間もなく到来する秋から冬にかけては、シミ治療を行う絶好のシーズンと言われていますよね。今回は、秋冬のシーズンにシミ治療が推奨される理由や、シミ治療の代表的な治療法であるIPL、トーニング、スポット治療について深掘りします。それぞれの治療法について特徴や効果、メリットとデメリットも徹底比較。シミ治療の知識を深めたい方はぜひチェックしてください。
1.秋冬はシミ治療に最適なシーズン
まずは、秋冬がシミ治療に適している具体的な理由を見ていきましょう。
秋冬がシミ治療に最適なシーズンと言われる理由は?
理由①紫外線の影響が少ない季節のため
こちらは気象庁が観測した、国内3地点(札幌・つくば・那覇)の月別紫外線照射量を表したデータです。各地域の高度や日照時間などにも影響を受けますが、一般的に北から南へ行くにしたがって紫外線照射量は多くなります。データを見ると、いずれの観測地点においても紫外線照射量は春先から増加して夏にピークを迎え、秋冬は減少して行くことがわかります。
基本的に、シミ治療は1年をとおして施術を受けることが可能です。しかし、シミ治療後の敏感な肌へ紫外線が当たると、メラニンが生成されて色素沈着を起こしやすい状態になってしまいます。紫外線照射量が少ない秋冬は治療後の色素沈着リスクが低いため治療後のケアもしやすく、シミ治療に適したシーズンとされているのです。
理由②肌の回復に適した季節のため
紫外線照射量が増える夏は肌のバリア機能が乱れてターンオーバーにも悪影響が出やすく、夏の肌はダメージを受けやすい状態と言えます。一方、紫外線照射量が減り気候も穏やかな秋は肌へのダメージが少なく、シミ治療から肌が回復しやすい季節です。そのため、秋以降にシミ治療を始めることが良いとされています。
秋以降にシミ治療を行うことで、夏の間に蓄積した紫外線ダメージをケアし、冬の乾燥ダメージにも備えられます。そうすることで、春にはクリアな素肌を手に入れて、また訪れる夏の紫外線ダメージに備える、という年間を通したスキンケア計画を立てられるでしょう。
理由③保湿ケアに注意が向きやすい季節のため
こちらは、気象庁が2023年に東京で観測した月ごとの平均気温と湿度をグラフ化したものです。9月以降は気温とともに湿度も下がってくることがわかります。秋冬は夏の間に蓄積された紫外線ダメージが表面化し、外気が乾燥するうえに暖房器具の使用で室内も乾燥して肌がゴワつきがち。このときの肌は古い角質がはがれず重層化して、水分を抱えきれない状態です。
肌の見た目や手触りから秋冬は乾燥対策とあわせて保湿ケアも重視されやすい季節。シミ治療後の肌にとっても保湿は欠かせないケアのため、秋冬はシミ治療に適切なスキンケアを意識的に行える季節でもあります。また、「ジメジメして暑い夏場の保湿ケアは肌がベタついて苦手……」という方でも、気温や湿度が下がってくる秋冬は保湿ケアを行いやすいでしょう。
ただし、秋冬のシミ治療を避けたほうが良い場合も
年間をとおして見ると紫外線照射量が多いのは春夏のため、普段の生活やアウトドアレジャーなどで紫外線ダメージを受けにくいのは秋冬でしょう。しかし、秋冬のほうが屋外での仕事や作業の多い方や、ウィンタースポーツをするために長時間屋外で過ごすことが頻繁な方には、秋冬のシミ治療をおすすめできない場合もあります。
春夏と同等またはそれ以上に、秋冬に紫外線をたくさん浴びる場合は、医師とシミ治療を行うタイミングを相談してください。また、秋冬に結納や挙式などを予定している方もいるでしょう。ダウンタイムや肌が落ち着くまでに必要な期間を考えると、大切な日を美しい肌で迎えるためにはシミ治療を半年前までに完了しておくと安心です。こちらの期間はあくまでも目安であり、シミ治療の種類や肌状態によっても異なるため、治療を行う前に医師へスケジュールをしっかり確認しておきましょう。
2.【どの治療を選ぶべき?】IPLとトーニング、スポット治療の徹底比較
つづいては、シミ治療で代表的なIPL、トーニング、スポット治療について解説します。
IPL(光治療)
IPL(光治療)とは、IPL(Intense Pulsed Light=インテンス・パルス・ライト)という幅広い波長の光を肌へ照射して行う肌治療です。レーザーとは異なり、カメラのフラッシュのようなイメージのIPLは肌への負担がマイルドかつダウンタイムも少ないため、初めてのシミ治療としても人気があります。
IPLは黒色、赤色、水分に吸収される性質があり、シミやそばかすの素となるメラニンや赤ら顔の原因になる毛細血管へダメージを与えます。IPLと反応したメラニンは肌のターンオーバーに伴い肌表面に浮き上がって徐々に脱落。また、IPLは肌の内側へ働きかけ、真皮層のコラーゲン産生を促進して肌や血管にハリを導きます。
IPL(光治療)の効果、メリット、デメリット
効果 | ・肌の色ムラ、シミ、そばかすなどに効果が期待できる ・肌のトーンアップも期待できる |
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メリット | ・一度に広範囲の治療ができる ・薄いシミや表面化していないシミの予備軍にも効果が期待できる |
デメリット | ・複数回の施術が必要な場合がある ・濃いシミには効果が薄い場合がある |
IPL(光治療)の治療内容
施術時間 | 20~30分 |
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治療回数 | (1クール)2~4週間に1回の治療を5回 (メンテナンス)3ヶ月に1回 |
痛み | ほぼなし (色素沈着部分は輪ゴムでパチンと弾かれたような痛みがあります) |
ダウンタイム | ほぼなし (IPLが作用したメラニンが浮き出て、一時的にシミが濃くなる場合があります) |
洗顔・シャワー | 当日から可能 |
メイク | 当日から可能 (ただし、赤みやヒリヒリ感のある場合は控えてください) |
禁忌・注意事項 | ・施術直前の強い日焼けは避け、毎日日焼け止めを使用してください ・肝斑が目立つ場合には施術をおすすめできない場合があります妊娠中、授乳中、糖尿病、光線過敏症、日焼け後、皮膚炎、口唇ヘルペス、心臓疾患、脳疾患、悪性腫瘍がある方は治療を受けられません ・そのほかの疾患がある方も治療が受けられない場合があります ・施術後にシミの部分が薄いかさぶたになる場合がありますが、無理にはがさず自然にはがれるのを待ってください |
レーザートーニング
レーザートーニングとは、特定波長のレーザーを肌に照射し、メラニンをターゲットにしてシミを薄くする治療法です。低出力で肌にやさしいレーザーをシャワーのように浴びせるため、肌への負担が少なく敏感肌の人にも適しています。また、低出力であるため、患部のメラノサイトに余計な刺激を与えにくく患部の周辺組織へ熱ダメージを与えにくいことも特徴です。
レーザートーニングは均一なエネルギーでレーザー照射ができるため、従来のレーザー治療では避けられてきた肝斑も含めたシミ治療が可能です。シミや肝斑だけでなく、色素沈着やくすみも治療対象となります。また、レーザーの温熱効果によりコラーゲンが生成され肌にハリ感を与え、ハリが出ることでゆるんだ毛穴の開きにもアプローチします。
レーザートーニングの効果、メリット、デメリット
効果 | ・肌のトーンを均一に整えてシミやくすみにアプローチする ・メラニンを徐々に減少させる |
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メリット | ・肌へのダメージが少ない ・短い間隔での施術が可能 ・肝斑、色素沈着、くすみにも効果が期待できる |
デメリット | ・1回で劇的な変化は見られない場合が多い ・定期的な通院が必要 |
レーザートーニングの治療内容
施術時間 | 約30分 |
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治療回数 | 1~2週間おきに5~10回程度 (肌状態により個人差があります) |
痛み | 我慢できる程度のチクチクとした痛みやピリピリとした刺激 |
ダウンタイム | ・色素の濃い部分は赤みやほてり感、ひりつきを感じます (通常、施術当日に落ち着くことが多いようです) ・ニキビ、かさぶた、内出血が生じることもあります (7~10日程度で落ち着くことが多いようです) |
洗顔・シャワー | 当日から可能 (ただし、洗顔は泡立てて行い強く擦らないよう注意) |
メイク | 当日から可能 (可能な限り、赤みや痛みが引いてから行ってください) |
禁忌・注意事項 | ・施術後は保湿や紫外線対策を念入りに行ってください ・持病、既往歴、アレルギー、内服薬・外用薬、妊娠・出産、そのほか肌の状態により治療を受けられない場合があります ・治療期間中は日焼けを避け、毎日日焼け止めを使用してください |
スポット治療(レーザースポット治療)
スポット治療(レーザースポット治療)とは、シミ取りレーザーを使用して特定のシミにピンポイントでアプローチする治療法です。高出力のレーザーを部分照射して表皮内のメラニンを破壊し、特定のスポットを効果的に治療します。薄くもやっとしたものよりも濃く境界がはっきりしたシミやそばかすなどのほうが治療対象として適しています。
シミ取りレーザーには2種類あり、旧型の「Qスイッチ」は即効性と確実性が高い一方でダウンタイムが大きく、新型の「ピコ」はダウンタイムが少ない一方で即効性にはやや劣るという特徴がありました。2種類のシミ取りレーザーは肌状態によって使い分けられてきましたが、ダウンタイムは少ないままにより治療効果が高いピコレーザーの新モデルが2022年に登場しました。
スポット治療(レーザースポット治療)の効果、メリット、デメリット
効果 | ・濃いシミやしつこいそばかすに対してとくに効果が期待できる ・少ない回数での治療が可能 |
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メリット | ・ピンポイントで治療できるため、ほかの部分への影響が少ない ・比較的短期間での効果が期待できる |
デメリット | ・強力なレーザーを使うため、施術後にダウンタイムがあることが多い ・治療後のケアが重要になる |
スポット治療(レーザースポット治療)の治療内容
↓表は横にスクロールできます
QスイッチYAG(ヤグ)レーザー | ピコレーザー | |
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施術時間 | 約15分 | 約10分 |
治療回数 | 基本的に1回 (シミの濃さや大きさによって異なります) |
基本的に1回、状態によって2~3ヶ月間隔を開けて複数回 |
痛み | ほぼなし (軽く輪ゴムをパチンとはじく程度) |
ほぼなし (保冷剤や麻酔クリームを使用します) |
ダウンタイム | かさぶた (数日~数週間程度ではがれます) |
かさぶた (1週間程度ではがれます) |
洗顔・シャワー | 当日から可能 | 当日から可能 |
メイク | 照射部分以外は当日から可能 (照射部分のメイクは最低1週間控え、こすらないようにしてください) |
当日から可能 (こすらないよう注意し、処置した箇所が多い場合は翌日からメイクしてください) |
禁忌・注意事項 | ・リウマチの既往歴や金製剤の使用経験がある方、眼球のレーザー照射、光感受性の強い方、光感受性を増強させる薬剤を服用している方は注意が必要です ・悪性腫瘍またはその疑いのある方、出血性疾患のある方、肝斑のある部位、治療部位に金の糸を入れている方、刺青を入れている部位などは、原則としてレーザーを照射できません |
・妊娠中の方は受けられません ・体内に金属類や機械類のある方は受けられません(金の糸は可能です) ・ペースメーカーご使用中の方は受けられません ・稀に、しびれなどの知覚異常を一時的にきたす場合があります ・予想以上に修正効果が弱い恐れがあります |
まとめ
秋冬がシミ治療に適したシーズンである理由と、代表的なシミ治療のIPL(光治療)、レーザートーニング、スポット治療(レーザースポット治療)について解説してきました。それぞれの治療法には特徴と得意とするシミの種類があります。ぜひ一度、シミ治療を専門で行っているクリニックを訪ね、信頼できるドクターと相談しながら秋冬のシミ治療に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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