韓国の美容医療が今、世界中の女性たちを引き寄せている。2024年の統計では、韓国を訪れた外国人患者が117万人と過去最多を記録し、そのうち日本人は前年比135%の増加。目的の半数以上が「皮膚科治療」とされ、美容大国・韓国の実力が改めて注目されている。一方で現地では「急病人が診てもらえない」「大病院に医師が足りない」といった声も上がり始めており、“華やかな美容人気”の裏で医療制度そのもののゆがみが進んでいる現実も見逃せない。

① 日本からの「渡韓美容」急増、肌治療が目的の大多数
2024年、韓国を訪れた外国人患者のうち、日本人は前年比で135%増という驚異的な伸びを示した。とくに皮膚科の受診が多く、全体のおよそ6割(70万人超)が美容目的のスキンケアを求めて訪れたという。韓国コスメや美容施術に対する信頼感、さらにはK-POPや韓流ドラマで形成された“韓国式美意識”が、日本人女性の間でも強い共感を呼んでいる。

② 「クリニック偏重」進む現地医療、診られない韓国人も
受診者の大半が大病院ではなく個人クリニックを利用しているという点も特徴的だ。日本で言えば「町の美容皮膚科」に集中している構図に近い。一方で、韓国内では救急医療やがん治療など“命に関わる医療”の現場が人手不足で疲弊しているとの報道もあり、「観光客向けの医療ばかりが優先されているのでは」との懸念の声も上がっている。

③ 「観光収入か、国民の健康か」——制度のゆがみに揺れる韓国社会
韓国政府は2027年までに「外国人患者70万人誘致」を掲げていたが、すでに2024年にこの数値を大きく上回った。これは韓国の医療ツーリズム戦略が“成功”している証左とも言えるが、同時に国民の受診機会が奪われているのではないかという疑念を抱かせるものでもある。美しさを求める国際需要と、国内の医療提供体制とのバランス——その調整が今、問われている。

編集長ポイント
~「美容目的の渡韓」が増える一方、“診てもらえない韓国の人”が増えている現実~
日本人の間でも「肌の管理は韓国で」というトレンドが確実に広がっている。だがその一方で、韓国社会では救急車を呼んでも病院に入れない、がん患者の手術が延期されるといった問題が深刻化している。つまり、外国人の“美容目的”が医療資源を圧迫し、現地の人々の“命に関わる医療”にしわ寄せが起きている可能性があるのだ。
この構図は、今後日本の医療制度にも起こり得る現象として無関係ではない。美と命、自由診療と保険診療、その境界をどう守るか。NEROはこの問いに、メディアとして真摯に向き合っていく。
🧭「安さ」では測れない“日本の美容医療”の本質とは何か
韓国の美容医療市場が圧倒的な価格競争力を持つのは事実だ。価格ダンピングにより集患を強化する構造は、短期的には魅力的に見えるが、長期的には医療の質や安全への影響が無視できない。
他方、日本の美容医療は、医師主導の丁寧な診察や、高い安全性、自然な美しさの追求といった“日本らしさ”に価値を置いた医療文化を有している。NEROとしては、この“質の競争”をいかに維持・進化させるかが今後の鍵だと考える。
ユーザーにとって「韓国の医療が安いから行く」のではなく、「日本でなければ得られない価値」があるかを見極めるリテラシーが求められる時代に突入したと言えるかもしれない。

まとめ
✔ 日本人の韓国医療利用が前年比135%増、肌治療が目的の大半
✔ 韓国の外国人患者数は過去最多の117万人を突破
✔ 利用者の多くが個人クリニックを選択、特にソウルに集中
✔ 韓国では救急・がん医療などの人手不足が深刻化
✔ 観光医療の成功と社会医療の崩壊、そのバランスが問われている