産後「シミが増えた」と感じることはありませんか?産後数ヶ月で消えることもありますが、中には残ってしまい以前より「濃くなった」と感じる方も。一度できてしまったシミはなかなか薄くならないといわれているため、不安に思っている方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は産後のシミにお困りの方に向けて、シミが増える原因や美容医療を用いた治療の種類、気になることなどを解説します。
1.産後にシミが増える理由とは?
「産後にシミが増えた」「シミだらけになってしまった」「いつ消えるの?」「早く消したい」など、産後のシミにお悩みの方も。また、いろいろなスキンケアを試したもののシミが消えないため、美容医療治療を検討している方もいらっしゃるでしょう。
まずは産後にシミが増える理由について紹介します。
■妊娠中から変化が始まる
産後にシミが増えたと感じる方も多いですが、実は妊娠中から体の変化が起きています。妊娠中は肌の色素が濃くなりやすく、シミやそばかすが増えるだけでなく、肝斑や乳輪、へそ下にある正中線が濃くなることも。
このような変化が起きる原因は分かっていませんが、ホルモンバランスの変化が影響していると考えられています。
■なぜ産後にシミが増えたように感じるのか?
女性ホルモンにはプロゲステロンとエストロゲンがあり、妊娠中はプロゲステロンの分泌が増加します。プロゲステロンにはメラニンを作るメラノサイトを活性化する働きがあるため、色素が濃くなりやすいというわけです。
産後はプロゲステロンの分泌が減りますが、妊娠前の状態に戻るには時間を要することから「いつまで経っても薄くならない」と感じやすいでしょう。加えて、出産後にエストロゲンが急激に減ることで外部刺激を受けやすくなることも、シミが増えたと感じる要因です。
2.産後に気になるシミの種類
産後に気になるシミといってもさまざまな種類があります。ここでは、産後に気になるシミの種類について見ていきましょう。
■一般的なシミ
一般的なシミとは、紫外線のダメージによるシミのことです。正式には「老人性色素斑」と呼ばれており、皮膚にメラニン色素が蓄積されることでシミになります。顔や手の甲など紫外線を浴びやすい部分にできやすいです。
円形や楕円系などさまざまな形をしており、1つだけできることもあれば、そばかすのようにたくさんできるケースもあります。
■肝斑
肝斑とは、頬や目の下などに左右対称にあらわれるシミのことです。詳しい原因は分かっていませんが、一般的にはホルモンバランスの変化や遺伝、甲状腺などの病気、摩擦、日焼けなどが関係しているといわれています。
■そばかす
小さな粒のようなシミのことです。鼻を中心に点在し、遺伝や外からの刺激などによって生じやすいと考えられています。
■脂漏性角化症
いわゆる老人性イボと呼ばれるシミのことです。一般的に30代~40代以降にあらわれ、皮膚の一部が盛り上がります。皮膚の老化や紫外線刺激によって生じるといわれています。
3.美容医療での産後のシミ治療
産後のシミで悩んでいる方の中で、日々のスキンケアや紫外線対策を行ったうえで、なかなか薄くならないケースでは、シミ取りレーザーなどの美容医療の併用をご検討ください。またシミにはいくつかの種類があるため、シミによって有効な治療も違います。美容医療での産後のシミ治療にはどういったものがあるのか見ていきましょう。
■ピコシュア
アメリカのサイノシュア社が開発した医療用ピコ秒レーザーです。これまではナノ秒レーザーが主流でしたが、ピコシュアによって1秒の1兆分の1で照射が可能になりました。照射時間が短くなったことで皮膚への負担を軽減しつつ、衝撃波によって色素の破壊ができるように。
一般的なシミや肝斑、そばかすの治療に有効です。
■Qスイッチアレキサンドライトレーザー
レーザーの照射時間が長いロングパルスと、Qスイッチというシステムを用いた治療方法です。発生する熱エネルギーが強いため、メラニン色素を破壊することでシミや加齢によるくすみをなくす効果が期待できます。
以前のロングパルスアレキサンドライトレーザーでは、肝斑や炎症性色素沈着など一部の症状には改善が見られませんでした。しかしQスイッチアレキサンドライトレーザーであれば、一般的なシミはもちろん肝斑や脂漏性角化症などの治療もできるようになったのです。
■炭酸ガスレーザー
炭酸ガスレーザーが、イボや盛り上がりのあるシミに含まれる水分に吸収され、組織を蒸散することで取り除く治療方法のこと。切除することなく皮膚の表面のみで作用するため、治癒も早い傾向にあります。脂漏性角化症や盛り上がったシミに有効な治療です。
■IPL(光治療)・ルメッカ
可視光線を照射することで美肌へと導く治療のことをいいます。光を照射するとメラニンに反応して色素を分解。反応したメラニンはかさぶたのように浮かびあがります。数日かけてメラニンは老廃物となって肌から剥がれ落ちるという仕組みです。
比較的マイルドな施術で、皮膚の表層にあるシミやそばかすに有効といわれています。
通常のIPL(光治療)では「物足りない」、「少ない回数で高い効果が期待できるものは?」と感じた場合には、ルメッカという光治療もあります。薄いシミや赤ら顔にお悩みの方に適応する治療です。
■イオン導入
電気の力を使って、ビタミンC誘導体などの有効成分を肌の深部へ浸透させる治療のことをいいます。肌への負担をできるだけ減らしつつ、肌への効果も期待したい方におすすめの施術です。導入する有効成分は、求める効果によって選ぶこともできます。
一般的には肝斑や色素沈着などに有効な治療です。
■メソポレーション
メソナJと呼ばれることもある日本で開発された経皮導入機です。イタリア製のメソアクティスを応用したもので、イオン化していない成分や高分子の成分などを複数同時に肌の真皮層まで導入することができます。
施術の工程は、ペン型のデバイスで電気パルスを流して細胞膜に隙間を作り、ローラー型のデバイスで有効成分を導入するというものです。皮膚へのダメージを軽減しつつ真皮層まで有効成分を届けるため、注入法を用いたような効果が期待できます。主に、シミや肝斑などの治療に用いられます。
4.美容医療のシミ治療を受ける場合に気になること
産後のシミに困って美容液でケアしたものの、さほど効果を感じられないという方も。そういった方が美容医療のシミ治療を考え始めたとき、期待が膨らむ半面、不安に感じることもあるでしょう。
そこで最後に、産後のシミ取りレーザーはいつから受けられるのか、美容医療だけでシミケアができるのかについて紹介します。
■いつから受けられる?
基本的には授乳期間終了後から可能です。授乳中はホルモンバランスの変化が起こりやすく、治療をしたとしてもシミや肝斑が増えることがあります。妊娠中や産後は肌への影響が出やすい時期で、人によっても肌の状態が違います。
早期に治療を行いたい方やいつから始めたら良いのか迷っている方は、医師に相談すると良いでしょう。
■美容医療だけでOK?
美容医療による治療も有効ですが、普段の生活も注意する必要があります。例えば日々のスキンケアや食生活、生活習慣などを整えましょう。肌の乾燥はトラブルのもと。しっかり保湿して、肌の新陳代謝を高めるために、栄養バランスのとれた食事や睡眠時間の確保もしましょう。
また、シミの原因である紫外線の対策も欠かせません。日差しの強い時間帯はもちろん、曇っている日でも外出する際は日焼け止めを塗ったり紫外線防止の衣類を着用したりすると良いでしょう。
■まとめ
産前産後はどうしてもホルモンバランスが変化しやすいため、シミができたり濃くなったりしやすいです。また、育児によって生活習慣が不規則になり肌トラブルも起きやすくなります。日々のスキンケアはもちろん、美容医療を併用することで効率的にシミへのアプローチができるでしょう。産後の治療は授乳期間後がおすすめですが、肌の状態には個人差があるため、医師に相談するようにしてください。