■ 市場の現状と成長予測って?
2024年に約3900億円(25億米ドル)と推定される美容レーザーの世界市場は、2024~2030年の年平均成長率(CAGR)12.0%で拡大し、2030年には約7700億円(49億米ドル)に達する見通しだ。
特にアブレイティブレーザー市場はCAGR10.3%で約4700億円(30億米ドル)に成長するとされ、非アブレイティブレーザー市場はさらに高く、CAGR15.0%を記録するとの予測が出ている。
出典:Search and Market/Cosmetic Lasers – Global Strategic Business Report
■ 地域別成長と主戦場の変化とは?
米国は2024年時点で約1050億円(6.8億米ドル)の市場規模であり、堅調な推移を見せる。
一方、世界第2位の経済大国・中国はCAGR15.9%で急伸し、2030年には約1570億円(10億米ドル)に到達する見込み。
日本はCAGR8.9%、カナダは10.6%と堅実に伸長。欧州市場ではドイツが9.4%成長予測となっている。

■ 技術と消費意識の交差点
レーザー人気の根底には、非侵襲で即効性が高く、リスクが少ないという美容機器の進化がある。ソーシャルメディアを起点とした「見た目意識の高まり」や、女性の社会進出と可処分所得の増加により、「美容の自己投資」が生活に定着しつつある。
また、肌タイプを問わない照射技術の向上、性別を問わないマーケティング展開などが市場の裾野を押し広げている。
以下のような6つの論点が交差し、市場を形成しているといえよう。
- 非侵襲施術ニーズの高まり:糸リフトやHIFUなどに続く“ノンメス美容”の中心軸に
- SNS起点の意識変化:Instagram・TikTokを通じた“瞬間美”への渇望と市場牽引
- 中華圏での爆発的需要:中国の成長率は驚異の15.9%。製造・消費両面でのプレゼンス
- 保険適用外×価格対効果:外科手術に比べて費用対効果が明確で、選択肢に上がりやすい
- 多様な肌タイプへの対応:レーザーの進化が“肌色の壁”を超えた
- 女性主導経済との親和性:自己決定型消費としての美容投資とレーザーの親和性
編集長POINT
~美容レーザーは“結果主義”時代の勝者となるか~
美容医療の「非侵襲ドミナンス」はどこまで進むか?
美容レーザーの進化は「痛くない・ダウンタイムが少ない・即効果」という、現代人が求める“ミニマム投資・最大効果”の美意識にマッチする。
とくに、アブレイティブから非アブレイティブへの移行は、リスク回避志向の高まりを映す鏡だといえるかもしれない。
今後、レーザー機器の価格帯多様化と、家庭用市場への転用も進み、レーザー機器が「医療の主役」から「美容生活の標準」へとポジションを移すなか、日本市場がいかにその潮流に適応しうるかが問われている。

まとめ
- 美容レーザー市場は2030年に約7700億円へ成長
- 非アブレイティブレーザーがCAGR15%で爆伸
- 米国市場は約1050億円規模、中国は年15.9%成長
- SNSと女性の社会進出が市場の牽引力
- 技術進化でリスク軽減と多様な肌色対応を実現
- 美容レーザーは“日常的医療”から“日常的美容”への転換を象徴