1年で最も紫外線量が多い夏。そんな時期に気になるのは「日焼け」です。「うっかり日焼けしてしまった……でも黒くはなりたくない」という方も少なくないはず。ここでは、日焼けしたあと黒くならない方法について解説します。日焼け後についやってしまいがちなNG行動も含めてご紹介するので、気になる方はぜひ参考にしてください。
1.日焼けには2種類ある!
日焼けの症状には主に2種類あります。どのような症状が起きるのか見ていきましょう。
■肌が赤くなる「サンバーン」
「サンバーン」は、日焼けによって肌が炎症を起こして赤くなる症状で、紫外線の「UV-B」が原因で発生する皮膚の火傷です。UV-Bは肌の表皮にある細胞にダメージを与え、バリア機能を低下させます。刺激を受けた毛細血管が拡張し、炎症を引き起こすのです。日焼け後はヒリヒリとした痛みを伴いますが、2~3日経てば赤みが落ち着きます。ただ場合によっては、水ぶくれになって治らないケースもあるため、そのまま放置せず皮膚科を受診するようにしましょう。
■肌が黒くなる「サンタン」
「サンタン」は炎症後に肌が黒くなる症状で、紫外線の「UV-A」と「UV-B」が原因で発生する皮膚の色素沈着です。紫外線によるダメージから肌内部を守るために、大量のメラニンが生成され色素沈着を引き起こすことで肌が黒くなる仕組みです。サンタンの場合、この状態が数週間~数ヶ月ほど続き、繰り返し紫外線を浴びるとさらに黒くなり、シミを発生させます。シミを増やさないためにも、日焼け止めや日傘などの紫外線対策をしましょう。
2.72時間以内の行動が肝心!日焼けしたあと黒くならない方法とは
紫外線を浴びると約24~72時間の間にメラニンの増加が始まるため、日焼けしたくない場合はアフターケアが肝心です。日焼けしたあと黒くならない方法について解説します。
■日焼けした箇所を十分に冷却する
日焼けは紫外線によって肌が炎症を起こし、軽い火傷を負っている状態のため、まずはしっかりと冷却してあげることが大切です。冷却方法は以下のとおりです。
- 流水で冷やす
- 濡れたタオルで冷やす
- 保冷剤や氷で冷やす
- スプレータイプの化粧水で肌を冷やす
濡れたタオルで冷やす場合は、できるだけやわらかいものを使用し、摩擦を起こさないようにします。また、保冷剤や氷で冷やす際は、直接肌に当てると刺激が強すぎるため、タオルに包んで使うようにしましょう。
■入念な保湿で乾燥を防ぐ
日焼けした肌は水分が失われた乾燥状態になるため、バリア機能が低下し刺激を受けやすくなります。保湿を怠ると、さらに肌悩みを増加させてしまう原因になるため、肌を冷却したあとに化粧水やシートマスク、クリームなどでしっかりと保湿をしてあげましょう。その際は、刺激が少なく保湿力の高いものを選ぶと、より肌がうるおいやすくなります。
化粧水をつけるときは、パッティングせずにやさしく手で包み込むようになじませるのがポイント。また、化粧水はたっぷりの量を使用し、肌の奥まで浸透するようにしっかり入れ込んでいきましょう。化粧水で水分補給をしたあとは、蒸発を防ぐために乳液やクリームで蓋をします。
■積極的に水分補給をする
日焼けをしたあとは外側からの保湿に加え、内側からの水分補給も重要です。肌表面の保湿を念入りに行っても、体内の水分量が足りない状態では、肌の乾燥は改善されません。また、水分をしっかり摂ることで体の温度も下げられます。なお、水分補給は弱アルカリ性の水がおすすめ。体への吸収率が高いため、効率良く水分補給ができます。
3.日焼けをしたあとのやってはいけない行動4選
日焼けしたあとにやってはいけない行動4選を解説していきます。
■皮を剥がす
日焼け後は、肌表面がダメージを受けているため、時間とともに皮が剥がれてきます。気になって剥がしてしまいがちですが、決してむいてはいけません。皮の下の肌は、外部刺激に非常に弱い状態です。そのため、剝がれてきた皮を無理やりむこうとすると、皮の下のデリケートな肌が紫外線による刺激に耐えられず、さらなるシミやそばかすを作り出してしまいます。皮が剝がれてきたらしっかりと保湿を行い、内側の肌を保護してあげましょう。
■刺激の強い成分が配合された化粧品を使う
日焼け後の肌は非常に敏感な状態であるため、刺激の強い成分が入っているものの使用は避けましょう。「エタノール」「石油系合成界面活性剤」「合成香料」が配合された化粧品は、日焼け後の肌には刺激が強いといわれています。これらが含まれた化粧品を使用すると、肌の炎症や乾燥が加速する可能性も。日焼け後は、防腐剤成分が入っていないものや、アルコールフリーなどの敏感肌用のアイテムを使用するようにしましょう。
■熱いお風呂やシャワー
日焼け後は、熱いお風呂に入ったりシャワーを浴びたりする行為は控えましょう。熱いお湯を肌に当てると、皮膚内にある皮脂や水分が失われるため、さらに肌の乾燥が進みます。また、炎症を引き起こしている肌は、熱いお湯によって状態が悪化する可能性もあるのです。日焼けしたあとは、ぬるめのお湯でシャワーだけで済まし、お風呂から上がったら濡れたタオルや保冷剤などで肌を冷やすようにしましょう。
■肌を強く擦る
日焼け後の肌は非常に敏感なため、強く擦ったりゴシゴシと洗ったりしてはいけません。専用のネットなどを使用して洗顔料を良く泡立て、手が肌に触れないようやさしく洗顔します。洗顔後はやわらかいタオルやキッチンペーパーなどを使用し、そっと水気を取りましょう。乾燥状態が加速するため、洗顔したあとはなるべく早くスキンケアをしてください。
4.日焼けがシミになってしまったときの治療法は?
いくらアフターケアをしても、ケアが不十分だとシミになる可能性があります。一度シミになると、なかなか薄くすることは難しいかもしれません。ここでは、シミになってしまったときの美容医療についてご紹介します。
■レーザー治療
レーザー治療とは、レーザーの光熱作用を用いてシミやシワ、ニキビなどのさまざまな肌トラブルを治療していく方法です。レーザー治療には「ピコレーザー」「炭酸ガスレーザー」「フラクショナルレーザー」などの種類があります。とくに、ピコレーザーはピンポイントでシミの除去ができるので、「最近シミが気になり始めた」という方も手軽に試すことが可能です。
ピコレーザーとは、1発照射の時間を示す「パルス幅」が短く、メラニン色素を集中的に破壊できるレーザーのこと。従来のレーザーに比べて熱ダメージが少なく、ほかの部分への刺激を最小限に抑えられるメリットがあります。また、レーザー照射後はかさぶたになりにくく、ダウンタイムのリスクが少ないのも特徴といえるでしょう。
日焼け後のレーザー治療は、毛穴の炎症を引き起こす可能性があるため、1~2ヶ月程度は受けることができないので注意しましょう。
■IPL光治療
IPL光治療とは、複数の光の波長を肌に当てて、メラニン色素を焦がして体外へと排出させる方法。シミやそばかすをはじめ、小ジワやニキビ、毛穴の開きなど、異なる症状も同時に治療できるため、複数の肌悩みがある方に向いている治療です。施術時間は20分程度と短く、施術後はすぐにメイクをすることも可能。一般的に3回以上治療を行うと、目立ちにくくなるといわれています。
日焼けから2週間以内、もしくは2週間経ったあとの肌状態によっては、施術ができない可能性があるため注意しましょう。
■ピーリング
ピーリングとは、特殊な薬剤を肌に塗って古い角質や毛穴の汚れを取り除き、肌のターンオーバーを正常化し、皮膚の生成を活性化させる方法です。シミやそばかす、ニキビなど幅広い肌悩みを改善へと導きます。ピーリング剤は日本人の肌に適した「グリコール酸」を使用するケースが多く、肌質に合わせて薬剤の濃度を変更したり、さまざまな種類を組み合わせたりします。
ピーリングは、日焼け直後だと治療が受けられない場合があるほか、施術後は日焼けしやすくなるため、日焼け止めを塗ることが大切です。
■まとめ
日焼けで肌を黒くさせないためには、日焼けした箇所の冷却・入念な保湿・水分補給をしっかりと行うことが大切です。また、日焼けしたあと時間とともに皮が剥がれますが、肌に負担がかかるので決してむかないようにしましょう。正しいアフターケアとNG行動を意識すると、肌が黒くならずに済むかもしれません。日焼けによるシミが気になるという方は、ぜひ一度美容皮膚科に相談してみてください。
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