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男性の老化医療は今どこにいるのか──第26回日本メンズヘル

男性の老化医療は今どこにいるのか──第26回日本メンズヘル
🔬 国内学会・男性医療・ホルモン
第26回日本メンズヘルス医学会 2026年9月26〜27日 山口・KDDI維新ホール

「テストステロンが低いのか、老化の一部なのか」
「補充すべきなのか、補充しなくていいのか」
SNSや自費診療の文脈では「男性更年期」「TRT(テストステロン補充療法)」という言葉が
先行して語られやすい。

2026年9月26〜27日、山口のKDDI維新ホールで
第26回日本メンズヘルス医学会が開催される。
テーマは「すべてのライフステージからメンズヘルスを俯瞰する」。
第17回テストステロン研究会を併催し、
第14回テストステロン治療認定医講習会&試験も行われる。

学会で何が決まるか・指針が変わるかは、終わってみないとわからない。
ただし「この学会の議論がなぜ重要か」は、開催前に整理しておく価値がある。
NEROは学会前の「論点整理」と学会後の「何が出たか報告」の二段構成でフォローする。

学会名第26回日本メンズヘルス医学会
テーマすべてのライフステージからメンズヘルスを俯瞰する
会期2026年9月26日(土)・27日(日)
会場KDDI維新ホール(山口県山口市小郡令和1丁目1-1)
会長白石 晃司(山口大学大学院医学系研究科泌尿器科学講座 教授)
併催第17回テストステロン研究会
試験第14回テストステロン治療認定医講習会&試験(9月27日・現地)
配信事後オンデマンド(一部):2026年10月27日〜11月27日

「男性更年期」「LOH症候群」「TRT」──
言葉が先行する市場で学会が担う役割

LOH症候群(Late-Onset Hypogonadism・加齢男性性腺機能低下症)という概念は、
日本では2007年に日本泌尿器科学会と日本Aging Male研究会(現・日本メンズヘルス医学会)が
『LOH症候群診療の手引き』を刊行し、国際的recommendationを参照しつつ概念が整理された。
「加齢によるテストステロン低下に伴う症状群」という整理だが、
SNSや自費診療の文脈では言葉が先行して語られやすい側面がある。

問題①:「低い値」の基準が国際的に標準化されていない
テストステロン値の「正常下限」は測定法・検査機関・ガイドラインによって異なる。同じ数値でも「低い」「正常」の判断が変わりうる。
問題②:症状との相関が必ずしも一対一ではない
「疲れやすい・やる気が出ない・性欲が落ちた」はLOH症状とされるが、うつ病・睡眠障害・甲状腺機能低下など他の原因と重複する。「テストステロンが低いから」が必ずしも正しい診断でない。
問題③:長期安全性データが蓄積中
TRTの長期的な心血管リスク・前立腺への影響については研究が続いている。「安全に使える」という結論が出たわけでも「危険」という結論でもない段階だ。

日本メンズヘルス医学会は、こうした「市場の先行」に対して
「エビデンスに基づいた議論の場」として機能してきた。
「テストステロン治療認定医」という資格制度もその一環だ。

今回の学会で注目したい3つの論点

「すべてのライフステージからメンズヘルスを俯瞰する」というテーマは、
テストステロン補充に限定しない「男性の健康全体」という視野の広さを示している。
NEROが注目する3つの論点を整理しておく(NERO編集部の読み解き)。

論点① LOH診断の精緻化はどこまで進んでいるか

テストステロン値の「カットオフ値」「測定法の標準化」「症状スコア(AMS等)との関係」については国内外で継続的な議論がある。単純な数値判定から、「どの症状に対してどの数値の人が補充から恩恵を受けるか」という精緻化が進んでいるかに注目したい。

論点② 美容・ウェルネス領域との境界線

「アンチエイジング目的」「パフォーマンス向上目的」のTRTは保険適用外の自費診療になる。美容クリニック・自費診療専門クリニックでのTRT提供が増える中、「医療上の適応」と「パフォーマンス向上」の境界線の議論がどう展開するかが関心事だ。

論点③ 「ライフステージ全体」という視点の意味

テーマが示す「すべてのライフステージ」は、20代〜80代以上を視野に入れた男性の健康管理の体系化を意図していると読める。「高齢男性のフレイル・サルコペニアとホルモン」「若年男性の不妊・性機能低下」「中年期の心血管リスク」をどう統合するかは今後の議論となりうる──これはNERO編集部の考察であり、今回の学会公式プログラムから直接導けるものではない。

「テストステロン治療認定医」とは何か──
資格制度が意味すること

今回の大会では第14回テストステロン治療認定医講習会&試験(9月27日・現地)が実施される。
この資格制度は、「性腺機能低下症に対するテストステロン補充療法を正しく適切に行うことができることを証する資格認定」(学会公式)として設けられている。取得要件は医師または歯科医師・学会会員・講習会受講と試験合格、更新は2年ごとだ。認定医検索ページも公式に用意されている。

💡 患者・受診者にとって何を意味するか(NERO編集部の読み解き)

「テストステロン治療認定医」の資格を持つ医師かどうかは、
TRTを検討する際に確認すべき一つの指標になりうる。
ただし資格の有無が「医師の技術の絶対的保証」ではなく、
「一定の学術的訓練を受けている証左」として理解するのが適切だ。

日本では薬剤・適応・診療目的によって保険診療と自費診療が分かれるため、
保険適用の可否は個別確認が必要だ。
カウンセリングでは「何の目的でどの製剤をどの用量で使うか」を
説明できる医師かどうかを確認することを推奨する。

NERO編集長 安達健一
NERO編集長 安達健一

「テストステロンを上げれば元気になる」という言説は
SNSや自費クリニックで広がっているが、
「誰に・何の目的で・どの用量で」という問いが
きちんと答えられているケースがどれだけあるか。

この学会は、そういう「雑に語られがちな分野」に
学術的な精度を持ち込もうとしている場だ。


業界関係者への視点で言うと、
「男性更年期外来」「TRT外来」を設置しているクリニックは
今後この学会のエビデンス積み上げと
ガイドライン動向から目が離せない。

「テストステロン治療認定医」資格を持つ医師かどうかは、
クリニック選びの参考情報になりうる──
これはNERO編集部の読み解きであり、公式が示す事実ではない。

NERO編集長 安達健一
NERO編集長 安達健一
📌 NEROのフォロー方針

本記事は「学会前の論点整理」だ。
学会後(9月27日以降)に「何が発表されたか」「新しいエビデンスが出たか」「ガイドラインに動きがあったか」を別記事としてフォローする予定だ。
事後オンデマンド配信(10月27日〜11月27日)の内容もあわせて確認する。

出典・参考情報

  1. 第26回日本メンズヘルス医学会 開催概要. c-linkage.co.jp/menshealth26(直接確認済み)
  2. 一般社団法人日本メンズヘルス医学会. テストステロン治療認定医講習会のお知らせ. jsmh.jp
安達健一

安達 健一

NERO DOCTOR/BEAUTY 編集長

日本・米国看護師(BSN)・MBA保有。世界の一次医療データをもとに監修。広告主からの影響を受けない独立した編集方針を貫いています。