
ベトナム・ホーチミン市で摘発された無認可の美容施設は、カボチャやパパイヤを“脂肪”に仕立て、脂肪吸引の映像を演出する詐欺手口を駆使していた。
SNS上では有名医師になりすまし、客を集め、実際の手術台に立っていたのは免許を持たない学生。まるで“舞台劇”のように仕組まれた詐欺は、500人以上を巻き込み、巨額の利益を生んだ。
演出された手術映像
施設の手口は周到だった。
SNSで著名医師を装い、広告に使う映像には野菜を潰して作った“脂肪”を登場させる演出。観客=顧客は映像に騙され、「本物の手術だ」と信じ込む。舞台裏で実際に行われていたのは、無資格者による不正な施術だった。
偽医師が演じるオペ室のドラマ
摘発の結果、施術を担当していたのは医学研修中の学生。彼らは“医師役”を演じ、手術室ではマスクを着けたまま登場した。
客の多くは疑うことなく「有名な医師が自分を執刀している」と思い込んでいた。ここでは医療行為は“演技”にすぎず、合併症や医療事故のリスクは常に観客の側に押し付けられていた。
観客心理が支える“闇の興行”
背景には「安く受けたい」「周囲に知られたくない」という観客=顧客の心理がある。
正規のクリニックとの差が大きいほど、この“闇の劇場”は観客を集めやすい。だが、演目が終わった後に残るのは、拍手ではなく健康被害と後悔だ。
編集長ポイント
~美容医療の裏市場は、一種の“劇場”か~
舞台装置(SNS)、小道具(カボチャ脂肪)、役者(偽医師)、そして観客(患者)が揃い、芝居は成立する。だが、違うのは舞台の失敗が命や健康に直結する点だ。
この事例は海外の話に見えるが、日本でも「低価格」や「匿名性」を売りにしたサービスに同じ構造が潜んでいる。美容医療の未来に必要なのは、“演出”ではなく透明性と本物の技術だ。
まとめ
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無認可施設がSNSで有名医師を装い集客
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野菜で作った偽の脂肪を使い、手術映像を演出
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実際には学生や無資格者が施術を担当
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500人超が被害、経営者は巨額の利益を得ていた
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消費者心理(安さ・匿名性)を逆手にとった詐欺構造
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美容医療の信頼性は、演出ではなく透明性にかかっている
▲以上で終了▲