4/21発足記念講演会最新レポあり!新設立「日本美容内科学会」とは?医療業界の「学会」の仕組み・成り立ちも解説!

4/21発足記念講演会最新レポあり!新設立「日本美容内科学会」とは?医療業界の「学会」の仕組み・成り立ちも解説!

美容内科分野の医学的な探求を目的とする「一般社団法人 日本美容内科学会(以下、「日本美容内科学会」)」が設立されました。これによって、従来よりもさらに安心・安全な美容内科医療の構築・普及が進むのではと期待されています。今回は、新設の「日本美容内科学会」について詳しく解説するとともに、医療業界における“学会”の仕組みや成り立ちについてもまとめました。美容内科医や美容医療に携わる方にとっては、今後の治療やクリニック運営にも大きく関わる重要トピックのはず。今回は学会発足の記念講演会にも参加してきてレポを追加していますので、学会加盟を考えている方もぜひ読んでみてください。

1.医療業界における「学会」とは?どんな役割がある?

そもそも医療業界における“学会”とはどのようなものなのか、まずは確認しておきましょう。

■医療業界における「学会」

学会とは、学者や研究者が日頃の研究の成果を発表し、その妥当性を参加者とともに検討・議論する集まりのこと。医療業界における学会では、医師が治療法や診断法、新たな知見に役立つ情報などを発表したり、医療機器メーカーが最新機器を展示したりします。学会には“研究発表会”という意味合いもありますが、多くの医師が加盟する団体でもあります。

学会への入会は任意ではありますが、2018年に改定された新専門医制度により、その専門領域の学会による認定がなければ専門医資格の取得が難しくなりました。そのため、医師としてのスキルアップ、資格取得のためにもさまざまな学会へ足を運ぶ方がほとんどではないでしょうか。

日本の医療業界において、最大規模の学会といえば「日本医学会」。1902年に創設されて以来、4年ごとに日本医学会総会が開催されてきました。現在は、日本の医療における学術機関として日本医師会の下に 設置され、日本内科学会や日本皮膚科学会など142の分科会 があります。(※2024年時点)
しかし、この日本医学会に美容医療分野の学会は含まれていません 。美容医療については、日本医学会とは別にいくつかの学会が設立され、運営されています。

医学は日々進歩しており、最先端の治療法とうたわれていたものが、どんどん古くなっていく業界です。例えば、今日まで安全と信じていた治療法や薬が、研究によって実はリスクがあると判明することもあるでしょう。
医師にとって学会とは、医療にまつわるあらゆる知識や技術をブラッシュアップできる貴重な場。積極的に参加し、最新医療について学ぶことは医師にとってとても重要なことといえます。
また、知見あるドクターによる論文発表・ポスター発表などのアウトプットの場があること自体は、日本の医療業界の発展を支えている場だといえます。

■「学会」と「医局」の関係

医師の世界では、学会とは別に“医局”という集まりもあります。
医局とは、明確な定義はないものの、一般的には大学医学部・歯学部の附属病院において診療科や研究室ごとに医師が任意で集まる団体のことを指します。医学部の教授が中心となって構成されており、所属するのは医師や大学教員、医員、研修医など。入局すれば、医師としてのキャリア形成 に役立ったり、博士号や専門医資格の取得 が進めやすかったりというメリットがあります。

学会発表する際には所属を問われる場合があるため、医局に入局することが学会参加の条件ととらえる方もいます。 しかし、実際には医局に所属していなくても学会に参加し、発表することは可能。年々、しがらみや所属を嫌う若手医師が、医局に入らずに、学会へ参加して知識習得を目指す医師も多くいますし、病院内の診療科目の変更タイミングで医局を抜けてそのまま入らない…といったケースも増えてきました。

NERO’s comment
多数のドクターの話を聞きましたが、医局についてはご年齢やルーツ(大学病院勤務なのか市中病院なのか、都内なのか地方なのか、学閥が強い病院なのか…など)によっても考え方が大きく異なり、いろいろなしがらみがあるようですので、今回は少し省略しています。

2.2023年10月に新設!日本の美容内科を変える「日本美容内科学会」とは

さて、ここからは本題である「日本美容内科学会」について紹介します。

■「日本美容内科学会」の目的

2023年10月17日、日本の美容医療を内科学的な面から探求する「一般社団法人 日本美容内科学会」が新たに設立されました。これは、日本の美容医療業界における学会としては「日本美容外科学会」「日本美容皮膚科学会」に次ぐ3団体目となります。

「日本美容内科学会」の目的は、本当の意味で効果が発揮される、安心・安全な美容内科医療の構築と普及。これまで美容皮膚科や美容外科による美容医療を補填・サポートする役割を担っていた美容内科分野を、EBM※という方法論 に基づいて、さらに医学的に掘り下げることを目指しています。

※EBM:evidence based medicineの略。「根拠に基づく医療」を意味する。

■「日本美容内科学会」設立の背景

「日本美容内科学会」は、代表理事を務める青木晃(あおきあきら)氏、副理事の池田欣生(いけだよしお)氏 が中心となって設立されました。青木氏は主に抗加齢医療・再生医療 の分野、池田氏は皮膚科・形成外科 の分野をリードする医師です。

設立に至った背景には、美容内科の現場において以前から問題視されていたエビデンスの集積が不十分であるという現状があります。このような状況下では、美容内科医は効果や安全性が不確かなまま、自らの判断でエビデンスを提示するしかありませんでした。

「日本美容内科学会」の設立について、副理事の池田氏はこのように語っています 。

池田氏:当クリニックでも、話題のエクソソームや幹細胞点滴を提供していますが、それらを導入しているのは業者さんが信頼できるという理由です。実際自分も点滴を受け良かったのですが、ただもう少し科学的な選択の理由が必要だと思っています。美容医療の皆さん同じだと思いますが、業者さんが信頼できるからではなく、本当にそれが良いものかどうかということを開業医同士で情報交換する会ができることはありがたいです。

出典:【一般社団法人 日本美容内科学会】真に効果的で安心・安全な美容内科医療の構築と普及のため学会を設立 | 【自費研online】医院の経営・開業支援サイト

外科治療と違い、内科治療はゆっくりと効果を発揮します。ホルモン投与やサプリメント内服などの治療法では、本当に効果が出るのか、安全性は保たれているのか判断できるまでに数ヶ月から数年はかかるでしょう。しかし、実際には治療で使用される薬やサプリ、点滴について、安全性が長期的な面で担保できていないものもあるといいます。

このことについて代表理事の青木氏は、このように語っています。

青木氏:本当に安全でエビデンスがしっかり出ているものを、内科医目線で患者さんやユーザーサイドに、作ったり提供したりしなきゃいけませんが、美容医療の昨今の流れはそうだとは言い切れません。(中略)健康な人がより美しくなるためにすることで、健康を害すことがあってはなりません。そういった問題点を内科目線で検証する必要があると思います。

出典:【一般社団法人 日本美容内科学会】真に効果的で安心・安全な美容内科医療の構築と普及のため学会を設立 | 【自費研online】医院の経営・開業支援サイト

この青木氏の言葉にもあるように、安全性が科学的に立証しきれていない治療法があることこそが今の美容内科医療の抱える大きな課題です。この現状を変えるべく、新たに立ち上がったのが「日本美容内科学会」。今後は、これまでエビデンスが不確かとされていた部分がさまざまな議論や研究によって次々と解明され、よりブラッシュアップされていくのではと期待されています。

また、理事の顔ぶれには若手の発信力の強い有名ドクターもおり、他の学会では重鎮たちが名を連ねることが多いことを考えると、より「美容内科」という言葉を世間に浸透させ、また症例やエビデンスを多く持っているであろうドクター群と真の追及をしていきたいという気持ちもよくわかる体制をとっているのではないかと感じられます。

3.「日本美容内科学会」の主な事業内容

「日本美容内科学会」は、以下の事業を掲げています。

・エビデンスを重視した安心・安全で真に効果的な美容内科医療の構築
・美容医療機関への正しい美容内科医療の普及
・日本美容内科学会認定の専門医・指導士の育成
・日本美容内科学会認定医療施設の普及
・一般市民に対する正しい美容内科医療の啓発と普及
・年次学術集会(総会)、セミナーの開催
・学会誌の発刊
・美容内科に関する文献・図書の刊行及び販売
・美容医療における内服薬、点滴製剤、健康食品などに関する研究・調査及びその助成
・その他、当法人の目的を達成するために必要な事業
出典:一般社団法人 日本美容内科学会設立!! 〜真に効果的で安心・安全な美容内科医療の構築と普及のために〜

「日本美容内科学会」の理事を務めるのは、美容医療や抗加齢医学・再生医療などの分野において業界をけん引するエキスパートばかり 。それぞれが自身の専門的な立場からさまざまな治療法や課題について議論できる場ができたことは、これまで曖昧な部分の多かった美容内科分野にとってとても大きな意味をもつことでしょう。

4.「日本美容内科学会」への入会方法は?

入会方法については下記の学会ホームページをご覧ください。

会員区分 入会金 年会費
正会員A(医師・⻭科医師) 5,000円 10,000円
正会員B(国家資格を有する医療従事者・本学会の目的に賛同する施設及び企業等に所属する研究者) 5,000円 8,000円
一般会員(理事2名の推薦を得られた健康・美容業界の方) 5,000円 5,000円
学生会員 5,000円
賛助会員(本学会に賛同する一般企業及び医療施設等) 100,000円 100,000円
特別賛助会員(本学会に賛同する一般企業及び医療施設等) 300,000円 300,000円

「日本美容内科学会」に入会すると、さまざまな会員特典がある点も大きなメリット。
※賛助会員、特別賛助会員への特典は下記の通りです。

例えば、
・学会が発行するニュースレター・フライヤー(不定期)に法人名やリンクを掲載
・学会イベント、セミナー参加費割引及び優先案内
といった特典が受けられるようになります。

とくに特別賛助会員になると、通常特典に加えて、
・本学会委員との特別対談とコラムをホームページに掲載
・本学会ホームページに法人名・ロゴ・バナーを掲載
・本学会イベント・セミナーで研究発表する権利
の特別特典も追加されます。研究発表によって美容内科業界に貢献できるだけでなく、自身のクリニックについて認知度を高めることにもなるでしょう。

5.【2024年4月21日】「日本美容内科学会」発足記念講演会が開催!

2024年4月21日(日)、「日本美容内科学会」発足記念講演会が開催されます。
青木代表理事をはじめ、当学会で副理事や理事を務める、美容医療の分野にて注目を集める医師が多数登壇。トークセッションや特別公演、懇親会とさまざまな企画が予定されています。こちらは、続報で各医師に突撃インタビューをしてみようと思っているので、追記しますね。

開催日時 2024年4月21日(日) 13:00〜17:15

※懇親会は同会場にて17:45〜19:15予定

会場 ハリウッド大学院大学ホール

(東京都港区六本木6-4-1 六本木ヒルズハリウッドプラザ5階ホール)

対象 医師・歯科医師・国家資格を有する医療従事者・美容医療関連企業

※事前受付登録が必要

参加費 無料(懇親会は別途、参加費あり)
定員 先着300名(懇親会は150名限定)

とくに注目度が高いのは、美容医療・抗加齢医療・再生医療の分野において第一線で活躍する理事・顧問医師らによるトークセッション。「今、なぜ美容内科の学会が必要なのか?〜各理事がそれぞれの立場から見た問題点と未来を語る〜」というテーマで、美容医療や再生医療の未来について語られます。豪華な顔ぶれでのトークにわくわくして、NEROも早速、チェックしてきました!

「今、なぜ美容内科の学会が必要なのか?〜各理事がそれぞれの立場から見た問題点と未来を語る〜」

各理事の顔ぶれ/個性あふれる理事の面々に驚き

まず驚くのが、各理事の顔ぶれの個性の強さです。
写真右
理事⻑の⻘木 晃先生(医療法人晃和会 ウェルエイジングクリニック南⻘山 理事⻑)

そして写真左から、
坪内利江子先生(銀座スキンクリニック院長)
末武 信宏先生(さかえクリニック院長)
野本 真由美先生(野本真由美スキンケアクリニック総院長)
斎藤 糧三先生(斎藤クリニック院長/日本機能性医学研究所所長)
堀田 和亮先生(医療法人社団SMILE LAND理事長/Creation Lab 代表理事)
岩本 麻奈先生(グランプロクリニック銀座 理事長)
前田 陽子先生(ごきげんクリニック浜田山 院長/国際長寿臨床医学会 代表理事)
池田 欣生先生(日本美容外科学会JSAS 学会長/日本美容外科学会 理事)
渡邊 千春先生(医療法人千美会 千春皮フ科クリニック院長)
という顔ぶれです。

それぞれ、理事になるにあたり、いまなぜ、内科学会が必要なのか?について様々なご本人の研究、アプローチについて語り、そのうえでいかに【安全に】【正しく】【長期的なエビデンスを証明していくか】 ということをそれぞれの立場で語るという場でした。

講演をお聞きしていて感じた点としては、どのアプローチも【健康】について真面目に、徹底的な持論をもとに、「探求」をしているということ。筆者は他の学会にも良く参加させていただくのですが、それぞれのドクターの【美】の価値観は平行線になることも多いのが現状です。

ところが今回の学会では、皮膚科の先生だがメディカルアロマを研究している/プラセンタを研究している/睡眠美容/迷走神経の研究…など、同じテーマについて「違う角度から考え直す」「再度捉えなおす」ことが共通しており、既存の美容医療について、根本からエビデンスも含めて「果たして本当にそうなのか?」と考えなおしていくことが大事なのだと感じました。

臨床先行の業界で、検証がないがしろな中で新施術や新薬剤がどんどん走っていくことは患者目線で見ても、不安なことです。SNSなどで出てくる情報などは誤った意見も多く、否定したいと思うことも多いのが現状。
結果がすぐわかりやすい外科の分野と比べた時、内科分野はプラセンタが60年かけてようやく副作用のなさなどについてわかってきた、ということを例にしても、「どういった変化になっていくのか」について知ることはできない。それが、健康長寿を目指す、綺麗で健康でいられる期間を長くすることを目指す、といった内科分野の哲学的な難しさであると感じました。

また、美しさについての考え方の提示も他学会とは毛色が異なっており、造形美を改善するという、西洋的な面が改善されるだけでなく、美容内科は、その人を覆う空気を換えることができると思っているドクターが多かったのも特徴。
【内から美容】【プラセンタ】【ペプチド】【漢方】【睡眠】【食事】といった、それぞれの専門分野で内側からキレイにするためのアプローチについて言及するキーワードも多数出ていました。

そして、全員が別の方向のアプローチをしているように見えて、結果的にすべてがつながっているのだと感じられる素晴らしい講演でした。
他、各コンテンツや、突撃取材でのドクターコメントもいただいたので、また別の記事で特集してあります。

▼終わりの際の集合写真も記念に貼っておきます!

まとめ

美容医療業界における3番目の学会として新たに設立された「日本美容内科学会」。これまでエビデンスの質が不十分で、安全性がしっかりと担保されていない部分も多かった美容内科医療が大きく変わる原動力となるでしょう。そして、この学会の活動が功を奏せば、今の美容内科治療がより安全で、安心できるものとして広く認知されることになりそうです。美容内科に携わる医師や医療関係者の方は、学会に入会すれば知見を広められるチャンス。さまざまな会員特典によって、自らのクリニックの認知度アップや人脈を広めることも叶うでしょう。患者目線でも、こうした「正しい知識」を広げる団体があることはとても嬉しいこと。ぜひ「日本美容内科学会」の今後の動向にも注目してみてください。

・当サイトは、美容医療の一般的な知識をできるだけ中立的な立場から掲載しています。自己判断を促す情報ではないことを、あらかじめご了承ください。また、治療に関する詳細は必ずクリニック公式ホームページを確認し、各医療機関にご相談ください。
・本記事は、執筆・掲載日時点の情報を参考にしています。最新の情報は、公式ホームページよりご確認ください。
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