年齢を重ねると、目が小さくなったように感じたり、目の周りの小ジワが気になったりすることが増えてきます。若い頃のようにぱっちりとした目元を取り戻すために「ボトックス注射」を検討する方も少なくありません。ボトックス注射は目をぱっちりさせるための選択肢として良いのか、メリット・デメリットとあわせてご紹介します。目の大きさや目元のハリ感などが気になる方は、ぜひご一読ください。
INDEX
1.ボトックス注射とは?どんなときに選ぶ施術?
美容医療でよく知られるボトックス注射は、ぱっちりとした目を目指したいときに選ばれる施術の1つです。目の大きさは美容整形でも改善が見込めますが、メスを使った切開に抵抗がある方はボトックス注射も検討してみましょう。
■ボトックス注射の基本知識
ボトックス注射はボツリヌストキシン製剤を注入する施術で、眉間や目尻の表情ジワなどのお悩みに対して使われます。一般的にボトックス治療と呼ばれることが多いです。使われるボツリヌストキシン製剤はメーカーにより種類が異なり、国内で厚生労働省の承認を得ているのはアメリカのアラガン社製の「ボトックスビスタ®︎」のみ。クリニックによっては、韓国のデウン製薬の「ナボタ」などを使うケースも見られます。
■ボトックス注射で目ぱっちりは目指せる?
目が小さく見える要因の1つに、加齢による目の周りの筋力(眼輪筋)の低下が挙げられます。眼輪筋にボトックス注射を使用すると目を大きく見せられます。ただし目を大きく見せる方法は眼輪筋へのアプローチだけではありません。ボトックス注射を目元に打つには主に4つの方法があり、それぞれ特徴が異なります。
目の下に注射して優しい目元に
目をぱっちり見せたい、つり目を改善して優しい目元を目指したい方は、目の下へのボトックス注射が向いています。眼輪筋が動きにくくなって緊張状態にある下まぶたを緩め、目を大きく見せてくれます。
目頭に注射して目がぱっちりに
目が小さく見える・目つきの悪さを改善したい方は、目頭へのボトックス注射が向いています。目頭近くの眼輪筋の動きを抑え、蒙古ひだ(上まぶたが目頭を覆う部分にある、ひだ状の皮膚)を緩めることで目が大きく見えるようになります。
こめかみに注射するとエラ張りなども改善
目を大きく見せるとともに頭痛やエラ張りを改善したい方は、目ではなくこめかみへボトックス注射を打つのが向いています。こめかみの筋肉が緩んで眉の位置が上がるため、目がぱっちりに。
また、こめかみの緊張は頭痛を引き起こす要因となるため、ボトックス注射でこめかみの筋肉を緩めることで頭痛の改善も期待できます。
ヒアルロン酸との併用でまぶたのリフトアップ
眼瞼下垂(がんけんかすい)の方、生まれつきや老化で目が開けにくい方は、ボトックス注射とヒアルロン酸の併用が向いています。ボトックスで目をぱっちりさせるとともに、ヒアルロン酸で老化によって萎縮した肌にハリを取り戻しましょう。
眼瞼下垂は手術する方法が一般的ではありますが、抵抗がある方はボトックスを検討するのも良いでしょう。
2.目頭へのボトックス注射の効果やメリット
目頭へボトックス注射を打つと、目を大きく見せられるだけではなく、他にも効果が期待できます。メリットとあわせて解説していきましょう。
■目頭へボトックス注射を打つ効果は?
目頭へボトックス注射を打つと次のような効果が期待でき、目元の印象アップにつながります。
蒙古ひだを緩めて目を大きく見せる
先にも述べたとおり、目頭へのボトックス注射は目を大きく見せられます。日本人をはじめとしたアジア人によく見られる蒙古ひだを緩めることで、目を大きく見せる効果が見込めるでしょう。目を切らずに目をぱっちり見せられるため、手術よりもハードルが低いと感じる方もいるようです。
表情筋を緩めて目頭のシワを薄くする
目元のシワの中でも、目頭にできるシワは表情筋のクセによってできるとされています。ボトックス注射でこの筋肉を緩めるとシワが伸び、薄くなる効果が見込めます。
■目頭へボトックス注射を打つメリット
目頭へボトックス注射を打つメリットは多くあります。その一部をご紹介しましょう。
施術時間が短く隙間時間に受けやすい
ボトックス注射は施術時間が短く、15分程度で終わります。仕事や家事が忙しくても隙間時間に受けやすいでしょう。
メスを使用しないため体への負担が少ない
ボトックスを選ぶ理由で多くの方が挙げる理由の1つ。メスを使わないため負担が少ないのも大きなメリットでしょう。身体的な負担に加え、手術する場合の大きな心配や不安など、精神的負担も抑えられます。
注射による施術のため傷痕がほとんどわからない
切開の必要がなく、肌の傷痕は注射部分のみ。施術には一般的な注射針またはより細い針が使われます。注入量なども調整できてナチュラルに仕上がるため、周囲にも施術したことに気づかれにくいです。これらも、ボトックスが選ばれる理由の1つです。
ダウンタイムがほとんどなく日常生活が送れる
切開手術と異なり、術後は入浴やメイクなどもいつも通り可能です。ただし施術部位は一時的に肌が弱くなっています。そのためクリニックによっては、クレンジングがしやすいナチュラルメイクの推奨や、洗顔やメイク時に刺激を与えないよう指示される場合もあります。
万が一仕上がりに不満がある場合はやり直せる
ボトックス注射の効果は一定期間続きます。そのため、思った仕上がりと違う場合、ボトックスの効果が切れた頃に再施術でやり直せます。
3.目頭へのボトックス注射の副作用やデメリット
目頭へボトックス注射を打つ際の副作用やデメリットはあるのでしょうか。
■目頭へボトックス注射を打つと副作用はある?
目頭へボトックス注射を打つ際の副作用はゼロではありません。体質などにもよりますが、次のような副作用の可能性があります。
施術時に痛みが出る
注射による施術のため、施術中に針が刺さる痛みを感じる場合があります。麻酔を用いるクリニックもあるため、とくに痛みに弱い方などは事前に確認すると良いでしょう。
腫れや内出血が起こる
場合によっては、注入した部分に内出血が起こることがあります。一時的なもので、治るケースがほとんどです。
体質によってはアレルギー反応が起こる
体質によっては、ボツリヌストキシン製剤へのアレルギー反応が起こる方も。1週間程度で治まるケースが多く、重症化のリスクは極めて低いです。ただしアレルギー持ちの方は施術前に相談するのがベターでしょう。
頭痛やむくみ、倦怠を感じる
筋肉バランスの崩れによって、頭痛やむくみ、倦怠感を引き起こすことがあります。多くの場合は数日で治まるため心配いりません。ただし頭痛に吐き気・めまいなどを伴う場合は、すぐに施術を受けたクリニックへ連絡して指示を仰いでください。
■目頭へボトックス注射を打つデメリット
メリットの多いボトックス注射ですが、デメリットも認められています。
痛みや腫れ、内出血などが長引くケースもある
施術による痛みや腫れ、内出血など、多くは一時的な症状で、2週間ほど経つと消えることが大半です。ただし、長引いてしまう場合もあります。長引いた場合は早めに施術を受けたクリニックへ相談してください。
即日で効果は見られない
ボトックス注射の効果は、施術後すぐには見られません。早くて翌日、遅いと1週間ほど経つと効果を感じやすいでしょう。
効果を維持するために定期的な施術が必要
ボトックス注射は施術後4ヶ月前後で効果が切れます。効果を維持させるためには、定期的にボトックスを打つ必要があります。
注入量を誤ると不自然な仕上がりになる
注入量を誤ると、表情が不自然になったり、筋肉に力が入らなくなったりしてしまいます。ボトックスの効果が消えるまでの数ヶ月間は対処できないため、注入量は慎重に決めなければなりません。
4.ボトックス注射が受けられないケースは?
次のような方は、ボトックス注射の施術が受けられません。
まず、妊娠中・授乳中の方。妊婦や胎児に対する安全性が100%保証されていないため、施術できません。続いて、A型ボツリヌス毒素にアレルギーがある方。赤みや腫れといった副作用に加え、かゆみやめまい、口腔内の乾燥(口腔乾燥症)、全身の脱力感などに見舞われる可能性があります。筋力低下を来たす神経・筋疾患のある方も施術できません。ボツリヌストキシン製剤が筋肉の収縮を弱める働きを持つ医薬品のためです。
なお、クリニックによって施術が受けられる条件は異なります。必ず事前に施術不可の条件に当てはまっていないか、リスクなどを確認してください。
5.目頭へのボトックス注射施術時の注意点
目頭にボトックス注射施術する際は、次のような行動制限や注意点があります。
■施術後の行動制限
施術後のダウンタイムはほとんどありませんが、一部の行動に制限があります。注入部位のマッサージや過度な運動、長時間のお風呂やサウナ、アルコール摂取は控えましょう。
■ボトックス注射は信頼できるクリニックで
ボトックス注射の失敗例を検索すると画像などで事例が確認できる場合があります。目頭へのボトックスの効果は一時的なものであっても、失敗すると効果が切れるまで不満足な目の状態で過ごすことになります。そのため、クリニック選びは大切です。十分にリサーチをして施術を依頼しましょう。
■まとめ
目頭へのボトックス注射は目をぱっちりさせる効果が期待できます。あわせてシワの改善も見込めるため、目の大きさや小ジワが気になる方は検討したい施術でしょう。一定期間を置くとやり直しができ、切開もないため、手術よりもハードルが低いと感じる方も多いのではないでしょうか。ただし、メリット・デメリットだけでなくリスクも知ったうえで、信頼できるクリニックを選び、施術を受けましょう。
・当サイトは、美容医療の一般的な知識をできるだけ中立的な立場から掲載しています。自己判断を促す情報ではないことを、あらかじめご了承ください。また、治療に関する詳細は必ずクリニック公式ホームページを確認し、各医療機関にご相談ください。
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・化粧品やマッサージなどが記載されている場合、医師監修範囲には含まれません。
【治療の内容】
・ボツリヌストキシン製剤の注入
【治療期間および回数】
・3~4ヶ月ごとに1回程度
【費用相場】
・顔:約¥40,000~¥100,000
・脇:約¥8,000~¥80,000
・肩:約¥10,000~¥100,000
・ふくらはぎ:約¥50,000~¥100,000
・ボトックスリフト:約¥55,000~¥110,000
※注入部位・注入量よって個人差があります。
【リスク・副作用等】
・頭痛、注射部位の痛み、腫れ、筋肉の部分的な脱力、無感覚、内出血など
【注意事項】
・次の方は施術を受ける前に慎重な検討が必要となります。
-全身性の筋肉の疾患がある場合(筋萎縮性側索硬化症、ランバート・イートン症候群、重症筋無力症など)
-妊娠する可能性がある場合
-過去にボツリヌス治療を受けてアレルギーを経験している場合
-服用中の薬剤がある場合(抗生物質、筋弛緩剤、精神安定剤など)
-喘息など慢性的な呼吸器疾患や緑内障の場合
-他の医療機関にてボツリヌス製剤の治療を受けている場合
※詳細については医師にお尋ねください。
【未承認医薬品等であることについて】
・ボツリヌストキシン製剤注入の治療には、国内未承認医薬品または薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれる可能性があります。
・治療に用いる医薬品および医療機器は、各クリニック医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参考ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認された薬剤を除き、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品はありません。
・重大なリスク・副作用などが明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。