眼瞼下垂は保険適用になる?基準・費用・自由診療との違い

眼瞼下垂は保険適用になる?基準・費用・自由診療との違い

眼瞼下垂は保険適用になるのか、それとも自由診療なのか、その判断基準について悩んでいる方もいるかもしれません。

結論から言えば「視野が狭い」「おでこに力を入れないと目が開かない」といった機能的な問題を抱えているのなら、保険診療の対象となる可能性があります。

保険適用の基準や眼瞼下垂手術費用の目安、自由診療との違いについて詳しく解説しますので、眼瞼下垂の治療を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

眼瞼下垂保険適用の基準は?

メイクする女性 眼瞼下垂は保険適用になる?基準・費用・自由診療との違い|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

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眼瞼下垂の治療では、その症状が見た目の問題なのか、日常生活に支障をきたすような機能面での問題なのかによって保険適用の判断が分かれます。

■保険適用の対象となるのは「機能的眼瞼下垂」

眼瞼下垂の治療で保険適用となるのは、視野障害や筋機能の低下といった機能的な問題を伴う「眼瞼下垂症」です。

例えば、上まぶたが下がることで「運転や読書が難しい」「あごを上げないとものが見えにくい」「まぶたを開くのに力がいる」などの日常生活に支障をきたす症状が当てはまります。

しかし、眼瞼下垂症の診断には明確な基準がなく、医師によって保険適用の判断が異なるのが現状です。

また、保険診療の範囲内で受けられる治療は限定されており、美容目的で行う手術や切らない治療法には保険が適用されません。

■保険適用と判断される主な症状

保険診療の対象となるのは、正面を向いたときに上まぶたが瞳孔の中心にかかるなど、視界に明らかな支障があるケースです。

このような状態では、視界が遮られるため、日常生活で不便を感じる場面が多くなります。

また、眼瞼挙筋の機能低下も重要な判断材料の1つです。

医療機関では「MRD(Margin reflex distance)」と呼ばれる、黒目の中心から上まぶたの縁までの距離を測定し、この数値が基準以下の場合に機能低下と判断される場合があります。

そのほか、おでこの筋肉を使ってまぶたを持ち上げている状態も、眼瞼下垂の典型的なサインです。

おでこにシワが寄る、眉毛が上がりすぎている、といった所見があれば、挙筋機能が低下している可能性があり、保険診療での治療が認められるケースがあります。

■保険適用の診断に必要な検査内容

医師の判断にゆだねられる側面もありますが、眼瞼下垂症と診断されるには、いくつかの検査が推奨されています。

具体的に言えば、1つ目は先ほどご紹介したMRDの計測、2つ目は瞼裂高(けんれつこう)の測定、3つ目は挙筋機能検査です。

瞼裂高とは、黒目の一番下から上まぶたの縁までの距離を指し、この距離が短いほど重度下垂と診断されます。

挙筋機能検査は、おでこの力を使わずに、どの程度まぶたを開けられるか調べる検査。

まぶたの開きが少ないほど重症下垂と判定されます。

また、眼瞼下垂の診断には問診も欠かせません。

患者さんから「日常生活で見えにくさを感じる場面」を詳しくヒアリングし、総合的な判断のもとで保険適用の可否が決定されます。

保険適用で受けられる眼瞼下垂の手術について

カウンセリングを受ける女性 眼瞼下垂は保険適用になる?基準・費用・自由診療との違い|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

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眼瞼下垂で保険適用が認められた場合、どのような手術が受けられるのでしょうか?ここでは、代表的な術式や費用の目安、治療の流れなどについて見ていきましょう。

■主な術式

保険診療で行われる眼瞼下垂の手術は主に4つです。

いずれも機能回復を目的とした標準的な方法で、形成外科の専門医によって実施されます。

挙筋短縮法

挙筋短縮法は、眼瞼下垂治療の中でも広く行われている方法。

まぶたを持ち上げる筋肉である挙筋を切除したり重ねて縫い合わせたりすることで、まぶたの開きを改善する術式です。

経皮法と経結膜法という2つのアプローチ法があります。

挙筋そのものを切除して短縮するため、重度の眼瞼下垂にも治療効果が見込めますが、ダウンタイムが長引きやすい点には注意が必要です。

また、切除を伴うため、一度行うと修正や元に戻すのが難しいという側面も存在します。

眼瞼挙筋前転法

眼瞼挙筋前転法は、切開を伴う眼瞼下垂治療として非常にポピュラーな術式。

ゆるんだ挙筋腱膜を前方に移動させて元の位置に固定し、眼瞼下垂の改善を目指します。

保険適用の範囲内で、二重まぶたを形成することも可能です。

ほとんどの眼瞼下垂に有効な治療法で、挙筋腱膜を本来の位置に戻すことでまぶたが開きやすくなります。

二重ラインに沿って傷ができますが、経験豊富な名医が手術を行えば、時間の経過とともに傷は目立たなくなります。

筋膜移植法

筋膜移植法は、挙筋の機能が著しく低下している重度の眼瞼下垂に対して行われる術式です。

太ももなどから採取した筋膜を移植し、眉上にある前頭筋の力を利用してまぶたを持ち上げやすくする仕組みを作ります。

ほかの術式では改善が見込めないケースにも適応されますが、手術の特性上、ダウンタイムは長引きやすく、術後は日常生活が制限されることもあります。

眉毛下皮膚切除法

眉毛下皮膚切除法は、眉毛の下の皮膚を切除し、まぶたの重みを軽減することで視野を確保する術式です。

上まぶたのたるみが強く、皮膚の重みによって視野が遮られている場合に選択されます。

眉毛の下に沿って切開するため、傷痕が比較的目立ちにくいのが特徴。

手術による腫れは少なく、ダウンタイムも比較的短い傾向にあります。

■費用の目安

保険適用で眼瞼下垂の手術を受ける場合、3割負担で片目2〜5万円前後が一般的な費用の目安です。

ただし、術式の種類や片目か両目かによって金額は変動します。

そのほか、手術費用以外に初診時の診察料、各種検査費用、定期通院費用などが別途かかることが予想されますが、保険診療では、必要な医療行為が保険点数として定められており、追加で高額な費用が発生することは基本的にありません。

加えて、眼瞼下垂の手術は日帰りで行われることが多く、入院費用が不要なケースがほとんどです。

さらに、医療費が高額になった場合には、高額療養費制度の対象となることもあります。

■眼瞼下垂の治療を保険適用で受ける流れ

眼瞼下垂の治療を受けるにあたり「何科」を受診するべきか迷う方もいます。

第一選択となるのは眼科ですが、保険診療に対応していれば形成外科での治療も可能です。

初診時の問診では、「視界が狭い」「おでこに力を入れないと目が開かない」といった眼瞼下垂の症状を医師に詳しく伝えましょう。

次に、視野検査や挙筋機能の測定などが行われ、検査結果をもとに、医師が保険適用の可否を判断します。

保険適用と認められた場合は、術式の説明が行われ、患者さんの同意を得て手術が決定します。

美容クリニックで行う自由診療との比較

説明する白衣の女性 眼瞼下垂は保険適用になる?基準・費用・自由診療との違い|NERO DOCTOR / BEAUTY(美容医療)

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眼瞼下垂の治療には、保険診療のほかに自由診療という選択肢もあります。

美容クリニックでは治療の目的が保険診療とは異なり、手術にかかる費用もクリニックによって幅があるのが特徴です。

■目的の違い

保険診療の眼瞼下垂手術は、視野障害などの機能的問題を改善することが目的です。

視野を確保し、まぶたの筋肉の動きを補正することで、日常生活の不便を解消します。

ただし基本的に仕上がりは「自然で機能的」であり、審美面での改善は重視されません。

一方、自由診療では「目を大きく見せたい」「二重ラインを整えたい」など、見た目の改善を目的としたデザイン重視の手術が行われます。

患者さんの希望に応じて細やかな調整ができる反面、費用は全額自費での支払いとなります。

■費用や施術内容の違い

保険診療では、治療費は公的医療保険が適用されるため比較的安価です。

ただし、あくまでも機能面での改善が目的。

デザインの自由度は限られますが、ガイドラインに基づいた標準的な治療が行われます。

一方の自由診療では、費用が高額になるものの、まぶたの形や二重ライン、左右差の調整といったデザイン性を重視した仕上がりが望めます。

美容外科専門医が担当するケースも多く見られますが、中には形成外科出身の医師が手術を担当することも。

その場合は、美容クリニックでの眼瞼下垂治療でも保険適用となることがあり、機能面での回復を目指しつつも、審美面に配慮した手術を受けられる可能性があります。

■クリニック選びのポイント

眼瞼下垂の治療を受ける際、クリニック選びは非常に重要なポイントとなります。

とくに、保険診療と自由診療のどちらを選ぶか迷っている場合は、両方に対応できる医療機関を選ぶのがおすすめ。

保険適用の基準を満たしている場合は保険診療で治療を受け、審美的な要素も重視したい場合は自由診療を提案してもらうなど、柔軟な対応が期待できるからです。

保険診療で十分な改善が見込めるのか、自費診療のほうが適しているのか、専門医の意見を聞いたうえで納得のいく選択をすることが求められます。

まとめ

眼瞼下垂は保険適用でも治療を受けられますが、視野の狭まりやまぶたの筋力低下など、日常生活での不便がある場合に限られます。

そのため、見た目の改善のみを目指す場合は、適用範囲外となるので注意が必要です。

形成外科医が在籍する美容クリニックなら、保険診療が適しているのか自由診療のほうが良いのか、的確に判断してもらえる可能性があります。

治療の方向性に迷っている場合は、信頼できる医師に相談したうえで、自分にとって納得できる治療方針を見つけていきましょう。

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・化粧品やマッサージなどが記載されている場合、医師監修範囲には含まれません。

【治療の内容】眼瞼下垂術
【治療期間および回数の目安】1回※状態によって異なります。
【費用相場】¥300,000~¥600,000※クリニックや術式により異なります。
【リスク・副作用等】腫れ、内出血、左右差、目が閉じづらくなる、感染など
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