「脱脂で失明する」って本当?リスクはどれぐらい?SNSで拡散中の噂の真相に迫る

SUPERVISOR

AELLE CLINIC 理事長

和倉 隆造 先生

兵庫医科大学を卒業後、整形外科医として14年間勤務。その後、慢性疼痛クリニックの院長を務めたのち、大手美容外科に入職したことをきっかけに美容医療にも携わるようになる。「しっかりとお客様のお悩みを把握し、適切な施術を適正価格で提供したい」という思いから AELLE CLINIC(アエルクリニック) を開業。施術技術日本一のクリニックを目指し、日々研鑽を重ねている。

「脱脂で失明する」って本当?リスクはどれぐらい?SNSで拡散中の噂の真相に迫る

脱脂とは、下まぶたの脂肪を除去してたるみや膨らみを解消する美容外科手術のこと。“切らないクマ取り治療”として高い注目を集め、若々しい目元印象を求める方に選ばれています。

しかし近頃、「脱脂を受けた後に失明した」といったSNS投稿が拡散され、不安の声が多く聞かれるように。

そこで本記事では、脱脂による失明リスクについて深堀りして解説。脱脂で本当に失明が起こりうるのか・視力が低下するとすれば、そのメカニズムは何なのか――。

脱脂を検討している方が不安に感じているポイントを医学的根拠に基づいてわかりやすく紐解いていきます。

脱脂で失明する?SNS発の不安と医療データが示す現実のギャップ

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脱脂(経結膜脱脂術)は、突出している目の下の脂肪を除去して、たるみや膨らみを解消する施術です。

下まぶたの裏側(結膜側)からアプローチするため傷痕が目立ちにくくダウンタイムも比較的短いことから、目の下の膨らみやたるみによるクマに悩む方たちにとって有効な選択肢の1つとなっています。

しかし一方で、「脱脂には失明リスクがあるのでは?」という懸念がSNSを中心に広まり、施術を検討中の方にとって大きな不安材料となっています。なぜ今このような声が急増しているのでしょうか。

“脱脂で失明する”という不安の声が急拡大している背景

脱脂に対して不安の声が広がったきっかけは、SNSに投稿された「脱脂を受けて失明しました」というとある投稿だと考えられています。

この投稿自体では医学的背景や詳細は明らかにされていないものの、目という生活機能に直結する部位で起きたトラブルであることから、多くの人が直感的に「目の手術=視力を失うかもしれない」という恐怖心を抱くこととなりました。

さらに一般的に、負の体験はSNSでもとくに拡散されやすい傾向にあり、その影響からXやInstagramなどを通して、「脱脂は危険なのでは?」という不安の声が瞬く間に広がることとなったのです。

この投稿を受けて専門医の間でも大きな議論が巻き起こり、業界全体でも注目が集まっています。

医学的データが示す現実——脱脂後の失明は「ゼロではないが極めて稀」

SNS上では脱脂におけるネガティブな情報が急速に広がっている状況ですが、実際どれほどの確率で失明リスクが起こりうるのかも気になるところです。美容目的を含む眼瞼手術後の失明の症例は、海外の論文で複数報告されています。

たとえば、ASAPS(アメリカ美容形成外科学会)とBAAPS(イギリス美容形成外科学会)の全会員を対象に実施した大規模調査によると、回答した外科医が実施した75万2,816件の眼瞼形成術のうち、失明が報告されたのは39例。

眼瞼形成術後の視力喪失の全体発生率は0.0052%(10万件中5件、2万件に1件程度)と算出されています。

なお、このデータは美容外科領域で信頼性のあるデータとして広く引用されていますが、上まぶた・下まぶたの両方、および経皮的・経結膜的な全てのアプローチの結果を総合したものである点にも留意が必要です。

これらデータより、適切な知識と手技のもとで行われた脱脂において、失明に至るケースは臨床上ほぼ報告されておらず、医師の間では「まず起こらない合併症」として認識されています。

SNSの投稿だけを見ると「失明が頻発しているのでは?」と感じてしまいますが、実際の医療データを見れば、そのイメージとは大きなギャップがあることが伺えます。

脱脂で視力低下や失明を招くメカニズムとは

「脱脂で失明する」って本当?リスクはどれぐらい?SNSで拡散中の噂の真相に迫る|NERO DOCTOR/BEAUTY(美容医療)

脱脂による失明の発生率は数万件に1件ほどと極めて稀ですが、実際に眼瞼手術後に失明した症例が複数あるのも事実です。では、どのような経緯をたどると失明リスクにつながるのでしょうか。

下眼瞼の構造は、上記イラストのようにざっくり外側から内側へ向かって、皮膚・皮下組織⇒眼輪筋⇒隔膜前脂肪⇒眼窩隔膜⇒眼窩脂肪と層をなし、その奥に眼球と視神経が存在します。

脱脂は眼球に直接メスを入れる手術ではないため、本来であれば視力に影響することはほとんどありません。

しかし、下眼瞼から眼窩脂肪を操作する際に血管を損傷すると、眼窩内出血が起こることがあります。

出血によって眼窩内に血が溜まると血腫となり、眼窩内圧が急激に上昇。その結果、視神経や網膜動脈が圧迫されて血流が途絶え、視力低下や失明を招く可能性があることが指摘されています。

実際に報告された症例の多くは、この出血による圧迫や腫れによる急激な眼圧上昇が起因しているとみられています。

ドクター目線で見る「これは起こりうるのか?」——頻度・リスク因子・見逃しやすいサイン

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起こる頻度は極めて稀な脱脂による失明リスクですが、特定の条件が重なった場合や、術後のサインを見逃した場合に問題が深刻化する可能性があります。

ここでは、どのような条件下で失明リスクが高まるのか、見逃すと危険な症状の具体例などを整理して解説します。

通常の脱脂では失明がほぼ起こらないとされているのはなぜ?

通常の脱脂では、眼窩の手前側(前方)の浅い層です。そのため、血管がダメージを受けて出血が起こった場合でも、多くのケースでは皮下出血や内出血として表側に出てくるのが一般的。術後の青あざや腫れとして確認ができるため、医師が適切に判断・処置できます。

しかし、失明に至ってしまうのは、例外的に起こる極めて稀なケースです。

  • 出血が表側に出ずに深部に溜まり続けて血腫が拡大
  • 深部に血腫が溜まっていることに術者が気づけなかった
  • 対応が遅れて視神経の圧迫がさらに悪化

これらの条件がすべて重なった場合に、失明の恐れが高まってしまいます。この合併症が起こるリスクはかなり低いものの、発生した場合には迅速かつ適切な対応が求められます。

見逃すと危険なサインとは

脱脂による失明リスクを抑えるためには、術前の丁寧かつ適切な診断・正確な手技・そして術後の徹底した観察を行うことが何より大切です。

例えば、高血圧の方や血液凝固異常の方、抗凝固薬の内服をしている方などは、一般より出血リスクが高まる可能性があるため、術前の問診や既往歴の確認・医師による診察を慎重に行うことが不可欠。

また、深部までの過度な剥離や粗雑な止血操作はもちろん、両側同時に長時間かけて手術するといったことも、出血のリスクを高める可能性が指摘されています。そのため、手術手技が安定していることや経験値も安全性につながる大切な要素です。

とはいえ、術者の診断や技術に問題が無くても、血圧の急変や体質的な要因などによって予期しない出血が起こる可能性もゼロではありません。そのため、術後の異変にいかに早期に気付けるかが大変重要となります。

次は見逃すと危険な術後のサインです。下記の症状が見られた場合に、早期に止血および血腫除去の対応をすることで失明リスクを抑えられると考えられています。

【見逃すと危険な術後のサイン】

  • 急激な眼痛や頭痛
  • 片側だけの急な視力低下
  • 眼球が前に飛び出すような腫れ(眼球突出)
  • 瞳孔の左右差
  • 目の動きの制限 など

術後は圧迫止血だけで終わらせるのではなく、数時間程度は視力や痛みのチェックをとくに慎重に行うことが求められるでしょう。

患者側は何に気をつければいい?“怖がりすぎずに正しく備える”チェックポイント

診察 問診 「脱脂で失明する」って本当?リスクはどれぐらい?SNSで拡散中の噂の真相に迫る|NERO DOCTOR/BEAUTY(美容医療)

ここまで脱脂による失明リスクの実態やメカニズムについて解説してきましたが、脱脂に限らず、どの医療行為にも一定のリスクは存在します。

そのため、「リスクがある=脱脂は危険」と極端に捉えるのではなく、正しい情報に基づいてリスクを理解すること、そして信頼のできる医師・クリニックを選ぶことが大切です。

下記は、クリニックを検討する際に役立つチェックポイントです。次のポイントを意識すると、より安全性の高い選択がしやすくなるでしょう。

  • 眼瞼や眼周囲の手術を専門的に扱っているか(形成外科・眼形成など)
  • 脱脂における症例件数が豊富であるか
  • 失明や眼窩内出血のリスクについての質問に真摯に説明してくれるか
  • 術後トラブルが起きた時の連携体制の有無(眼科との連携、夜間の連絡先など)
  • 術前検査や健康状態の確認は丁寧か(血液検査、服薬歴、既往歴など)

また、目の下のクマや膨らみを解消する方法は脱脂のほかにも、レーザー治療ヒアルロン酸注入肌質改善治療なども選択肢として挙げられます。

目の下の脂肪そのものを除去する脱脂は即効性が高く、大きな変化が得やすい施術ですが、今一度自分にとって本当に必要な選択であるのかも視野に入れて検討するようにしましょう。

▽結膜脱脂で後悔しないために!症例を交えた解説記事

“脱脂=失明リスクがある”から避けるのではなく、正しく理解したうえで選択を

SNSでは怖さや不安な気持ちを刺激するネガティブな情報ほど拡散されやすい傾向にあり、今回の騒動もその流れの中で“脱脂=視力を失うかもしれない”という不安の声が一気に広まったと考えられます。

だからこそ、ネットの断片的な情報だけを見て判断するのは避けたいところです。

しかしその一方で、重要なのは「過度に怖がること」でも「根拠なく楽観すること」でもなく、適切な医師のもとで、正しい手技と管理体制が整っているかを見極めることです。

最も大切なのは、適切な情報やデータをもとにリスクを正しく理解したうえで慎重に検討し、自分自身が納得をして選択すること。この姿勢こそが、安全性と満足度の両方につながる最も有効なアプローチだといえるでしょう。

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【施術の内容】経結膜脱脂法
【施術期間および回数の目安】通常1回 ※状態によって異なります。
【費用相場】1回約¥150,000~¥400,000程度 ※各クリニックによって異なります。本施術は自由診療(保険外適用)です。
【リスク・副作用等】腫れ、痛み、内出血、結膜出血など

【施術の内容】ヒアルロン酸注射
【施術期間および回数の目安】約9~12ヶ月ごとに1回程度 ※状態によって異なります。
【費用】1本 ¥55,000~¥150,000程度 ※各クリニックによって異なります。本施術は自由診療(保険適用外)です。使用する本数には個人差があります。
【リスク・副作用等】赤み、内出血、腫れ、痛み、アレルギー反応、修正位置のずれなど
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・施術に用いる医薬品は、医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。詳細は厚生労働省の「個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報」をご確認ください。
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