「医療はOK、エステはNG」が明確に!エステハイフが禁止になったのはなぜ!?ハイフや高周波治療の医療機関とエステの違い・それぞれの特徴を解説

「医療はOK、エステはNG」が明確に!エステハイフが禁止になったのはなぜ!?ハイフや高周波治療の医療機関とエステの違い・それぞれの特徴を解説

小顔効果があるとして人気の高いハイフ。ハイフは、エステサロンでも受けられる施術だと思っていませんか?実はハイフは、エステサロンでの施術を規制される流れになっています。近年、美容クリニックがエステっぽく一般化していく一方で、エステサロンもハイフや高周波(RF)機器、レーザー機器などを取り入れ、医療に近い施術を行ってきました。同じ効果が得られるなら、美容クリニックではなくエステでいいかも?と考える方もいると思いますが、エステと美容医療は同じではありません。ハイフやRF治療といった人気の治療をもとに、その違いについて解説します。

エステサロンではハイフ禁止!その内容は?

2023年3月31日、厚生労働省は各都道府県に対し「HIFUに関する監視指導の徹底について」という通知を出しています。(以下、厚生労働省通知を引用)
また、その内容を受け、2023年8月30日には「日本エステティック振興協議会」からはHIFU ・ハイフ(高密度焦点式超音波)機器販売・施術の禁止及び、 景品表示法・特定商取引法違反の恐れがある広告表記禁止のお願いという通知文も発信されました。

「HIFUを人体に照射し熱エネルギーを加えることで、標的組織を焼灼等して皮膚のしわ又はたるみの改善、痩身の効果を得られると標ぼうするなど、人の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことを目的とする機械器具は法第2条第4項に規定する医療機器に該当します。
つきましては、HIFU機器に関して、美容目的と称して医療機器として規制されるべきHIFU機器が流通しないよう、貴管内関係業者、関係団体等に周知いただくとともに、法に基づく監視指導の一層の徹底を図るよう御留意願います。」

つまり国として、「ハイフは医療機器であるため、医療機関以外が使用することを制限する」という明確な方向性が示されたことになります。

これまでエステサロンのハイフについては、危険性が注意喚起されつつも、法整備が整っていないなどの理由から十分な規制が行われていませんでした。そのため現在でも、数多くのエステサロンやセルフエステでハイフ施術が行われているのが実情です。
しかし今回の流れを受けて、エステサロン情報サイトの「ホットペッパービューティー」では、2024年からエステサロンのハイフメニュー掲載を禁止しています。
同サイト内における医療機関の掲載ページには医療ハイフは継続して掲載を可としていることから考えても、今回厚生労働省から通知が出たことで、美容業界全体として、エステサロンでのハイフ施術について禁止の流れが強まっていると言えるでしょう。

なぜエステハイフは禁止に?ハイフによる後遺症とは

「需要があるからエステサロンでハイフが行われているんじゃないの?」と疑問の方もいるかもしれません。なぜエステサロンでのハイフ施術が禁止されるのでしょうか。消費者庁が行った調査によると、ハイフ施術によって下記の事故が報告されています。

【事故事例】
・3ヶ月前に施術を受け、右の上唇・口角の麻痺が治らない
・口角の麻痺が残り、下を向くと無意識によだれが出る
・目の周辺に当てた後、左目の視界が白くぼやけるようになり、大学病院で手術した
・フェイスラインに火傷の痕のようなたるみが残った
・施術後に鼻の脇に水ぶくれ・熱傷が起こり、色素沈着として痕が残ってしまった

【事故件数】(2015年11月~2022年12月)

エステサロン セルフエステ 美容クリニック
神経・感覚の障害 7(3) 3(3) 5(2)
皮膚障害 16(1) 1(0) 8(0)
熱傷 46(10) 3(1) 12(0)
その他 27(3) 1(0) 6(1)
96(17) 8(4) 31(3)

※表中の()は傷病程度が1ヶ月以上の事故件数

引用:消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書-エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故-(2023年3月29日)

エステサロンでのハイフの事故件数は、年々増加傾向です。その原因は、施術者の知識不足や利用者のリスクの認識不足、エステサロンで使用される機器の強さなど、さまざまなことが指摘されています。

そもそもハイフってどんな治療?高周波(RF)治療との違いは?

そもそもハイフとは、どのような治療なのでしょうか?神経障害や熱傷などが起こるリスクを理解するためには、ハイフの原理について知る必要があります。
また、ハイフと同じくエステサロンでよく施術される小顔・たるみ治療系メニューとして「高周波(RF)治療」を思い浮かべる方も多いでしょう。ハイフと比較されることの多いRF治療についても、併せて説明します。

ハイフの原理と副作用

ハイフは、高密度焦点式超音波やHIFU(High Intensity Focused Ultrasound)とも言います。超音波とは、人には聞こえない高い周波数(20kHz以上)の音波のこと。ハイフは高密度の超音波をピンポイントに当てることで、真皮層や皮下組織(脂肪層)、さらに深い層であるSMAS層(筋膜)まで熱エネルギーを届けます。熱によってたんぱく質が凝固する作用を利用し、照射部位の組織をギュッと縮めて引き上げる仕組みの治療です。目的によって熱を届ける深さを調整することで、コラーゲン・エラスチン生成促進や脂肪排出作用などさまざまな効果が期待できます。
ただしハイフが作用する皮膚の深い層には、血管や太い神経なども多く存在しています。そのため照射部位や出力の強さを誤ると、神経損傷やしびれ、麻痺などの副作用を起こす可能性が否定できません。また熱を発生させるため、出力が強すぎた場合、表皮に火傷や水ぶくれが起こる可能性もあります。
ハイフは、通常であればダウンタイムが少ない施術です。しかし施術者が十分な解剖学的知識や機器を扱う技術を持っていなければ、重大な副作用につながります。反対に言えば、リスクを最小限に抑えつつしっかり効果を出せるかどうかは、施術者の腕の見せ所とも言えるでしょう。

高周波(RF)治療の原理と副作用

高周波は、ラジオ波・RF(Radio Frequency)とも呼ばれます。RF治療は高い電磁波を当てることで体内の分子同士を摩擦させ、真皮層~皮下組織(脂肪層)で熱を発生させる仕組みの美容治療です。エステサロンや美容クリニックで多く取り入れられています。
体内深部の温度を上げることで、照射部位だけでなく体の広い範囲に作用し、代謝向上や血流促進、脂肪の分解・燃焼を促します。肌をキュッと引き締めるだけでなく、真皮層の線維芽細胞も刺激するため、肌管理・美肌治療としても有用です。
RF治療も、通常はほとんどダウンタイムがない施術です。しかし熱を発生させるため、出力や施術方法を誤ると表皮に火傷や水ぶくれができる可能性があります。ハイフほど深い層には作用しないため、神経を傷付けるリスクは低いと言えるでしょう。

ハイフと高周波(RF)治療はどっちがいいの?

ハイフとRF治療について、効果やダウンタイム、リスクについてまとめました。

ハイフ 高周波(RF)治療
特徴 超音波による熱エネルギーで、SMAS筋層を凝固・収縮させる。 電磁波により真皮~脂肪層を中心に熱を発生させ、温度を上げる。
熱の到達深度 真皮~皮下組織~SMAS筋層 真皮~皮下組織
効果 ・照射部位のリフトアップ

・肌の引き締め

・たるみ改善

・脂肪分解

・小ジワ改善

・シミやニキビ痕改善

・毛穴の開き改善

・肌質改善

・代謝向上

・脂肪燃焼

・むくみ解消

・セルライト分解

・リフトアップ

・肌の引き締め

・小ジワ改善

・ニキビ改善

・毛穴の開き改善

・肌質改善

治療可能

部位

太い血管や神経がない部位 全身
ダウン

タイム

数日間の赤みや熱感 数日間の赤みや熱感
副作用 痛み・火傷・水ぶくれ・赤み・腫れ・むくみ・しびれ・神経損傷 痛み・赤み・腫れ・むくみ・火傷・水ぶくれ

ハイフとRF治療は、どちらもダウンタイムが少なく、引き締め・リフトアップ効果が期待できる施術です。作用機序や特徴が異なるため、一概にどちらの施術が良いとは言えません。
広範囲に作用し深部温を上げてくれるRF治療は、痩せやすい体質になりたい方や広範囲の脂肪燃焼したい方におすすめです。一方でハイフは、顔のたるみ改善や部分痩せしたい20代以上の方が向いているでしょう。

エステと医療レベルでの効果の違いは?

ハイフはエステでの規制が進み医療機関でしか受けられなくなっていますが、RF治療や脱毛(レーザー治療)などは、エステサロンにも美容クリニックにも存在しています。そのため「どこで受けても効果は同じなの?」と悩む方も多いでしょう。しかし実際は、エステと医療レベルではまったく効果は異なります。
例えばRF治療の場合、エステサロンで使用している機器も医療機関で使用している機器も、熱を与えて肌に作用する根本的な原理は同じです。しかし大きな違いは「熱エネルギー(出力)の大きさ」にあります。
皮膚深層で熱エネルギーを発生させるRF機器は、即効性が期待できる反面、火傷や痛みなどの副作用リスクがあります。リスクを抑えて効果を出すためには、皮膚の構造や機械の仕組みについて正しく理解し、適切に照射しなければなりません。そして万が一火傷や熱感などの反応が起きた場合は、正しく判断し、処置することが大切です。
医療機関は医療従事者が診察・施術しますが、エステはそうではありません。そのためエステで使用される機器は、副作用リスクを抑えるため、そもそも出力が低く設定されている機械が多いのです。(それでも機材の故障や低出力での頻回照射によって火傷が引き起こされるくらいなのです)

*MEMO*「高周波(RF)機器の周波数はどれくらい違う?」

RF機器にはさまざまな種類がありますが、多くのエステサロンや家庭用のRF機器は、40KHz~0.8MHz程度の低い周波数(モノポーラ式)です。また周波数1.0MHz(バイポーラ式・マルチポーラ式)の場合もあります。一方、医療機関専用のRF機器であるサーマクールやボルニューマの周波数は、6.78MHzです。皮膚の深層まで届き、広い範囲に熱エネルギーを作用させます。

*MEMO*「出力が低いなら、エステサロンのハイフは安全ではないの?」

残念ながら、エステサロンのハイフは出力が低くて安全ということはありません。2023年の消費者庁による実態調査で、「エステサロンで、美容クリニックで使用している機器と変わらない高出力の機器が使用されている」と報告されています。
ハイフ機器は薬機法による輸入規制が及んでおらず、医療機器ではない製品として、自由に個人輸入されているのが実情です。法律で十分管理されていないため、エステサロンに安全・ 信頼性の低い機器が流通してしまっています。解剖学的知識や機器に対する知識が不十分な施術者が扱うと、副作用が起こる危険性が高いと言えるでしょう。
参照:消費者安全法第 23 条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書【概要】−エステサロン等での HIFU(ハイフ)による事故−

エステと美容医療、それぞれ代表的な小顔・たるみ改善系メニューは?

ハイフやRF治療は、小顔やフェイスラインのもたつき解消のために受けたいという方が多い施術です。エステサロンや美容クリニックで行われている、メスを使用しない小顔・たるみ改善系メニューを紹介します。

【エステサロンでの小顔・たるみ改善系メニュー】

メニュー名 目的 特徴
インディバ たるみ改善・痩身・冷え性改善など 0.448MHzの電磁波を使用したRF機器
ハイパーナイフ たるみ改善・痩身・美肌など 1.0MHz(バイポーラ式)のRF機器
フォースカッター たるみ改善・痩身・美肌など モノポーラ式とマルチポーラ式併用のRF機器
セルドライブプロ たるみ改善・痩身・美肌など 1.0MHzと0.5MHzの2種類のRFを使った機器
サーモシェイプ たるみ改善・痩身・美肌など 40.68MHz(ユニポーラ式)のRFを使った機器
キャビフル 肌の引き締め・痩身・美肌など 超音波(キャビテーション)+RF+LED機器
キャビリポDEX-V たるみ改善・美肌・痩身など 超音波(キャビテーション)+EMS+吸引+ローラー+LEDを搭載した機器
エンダモロジー たるみ改善・シワ改善・痩身など 吸引・ローラー機能を搭載したもみほぐし機器

※顔への施術が可能かどうかは各サロンにお問い合わせください。

【美容クリニックでの小顔・たるみ改善メニュー】

メニュー名 目的 特徴
サーマクール たるみ改善・シワ改善・肌の引き締めなど 脂肪組織の深い層に作用する6.78MHzのRF機器
サーマジェン たるみを改善・肌の引き締め・美肌など 脂肪組織の浅い層に作用するRF機器(サーマクール・ボルニューマより低出力)
ボルニューマ たるみ改善・シワ改善・肌の引き締めなど 4種のチップを搭載した6.78MHzのRF機器
ポテンツァ 美肌・小ジワ改善・たるみ改善・肌の引き締めなど マイクロニードル+RF/針を使わないRF(ダイアモンドチップ)の2種類の施術が可能
ウルセラ たるみ改善・肌の引き締め・引き上げなど FDAでリフトアップ効果が認められたハイフ
ウルトラセルQ+ たるみ改善・肌の引き締め・引き上げなど 4種類のカートリッジ・2つのモードを搭載したハイフ
ウルトラフォーマーⅢ たるみ改善・肌の引き締め・引き上げなど 3種類のカートリッジを搭載し、目元ギリギリまで照射できるハイフ
ウルトラセルZi たるみ改善・肌の引き締め・引き上げなど ウルトラセルQ+の進化系ハイフ。目周りにも照射可能。

まとめ

加齢とともに、徐々に肌のたるみが気になってきたという方も多いはず。エステサロンや美容クリニックには、そんな悩みにアプローチするハイフやRF治療などの小顔・たるみ改善系メニューがたくさんあります。しかしエステと医療機関では、例え似たような名前の施術であっても、同じ施術ではない、ということを覚えておきましょう。 。それぞれの施術の特徴やリスクを十分に理解して、自分の目的に合った施術を受けましょう。とくにハイフは重大なリスクにつながる恐れがあるため、必ず医療機関で受けることが大切です。

・当サイトは、美容医療の一般的な知識をできるだけ中立的な立場から掲載しています。自己判断を促す情報ではないことを、あらかじめご了承ください。また、治療に関する詳細は必ずクリニック公式ホームページを確認し、各医療機関にご相談ください。
・本記事は、執筆・掲載日時点の情報を参考にしています。最新の情報は、公式ホームページよりご確認ください。
・化粧品やマッサージなどが記載されている場合、医師監修範囲には含まれません。

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