最近よく聞く肌育って何?肌質を改善させるには土台の真皮からアプローチ!

最近よく聞く肌育って何?肌質を改善させるには土台の真皮からアプローチ!

多くの方は、肌の悩みを治療でなんとかしたいと思うでしょう。しかし、枯れた土地に種をまいても美しい花が咲かないのと同様に、土台が崩れた状態での美肌治療は根本的な改善になっているとはいえません。そこで、「肌育」という治療の提案です。肌育は真皮層に直接アプローチすることで、肌質そのものをふっくらと、若々しい印象に変えていきます。この記事では近年注目されている「肌育」について解説するとともに、治療に用いられる注入剤の種類や特徴、治療の際のポイントを詳しくお伝えします。

とにもかくにも土台づくりが基本!

なぜ肌のケアに土台づくりが必要なのか、まずは皮膚の仕組みを理解しておきましょう。皮膚は主に、表皮・真皮・皮下組織の3層で成り立っています。そのうち、肌の土台となるのが中層にある真皮です。
真皮には繊維芽細胞が存在し、コラーゲン・エスラチン・ヒアルロン酸などの物質を生成しています。これらの物質をECM(細胞外マトリックス)と呼び、ECMが正常に構築されることで、肌はハリやうるおいを保つことができるのです。

しかし、繊維芽細胞やECMは、紫外線のダメージや加齢によって減少します。すると真皮の構造は骨組みや中身が失われた状態へと変化し、一度壊れてしまった真皮は再生することができません。肌の土台が崩れることで、これまで支えていた表皮にはゆるみが生じ、結果、シワたるみになってしまうのです。

肌育治療では、不足したコラーゲンやヒアルロン酸を補うだけでなく、繊維芽細胞に働きかけて生成を促し、ECMを再構築(リモデリング)することが可能です。つまり、弱った土台(真皮)に栄養を与え、健康な肌状態を再び育てていくということ。とくに、コラーゲンの減少が顕著となる30代~のエイジングケアや、ハイフや糸リフトといったたるみ治療の下準備として導入することで、効率よく理想の肌を手に入れられます。

肌育には注入治療がおすすめ!

出典:photoAC

真皮中の繊維芽細胞を刺激する美容施術には、レーザーやピーリングなどがありますが、肌育にはダイレクトに必要な成分を届ける注入治療がおすすめです。施術に用いられる注入剤は、繊維芽細胞を活性化させるECM製剤のほか、ECM製剤以外にも真皮にアプローチできるものがあります。ECM製剤の場合、主成分にはECMのもととなるアミノ酸と、自然に近い非架橋ヒアルロン酸が使われます。人が本来持っている成分であるため、より真皮になじみやすく、ナチュラルな仕上がりになるのが特徴です。

製剤の種類は、非架橋ヒアルロン酸の分子量*1が多いものや、美白有効成分*2が配合されているものなどさまざま。選択肢が多いため、肌の悩みに応じて使い分けることをおすすめします。さっそく肌育治療に用いられる代表的な製剤と、成分や効果をチェックしてみましょう。

*1……ヒアルロン酸の密度。症状の重さによって使い分けられる
*2……シミのもととなるメラニンの生成を抑える

肌育治療は、基本的に複数回繰り返すことで効果を発揮し、持続期間も長くなります。推奨される治療期間を過ぎたあとは、医師と相談し、必要に応じて定期的なメンテナンスが必要です。製剤によってダウンタイムや費用も異なるため、ご自身が続けやすい製剤を選びましょう。それぞれの違いをまとめたので、ぜひ製剤選びの参考にしてみてください。

製剤の種類 治療期間 ダウンタイム 費用の目安
スネコス200/1200 ・200:2週間ごとに4回

・1200:1~2ヶ月ごとに2回

・一時的な腫れや内出血など

・目のまわりは皮膚が薄いため施術当日は腫れぼったくなりやすい

1回55,000円~
NEOFOUND(ネオファウンド) 2~3週間ごとに3~6回 ・一時的な腫れや内出血など 1回50,000円~
ハイドロ ・2週間ごとに4回 ・一時的な腫れや内出血など 1回90,000円~
ジャルプロスーパーハイドロ ・1ヶ月ごとに3回 ・一時的な腫れや内出血など 1回90,000円~
プロファイロ ・1~2ヶ月ごとに2回 ・軽度の一時的な腫れや内出血 ・1回70,000円~
リジュラン/プルリアル ・どちらも2~3週間ごとに3~4回 ・当日、注入部位がポコポコ膨らむ場合がある

・注入部位の炎症によるかゆみや痛みが数日続く場合がある

・1回55,000円~
ジュベルック ・1ヶ月ごとに3回 ・一時的な腫れや内出血など ・1回40,000円~
レニスナ(ジュベルックボリューム) ・1ヶ月ごとに3回 ・一時的な腫れや内出血など ・1回50,000円~
ボライトXC ・基本的に1回の施術で9ヶ月効果が持続する

 

・当日、注入部位がポコポコ膨らむ場合がある

・一時的な腫れや内出血など

・1回70,000円~

肌育注射のポイントとメリット・デメリット

従来の注入治療といえば、フィラー注射とも呼ばれるヒアルロン酸でシワの溝を埋める方法が一般的でした。施術後すぐに見た目の変化を実感できるのが魅力ですが、見た目がイメージより変わってしまうリスクがあることや、効果がなくなるたびに再注入する必要があること、またアレルギーなどの副作用を心配して、治療に抵抗があったという方もいるのではないでしょうか。

肌育治療では、物理的なボリュームを与えるのではなく、製剤を浸透させて皮膚本来の機能を再び手に入れることを目的としています。フィラー注射で用いるヒアルロン酸が、添加物を配合して体内への吸収を遅らせる処置(=架橋)がされているのに対し、ECM製剤のベースとなる非架橋ヒアルロン酸はその処置がされていません。そのため注入部位にしこりができにくく、いかにもヒアルロン酸を入れたような顔にならないといった点が大きなメリットといえます。

一方で、フィラー注射は即効性があるのに対し、肌育注射は効果を実感できるまで時間がかかります。細胞が持つ生成能力を再利用する治療のため、とくにECMを作り出す材料のアミノ酸が不足している方は、効果を実感するまで治療を複数回委繰り返す必要があるでしょう。また、非架橋ヒアルロン酸は、架橋ヒアルロン酸に比べてアレルギーが出にくいのもメリットです。ただし、体質によっては稀にアレルギー反応が出てしまうこともあるため、不安な方は必ず医師に相談してください。

【手打ちor機械】注入方法に違いはある?

製剤にもよりますが、注入された製剤は、皮膚の内部で1~2cm広がる性質を持っています。そのため、肌育治療では気になる箇所にピンポイントで注入するよりも、広範囲に広く注入するほうが効果を実感しやすいでしょう。
美容皮膚科では、肌育治療を「スキンブースター注射」「水光注射」といった名前で提供するところもあります。しかし基本的には、注入方法は医師が注射器で注入する「手打ち式」と、機械を使って注入する「機械式」の2つです。
製剤の種類や患者の肌状態、痛みの感じ方で適している方法も異なります。痛みが不安な方は、オプションで麻酔を追加できるクリニックもあるため、事前に調べておきましょう。

医師による手打ちの特徴

手打ち式は、気になる部位に重点的に注入できる点と、機械式に比べて製剤を取りこぼすことなく注入可能な点がメリットです。例えばシワを改善したい場合、手打ち式ではシワのラインや深さに沿って、一滴ずつ注入量を調整することが可能です。ただし、機械式に比べて痛みを感じやすいことと、細かい部分では的確な判断と技術が必要なため、医師の腕によって効果が左右される点がデメリットです。

機械による注入の特徴

機械式は、施術時間を抑えながら広い範囲で均一に注入できる点がメリットです。また、針による刺激で、コラーゲンの生成をさらに促す効果も。痛みやダウンタイムが比較的少なく、顔全体をケアしたい場合に最適です。しかし、注入時に針と肌の隙間から液漏れする可能性があり、手打ち式に比べて注入量が減ってしまうというデメリットもあります。注入治療に用いられる主な機械は、水光注射またはメソガンの2つ。多くのクリニックでは水光注射が採用されていますが、メソガンのほうが細部まで対応でき、液漏れや痛みも少ないといった特徴があります。

まとめ

肌育とは、老化のサインを異物でコントロールするのではなく、皮膚本来の力を底上げする治療方法です。まだ一般的には聞きなじみのない言葉かもしれませんが、「肌そのものを強く、土台をつくっていく」ことの必要性を理解できたでしょうか。有名な美容施術や製剤の効果に目がいきがちですが、もっとも大切なのはいかに計画的に土台をつくれるかということ。「自分の肌の土台には何が足りないのか」を意識しながら、賢く選択していきましょう。

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