それって肝斑?肝斑の症状と治療のポイントを解説!

それって肝斑?肝斑の症状と治療のポイントを解説!

「頬にあるシミ、何とかしたい」とお悩みの方へ。実はそれ、「肝斑」かもしれません。第一三共ヘルスケア株式会社が2023年に行った調査では、肝斑はシミに悩む20~50代女性の、2人に1人が経験しているという結果に。にも関わらず、自分が肝斑であると自覚している人の数は、およそ半数なんだそうです。(※1)シミと肝斑は似ていますが、治療のアプローチ方法はまったく異なり、選択を間違えると症状が悪化してしまう可能性もそこで今回は、肝斑の見極め方や、肝斑の対処法を詳しく解説。「もしかしてこれって肝斑?」と気になったら、ぜひチェックしてみてください。

私のこれって肝斑?

シミにはいくつかの種類があり、肝斑もその中の1つです。顔のシミが肝斑かどうか自分では判断がつきにくいものですが、肝斑にはほかのシミにはない特徴があります。まずはご自身のシミが以下の症状に該当しているか、チェックしてみましょう。

肝斑セルフチェック!

肝斑の最大の特徴は、頬骨や目尻の下のシミが顔の左右対称に生じるということ。頬骨に沿って、もやもやしたシミが広がっていたら肝斑の可能性大です。人によっては頬まわりに加えて、額の中央や、口まわりに広がる場合もあります。
色は薄い茶色や、黒っぽい茶色のように見えますが、季節や体調で色の濃さが変わることも。形状も通常のシミが点々としているのに対し、肝斑は輪郭がぼやけていていびつであることがほとんどです。
また、肝斑は30代以降の方に多く見られる症状です。20代では気にならなかったのに、30代になってから左右対称にシミができたら肝斑を疑っておきましょう

肝斑の現れ方にはいくつかのパターンも

顔の左右対称に現れる肝斑ですが、現れ方にはいくつかのパターンがあります。以下のような形状だった場合も、肝斑である可能性が高いでしょう。

肝斑かも?と思ったら気をつけるポイント

肝斑は珍しくない症状でありながら、原因は未だ解明されていません。ただ、肝斑を発症するのは圧倒的に女性が多数。妊娠や出産、ピルの服用をきっかけに症状が出ることもあり、女性ホルモンが大きく影響しているのではと考えられています。
それ故に、肝斑の治療はシミの中でも複雑で、完治が難しい位置づけ。治療の際は美容医療の力を借りながら、自分でも向き合っていくことが大切です。セルフチェックに当てはまった方は次のポイントを押さえて、肝斑への理解を深めておきましょう。

肝斑は治療方法を間違えると悪化する

シミ取り治療といえば高出力レーザーや光治療ですが、肝斑には逆効果。通常、加齢や紫外線によってできる老人性色素斑(一般的なシミ)は、原因となるメラニン色素を熱や光で破壊することでシミを薄くしていきます。しかし肝斑の場合、同様の治療方法では刺激が強すぎ、メラニンを生み出すメラノサイトを活性化させてしまうのだそう。
そもそもシミは、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生するものです。1つのシミにアプローチする治療をしていても、実は肝斑も併発していた、というケースが少なくありません。きちんと診断されないまま誤った治療を継続すると、色が濃くなったり隠れていた肝斑まで発症したりと、症状を悪化させてしまうことに。肝斑の治療を適切に受けるには、シミの状態を丁寧に診断してくれるクリニックを選ぶことが大切です。

摩擦や刺激、生活習慣の乱れも悪化する要因

肝斑ができる原因は不明とはいえ、肝斑が出現した肌は「なんらかの刺激によってメラニンが増えている」デリケートな状態です。メラニンの生成は、紫外線や目をこするなどの刺激でも活性化します。普段の生活ではいつも以上に日焼け対策を行い、スキンケアやベースメイクはシンプルにする、ゴシゴシ洗顔や強めのフェイスマッサージは避けるなど、摩擦や刺激を与えないよう心がけましょう。また、ホルモンバランスを整えることも重要です。睡眠不足や食生活など、生活習慣が乱れていないか見直していきましょう。

治ったからといって安心はNG。何度だって再発します!

肝斑治療では基本的に、「消すのではなく落ち着かせる」ことが前提になります。治療して一度症状が治まっても、日々のケアを怠ると必ずといっていいほど再発するためです。火と煙に例えると、機械を使った肝斑治療は煙だけを消しているようなもの。上記にあげたセルフケアを徹底するとともに、内服薬も取り入れながら、原因となる火を鎮めていきましょう。後ほど紹介しますが、最近では再発予防効果がある治療法も登場しています。肝斑はできてしまうものと受け入れ、いかに上手くつき合っていくかが重要です。

美容医療でできる肝斑の治療は?

肝斑の治療は、トラネキサム酸の内服が一般的です。トラネキサム酸は、メラノサイトの活性化を抑制する働きがある薬。肝斑は女性ホルモンや摩擦によってメラノサイトが活発になることが原因のため、トラネキサム酸を服用することでシミの発生を初期段階で抑えることができます。メラニンの排出を助けるL-システインや、ビタミンC・ハイドロキノンなど美白効果(※)がある外用薬とセットで処方されることも多く、併用することでより効率的なアプローチが可能です。内服薬ならホームケアで治療が完結しますし、肌への副作用の心配もないのが大きなメリットといえるでしょう。
ただし薬は飲み続けなければ効果がなく、効果を感じられるのは服用して約1ヶ月後~。また、効果には個人差があるため、治療が終わるまでに3ヶ月~1年かかるケースもあります。とくに表皮だけでなく真皮にまでメラニンが沈着している肝斑だと、余計に時間がかかるでしょう。
(※)メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ

一方、「肝斑に長い間悩まされたくない」「もっと早くシミを薄くしたい」という方は、「内服薬+肝斑用のレーザー治療」の合わせ技が効率良く治療できておすすめ。よく併用されるのはピコトーニングで、肝斑を薄くするだけでなく顔全体のトーンアップや毛穴対策など美肌効果も期待できます。
また、最近では肝斑の再発防止効果もあるとして、ポンテンツァでの治療も注目の的。ピコトーニングで肝斑を薄くして→ポンテンツァで再発防止をするコンビネーション式の治療を行うクリニックもあります。
ピコトーニングとポンテンツァはどちらもダウンタイムを最小限に抑えられる治療方法です。それぞれのメリット・デメリットについては以下で解説しています。違いを理解して、予算やライフスタイルに合わせてプラスするとよいでしょう。

ピコトーニングは低出力のレーザーを使用し、従来のレーザーよりも負担を抑えた治療方法です。レーザーは肝斑にNGですが、ピコトーニングならメラノサイトや周囲の細胞に強い刺激を与えることなく、メラニン色素の排出にアプローチができます。さらに、シミを薄くするだけでなく、コラーゲンやエスラチンの生成を促して美肌効果も得られるのがメリットです。
一方、ピコトーニング何度も繰り返すことで効果を発揮するため、こまめな通院が必要です。また、あくまでもメラニン色素を排除する治療のため、肝斑が再発する可能性をなくすことはできません。
さらに、皮膚の色が白っぽく抜ける「白斑」を引き起こすことも稀にあります。白斑はメラノサイトが破壊されたときに出る症状で、一度なると現在の医療では治すことができません。ぱっと見は分からなくても、日焼けをすると目立ちます。肝斑をピコトーニングで治療する際は、経過も慎重に見てくれるクリニックを選びましょう

ポンテンツァのメリット・デメリット

ポンテンツァ微細な針で皮膚に穴をあけ、高周波(RF)を照射して肌のターンオーバーを促す治療方法です。ポンテンツァには肌の悩みに合わせてさまざまなチップがあり、肝斑専用のものを使うことでメラノサイトに直接アプローチします。レーザーメラニン色素を排除する治療ですが、ポンテンツァではメラニンの生成自体を抑えながら肝斑を除去していきます。レーザーにはあった白斑のリスクも少なく、肝斑の再発も防止できる治療方法です。
デメリットは効果が限定的になることと、ピコレーザーに比べて1回の施術料金が高くなること。ただし通院頻度はポンテンツァのほうが少ない回数で済みます。ほかの肌の悩みがあるかどうか、また年間で治療にかけられるお金でも選択肢が変わってくるため、クリニックと相談しながら決めていくことをおすすめします。

まとめ

肝斑は女性特有のシミの症状です。原因が分からなかったり、再発したりと何かと悩まされる肝斑ですが、とにもかくにも日ごろのケアがもっとも大事。肌の管理をがんばるだけでなく、心も体も労わってあげましょう。治療は内服薬が第一選択ですが、早く治したいときは美容施術を取り入れるという方法も。「これってシミ?肝斑?」と迷ったら、まずは美容皮膚科へ行ってみてくださいね。

【参考】
※1 第一三共ヘルスケア「肝斑にまつわる生活者の意識は?とりまく環境は?「肝斑」の現在地 2023年最新レポート」

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