2025年4月21日、Sofwaveシステムの適正使用指針が発表された。この指針は、厚生労働省(厚労省)の依頼を受け、日本美容外科学会(JSAPS)、日本美容外科学会(JSAS)、日本美容皮膚科学会(JSAD)の3学会が共同で策定したもので、今後の安全な施術基準を明確にするものだ。Sofwaveシステムは、美容用超音波照射器として初めて日本国内で薬事承認を取得した医療機器であり、これにより美容医療の品質と安全性向上が期待されている。
📌 記事をざっくりまとめると…
✅適正使用指針の策定:Sofwaveシステムの使用にはトレーニングを受けた医師のみが施術可能
✅厚労省の関与:指針作成にあたり、厚労省が学会に指導を行い、適正基準の設定を依頼
✅HIFUとは異なる技術:非集束超音波技術を使用し、皮膚への負担を軽減
✅医療法に基づく施術場所:施術は医療法に基づく施設で行われ、研修を受けた医師に限定
Sofwaveの登場と適正使用指針
Sofwaveシステムは、皮膚引締め用の超音波照射器で、イスラエルのSofwave Medicalが開発した。日本国内で初めて薬事承認を受けた美容用超音波機器であり、顔や首のしわを改善することを目的としている。これまでは、HIFU(高強度焦点式超音波治療)などの技術が利用されていたが、HIFUによるトラブルが問題視されており、SofwaveはHIFUと異なるメカニズムを採用していることで注目を集めている。
この新技術の導入に伴い、厚労省は3学会に対し、Sofwaveの適正使用指針の作成を依頼し、指針が策定された。指針では、製造販売業者によるトレーニングを受けた医師のみが施術可能とし、施術場所も医療法に基づく医療提供施設に限定することが求められている。この指針の策定は、美容医療における機器の安全性を高めるための重要なステップとなる。

Sofwaveシステムの適正使用指針
【出典: 日本美容外科学会(JSAPS)、日本美容外科学会(JSAS)、日本美容皮膚科学会】
HIFUの教訓と医療機器規制の強化
HIFUのトラブルが多発したことを受けて、厚労省は美容医療における機器使用の規制強化を進めている。HIFUに関連するトラブルは、ヤケドや神経障害、目の障害などが発生し、その後、エステサロンでの施術が禁止された経緯がある。これらの問題を踏まえ、Sofwaveシステムの使用に関する指針が策定されたことは、業界全体の信頼性を向上させるための重要な決定となる。
SofwaveはHIFUとは異なる技術であるため、より安全性が期待されているが、それでも適切な使用方法を守らない場合、やけどや神経障害といった重大な健康被害が生じる懸念がある。そのため、使用基準の策定が急務となり、厚労省の指導の下、学会が指針を策定した。
美容医療の信頼性向上と規制の強化
Sofwaveシステムの薬事承認とそれに続く指針の策定は、日本の美容医療業界にとって重要な転機となる。これまで、未承認の美容医療機器が使用されることが多かったが、今後は科学的根拠に基づく承認が進むことが予想される。これにより、美容医療業界の信頼性は向上し、患者にとってもより安全な治療環境が提供されることになるだろう。
特に、Sofwaveシステムのような最新技術においては、厳格な使用基準とトレーニングが求められる。医師が適切な知識と技術を持って施術を行うことで、患者の安全が確保され、業界全体の品質向上に繋がることが期待される。

編集長ポイント
~新技術導入と業界信頼性の強化~
新しい技術を導入する際には、適正使用の指針を確立することが極めて重要である。Sofwaveの登場は、日本の美容医療市場において、大きな変化をもたらす可能性がある。この新技術が適切に使用されることで、患者の安全を守るとともに、美容医療業界の信頼性向上に貢献することが期待される。
一方で、美容医療の市場規模が拡大する中で、規制の強化が不可欠であり、これからの美容医療市場においては、新技術の安全性確保と医師の教育が最も重要な課題となるだろう。

皮膚引締め用超音波照射器「Sofwaveシステム」適正使用指針より
重篤な有害事象(熱傷、神経障害等)を防ぐための使用方法
(1) 眼窩、甲状軟骨、甲状腺又は気管の上、耳の前方から首にむかう縦方向の線より後方のエリアは照射しないこと。
(2) 顔面神経下顎縁枝、顔面神経側頭枝の直上又は額中央(眼窩上神経や滑車上神経が存在する)を治療するときは、患者の反応を特によく確認し、不快感が強い場合は避けて治療すること。神経の走行は、個人差や左右差があるため、治療中に強い神経反応があった場合は、直ちに照射を中止し、その部位にはそれ以上照射しないこと。
(3) 皮膚表面の熱傷防止のため、照射時は必ずアプリケータ照射面全体を皮膚に密着させること。アプリケータ照射面全体を密着させることができない部位には照射しないこと。
(4) 照射位置を移動する際は、確実にアプリケータを移動させ、同一部位への連続照射を避けること。
その他
(1) 治療内容や、起こり得る有害事象についてあらかじめ患者に説明すること。
(2) 治療中に、強い痛み、筋肉の動き及びけいれんを患者が感じた場合は、直ちに医師に伝えるよう、あらかじめ説明すること。
まとめ
・Sofwaveシステムは、日本国内で初めて薬事承認を受けた美容用超音波照射器。
・適正使用指針には、施術を行う医師が製造販売業者のトレーニングを受けることが明記され、医療法に基づく施設でのみ施術が許可される。
・HIFUのトラブル多発を踏まえ、美容医療市場における規制強化が進む中、Sofwaveの承認は業界全体の信頼性向上に寄与する重要な一歩となる。
Sofwaveシステムの導入により、医療機器の承認制度が強化され、美容医療業界の透明性と信頼性が高まることが期待される。