肌の再生医療とは?メリット・デメリットで考える先進治療を選ぶ理由

肌の再生医療とは?メリット・デメリットで考える先進治療を選ぶ理由

みずみずしさやハリの失われた肌に悩んでいませんか?年齢を感じ始めた肌を「昔のように弾力のある状態に戻せたら……」と願う方もいるでしょう。そんな、年齢を感じる肌への治療として、肌の再生医療が注目されています。本記事では、肌の再生医療で行われる治療方法を説明し、治療についてのメリットとデメリットを解説します。年齢が表れやすくなった肌を、レーザーや超音波などの美容医療以外で治療したいと考える方にとって、有益となる肌再生医療の情報をお伝えします。

1.肌の再生医療とは?

出典:photoAC

肌の再生医療とは、自己の幹細胞を培養し、エイジングが気になる箇所に移植する先進の治療方法のことで、肌細胞補充療法とも呼びます。年齢を重ねるとともに減ってしまった肌の細胞を補充することで、再び元の肌の状態に近づける目的で行われる治療です。自身の細胞を使用するため安全性が高く、老化のスピードを抑えられるといわれています。

2.肌再生医療で行われる治療方法

肌の再生医療として確立している治療方法は、主に以下の二つです。これらの治療方法が、美容医療の分野で導入されています。

■線維芽細胞療法

線維芽細胞療法とは、肌細胞である真皮繊維芽細胞を採取し、専門施設で培養したものを、肌のエイジングが気になる部位に移植する方法です。移植により、肌にハリをもたらすコラーゲンやヒアルロン酸などが再び作られるようになり、気になるエイジングの悩みの解消に役立ちます。

・肌の真皮線維芽細胞とは?

採取する真皮線維芽細胞は、肌の真皮にある細胞です。真皮線維芽細胞は健やかな肌を保つために非常に大切な役割を担っており、ハリや弾力、うるおいのある肌を保つ成分であるコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸を生成します。
真皮線維芽細胞は20歳を過ぎると減少する傾向にあり、50歳では3分の1あるいは、2分の1まで減少するのです。そのため、見た目で年齢を感じる肌になります。肌の再生医療では、この真皮線維芽細胞にアプローチ。増殖させて移植することで肌細胞を活性化させ、年齢を感じ始める前の肌状態に戻すことが期待できます。

■PRP療法

PRP療法は、自己の血液にある成分を利用する肌の再生医療です。血液を採取後、遠心分離機を使用して成長因子を多く含むPRP(多血小板血漿)のみを抽出します。抽出したPRPをエイジングが気になる部位に注入。肌の細胞を活性化させる成長因子を増やすことで、コラーゲンの生成を促す治療法です。

3.肌の再生医療で想定されるメリット

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前述した肌の再生医療には、どのような効果が期待できるのでしょうか?ほかの美容医療では得られにくい、肌の再生医療が特化するメリットを解説します。

■予想される副作用が少ない

肌再生医療は、副作用が起きにくいと予想されています。自身の細胞や血液を移植するため、拒絶反応やアレルギー反応などが起こりにくいことが理由です。
しかし、適切な効果を得るためには、安全性を考慮した施設で治療を受けることが大切。「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」にもとづき、厚生労働省から認可されたクリニックで受けるのが望ましいでしょう。

■年齢を感じ始めた肌を若々しく保てる

肌の再生医療を受けると、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸が増えるため、肌にハリやうるおい、弾力がもたらされると考えられています。そのため、肌が年齢に伴って老化するペースの抑制が期待できるのです。
また、一時的な治療法ではなく、年齢を重ねていく肌に対して根本治療を目指せるのもメリット。根本治療なので効果は持続していきますが、1年~1年半のペースで追加移植をすると、肌の若々しさを保てる可能性が高まります。

■細胞の保管ができる

採取した真皮線維芽細胞は、専用の施設で半永久的に冷凍保管が可能です。若いときの活発な細胞を採取して保管しておけば、必要なタイミングで治療に役立てることができます。後々年齢を重ねても、良い状態の細胞を治療に使用できるのはメリットといえるでしょう。

■年齢を問わず治療ができる

たとえ若いときに細胞を採取していなくても、肌の再生医療は年齢を問わず受けられます。年齢を重ねても自身の細胞を移植・増殖することで、エイジングに対して効果が期待できるのです。

4.肌の再生医療で想定されるデメリット

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再生医療は副作用が少ないと考えられ、肌への高い効果も望めます。一方で、肌の再生医療にはデメリットやリスクもゼロではありません。肌再生医療で想定されるデメリットをお伝えしましょう。

■劇的な変化を感じにくい場合がある

肌の再生医療は、3ヶ月~半年ほどかけて移植した肌細胞がゆっくりと肌組織を活発にしていくため、ほかの美容治療よりも効果を感じるまでの期間が長く、即効性の面で劣ります。劇的な変化を感じにくく、もどかしさを感じるかもしれません。
また、効果の表れ方には個人差があるため、中には「効果がなかった」と感じてしまう方も。肌に年齢を感じやすい理由が、筋肉や脂肪など真皮以外にある場合にも、期待したような効果が表れにくいことがあります。
肌の変化を感じやすいかどうかは、肌再生医療を受ける年齢も関係します。まだ肌細胞の数がそこまで減っていない20~30代では効果を発揮しにくいことを把握しておきましょう。

■ダウンタイムがある

肌細胞の移植は注射により行います。痛みを抑制するために表面麻酔をかけますが、注射針を刺すことによる腫れや内出血が起こるケースもあります。ダウンタイムは一時的なものだと考えられており、3日程度から長くても1週間ほどで落ち着くでしょう。長引く場合は医師への相談が推奨されています。

■肌にシコリができる可能性がある

細胞の注入によりコラーゲンが増えすぎると、肌にシコリや膨らみができる可能性も指摘されています。また、自己免疫疾患の悪化も想定されるリスクの1つです。

■治療費用が比較的高い

肌の再生医療にかかる費用は、ほかの美容治療よりも比較的高価です。肌細胞を採取、培養する手間やコストがかかることが、費用が高額になる理由の1つでしょう。肌の再生医療にかかる料金の目安は、数十万~数百万円です。
また、肌の再生医療は医師の高度なスキルが必要となる治療です。適切な効果を得るためには、線維芽細胞を肌の真皮層に慎重に移植するという高い技術が求められます。肌の再生医療の料金が高額となるのは、これらも理由です。

5.肌の再生医療における治療の流れ

肌の再生医療では、どのような治療段階で進んでいくのでしょうか。治療の流れを解説します。

  • 医師によるカウンセリング
  • 血液検査
  • 採血と皮膚採取
  • 細胞の培養
  • 真皮線維芽細胞の移植
  • 定期検診およびアフターケア

培養に必要な皮膚は、一般的には耳の後ろ辺りから採取します。耳の後ろ側は紫外線の影響を受けにくく、肌細胞が若いと考えられるためです。採取する皮膚のサイズは、米粒大ほどにすぎないので、傷跡も目立ちにくいでしょう。
細胞の培養には約5週間を要します。培養が完了したら、真皮線維芽細胞を移植。より細胞を定着させるため、とくに初回移植では1回追加し、計2回の移植が推奨されています。
施術後は、検診に通い定期的なケアを受けます。その後、1年~1年半ごとに細胞を注入していくと、長く効果を持続できるでしょう。

■まとめ

肌の再生医療は、自身の細胞や血液を採取・培養・移植する治療方法です。自らの細胞を使用するため、副作用が起きるリスクが少ないと予想されています。また、一時的なエイジングケアではなく、年齢を感じた肌を根本的に改善できる治療であることもメリットです。ただし、費用の面や想定される肌トラブルなどのデメリットもあります。肌の再生医療で想定されるリスクを軽減させるには、クリニック選びが重要です。厚生労働省が審査のうえ認可し、再生医療計画番号を受け安全性に考慮したクリニックを選ぶと良いでしょう。

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