【Global Trend】韓国で人気? 美容医療で広がる「ヒト由来コラーゲン(hADM)」という新潮流 ――スキンブースターは“次のフェーズ”に入ったのか

📌 記事をざっくりまとめると…

  • 韓国を中心にhADM(人由来無細胞真皮マトリクス)が話題

  • 海外で「ヒアルロン酸以外の選択肢」を模索する動き

  • 「刺激して再生させる」から皮膚構造に着目する治療思想への変化

  • 日本でも学会・カンファレンスで紹介が進行

  • 一方で安全性・承認・情報開示には慎重な議論が必要

  • 流行よりも治療の考え方を見る視点が重要になっている

美容医療における注入治療といえば、長らくヒアルロン酸が中心だった。

一方で、「入れ続けて本当にいいのか」「違う選択肢はないのか」
そんな違和感を抱く声も、静かに広がり始めている。

しかし近年、韓国をはじめとするアジア圏だけでなく、欧米の学会や業界関係者の間でも、
「ヒアルロン酸以外の選択肢」としてコラーゲンや皮膚構造そのものに着目する治療を模索する声が聞かれ始めている。

そうした流れの中で注目されているのが、
ヒト由来コラーゲン(hADM)という新たな概念だ。

これは単なる新製剤の登場ではない。
「どれを入れるか」から、「皮膚をどう捉えるか」へ。
美容医療が次の判断軸を探し始めている兆候として、この動きを読み解く必要がある。

「何を入れるか」から「どう支えるか」へ

hADMとは、human acellular dermal matrix(人由来無細胞真皮マトリクス)の略称。
人の皮膚組織から免疫反応の原因となる細胞成分を除去し、
真皮の基質(ECM)構造のみを残した素材を指す。

これまでの注入治療は、

  • ヒアルロン酸による充填

  • PLLAやPDLLAによるコラーゲン生成刺激

といった「効果を出す」ことを主眼に置いた設計が中心だった。

一方でhADMは、
皮膚をどれだけ作らせるかではなく、
皮膚の構造をどう保ち、どう支えるか
という考え方に基づいている。

韓国で進む研究と美容応用

韓国では2020年代以降、
ニキビ痕、瘢痕、皮膚の凹みなどを対象に、
hADMの美容応用研究が段階的に報告されてきた。

背景にあるのは、
即効性を重視する治療がもたらした過剰なボリューム感や不自然さへの反省だ。

その結果、
「強く効かせる」よりも
皮膚の質感や構造を尊重するアプローチに関心が集まり始めている。

日本では「関心が高まり始めた」段階か

日本国内でも、
美容医療関連の学会やカンファレンスで
hADMに関する紹介や言及が見られるようになってきた。

ただし現時点では、

  • 臨床データは限定的

  • 長期的な安全性評価は十分とは言えない

とされており、
一般化を急ぐ段階ではないという認識が共有されている。

安全性と透明性という避けて通れない論点

hADMは人由来組織を用いる製剤である以上、
以下の点が常に議論の対象となる。

  • 感染症リスクを完全にゼロとは断言できない

  • ドナー管理・検査体制の厳格さ

  • 製造プロセスや承認状況の透明性

重要なのは、不安を煽ることではない。
どこまで情報が開示され、
どこまで説明責任が果たされているか
が、
治療選択の信頼性を左右する。

編集長POINT|「製剤」ではなく「判断軸」を読む

今回のhADMを巡る動きが示しているのは、
新しい製剤の優劣ではない。

美容医療が今、
「どう効かせるか」という判断軸を模索しているという事実そのものだ。

  • 刺激して作らせるのか

  • 不足分を補うのか

  • 皮膚構造として捉えるのか

これからの時代に求められるのは、
製剤名や流行ではなく、
その治療がどんな思想で設計されているのかを見抜く視点である。
hADMを巡る議論は、その判断力が今、消費者側にも求められ始めていることを示している。

まとめ

  • 海外でもヒアルロン酸一択を見直す動きが出始めている

  • hADMは韓国を中心に注目される新たな治療概念

  • 日本では慎重な評価段階

  • 新しさよりも「治療思想」を問う時代に入っている


NERO 安達健一  

NEROでは、世界各国の医療制度の変容と自由診療市場の構造を継続的に検証している。情報が氾濫する時代において、何が“正しい医療選択”なのか。
NEROは「医療市場の倫理とサステナビリティ」を軸に、日本の自由診療が進むべき範囲と、その臨界点を問い続ける。