「うっかり日焼け止めを塗り忘れて外出し、思っていたよりも日焼けしてしまった……」そんなときもあるでしょう。しかし、老化の原因は8割が紫外線と言われています。 光老化によるシワやシミ、たるみを防ぐためには、日焼け後の行動が重要なキーポイントに。こちらの記事では、日焼けしたあとの緊急対策として、72時間以内にすべきことをまとめました。紫外線量が急激に増加する春以降の外出に備えて、ぜひチェックしておきましょう。
1.72時間以内のケアが大切な理由
日焼け後のアフターケアは、72時間以内がゴールデンタイム!この時間にいかに適切に対処できるかが、光老化を防ぐための鍵を握っています。では、なぜ72時間以内にケアすることが重要なのでしょうか?その理由についてお伝えする前に、まずは紫外線の種類からおさらいしておきましょう。
肌に影響を与える2種類の紫外線
そもそも紫外線は「UVA」「UVB」「UVC」の3つに分類されます。しかし、UVCはオゾン層などの大気圏に吸収される性質を持つため、地表に届いて日焼けに関与するのはUVAとUVBのみです。
UVAは波長が長く、20~30%が皮膚の奥深くに到達します。エネルギー自体は強くありませんが、浸透力が高く照射量も多いため、肌に影響を与えやすいのが特徴です。具体的に、真皮層にまで到達したUVAは、コラーゲン及びエラスチンを破壊します。肌のハリや弾力が失われ、シワやたるみを引き起こす原因になるのがこの紫外線です。
一方、UVBは、皮膚細胞のDNAにダメージを与えるなど、強いエネルギーで人体に影響を及ぼします。皮膚や目の表面に作用し、ヒリヒリとした炎症により肌の赤みを引き起こすほか、シミやそばかすを作る原因になる紫外線です。皮膚がんとの関係も指摘されています。
日焼け後72時間以内のケアが大切な理由は?
まず、紫外線を浴びると、皮膚の中では活性酸素が発生します。発生した活性酸素は、メラニンの生成を担うメラノサイトにアプローチ。メラニンを作り肌の色を濃くすることで、紫外線のダメージから皮膚を守るよう働きかけます。これが、紫外線を浴びた肌が黒く日焼けする仕組みです。
なお、日焼けには2つの種類があります。紫外線を浴びた数時間後に赤みや炎症を引き起こす「サンバーン」と、数日後に皮膚を褐色化させる「サンタン」です。サンバーンはヒリヒリとした痛みを伴いますが、通常は2~3日経てば症状が軽快します。一方、サンタンは、紫外線を浴びてから約72時間以降に活性化。
つまり、日焼けから数日が経過したころに肌を黒くするメラニンが大量に生成されるということです。「アフターサンケアの勝負が72時間以内」と言われるのは、これこそが主な理由。サンタンに対しては、72時間以内であれば日焼け後でも十分に対処する方法があります。
2.うっかり日焼けしたあとは正しいケアを
ここからは、日焼け後72時間以内の早い段階で取り入れたいケアをご紹介します。正しいケアで紫外線によるダメージを軽減し、肌老化を防止しましょう。
①まずはしっかり冷やす&保湿をする
紫外線によるダメージを受けた肌は、バリア機能が低下し、皮膚の水分が蒸発しやすくなっています。皮膚は水分を失うと敏感になり、少しの刺激がダメージにつながることも。日焼け後は、肌が軽いやけどを負っているのと同じ状態であり、できるだけ早く冷却するのが理想的な対処法です。保冷剤や濡らしたタオルなどで冷やせば、肌の炎症を抑えられます。ただし、冷却に保冷剤や氷を使用する場合は、凍傷のリスクを避けるため、肌に直接触れないようガーゼやタオルで包みましょう。また、ジェルのついた冷却シートの使用にも注意してください。日焼け後の肌は刺激を感じやすくなっており、ジェルに含まれる成分が炎症を助長させてしまう可能性があります。そのため、肌に負担がかかるような冷却方法は、避けておくのが無難です。
なお、肌をしっかりとクールダウンさせたあとは、保湿ケアもお忘れなく。お伝えしたように、日焼け後の肌はバリア機能の低下により水分が失われた状態になっています。肌へ水分を補給させるには、化粧水が効果的。セラミドなどの保湿力に優れた成分が配合されているものであれば、なお良いでしょう。化粧水は普段使用しているもので構いませんが、日焼け後の肌は敏感になっています。化粧水にアルコールなどの刺激になりそうな成分が含まれていないかを、今一度確認しておくと安心です。さらに、補給した水分を逃さないようにするには、オイルやクリームで仕上げるのがポイント。普段よりもやさしいプレスで、肌の負担にならないようなケアを心がけてください。敏感肌用などの刺激に配慮されたものを選ぶのもおすすめです。
②ビタミンを補給する
アフターサンケアは、体の外からだけでなく内側からも行いましょう。日焼け後は、肌がダメージを修復するために、体内の栄養素を多く消費します。そこで、積極的に補いたいのがビタミンCとビタミンE。抗酸化作用のあるビタミンCは、活性酸素の生成を抑えるほか、シミやそばかすの原因となるメラニンが肌に定着するのを防いだり、肌のハリ・弾力に欠かせないコラーゲンの合成を助けたりする働きを持ちます。ビタミンCが多く含まれている食品は、かんきつ類などの酸味のある果物や小松菜・モロヘイヤといった葉野菜など。飲料だと、緑茶に多く含まれています。
一方でビタミンEは、血行を良くし、活性酸素を撃退したり肌のターンオーバーを整えたりする作用を持ちます。肌をトーンアップさせる・ニキビや肌荒れを防ぐ・ハリや弾力を回復させる効果が期待できることから、美肌づくりに欠かせない栄養素です。ビタミンEは、かぼちゃやアボカドのほかに、ナッツ類などに多く含まれています。なお、ビタミンCとビタミンEは相性の良い栄養素です。組み合わせて摂取すると、より高い美肌効果を得ることができます。
バランスの良い食事は美肌づくりの基本ではありますが、これらの栄養素を効率良く補いたい場合は、サプリメントの活用がおすすめです。とくに、日焼け後のケアとしては、普段以上にビタミン補給が重要になります。メラニンの生成が活発になる日焼け後72時間は、ビタミンCとビタミンEのサプリメントを積極的に摂取し続け、紫外線により体内に発生した活性酸素を抗酸化成分によって除去していきましょう。
③美容クリニックでスペシャルケア
美容クリニックで行うケアも、日焼け後の対策には有効です。例えば、エレクトロ ポレーションは、電気の力で薬剤や美容液などの有効成分を肌の真皮層まで導入できる施術。有効成分は気になる肌症状に合わせて選択でき、日焼けの場合は炎症を落ち着かせるトラネキサム酸・ビタミンC・ヒアルロン酸などが適しています。さらに、針を使わずに注入できるのもエレクトロポレーションのメリット。安全性に配慮されており、痛みやダウンタイムはほとんどありません。エレクトロポレーションを受けると、通常のスキンケアでは化粧水や美容液が届かない深さにまで有効成分を浸透させることができます。まさに、美容クリニックでしかできないスペシャルケアと言えるでしょう。
また、エレクトロポレーションと並行して、高濃度ビタミン美容点滴などで効果的にビタミンを摂取するのもおすすめです。美容点滴にはいくつかの種類がありますが、例えば高濃度ビタミンC点滴には、レモン1250個分に相当する量のビタミンCが含まれています。食事やサプリメントで補う方法もご紹介しましたが、これだけの量のビタミンCを一度に摂取することは困難です。また、美容点滴では血管内に直接投与することから、血中のビタミンC濃度を速やかに高められます。そのほかにも、日焼け後の対策としてだけでなく、ビタミンCの作用によるデトックスや肌荒れ改善効果を得ることも可能です。日焼け後の肌を落ち着かせつつ、美肌を目指したい方に向いています。
まとめ
日焼けして黒くなった肌を見ると「やってしまった……」と嘆きたくなるかもしれません。しかし、日焼けしたあとのアフターケアは時間との勝負!冷却や保湿、必要な栄養素の摂取などで適切に対処すれば、日焼けをなかったこと(に近い状態)にできる可能性があります。ただし、日焼け後のアフターケアはあくまでも緊急避難的なものにすぎません。うっかり忘れてしまうこともあるとは思いますが、紫外線対策の基本は日焼け止めを正しく塗ることです。そのほか光老化を防ぐには、帽子やサングラスといったアイテムも上手に使いながら、紫外線から肌を守る行動を心がけましょう。
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