2025年3月21日、パシフィコ横浜で開催された第24回日本再生医療学会総会。
会長を務めた中村雅也教授(慶應義塾大学医学部整形外科)は、自身の30年近い脊髄損傷研究の集大成として、iPS細胞を用いた世界初の臨床研究の成果を会長講演で発表した。
この臨床研究では、完全麻痺状態の脊髄損傷患者4名に対し、健康なドナーのiPS細胞から作製した神経前駆細胞を脊髄に移植。
結果として2名に明確な運動機能の改善が見られ、うち1名は立ち上がるまでに回復。1名はスプーンで食事をとる機能を獲得したという。
この成果は「治らない」常識を打ち破る第一歩であり、再生医療の社会実装を見据えた強烈なメッセージとなった。
中村教授は「これは、Passion(情熱)、Vision(未来像)、Action(行動)の積み重ねによって実現した“実学”である」と語り、今後の治験・治療化に向けた明確なロードマップも提示した。

🔬 世界初──iPS細胞で“完全麻痺”からの回復
中村教授は「神経線維の再生が示唆されるMRI画像も得られた」と述べ、臨床での安全性と有効性を慎重に検証した結果だと強調した。

🧠 会長講演「Passion, Vision, Action」の本質とは?
中村会長が訴えたのは、単なる科学技術の進展ではない。
それは「人を救いたいという情熱(Passion)」、「未来にあるべき姿を描く構想力(Vision)」、「そしてそれを形にする行動(Action)」。
そしてこの研究は“まだ治せない”病気を前にした医師が、真に臨床から立ち上げた再生医療のリアルであり、再生医療は「学問」ではなく「実学」であるべきという哲学が貫かれていた。
「脊髄損傷という“再生不可能”な病に、再生の可能性を投げかける。これは未来の医療ではない、“今ここ”で始まっていることだ。」