【Global News】台湾政府、直美禁止法??!美容医療“3段階資格制度”への全面移行へ──未研修医の参入禁止と外科手術の専門医限定化を発表

台湾衛生福利部は2025年11月、美容医療の資格要件を抜本的に見直す改正案を公表し、
未研修医(PGY未了)の美容医療参入を禁止する制度改革 に踏み切った。
レーザーや注入から骨切り手術までを3段階に分類し、
リスクに応じた医師資格・施設基準を明確に規定する 方向が示された。
アジアの制度化トレンドを象徴する重大な動きで、日本への波及も注目される。

📌 記事をざっくりまとめると…

  • 台湾政府が美容医療を 3段階で資格区分(非外科/美容外科/特定美容外科)

  • PGY未経験医の美容医療参入を全面禁止

  • 注入・レーザーには32時間の研修 を義務化

  • 外科手術は外科系専門医だけが実施可能

  • 高リスク手術は 認定施設+麻酔科専門医+転院体制 を必須化

  • 日本でも議論が続く「直美問題」に制度的解を示す可能性

  • SNSでは職業自由の侵害を懸念する声も。議論は対立構造へ

制度発表と背景とは?

台湾衛生福利部は2025年11月14日、
「特定醫療技術檢查檢驗醫療儀器施行或使用管理辦法(特管弁法)」の改正案を公布し、
美容医療の提供者資格や施設基準を全面的に再設計する方針を明らかにした。

背景には、美容医療関連の死亡事故(陰茎増大術による死亡事件)や麻酔事故が相次い
だことがある。

陰茎増大手術後に50歳男性が死亡、医師は過去にも医療紛争の歴史
クリニック名3度も変更した経緯や20年のキャリアを持っている医師が起こした事故


※2024年末にも、麻酔事故で女性が死亡したと報じられていた

 

特に、医学部卒業直後で臨床研修を経ずに美容医療へ参入する“台湾版直美”が約600名存在するとされ、社会的な安全性への懸念が高まっていた。

政府はこれを受け、法改正前のパブリックコメント期間を設定し、
「未研修医の美容医療禁止」 を柱とした制度案を公表した。

3段階制度の詳細

改正案では、美容医療をリスクに応じて以下の3区分に分類した。

  • レベル1:非外科施術(レーザー・HIFU・注入)
     → PGY修了+32時間の美容医療研修 を受けた医師のみ実施可能。

  • レベル2:美容外科手術(二重、鼻形成、中規模脂肪吸引など)
     → PGY修了+外科系専門医の資格 を義務化。

  • レベル3:特定美容外科(骨切り、大量脂肪吸引、全顔リフト、乳房インプラントなど)
     → 外科専門医資格に加え、政府認定施設 のみで実施可能。
      全身麻酔時は 麻酔科専門医の関与 と、緊急後送体制の整備 が必須。

既存医師には2〜3年の移行期間が設けられ、
要件を満たさなければすべての美容医療行為が禁止される見通しとなっている。

台湾・衛生福利部発表 「特定医療技術検査・医療機器使用管理法(特管弁法)改正案」 ※出典:台湾衛生福利部

台湾・衛生福利部発表「特定医療技術検査・医療機器使用管理法(特管弁法)改正案」
※出典:台湾衛生福利部

波及と論点

SNS上では歓迎と反発が分かれ、
「安全性の向上として評価すべきだ」とする意見がある一方、
「職業選択の自由に抵触しないか」との懸念も示された。

美容医療の専門性を制度的に担保する動きは、
オーストラリアや欧州でも進む国際トレンドとなっており、
台湾の制度改革はその流れを一段と強める形となった。

日本でも「自由標榜制」をめぐる議論が再燃しており、
今回の制度改正はアジア地域の政策形成に影響を与える可能性が高い。

編集長POINT──台湾は「制度化の未来」を一足先に示した。では、日本はどうする?

今回の台湾の制度改革は、単なる「規制強化」ではない。
美容医療という曖昧な領域に、初めて“構造の線引き”を入れた歴史的転換点 だ。

特に重要なのは、この3点だ。

  • ① 未研修医(PGY未了)の美容医療参入を明確に禁止したこと

  • ② 外科と非外科を“リスクで区切り”、必要資格を段階化したこと

  • ③ 高リスク手術は「専門医 × 認定施設 × 麻酔科」の三位一体にしたこと

つまり台湾は、「美容医療は医療である」という原則を制度の形に落とし込んだ。

SNSでは「専門医強制」と誤解する声もあったが、実際には
“最低限PGYを修了せよ”という基盤整備 に過ぎない。
注入・光治療はPGY+32時間研修で可能であり、制度はリスクに応じて段階化されている。

医療側の自律性が弱く、未熟な医師が参入しやすい構造に対し、
台湾政府は“制度での品質管理”という答えを提示した。
これは医療者の専門性を社会に保証する「オートノミー再構築」の一形態である。

一方で日本は、
“誰でも名乗れる自由標榜制” のもと混乱が続き、事故報道も途絶えない。
台湾・豪州・欧州が制度化に向かう中、
日本だけが旧態依然のままという状況は長く続かないだろう。

美容医療市場は、
価格競争 → 技術競争 → 資格競争 → 制度競争 のフェーズへと移行した。
2025年は、その分岐点に位置する。

NERO編集部は今後も、
アジア美容医療の制度変容 を継続的に追い、
日本の制度議論に必要な視座を提供していく。

まとめ

  • 台湾政府が美容医療を 3段階の資格制度 に整理

  • PGY未了医師の美容医療参入は禁止

  • 非外科施術には 32時間研修 を義務化

  • 外科手術は 外科系専門医のみ、特定手術は 認定施設のみ

  • 国際的な制度化トレンドの一部であり、日本へも波及可能性

  • “直美問題”を制度で解決するモデルとして注目


NEROでは、アジア各国における医療制度の変容と、自由診療市場の持続可能性を継続的に報じていく。美容医療が安全と信頼を獲得するために、制度改革は避けて通れないテーマであり、日本がどこまで踏み込めるかが今後の焦点となる。