
厚生労働省は8月15日付で、「美容医療に関する取扱い」通知を全国の自治体に発出した。
対象は無資格カウンセラーによる診断や看護師単独施術、チャット診療、広告違反など幅広く、立入検査・是正命令・刑事告発まで可能とする強硬姿勢が示された。
特に注目されるのは、アートメイクの扱いだ。厚労省は今回の通知で「アイラインやリップを描く行為も医行為」と再定義。つまり、名称が「メイク」や「タトゥー」であっても、人体構造物や化粧に代替し得る装飾を描く行為はすべて医行為にあたるとした。
出典 : 厚生労働省 医政局長通知「美容医療に関する取扱いについて」
(医政発0815第21号/令和7年8月15日付)
INDEX
アートメイクを巡る“司法と行政のねじれ”
今回の通知が波紋を広げるのは、最高裁判断とのねじれだ。
最高裁は2020年に「タトゥーの施術は医行為にあたらない」と判断し、厚労省の旧通知を否定していた。
しかし2023年に厚労省は「アートメイクは医行為」とする通知を出し、今回さらに範囲を拡大。結果として、司法判断を部分的に否定し直す“行政の上書き”となっている。
背景には、患者被害防止という大義名分がある一方、行政組織の“面子”や既存通知の延長線での自己正当化との指摘もあり、法曹界や国会関係者から疑問の声も上がっている。
カウンセラー問題・HIFU・チャット診療 ― 現場直撃の規制強化
今回の通知は、現場の美容医療ビジネスモデルに直結する規制を複数示した。
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カウンセラー問題
無資格者が「カウンセラー」と称して患者の希望を聞き取り、治療法を提案する行為は医師法違反と明記。料金説明の体裁であっても、実質的に医学的判断を伴えば違法とされる。 -
看護師単独施術の禁止
医師の指示がない状況で、看護師が脱毛やHIFU、アートメイクなどを実施した場合は違法行為。特にHIFUはサロンや看護師施術で広がっており、業界に大きな影響を及ぼす。 -
チャット診療の制限
メールやチャットだけの診断・処方は医師法20条違反の可能性があると明確化。オンライン診療は「リアルタイムの映像・音声」が必須とされ、文字情報のみの診療は原則禁止となった。
広告規制 ― No.1表記・体験談・ビフォーアフター写真も対象
美容医療の集患に直結する広告規制についても改めて強調された。
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「絶対に安全」「必ず効果がある」といった虚偽広告
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「No.1」「日本一」などの比較優良広告
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患者体験談を誘因目的で掲載する広告
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術前術後の写真を不十分に提示する広告
これらはいずれも禁止対象と明記され、SNS広告やクリニックのWeb集客に直接響く内容となる。
まとめ
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厚労省が美容医療の不適切事例を網羅し、立入検査・刑事告発ルートを明確化
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アートメイク=医行為とする再定義は最高裁判断とのねじれを生む
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無資格・広告違反モデルは淘汰され、「医療としての美容」へ制度成熟が加速
参考文献
▼以下、参考内容/
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