美容医療の現場で長年あいまいに運用されてきた「治療前カウンセリング」の主体について、厚生労働省は医師以外による実施は医師法違反に該当するとの立場を改めて明確化した。
これを受け、改めて日本美容外科学会(JSAS)は、昨年末に学会新聞として当該通知の趣旨と制度解釈について改めて整理・周知を行い、カウンセラーや看護師等の非医師が治療選択に関与する行為の違法性を強調している。
参考資料:第3回 美容医療の適切な実施に関する検討会 資料4 (厚生労働省/令和6年10月18日)
この論点は突発的に浮上したものではない。
業界内では以前から制度解釈を巡る議論が続いており、今回の周知はそうした流れを公式に裏付ける動きと位置付けられる。
NEROでもこれまで、厚労省による美容医療の違法行為通知を継続的に報じ、非医師関与のリスクについて警鐘を鳴らしてきた。
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厚労省が脱毛・アートメイク・HIFU等の違法性を明示した通知
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アートメイクを医行為と位置付けた行政解釈の整理
INDEX
医師以外による治療前カウンセリングは「医学的判断」に該当
厚生労働省は、カウンセラー等が患者の希望を聞き取り、治療法を提案・選択・決定する行為について、医師法第17条が禁じる「医業」に該当すると整理している。
患者が「切らない治療を希望する」「ダウンタイムを抑えたい」と述べた場合であっても、そこから具体的な治療方法を判断する行為は医学的判断であり、医師以外が行うことは許されない。
この点については、表向き医師が最終説明を行っていたとしても、実質的に非医師が判断を担っていれば違法となり得るとの解釈が示されている。
看護師による関与も「説明補助」に限定?!
同様に、看護師についても、患者の個別状況を踏まえて治療法を選択・提案する行為は、医師法および保助看法に抵触する可能性がある。
認められるのは、あくまで医師の指示に基づく説明補助や業務補助に限られ、判断行為との線引きが改めて明確化された。
美容医療を巡る制度整理は「点」ではなく「線」で進んでいる
今回の治療前カウンセリングの問題は、単独の規制強化ではない。
厚生労働省では現在、美容医療を巡る複数の制度課題について、段階的な整理と再設計が進められている。
美容医療を巡る主な制度整理項目
| 項目 | 内容 | 実装・施行の見通し |
|---|---|---|
| 美容医療を行う医療機関の報告・公表制度 | 年1回の安全管理措置状況の報告を義務化 | 法改正が必要なため、実施までに一定の時間 |
| 法令違反の疑いがある事例への対応 | 保健所等による立入検査・是正指導の円滑化 | 比較的早期に実施される可能性 |
| 診療内容の詳細な記録・説明の徹底 | 診療録への詳細記載、説明責任の厳格化 | ガイドライン整備を経て段階的に周知 |
| オンライン診療の位置付け整理 | オンライン診療・診断の法的位置付け明確化 | 厚労省内で整理が進行中 |
※本表は、厚生労働省における制度検討内容および業界内で共有されている論点をもとに整理
違反時は行政・刑事対応も想定
厚労省通知では、改善命令に従わない場合、診療所・病院の開設許可取消や、期間を定めた閉院命令が可能とされている。
さらに、立入検査の結果、悪質性が高いと判断されれば、警察・検察への通報も制度上の選択肢として明示されている。
編集長POINT
~「効率重視モデル」からの決別~
治療前カウンセリングの違法性が改めて明確化されたことは、
美容医療における「説明」「判断」「責任」の所在を、制度として再定義する局面に入ったことを意味する。
これまで黙認されてきた
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医師不在の事前カウンセリング
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非医師主導の治療誘導
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説明責任の外部化
といった運営モデルは、法的・経営的リスクを内包する構造へと変わった。
今後、自由診療としての持続性を確保するためには、医学的判断の主体を明確にし、制度順守を前提とした組織設計が不可欠となる。

まとめ
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治療前カウンセリングは医師のみが実施可能
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非医師による治療提案・選択は明確に違法
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形式的な医師関与では免責されない
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行政処分・刑事対応が制度上想定されている
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美容医療は制度順守型モデルへの転換期にある
NEROでは、医療制度改革の進展を注視し続けます。今後も医療業界における倫理とサステナビリティの問題を掘り下げ、日本の医療市場がどのように変革していくかを追い続けます。

