者さまや読者に伝えたいメッセージ ~情報を受信してくださる方に感謝~
―――最後に、患者さまやこの記事の読者に向けてメッセージをお願いします。
私を訪ねて来てくださる患者さまは、たくさんの情報から探しに探して私にたどり着いてくださる方が多くいらっしゃり、本当にありがたく思っています。SNSの情報を見て来院くださる患者さまも多くいらっしゃるので、今後も積極的に情報を発信していきたいですね。例えば、鼻の糸リフトなら施術時間5~6分でなりたい姿に近づけます。美容に関するお悩みがある方は、ぜひ当院にご相談ください。
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【治療の内容】糸リフト(スレッドリフト)
【治療期間および回数の目安】約1~2年程度 ※部位・使用する糸によって個人差があります。
【費用】¥77,000~¥660,000(その他の施術とのセット料金も含みます)
※医師の診察は 初診料¥3,300、再診料¥1,540がかかります。
【リスク・副作用等】熱感、腫れ、痛み、凸凹感、つっぱりなど
【未承認医療機器・未承認医薬品等を用いた治療について】
・本治療には、国内未承認医薬品または未承認医療機器を用いた施術が含まれる場合がございます。
・治療に用いる医薬品および医療機器は、クリニック医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品および医療機器はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報
-重大なリスクは報告されていませんが、リスクが明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
【治療の内容】ボツリヌストキシン製剤の注入
【治療期間および回数の目安】効果の持続は4~6か月程度 ※個人差があります。
【費用】¥10,780~¥184,800 ※使用する製剤・部位・量によって個人差があります。
【リスク・副作用等】注射部位の痛み、腫れ、筋肉の部分的な脱力、内出血など
【未承認医療機器・未承認医薬品等を用いた治療について】
・本治療には、国内未承認医薬品または未承認医療機器を用いた施術が含まれる場合がございます。
・治療に用いる医薬品および医療機器は、クリニック医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認を取得した製品を除き、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品および医療機器はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報
-重大なリスクは報告されていませんが、リスクが明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。