コラーゲン製剤とは、肌のハリや小ジワ、くぼみへのアプローチを目的とした注入系フィラーの一種です。
ヒアルロン酸と並び美容医療で用いられていますが、動物由来なのかヒト由来なのかによって注意点が異なります。
安全性や長期的なリスクを重視する方に向けて、コラーゲン製剤の種類やそれぞれの特性、副作用、選び方の基準を解説。
クリニック選びの前に押さえておきたいポイントをご紹介します。
コラーゲン製剤とは?

コラーゲン製剤は、皮膚の浅い層に注入してボリュームや質感を補うフィラー治療の一種です。
同じ注入治療でも、製剤によってアレルギーへの懸念やリスクが異なります。
まずは基礎的な知識から確認していきましょう。
フィラーの一種としてのコラーゲン製剤
コラーゲン注射とは、治療部位に直接コラーゲンを注入し、皮膚のシワやたるみを目立ちにくくする治療です。
いわゆるフィラーに分類され、ヒアルロン酸製剤やカルシウムハイドロキシアパタイト(CaHA)を主成分とする「レディエッセ」やポリ乳酸を用いた「ジュベルック」などと同じカテゴリーに位置づけられます。
コラーゲン製剤は、このフィラー群の中でも、生体が本来持つタンパク質を主成分としている点が特徴です。
皮膚の真皮層にはもともとコラーゲン線維が豊富に存在し、肌のハリや弾力を支えています。
加齢とともに産生量が低下するため、シワやくぼみが目立つように。
コラーゲン製剤によってコラーゲンそのものを充填すれば、肌のハリや弾力を高める効果が期待できます。
動物由来コラーゲンの特徴
動物由来コラーゲンには、ウシ由来のものとブタ由来のものがあります。
ウシ由来製剤は長年にわたり皮膚充填材として広く使用され、厚生労働省からも認可されています。
ブタ由来製剤は、ブタの皮膚から抽出したコラーゲンで、韓国製の「TheraFill(セラフィル)」が有名です。
いずれもヒトの持つコラーゲンとは性質が似ていますが、異種タンパクです。
そのためアレルギーリスクはゼロではありません。
アレルギーの既往にかかわらず腫れや赤み、かゆみが生じるリスクがあるため、使用前には皮内テストを行い、一定の経過を見てから治療を始めましょう。
ヒト由来コラーゲンの特徴
ヒト由来コラーゲンはヒトの皮膚から抽出されるため、理論上はアレルギー反応のリスクが低いと考えられています。
治療前に皮内テストが不要とされるケースが多い点も特徴です。
皮膚に存在するコラーゲンのうち、Ⅰ型コラーゲンは組織に硬さと強度を与え、Ⅲ型コラーゲンは柔軟性に関与するとされています。
このⅠ型コラーゲンとⅢ型コラーゲンに着目して開発されたのが、「ベビーコラーゲン」です。
「ベビーコラーゲン」はⅠ型とⅢ型コラーゲンをそれぞれ50:50で配合。
ヒアルロン酸ではアプローチが難しいとされていた目の下の小ジワやちりめんジワにも効果的で、持ちも優れていると考えられています。
コラーゲン製剤で期待できる効果と限界

「ベビーコラーゲン」などを用いたコラーゲン注射は、あらゆる肌悩みに対応できる万能な治療ではありません。
適応を見極めずに選択すると、効果実感が乏しい、いわゆるデメリットと感じる結果につながることもあるため、注意しましょう。
コラーゲン製剤が適応となる症状
コラーゲン注射は、浅いシワや皮膚の薄い層の質感を整えることに適しています。
とくに目の下や口の周りなど、繊細な部位への施術で選択されることが多い治療です。
具体的な適応は、小ジワや軽度のくぼみ、青クマに対する補正目的などです。
ヒアルロン酸よりも硬さが出にくいとされ、自然なテクスチャーを重視するケースや質感の均一化、透明感を目的とした施術に向くと考えられています。
また、コラーゲン注射をほうれい線に施すと、浅いシワの段差をなだらかに整える効果も期待できます。
持続期間の目安は製剤や部位、代謝などによって変わりますが、一般的に6ヶ月~1年程度です。
適応外となるケース
一方、強いたるみや骨格的な凹みが原因となっている症状には不向きです。
十分な効果を期待しにくく、そのほかの外科的治療が検討されるケースが多いでしょう。
溝の深いほうれい線や眼窩脂肪の突出による目の下のふくらみ、頬全体の大きなボリューム減少、重力によるフェイスラインの崩れなどへの対応には限界があります。
適応を正しく理解せずに施術を受けると、「失敗した」という後悔につながりかねません。
副作用や合併症など、知っておくべきリスクをチェック

コラーゲン製剤を含むフィラー治療では、施術後に一定の反応が生じることがあります。
治療を受ける前に、副作用やリスク、注意が必要なサインについて把握しておきましょう。
一般的な副作用
注入治療に伴う一般的な副作用として挙げられるのが、内出血や腫れ、赤みなどです。
注射針が毛細血管に触れることなどで生じます。
これらの副作用は数日~2週間程度で落ち着くケースがほとんどです。
体質によってもばらつきはありますが、ダウンタイムが長引く心配も基本的にはないといえるでしょう。
注意が必要な合併症
コラーゲン製剤に限らず、フィラーにはしこりの形成や遅発性炎症反応、感染、肉芽腫など注意すべきリスクがいくつかあります。
2009年発表の「Foreign body granulomas after all injectable dermal fillers」(*1)でも、各種フィラーに伴う肉芽腫や遅発性炎症反応の発生メカニズムについて詳細に記されています。
しこりが生じた場合、経過観察で快方に向かうこともありますが、炎症が持続する場合はステロイド注射や外科的除去が必要になることも。
感染が疑われる場合は、抗菌薬による治療も必要です。
「ベビーコラーゲン」を含むヒト由来製剤でも、発生確率はゼロではありません。
フィラーの失敗例として語られるケースの中には、適応外部位や過量注入が関与するものもあります。
「ベビーコラーゲン」だけでなく「コラージュ(Collage)」などの海外製剤でも、合併症リスクは同様です。
施術前にきちんとリスクについて説明を受け、異変時の対応体制が明確かどうかを確認しておくことが、不安の軽減につながります。
血管塞栓リスク
「ベビーコラーゲン」などのコラーゲン製剤を注入する上でもう1つ知っておくべき重大なリスクが、血管閉塞です。
注入された製剤が血管内に入り込むことで血流が遮断され、皮膚壊死や眼動脈への逆流による視力障害を引き起こし、最悪の場合は失明に至ることもあります。
施術前に確認しておきたい5つのポイント
コラーゲン製剤を使った施術を検討する際、事前に確認すべき事項を以下にまとめました。
既往歴・アレルギー歴
自己免疫疾患やケロイド体質、過去にフィラー注入で反応が出た経験がある場合は、必ず医師に申告しましょう。
服用薬の有無
抗凝固薬や抗血小板薬は内出血リスクを高めることがあります。
服用中の薬は、処方薬・市販薬を問わず、すべてリストアップしておきましょう。
イベントの予定
ダウンタイムを考慮し、施術後2週間以内に重要なイベントがある場合は、施術時期を調整するのがベターです。
クリニックのフォロー体制
施術後に異常が生じた際、迅速に対応できる体制がクリニックに整っているかを事前に確認しておきましょう。
医師の説明内容
カウンセリングでは、効果だけでなくリスクや限界についても具体的な説明があるかどうか確認しましょう。
ほかのフィラーとの違いと使い分け

コラーゲン製剤の特性を正しく理解するには、ほかのフィラーと比較する視点が欠かせません。
ここでは、コラーゲン製剤とほかのフィラーとの違いを解説。
使い分けるためのポイントを詳しく見ていきましょう。
ヒアルロン酸との比較
ヒアルロン酸は高い吸水性を持つ成分です。
ヒアルロン酸を注入することで、周囲の水分を引き寄せてボリュームを形成します。
即効性が高く、注入量の調整もしやすい点が特徴です。
コラーゲン製剤は吸水膨張が少ないため、注入後に不自然なふくらみが生じにくく、皮膚の薄い部位での自然な質感補正に向くとされています。
深いくぼみや広範囲のボリューム補正にはヒアルロン酸、皮膚の薄い部位の質感や微細な小ジワへの対応にはコラーゲン製剤が選ばれやすいです。
ポリ乳酸との比較
コラーゲン製剤とよく比較されるもう1つのカテゴリーが、ポリ乳酸に代表される「コラーゲン産生促進系」製剤です。
コラーゲン製剤が「コラーゲンそのものを充填することで補正を行う」のに対し、ポリ乳酸は「体内の線維芽細胞を刺激し、自己コラーゲンの産生を促進する」という間接的なアプローチを取ります。
コラーゲン製剤は即時的な充填・質感補正を目的とした局所的な治療に用いられることが多いです。
ポリ乳酸はハリや弾力、肌の質感を整えたい場面に適しているといえるでしょう。
まとめ
コラーゲン製剤は、フィラー治療の中でも「生体由来タンパク質を用いた充填」という特性を持ちます。
皮膚の薄い部位の質感補正や浅いくぼみ・小ジワに向く一方、重度のたるみや骨格的な問題には限界があるでしょう。
ヒアルロン酸やポリ乳酸とも比較しながら、製剤名ではなく目的と原因で選ぶという視点を持つことが、納得のいく治療選択への近道です。
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