NADとNAD+の違いを解説!美容医療でできる治療法の選択肢

NADとNAD+の違いを解説!美容医療でできる治療法の選択肢

この記事では、NADとNAD+の違いについて解説しましょう。昨今注目されている「NAD」や「NAD+」。美容クリニックなどでも治療の1つとして取り入れられていることがある成分です。しかし、具体的な特徴について知らない・同じような言葉であるため違いが分からない、といった方もいるはず。それぞれの違いを理解して、自身の健康に役立ててみてください。

1.NADとNAD+の違いとは?それぞれの概要を解説

出典:photoAC

早速、NADとNAD+の違いから解説していきましょう。

■まず理解しておきたいのはNAD

NADとは「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド」の略称で、補酵素の一種です。NADはすべての生命体において、エネルギー生産を行うために欠かせない物質で、DNAの修復や代謝細胞プロセスなどに関わっています。

老化や寿命にも関係しており、美容医療の業界でも注目の成分です。NADは加齢によって減少し、50代になると20代の半分ほどになるともいわれています。減少すると身体機能の衰えや老化を感じると考えられているため、アプローチにより増加を促すことで、健康や美容に役立てられるのではないかと注目されているのです。

■NADとNAD+の違い

NADとNAD+は、もとは同じ成分です。NADの中にある窒素原子が正の電気を帯びている酸化型の状態を「NAD+」と表記するのが一般的。科学的な状態をより正確に表現し、原子レベルでの違いを見分けるために表記が異なります。

なお、還元型は「NADH」と表記され、NAD+とNADHもまとめて「NAD」と呼ぶ場合もあります。

2.NAD+が担う役割とは?減少により起こりうる体の変化

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ここからは、NAD+の役割と、減少することで考えられるリスクについて解説していきましょう。

■NAD+の役割

NAD+は、糖や脂肪などの栄養素を分解し、エネルギーに変換する役割を担っている生命維持に欠かせない成分です。
また、DNAの修復や細胞の寿命をコントロールする酵素の活動にも関与している成分です。老化や健康維持、病気の進行にも影響を与えると考えられています。

■NAD+が減少すると起こりうる体の変化

NAD+が減少すると、エネルギー生産が滞り、細胞の機能が低下することが考えられます。すると、身体機能の低下や、時には健康維持までもが難しくなることも考えられるのです。
近年、NAD+を体内に直接投与し、体内の含有量を増加させる方法に注目が集まっています。日本医科大学や富山大学などをはじめとする、世界のさまざまな機関でも研究が進められています。

■NAD+が増加することで期待できる効果

NAD+は医療分野においても注目されている成分です。
複数の研究内容から、体内のNAD+は加齢によって減少することが分かっています。NAD+を増加させることで、長寿に関係する「サーチュイン遺伝子」が活性化され、抗老化の治療に活用できるのではないかと考えられています。北海道大学が行った研究では、NAD+の量を回復させることで、がんの発生が減少することが判明しました。

また、NAD+の増加により、疲労回復や免疫力強化や記憶力の向上などの効果が期待できるのではないかという考えもあるようです。

ただし、NAD+についてはまだまだ研究段階です。今後、研究が進んでNADと老化のメカニズムが解明されれば、美容の観点からもより的確な治療法が発見される可能性もあるでしょう。

3.NAD+を増やす方法は?

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いつまでも若々しい自分を維持したい方にとって注目の、NAD+量が増やせる方法についてご紹介しましょう。

■規則正しく健康的な生活を心がける

適度な運動やリズムの整った生活により、NAD+の増加が見込めると考えられています。運動すると、筋肉や血液内でNADのもととなるNMNを作る酵素が増え、結果的にNAD+量も増加が見込めるとされています。ただし、無理な運動は体を疲れさせてしまい、NAD+の生成を妨げる原因となりかねません。適度な運動量を心がけましょう。

また、規則正しい生活も意識しましょう。活動量が増える日中にはNAD+の量が増加し、体を休める夜にNAD+が減少します。生活リズムが乱れるとNMNの生成量は減ると考えられているため、生活リズムにも配慮してみましょう。

■NMNのサプリメントを活用する

NMNは「ニコチンアミドモノヌクレオチド」の略称です。ビタミンB3から合成される物質で、体内でNAD+という形に変換されます。NMNはNAD+の生成に欠かせない成分です。そのため、NMNを積極的に摂取することでNAD+の増加が込めるのです。

NMNは、アボカドなどの食品に含まれていることもありますが、量が少ないため、効率的に摂取したい場合にはサプリメントを活用すると良いでしょう。サプリメントによる摂取は消化・吸収が早いため、より効率的にNAD+の増加が見込めます。健康的な食事を意識しつつ、サプリメントを活用して、日々の生活に役立てましょう。

■美容医療でできるNAD+点滴

美容クリニックでできることとして、NAD+点滴があります。NAD+点滴は、文字どおりNAD+を点滴によって補う方法です。ダイレクトにNAD+を体内に取り込むことができるため、効率の良さが注目されています。ここではNAD+点滴がどのような方に向いているのか、期待できる効果や基本的な施術の流れ、注意点をまとめてご紹介しましょう。

NAD+点滴が向いている方

NAD+点滴は、疲労の改善や免疫の強化、記憶力・認知機能の向上などを目指したい方に向いています。また、老化に関連していると考えられるNAD+を体内に取り込むため、老化への対策として取り入れる場合も。健やかな肌の維持や健康維持に役立てたい場合にも向いています。

NAD+点滴の基本的な流れ

まずは診察を行い、病歴や現在の体調などのカウンセリングが行われます。NAD+点滴の治療が可能か・自身の体にマッチしているかなどをチェックします。
その後、医師に問題ないと判断されれば施術を開始。施術時間は点滴の量などによって異なりますが、およそ1~2時間ほどです。点滴が終了したあとはすぐに帰宅可能で、入浴も施術当日から問題ありません。
老化対策や疲労回復などを目的としてNAD+点滴を受ける場合、2~4週間程度に1度の施術を継続することを推奨する医療機関が多い傾向です。

NAD+点滴の注意点

NAD+点滴を行う際、人によっては施術中に頭痛や胸やけなどを感じる場合があります。点滴の速度を調整するなどの対策で改善することがほとんどです。違和感がある場合は遠慮せず医師に申し出ましょう。

NAD+点滴は、他の点滴との併用も可能です。例えば、老化対策としてNAD+点滴と白玉点滴・高濃度ビタミンC点滴などを組み合わせる場合もあります。症状や悩みに合わせて、医師にベストな組み合わせを提案してもらいましょう。

施術後は当日から入浴可能です。針を刺した部分は強くこすらないように注意してください。

まとめ

NAD+は、生きていく上で欠かせない成分です。加齢とともに減少することが判明しており、老化や病気の進行などと密接な関係があると考えられ、世界中でさまざまな研究が進められています。美容医療では、NADの酸化型であるNAD+を活用した「NAD+点滴」を取り入れているクリニックも。老化対策にはもちろん、疲労回復や認知機能・記憶力の向上などが期待できる方法です。若々しく健康的な体を目指している方は、NAD+に注目した美容医療にトライしてみてはいかがでしょうか。

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