【Global News】ヒアルロン酸フィラーの“溶解神話”が揺らぐのか?一部製剤で120U投与でも溶解が不十分との報告

ヒアルロン酸注入は、万一の場合に「ヒアルロニダーゼで溶かせる」という前提のもと、広く利用されてきた。

しかし、最近の複数研究では、一部製剤において120単位のヒアルロニダーゼ投与でも完全に溶けきらない例が報告されている。

さらに300単位に増量しても残存が確認されたケースが示されており、「溶解可能」を前提とした安全設計について、慎重な検討が必要となる可能性が指摘されている。

こうした知見が今後の臨床判断にどのような影響を及ぼすのか、世界の注目が集まっている。

📌 記事をざっくりまとめると…

  • 一部製剤で120U投与でも溶解が不十分との報告

  • 300Uでも完全に溶けきらない例が指摘

  • 製剤ごとに抵抗性が大きく異なる可能性

  • “ヒアルロン酸=溶かせる”という前提は再考の余地

  • 今後の臨床判断に追加の知識が必要となる可能性

① 21製剤比較──抵抗性には「幅」があると指摘

21種類のヒアルロン酸フィラーを比較した研究では、溶けやすい製剤と溶けにくい製剤に明確な差があることが示された。

比較的早く溶解したと報告された製剤👇

  • Restylane Lyft

  • Restylane-L / Eyelight

  • RHA1 / Redensity

一方、抵抗性が高かったとされるのは👇

  • RHA4

  • Juvéderm Voluma

  • Belotero Volume

  • Juvéderm Volux

つまり、同じ「ヒアルロン酸」でも、製剤特性によって溶解反応が大きく異なる可能性がある。

② 必要量は2.5〜140Uと幅広く、最大56倍もの幅

別の研究では、完全溶解に要する量が2.5〜140単位と報告されており、製剤の設計や架橋構造の違いが影響している可能性が示唆されている。

一般に「ヒアルロニダーゼを打てば溶ける」と語られてきたが、今回の知見は、その前提が全製剤に当てはまるわけではないことを示している。

③ 高用量300Uでも残存が確認されたとの報告も

最新の報告では、300Uに増量しても完全には溶けきらない例が示されている。

特に抵抗性が強かったとされるのは👇

  • RHAシリーズ

  • Juvéderm 高粘度製剤

  • Belotero Volume

高粘度・高架橋の製剤ほど、溶解しにくい傾向が指摘されている。

なぜ、ここまで差が生まれるのか?

研究では、以下が影響する可能性が指摘されている👇

  • 架橋構造

  • 粘度

  • 濃度

  • 粒子形状

  • 組織への親和性

特に高架橋・高粘度製剤では抵抗性が高くなる傾向があると報告され、製剤の“構造”そのものが溶解反応を左右する可能性が考えられている。

編集長POINT
―安全設計の再考を促す「溶解のばらつき」か

美容医療の現場では「ヒアルロン酸は溶かせる」という認識が長く共有されてきた。

しかし今回の複数研究は、製剤によっては溶解しにくい可能性があることを示した点で、現場に一定の示唆を与える内容とも考えられる。

これはヒアルロン酸そのものの安全性を否定するものではなく、製剤の選択眼と安全設計が、今後さらに重視される方向性を示しているようにも見える。

まとめ

  • 一部製剤で120U投与でも溶け残りが報告

  • 300Uでも残存する例も示されている

  • 溶解能には製剤特性による違いがある可能性

  • “溶ける前提”の臨床判断は慎重さが求められる

  • 今後は製剤特性と安全設計の理解がより重要に


NEROでは、世界各国における医療の制度変容と自由診療の構造分析を継続的に報じている。今後も「医療市場の倫理とサステナビリティ」をテーマに、日本がどこまで自由診療を拡張すべきか、その境界を問い続ける。