NADとNMNの違いは?エイジングケアで注目される2つの成分を解説

NADとNMNの違いは?エイジングケアで注目される2つの成分を解説

「NADとNMNの違いについて知りたい」そんな方に向けて、2つの成分の基礎知識を解説していきます。美容業界でエイジングケアに効果が期待できると注目を集める“NAD”と“NMN”。医療業界でも疾患の改善や身体機能の回復に効果が期待できると、治療に用いることもある成分です。今回はNADとNMNの違いをメインテーマに、美容面に期待できる効果、副作用やリスク、摂取方法についてご紹介しましょう。

1.NADとは?サーチュイン遺伝子との関係もチェック

出典:photoAC

NADは“ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド”の略称です。NADは生物が生きるために欠かせない成分の1つで、エネルギー産生の中心的な役割を担っています。NADが体内に増えると、サーチュイン遺伝子(別名、長寿遺伝子)が活性化。老化の進行を遅らせることができる、と考えられています。
夢のような物質に思えるNADですが、実は年齢とともに低下し、50代で20代の約半分にまで減少。NAD不足は老化に伴う病気や不調、全身機能の低下につながる可能性もあるとされています。
また、直接摂取しても体内に吸収されない点もNADの特徴の1つ。NADを補うためには、まず前駆体(化学物質が生成する前段階の物質)であるNMNを摂取する必要があるのです。

■NADがサーチュイン遺伝子の働きをサポート

NADについて調べた際に、NAD+という単語を目にすることがあります。NAD+とは、NADが体内の代謝プロセスの影響を受け、酸化した物質のこと。どちらもNADであることには違いありませんが、より化学的な状態を表すためにNAD+と表記しています。
NADは、長寿遺伝子とも呼ばれるサーチュイン遺伝子の活性化に大きく貢献しています。そもそも、サーチュイン遺伝子とはエイジングケアに欠かせない重要な遺伝子。サーチュイン遺伝子が活性化すると損傷したDNAが修復され、元気な細胞を保ちます。サーチュイン遺伝子活性化に必要不可欠な物質がNADなのです。
NADはサーチュイン遺伝子に働きかける補酵素の一種で、体内で代謝を進める歯車のような役目を果たしています。しかし、NADは年齢とともに減っていくため、サーチュイン遺伝子の活性化のためにはNADを補う必要があります。そのため、若々しさを保つためには、まずNADを作り出すNMNの摂取に目を向けることが大切です。

2.NMNとは?その効果について

出典:photoAC

続いて、NMNの成分について解説していきましょう。
NMNは“ニコチンアミドモノヌクレオチド”の略称で、体内で自然に作られるビタミンB3の一種です。NMNがエイジングケアへの効果で注目される理由は、NADを作り出してサーチュイン遺伝子を活性化させるから。
NMNの効果は、ハーバード大学医学部のNMN治療の研究“次世代のエイジングケア療法”で発見されました。NMNを点滴で体内に取り込むことで、NADの生成を促進。結果としてサーチュイン遺伝子の活性化により老化現象を遅らせることが可能だと、考えられています。

■NMNの効果に関する研究データ

ある研究によれば、マウスにNMNを投与すると、短期間で筋肉年齢が40年分も若々しくなったという結果が報告されています。現時点ではNMNに致命的な副作用は報告されておらず、今後さらなる効果の発見や治療への応用が期待されています。
NMNの効果に関する研究データは複数の美容クリニックの公式サイトでも取り上げられており、研究が盛んにおこなわれている分野でもあります。国外のみならず、国内の主要大学でも含めさまざまな研究が進められているNMNは、美容面での効果を求める方にとって期待の成分と言えるでしょう。

3.NMNに期待できる美容への効果は?

NMNに期待できる美容面への効果について、スポットを当てて掘り下げていきましょう。

NMNが作り出すNADには、活性酸素の除去やコラーゲンの産生を促す役割があります。NADの働きはサーチュイン遺伝子の活性化につながり、老化に伴う肌悩みへの効果が期待できます。

<期待できる効果>

  • ハリ、ツヤ、キメの向上
  • たるみ、シミ、シワの改善

肌のハリや弾力を保つために欠かせないコラーゲン・エラスチンの量は、年齢とともに減っていきます。その結果、肌の老化が進みますが、NMNを摂取することでコラーゲンの産生が促され、肌のハリやツヤ、キメが向上するとされています。
また、シミやシワを増やす原因となる活性酸素の減少につながる点も、NMNの効果の1つ。活性酸素は有害なウイルスや細菌を倒すために必要ですが、増えすぎると肌に影響を及ぼし、シミやシワの原因になります。肌のたるみについても、活性酸素の減少により弾力アップの効果が期待できます。
その他の効果は、肌の新陳代謝の向上や紫外線ダメージを防ぐことなど。NMNに期待されるさまざまな効果が肌トラブルの改善をサポートし、美肌に導くとされています。

4.NMNの危険性│副作用やリスクについて

美容面への効果からNMNの摂取を検討する際、気になるのが副作用やリスクなどの危険性です。
NMNの研究は国内外で進められており、副作用は少ないとされています。例えば慶応義塾大学の2024年の研究では、NMNが人体に安全に吸収・代謝されることが報告されています。研究の内容は、健康な成人男性複数人を対象にNMNの長期投与を行ったもの。安全に長期投与できることに加え、投与期間に応じて体内のNAD+の量が増加すること、軽度の耐糖能障害がある人に対し糖代謝改善の可能性があることも確認されました。
他にも、富山大学の2022年の研究結果に「NMNの摂取による重篤な有害事象はみられない」とあり、NMNは副作用が少ないとされています。

NMNの過剰摂取で考えられる症状は、胃の不快感や吐き気、めまい、頭痛など。代謝を担う肝臓・消化器官に影響を及ぼすリスクがあるとされており、摂取の際は量に注意する必要があります。
NMNの発がん性については、現時点では認められていません。人への影響については研究が進んでいませんが、マウスでの研究結果があり、人においてもNMNの摂取による発がん率は低いと考えられています。

5.ナイアシンとNMNについて

ナイアシンは“ナイアシン(ニコチン酸)”と“ナイアシンアミド(ニコチンアミド)”の総称で、エイジングケアに効果が期待できると注目される成分です。
ナイアシンはNMNと同じくサーチュイン遺伝子の活性化に関係しています。実はNMNは構造の一部にナイアシンを含むため、NMNとナイアシンはどちらを摂取しても、結果としてNADが合成されるのです。ただし、ナイアシンはNADを作るまでにNMNよりも多くの手順が必要になります。また、最終的に作られるNADの量がNMNよりも少ないため、“NMNはナイアシンの上位互換”と言えるでしょう。

6.NADの摂取方法│選択肢は?

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NADの前駆体であるNMNは枝豆やブロッコリーなどの食品にも含まれますが、ごく微量です。食事以外の選択肢として、点滴やサプリメントによる摂取があります。ただし吸収スピードに差があるので、一度に多くの成分を効率良く摂取するには、点滴がおすすめです。

■【NMN点滴】複数回の代謝によりNADへ変換

NMN点滴は、NADよりも分子量が小さいNMNを点滴で投与する方法です。1回あたりの注入量は100~500mgとクリニックによってさまざま。「体の内側から若々しくなりたい」「病気を予防したい」といった方におすすめです。
ただし、NMNをNADに変換するまでには、複数回の代謝が必要になります。代謝のための酵素が不足すればNADまで合成されないこともあるため、この点でNAD点滴と比べると効率は劣ると言えます。

■【NAD+点滴】NADを直接細胞に取り込む

NAD+点滴は、NAD自体を直接投与することで効率的に体内量を増やす方法です。以前はNADの分子量の大きさから細胞内に取り込まれにくいと考えられていましたが、近年の研究で直接細胞に取り込まれることが解明されました。NAD+点滴は「頭をすっきりさせたい」「より効果を感じたい」といった方におすすめの方法です。

■【NMNサプリメント】効果なしという意見もある?

NMNサプリメントには効果なしという意見もありますが、さまざまなクリニックで取り扱いがあります。選ぶときのポイントは、品質と安全性の確認、医師への相談の重要性、摂取時の配慮事項など。食事や運動、睡眠などの健康的な生活習慣と合わせて摂取することが大切です。

まとめ

サーチュイン遺伝子の活性化が、肌のハリ・ツヤアップ、シワの改善など老化に伴う肌悩み解決へのポイント。直接サーチュイン遺伝子を活性化させるNADに対し、NMNはNADを作り出すことでサーチュイン遺伝子に働きかけます。このNADやNMNの摂取におすすめなのが、NMN点滴やNAD+点滴です。体内に投与することでNAD量が増え、エイジングケアに効果が期待できます。体内のNAD量を調べる方法として、血液中のNAD+濃度を数値で表す“NAD+テスト”もあります。点滴療法を受けるなら、効果を知るためにもテストの実施を検討してはいかがでしょうか。

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